レタスをひと箱格安で買えました。
市場ではまれにこういう事も起こります。
見込みよりも出が少なかったり、競り値が付かなかったりとか
理由は様々です。
こういう出物があった時にそれをどう活かすかが日頃からの
蓄積を問われる瞬間です。

こういう事を30年ずっとやってきましたからこのひと箱も
迷わずに買いましたが、
最初の頃は市場の魚の箱の前でウンウン唸って考え込んだものです。

格安のアイゴがひと箱売れ残っている
『さて、これをどうやって使いこなすか?』
『お刺身丼か、天ぷらか、はたまた挽くか漬けるか?・・』
といった具合です。

30年も経つと即座にレシピが幾通りも浮かびますから
さほどに悩まなくなりました。
汗こそが授業料ですね。

1玉が200円ならサラダやチャーハンに使いますが
箱で数百円となると大量に消費しなければなりません。
あまり長くもたせたくはないので思い切って加熱を与え
凝縮させることにします。

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レタスと肉の細切り炒めの丼です。
一人前でレタス半玉使います。

レタスは加熱しても歯応えの残る不思議な野菜です。
しかもこうして凝縮させると濃厚な旨味を醸してくれます。
今回は肉と合わせるだけなのにとても
美味しくなってくれました。
でも、ほとんどのスーパーで売っているものでは
こうはなりません。

その違いはどこでしょうか?

これは畑で育ったものだからです。
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スーパーでは価格の安定や泥や虫の混入などの理由から
水耕栽培のレタスが主流を占めつつあります。

ひと頃と違い随分研究が進んできたとはいえ
やはり風味と旨味という点ではまだまだ畑栽培には
適わないのですね。

考えてみれば皮肉な結果です。
安全、安心、快適、お手軽、安価を追い求めた挙句
一番の根本である味を犠牲にしてしまっているのですから。

ここで私が言う「味」というのは
体喜ぶ栄養を伴った味  という意味です。

それは私が作るラーメンにも通じる
毎度御馴染みの話ですが、
こんな事を言うと必ず
「ラーメンを食べる時に栄養を考えて食う奴はいない」
などとしたり顔でいう愚か者がいます。

そんな人は体喜ばない化学調味料を
「旨いうまい♪」と言ってればよろしいので
幸福のレシピなど不要でしょう。



普通に生活をしていればレタスの味などと言っても
ピンと来ないのがむしろ当たり前じゃないでしょうか?

昔、船員をしていた時のことです。
予定が変更されて長い長い航海になってしまいました。
通常でさえ生鮮食料が少ないのにほとんど底をつきそうに
なったのです。

ようやく日本に帰港して最初のメニューは刺身と肉料理
その付けあわせがレタスでした。
ハートレタスとメニューにあります。

「ハートレタス」?
お判りになりますか?
一玉を8~16等分にしただけのものです。
ハート型の1/2に見えるから命名されているようなんですが

これがめちゃくちゃ旨い!
刺身より、肉よりレタスが甘くて
こんなに旨いレタスは初めてだってくらいに旨いんです。

塩もマヨネーズもなにもつけないレタスがあんなに
旨かったのはそれが初めてでした。

決して飢えていた訳じゃありません。
ただ、ビタミンが甚だしく欠乏していたんですね。
「空腹は最高の調味料だ」なんてセリフがありますが
栄養素の欠乏もまた同様なのです。

乗組員が30人そこそことはいえ中には野菜の嫌いな人も
いたのにこういう時には誰一人残しません。
まるで乾いたスポンジに水が音立てて吸い込まれるように
体にレタスそのものが吸収されるような経験でした。

これが
体喜ぶ栄養を伴った美味しい味なのです。

化学調味料を使わないで美味しい物を目指そうとした時に
私の中の羅針盤の針が指し示したのはまさにここでした。

なにも水耕栽培を悪く言うつもりはありません。
安定供給や条件の悪い土地での農業の可能性など
その研究発展には期待すべき点も多々あります。

露地栽培が美味しいからとはいえ
万一の虫混入などは都会育ちの若者には耐え難いことかも
知れません。

でも
「野菜を食べると言う事は土を食べること」なのです。
同様に
「魚を食べることは海を食べること」であり
肉を食べる時にはどんな飼料で育てられているかを
気にしなさいという事でもあります。

肉や魚が下ごしらえの済んだカタチで最初からスーパーに
生存していたわけではないのと同じく
野菜も土を育ててくれた人がいるから
美味しい野菜に育ったのですね。

こうしてみると
料理人などと言ってみたところでいろんな方々が丹精込めて
育ててくれたり、命がけで獲ってきてくれたものを
まな板や鍋でちょいと仕上げているだけに過ぎないのです。

口に入れる最後の段階で化学調味料を入れてたんじゃ
申し訳が立たないってもんじゃないか  と思います。


なにも食べ物の足りていないお国からわざわざ怪しげな
食品を輸入しなくとも日本国内には安心な美味しい物が
充分あるんです。

それでも資本主義なんだから利益優先して当たり前じゃないか
とか
とにかく安くしなければ生き残れないんです
などと
寝ぼけたことをほざいてる輩の扱う
食べ物を有難がって食べ続けますか?

人間は何によって生かされているんでしょうか?







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