2012.08.20 飛び魚の話
六月中旬

tod 035


待ちかねた飛び魚がようやく水揚げされました。
飛び魚には沢山種類があるそうですが、この時期
富山湾から能登半島にかけてあがるのは
小ぶりの「丸とび」とやや大きめの「角とび」と呼ばれる二種類が主です。

「角とび」は刺身や酢〆、ヌタなどに
そして「丸とび」はそれらはもちろんですが、
一番の用途として煮干が最高なんです。

九州ではこれを焼き干しにしますが、
能登では開いて煮干しにします。

これはとても美味しいダシが出ますが茹でる時間の管理が
難しいので私は九州式の焼き干しにします。

aac 043


飛び魚はミニ丼でも使います。
新鮮なものは旨味が強く身肉の粘りもあってとても美味しくなります。
青紫蘇、生姜、小口葱と合わせて昆布醤油を添えたタタキ丼です。

aac 028

翌日は天丼に使います。

aad 085

その他では
三枚に下ろして味噌汁や皮付きのまま刻んで酢味噌和えなどでも
その美味しさを堪能できます。

ただ、この魚はウロコが多くてヒレが大きいので
さばくのが少しだけ面倒で手が掛かります。

そこへもってきてスーパーなどでは小骨の処理の不十分な
刺身が出回る為か
「小骨の多い魚」
として消費者が敬遠することも多いようです。

するとどうなるか?
というと
相場がバカ安なのです。

本当は旨いのに不当なまでに安く流通している
というのはまさに私の大喜びするところでして
格好の餌食ならぬ
まちかねた好機到来となるわけです。

焼き干し
タタキ丼
aac 027

天丼
ちらし寿司
メンチカツ丼

等などで大活躍をしてくれます。
この時期に仕込んだ焼き干しは秋のキノコご飯のダシに
最高の物になってくれます。

私がこの魚の美味しさに目覚めたのはタンカーに乗船して
いた20代の頃ですからずいぶん昔になります。

タンカーというのは空荷の時は喫水が高くビル3~4階
くらいまで水面から高くなりますが
満船の時にはタンクに原油が一杯積み込まれるわけですから
水面から数メートルくらいにまで低くなります。

そんなときに朝デッキを一回りするとたまにこれが
上がっているというか引っかかっているのです。

空を飛んでいて着水ではなく着艦してしまうと言うわけです。
鮮度がいいうちに酢味噌で食べます。
その美味しかったこと。

そう思って眺めるせいか顔まで愛嬌たっぷりに見えます。

tod 041

おちょぼ口の丸トビ君です

tod 042


tod 036 tod 037 tod 038

これらの各パーツは全て飛行のために進化した結果です。
より多く空気をとらえるための主翼
飛行態勢を安定させるための水平尾翼
舵のようなバランサー機能を持った下方尾翼。

tod 039
完璧な飛行体ですね。

今、魚が豊富に上がっていますから
やれ小骨が多いとかなんだとか贅沢を言ってられますが
不漁が続けばそうも言ってられなくなるでしょう。

とはいえ、これの美味しさが正しく伝わらないのも
料理人のせいなのが悲しいところではあります。

タタキ丼を食べられたお客様が
「初めて食べたけど美味しいモノなんだねぇ」
とか
「実に旨かった」
などと有難いことを言って下さる度に
「はい、旨味の濃い美味しい魚なんですよ」
と微力ながらPRをしている自分がなんだか滑稽でなりません。

安いのを喜んでいながら
一生懸命に値打ちをつけようってんですから
我ながら矛盾していると思います。


‐-アップするのが遅くなりましたが
6月中旬ごろの記事です。
現在はトビウオは上がっておりません。
秋にはもう一回り大きな角トビが上がります。
もう一度アップできるでしょう。



スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://oisiitoyama.blog96.fc2.com/tb.php/927-889e42b7