2012.08.07 へしこ
今年もへしこサバが完成しました。

昔はほぼ一年中脂の乗った大型のサバが獲れただろう事から
考えると案外粗食メニューだったのでは?
と思えるサバのぬか漬け。
いまではすっかり高級になってしまいました。

というのも豊富な漁獲量を誇る富山湾でさえ
大型で脂の乗ったサバというのは年末ごろのほんの一瞬
しか上がらなくなってしまったからです。

本場の福井産もノルウェー産が主流になってしまっています。

この北欧のサバは塩サバなどでも御馴染みになっていますが
日本近海のものとは種類が異なります。

日本では「マサバ」「ゴマサバ」ですが
こちらは「タイセイヨウサバ」というものです。

それらの違いとは概括的に言うと「脂の違い」といえます。
時期にもよりますが

マサバには身肉の旨味と脂がかみ合った旨さ

ゴマサバはある時期だけ脂が乗るが普段はマサバに比べて
やや劣る。
脂の乗った時期でも身の旨味がそれに伴わない。

タイセイヨウサバは脂が強い。
身肉の旨味は少ない。

といった食味の違いはありますが、これは単に塩焼きなどで
食べた時のもので
しめ鯖や今回のようなへしこにすると
脂の違いが味の違いなんだとようく解ります。

結論
へしこはマサバに限ります。
次点で大型の脂の乗ったゴマサバ。

北欧の塩サバを焼いてご飯を食べてももちろん美味しい
のですが、この国産サバのへしこでご飯を食べると
なるほど日本の食事の主役はご飯なんだと実感できます。

ピカピカの炊き立て白飯とぬか漬けが理に叶ったご馳走
なのにそこに加えてじんわりと滲む脂がたまらないのですね。

ベタベタの脂も時には旨く感じてもやはり飽き易い。

年末の極寒の海で蓄えられていた脂が塩とぬかで
押さえられ(へしこまれ)余分な水分と抜けやすい脂を
抜き取られ寒暖の時間を越して漬け床と魚の味が一体に
なろうとして約8ヶ月。

バリバリッとはがすようにして取り出すと分厚かった身は
情けないほどの薄さになっています。
ぬかを洗い流し、焼くと最後まで残っていた良質の脂が
芳香を放ちます。
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ご飯に合います。
古来から常温で保存することを目的で作られたものだから
塩気の強いのはもちろんですがその中でもこの脂と旨味の
合体した美味しさがご飯とよく合います。
ぬかの力は偉大ですね。

私達の作るラーメンのチャーシューにも同じような事が
起こります。
肉を煮るとすぐに流れ出る脂と最後まで残る脂があるんです。

その味を見比べると最初に出る脂はくどくて不味いのに
後まで残る脂はしつこくないのにまったりとして
とても美味しいのです。

中国料理の角煮をご存知でしょうか?
下味をつけた肉角切りをいったん揚げてから
弱火でことこと煮込んで仕上げる調理です。

このレシピの眼目はことこと煮込む時に脂をこまめに取る
所です。

最後はほとんど脂が浮かなくなりますが、仕上げると
肉の間にしっかりと脂の層があります。
そこはもうしつこくない脂になっているんですね。

一般に「美味しい」と思われている部分を
繰り返し味わうと嫌味な部品が見えてきます。

そのわずかな部品を取り除く手法を正しく行なうと
「より美味しい」にまで高めてやれるのです。
古来からの調理法にはちゃんとそういう手段があり
また現代の料理に通じるヒントに満ちています。

重要なのは白紙の目で取り組み何が起こったのかを
見切る事です。
今回も少々の成果と少々の失敗を積み重ねることができました。

「へしこイカ」も作りました。
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こちらは脂が無い分だけ塩をきつく感じます。
それでも大型だからこその旨味とぬかの風味で
ご飯を美味しくたべられますが好き嫌いがありそうですね。

また一つ課題を抱え込んでしまいましたが
ともあれ
かつては「サバを読む」というぐらいに
数え切れないほど大漁だった海がそれほどでも
なくなりつつあるのは確かです。

それでもこうして豊かな恵みを与えてくれます。
海と米に感謝しましょう。 

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