「本紅」という単語は幸福の証です。
ベニザケには何段階ものランク付けがあり、
その最上位の位置
すなわち、「本ちゃん」のベニザケという意味だからです。

本ちゃんの正反対
最下層に位置する鮭はいわゆる甘口として
流通しているものです。
甘口の全てではありませんが、私の見たものは市場で加工されています。

各国から輸入された養殖物の冷凍品
それを大きな箱に入れ、水道水をジャンジャンかけて
半解凍にまでもどし、美しく切り分けます。

それをパックに並べて本ちゃんから落ちた良い塩をざっと
まぶして「はい甘口の完成」となります。
これはもう「塩鮭」と呼ぶことすら怪しいものです。

生の切り身(解凍品)には塩が入りませんから
確かに薄塩にしかなりませんし、
養殖ですから確かに脂は乗ってます。

今一番売れている、
つまり消費者に受ける安価な塩鮭の正体がこれです。

その上位には養殖冷凍品を解凍して塩漬けしたものやら
天然もの冷凍品を解凍して塩漬けしたもの
遡上して川で獲ったものに塩をしたもの
などなど
ロシア産のベニに塩をしたもの(日本人が指導している)
などが続き、

最上位の本ちゃんでは沖で獲れた直後に腹を出し、
船上にて上等の塩で漬けるという幸福のレシピで大切に
扱われるのです。
いわば、活きている身に塩をまぶす訳ですからしっかりと
塩が馴染むのですね。

北海道では塩鮭は本ちゃんしか食べないと聞きます。
それも道東の海と細かく指定されているとか
本州との間の海峡に入ったものはもう身が痩せ始めて
美味しくないと言うそうです。

全く、美味しいものを求めると際限がないという気がしますが
なにそんなに難しい事ではありません。
とりあえず「本紅」ならいつでも求められます。
有難いことに今でも探せば普通に流通しているからです。
「本ちゃん」と言って求めれば入手が可能です。


「本花」という単語も幸福の証です。
花ガツオと言えばそれこそピンからキリまであります。
その中で最上位に位置する「本枯れカツオ節」の
花カツオだからです。

ダシをとる作業はあまりに単純であっけなく
出来てしまうのでつい軽く見がちですが本枯れカツオ節は
沢山の手間と時間をかけてゆっくりと水分と脂を抜き仕上げ
られます。

本来ならばこの本枯れ節をカツオ削り器で使用する直前に
おろすのが理想なのですが現在では袋入りの花カツオが主に
なってきています。
ガスが充填されていて酸化しにくくなったのも貢献しています。

さて、
これらの「本」には本物、上等の、最高級などの
意味合いがあります。
そのさりげないたった一文字のために職人は命を削るように
汗を惜しまず守り続けてきたという重みがあります。

いかにも日本の職人達が大切に守ってきたという歴史が
感じられます。

でも

「ほんだし」

この言葉のどこに「本」があるのでしょうか?

漢字をひらがなに置き換えたという詭弁しか見えません。
まぎれもない「本だし」という意味合いでつけられた
名前だからです。

この嫌らしい置き換えには日本人らしい職人技が微塵も
感じられないどころか怪しいなりすましの匂いすら感じます。

毎朝忙しくてちゃんとダシを取れないという
主婦には誠に便利で強い味方でしょう。
しかし、プロの料理店、料理人が使うとなれば話は別です。

これはれっきとした化学調味料なのです。

味の素に「ほんあじ」などと命名するバカがいるでしょうか?
本物ではないからこそ余計に「ほん」と言いたがるのでしょう。
ウソ吐きほど「本当なんです!」とわめくものです。

砂糖は
「空っぽのエネルギーだ」と言われます。
甘いだけで栄養が無くカロリーだけが高いからです。

その伝でいうなら
化学調味料は空っぽの旨味なのです。

旨味はあってもそれ以外の栄養は何も無いのです。
この当たり前の真実に目を向けてください。

料理人の仕事って一体何でしょうか?

こんな事を言うとまたまた敵ばかり作りそうですが
私がしばしば例に挙げるのがドッグフードです。

犬に麩を与えるとします。
その麩には肉の風味が付いていて大喜びで食べます。
でも、
それが毎日続いたらしまいには飼い主の手を噛むかもしれませんね。
というものです。

現実にはドッグフードには計算された栄養が入っていて
それこそ人間向きのジャンクフードより優れた餌になっていますから
これはあくまで比喩ですが、

バーベキュー味のポテトチップス
などというものも概にあります。
アメリカではプアホワイトと呼ばれる新貧困層がドッグフード
を食べているというショッキングな話も伝わってきています。

日本はまだそんなに貧しい食生活を強いられる国ではないはずです。

化学調味料の中でも核酸系と呼ばれるこのほんだし
案外知られていないこやつの話を続けてみましょう。

化学調味料を使うということはどんな事なのか
料理人はそろそろそのことの総括をすべき頃です。







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