カレーを作ろうとすると
ヨーロッパ風とアジアンスタイルのどちらにするかいつも迷います。

よく勘違いをする人が多いのがヨーロッパ風の場合。
ブイヨンとフォンそしてデミグラスソースの混同です。

ブイヨンとはスープのベースとなるダシの事。
牛や鶏または野菜などで作ったもの。
チキンブイヨンがよく聞かれます。

フォンは主にソースのベースとなるもの、
子牛を意味するヴォ ー子牛の肉と骨、香味野菜を長時間煮て作る茶色の
フォン・ド・ヴォが有名ですね。

白いフォンもあります。
魚などで作るフュメ・ド・ポワソンなどです。

デミグラスソースは肉や香味野菜を炒めてから赤ワインや水を足し長時間煮て、
茶色のルゥを加えて味を整え、漉したソースのことです。
以上をよく判別できないと言う事に加え、
このデミグラスソースが大いなる誤解を生む原因となっています。

デミソースは各店手を加え秘伝を尽くし長く煮込みます。
中には一週間などというものも珍しくありません。
そこから派生したのでしょう。
『カレーも長く煮るほど美味しい』  
という先入観が刷り込まれたようです。

それに加えて
カレーは一晩置いた方が美味しくなるという事も混同に拍車をかけていますが
ところで何故寝かした方が美味しく感じるのかというと
それにはちゃんと理由があります。

1、カレーには肉、野菜、果物などの多彩な具材があり
経時とともにそれらがソースに溶け出す。

2、油脂の粒が経時とともに小さくなり他の具材と馴染み
  またそれによって繊細な味も感知しやすくなる。
などの理由が挙げられています。

さぁもうこうなると誰でも寝かせれば寝かせるほど
美味しいカレーになるような気がしてきませんか?

ただし、ココで言う「寝かせる」というのは加熱しないで
熟成させることです。
再加熱を何度も行なうという意味ではありません。
冷蔵庫で一晩程度置く。 という程度です。

毎日火を入れながら何日間も継続して使う 
 という意味では全くありません!

たまに
「当店のカレーは一週間かけて仕込みます」などという
お店がTVなどで紹介されるとなんだかやたらと有難がっ
てしまうのは明らかなこのあたりの混同です。

一週間かけてソースを作るようにじっくりとカレーを
煮込んでいるわけじゃ無いと思いますが、
もし、スパイスを入れてから何日も再加熱をすると
どうなるか?

スパイスの香りが飛んでしまいます。
カレーの風味のするデミグラスソースのようなものに
なります。
マイルドな味わいと言えばその通りでしょうから
欧米人はむしろこちらの方を好むのかもしれませんが。

さて、インドやアジアンカレーはこの熟成が当てはまらない場合が多いのです。
日本人にとっては欧風カレーがファーストインプレッション
なのでカレーと聞くと即!煮込み料理と思いがちです。

具材が柔らかくなる程度は煮ますが、基本は長々とは煮ません。
例外を除き、長く煮てスパイスのフレッシュな香りが
飛んでしまうと台無しになるからです。

中華丼やチャーハンでは注文が入ってからササッと作られるように
タイのグリーンカレーなどはオーダーを聞いてから作ります。

インドやパキスタンの料理人も時間のかかる具材だけを
予め仕込みますが注文を聞いてから最後のひと手間をかけて
ササッと仕上げます。
これは中国料理に例えるならば
エビのチリソースのようなものと言えなくもありません。

海老の仕込みはとても時間と手間がかかりますが
下ごしらえをしておけば注文が入った時にサッと加熱する
だけで充分です。
予め加熱しておくとパサパサになり、味もしみこみません。
チリソースも作り置きなどすると風味が飛んでしまいます。

ところが注文が入ってからササッとこなせない人は
この作り置きや業務用を多用します。

同様に
アジアンカレーを作り置きしたとしたらどうなるでしょうか?

連日温めなおしては使う、少なくなったら作り足す、
スパイスが飛ぶので毎日少しづつ足す~~
などという事を連日繰り返すと
苦くなってしまうのです。

以前に、アジアンカレーにはまったタレントさんが日本の
レストランのカレーだとスパイス感が足りないので
大田漢方胃腸薬を振り掛けて食べると言う話を挙げましたが
まさに
胃腸薬でも舐めた時のような不快な苦味となってしまいます。
それはカルダモンが強すぎただのコリアンダーが多いかな?
などとかいうレベルじゃありません。

ターメリックが和名では「うこん」だという事はよく知られていますが
他のスパイスも其々に薬効のあるものですから
長々と煮込みすぎたものというのはまさに
風味に乏しい漢方の煎じ薬に近くなるのかもしれませんね。

カレーは煮込むほど旨くなると言うものではなさそうだと
お解かりいただけたでしょうか?

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以前にも書きましたが、今までに食べたカレーで一番
旨かったのはドバイ首長国連邦で食べた
パキスタン人コックさんの作ってくれたものです。

日本でも最近は本場の人が多くやってきて作ってくれて
いますがやはり、日本人向けの淡白気味に仕上げています。
それに日本人好みにやや粘り気が全般的に強いようです。
もちろん流派や地方で全て差異がある事は承知の上での
話です。

そんな中ここ富山で一番旨かったのが
「平和通食堂」さんで食べた「ひよこ豆のカレー」です。

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専門店にありがちな動物性脂肪過多ではなく、

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もちろん化学調味料なんか全く加えておらず、

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あっさりとしていながらスパイス香る名品でした。

ひよこ豆は私が煮るとガジガジとした食感になってしまい
苦手な食材ですがどこかで誰かもブログに書いていました。
~この豆は二口食べたらもう飽きてしまう~と

ところが平和通食堂さんではふっくらと実に美味しく
なって出てくるのです。

残念ながらここではカレーメニューは不定期に入れ替わりますから
いつでも必ず食べれるとは言いませんが
運が良かったらめぐり合えるはずです。
ふっくらと、それでいて適度な歯応え
あっさりとしていながら雑味のないスパイシーなカレー
密かにお気に入りとなっています。
二口どころか一皿でも足りないくらいの旨さです。

インスタントのカレーではブイヨンやフォンを
丸ごと入れられない以上欧風スタイルのルゥからは抜く事が
不可能なアミノ酸。

ではアジアンカレーではなぜアミノ酸が無くとも美味しく
なるのでしょうか?

その答えが油です。
スパイスの成分は油状の物質からなってます。
ですからまずたっぷりの油にクミンやマスタードシード、
フェネグリークなどを入れてじっくり炒めることから
始めます。
これをスタータースパイスと呼びます。

ここで使われる油が各店のこだわりの出る所なのですが、
店によっては古くなったギーなどを大量に使用する所も
あったりしてそれが脂もたれしたり、胸焼けなどの
食後感をもたらします。

良質の油を上手に使えばアミノ酸が無くてもフォンなど
加えなくても(店によってはブイヨンは使う)
こってり感とボリューム感は出ます。

ところが話はグルグルと回りますが、
インスタントのカレールゥではカロリーオフの流れに
押されて油脂をカットしたものが売れ行き好調なのだそうです。
カロリー20~30%オフなどと大胆な戦略で攻めていると
言いますが今までの流れから察するとその分アミノ酸は
増量なのではないか?

とつい疑ってしまいます。
美味しいカレーを食べるのも
作るのもいずれにしろ一苦労させられます。














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