2012.01.23 箸と麺の関係
私達ラーメン店を含む麺類を商う店、業種は全て
割り箸で支えられてきたと言っても過言ではありません。

日本の割り箸は製材過程で出る端材で作られました。
ですから一時言われたように森林破壊を起すものではなかったのです。

ところが中国からの安価な割り箸が入ってくることで事情は
一変します。
国内の小規模な割り箸製造業はほぼ壊滅しました。
今では吉野杉などの高級材を用いた一部だけがかろうじて
生き残っているだけです。

中国での製造工程にはいくつかの不安要素があることと
エコ指向の高まりなどで当店も樹脂製の箸を導入しました。

最初は自然素材の方が良いだろうと竹箸を試した所
竹というのはそのままなら滑らずに使いやすいのです。

私は普段使いの竹箸を自作して使っていますが、
とても使いやすくて気に入っています。
ザル蕎麦を食べてもスノコに挟まった最後の一本まで簡単につまみ取れます。
でも、何も処理をしない竹箸は必ず黒ずんでくるんですね。

ですから市販の物には必ず表面加工が施されます。
すると滑りやすくなり、使えません。
なので先端に滑り止めの刻み目をつけてあります。

これは麺を持ち上げるのには便利ですが口の中から
箸を抜き出す時の擦過感が良くないのです。
ザラザラと引っ掛かるんですね。

全国には放置竹林の問題があるんですから政府が補助を
つけて使い捨ての竹箸を流通させれば一石三鳥にもなる
効果が期待できるのですが・・
それはさておき。

樹脂製の箸でも麺は滑ります。
なので先端には滑り止め加工が施されます。

今まであらゆる麺類の世界で最適な麺線の長さという事がさんざん語られてきました。

ザル蕎麦の世界では「持ち上げてちょうど良い長さ」
と語る人もいますし、

「イヤイヤ蕎麦の長いのはいいんだ長ければ猪口切りといって
ツユ猪口の縁で押さえて切れるんだから
むしろツ・ツとすすりやすい長さを気にするべきなんだ」
と語る人もいます。

うどんの世界では
「いいや太さが重要だ!ウチのは極太の一本麺だ!」
などと語る人までいます。

(横道)
ちなみに、カレーうどんはすする時に跳ねて服に
しみがつきますがあれは最後の麺の端が跳ねるからなので
一本ではなく輪っか、つまり丸くつながった麺線にすると
跳ねないんです。

麺線と書きました。
麺とだけ書くと種々雑多なので業界では細長く切った物を
こう呼びます。

この麺線の長さ、あるいは太さ、を言い換えると
一本の重さで考えることも出来ますね。
それらは全て割り箸だったから何でも自由自在に
ふるまえたと言えるのです。

中国料理ではアンがかかると更に重くなります。
油がたっぷり入った分だけ滑りも強くなります。

今まではあまり考慮せずに割り箸さえ添えれば自在に
できました。
ラーメンの世界では粘度の強いスープもあります。

ストレートか縮れかでまた異なります。
私の打つ多加水手打ち麺は表面がツルツルですから
よく滑ります。
極太ですから重いです。

ですから店内には割り箸も常備してあります。
今まではわりあいこれを使う人も多かったのも無理ありません。

ところがラーメン専用に開発された樹脂製箸というものが
現れたのです!

これは逆転の発想で作られています。
滑り止めを横ではなく
タテに溝を切りエッジを立てることで麺に食い込みやすく
加工してあるんですね。

ucc 034

いや、頭のいい人もいるものです。
日本のモノ作りの底力を見せ付けられた思いです。

と、こんな事をいうと
「たかが、箸の事ぐらいでおおげさな」と
思われるかもしれません。
でも一国の工業力と言うのはえてしてこういう些細で
かつ汎用な品物に顕れるものです。

有名な話に
某国の工業力の進捗状態をマッチ棒で判ったというのがあります。
マッチ棒の端に機械でつまんだ跡がついてきたというのです。
日本は昔から付いていますね。
こうです。

uck 009

uck 008

昔は手作業で作っていたのでしょう。
それが先進国並みの機械技術を手に入れたようだと
判明したと言うわけです。

となるとそういう解析の専門家は一本の繊維や
ちょっとした部品の材質からでも工業力の程度を探れるのかも知れませんね。

この箸は材質の進化なのかあるいは太さのバランスの妙か
この手のモノにありがちの持ち重りが全く感じられません。
しかも油汚れが落ちやすいのです。

その内に秘めた工業力まで推し量る能力はありませんが
非常に優れた箸であることだけは充分理解できます。


ところで
ご存知のように箸の長さというのは親指と人差し指を
直角に開いた長さ、
これを一咫(ひとあた)と言いますがこれの1.5倍と
言われます。
つまり一咫半というわけです。

ですから一人一人最適な長さは異なるのが当たり前なんです。
平和通り食堂さんではそこの所をしっかりと踏まえて
何種類かの長さの箸をご用意してらっしゃいます。
なかなか出来ることではありませんが、理想的です。

つまり、用意する側はまず第一にこの長さを選定するという
作業から始まるのです。

次、箸に要求される点は手が滑らない事。
持ってしっくりと馴染む事です。
妙に角張って手指が痛いようでは話になりません。

それと持ち重りのするような重い材質も不適です。

そして最後にモノが滑らない事が最終的な見極めとなります。

これに加えて今回選定したのは口から抜き取る時の
擦過感の改善まで出来ました。

まさにラーメン店の為に開発された使いやすい箸です。

今まではそんな事など何も考えなくともただ割り箸さえ
用意しておけばそれだけで済んでいました。
これからはお店の性質に合わせた箸が必要になってきた
というわけです。

とにもかくにも色々な業界の努力協力によって成り立って
いるという事を忘れないで
お店側もメーカーに負けないで勉強しなければいけませんね。






スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://oisiitoyama.blog96.fc2.com/tb.php/887-d0b37d5e