2011.05.06 わらび
tuu 007

先日ミニ丼で海老とワラビの炊き込みご飯をしました。
若い人は山菜を好まないと思われがちですが、
とんでもない忙しさでとうとう画像を一枚も
確保できず終いでした。

意外に思われるかも知れませんがこの時期
高級割烹、料亭の主役は実は山菜だったりします。
それも高くなればなるほど希少な山菜になっています。

オオナルコユリ、ユキザサ、などここで名前を書きたくない
つまり絶滅寸前とまではいかないまでも
成長するのに長時間を必要とする山菜がそれにあたります。

当然、再生産は困難で絶えそうになるのですが、
世の中うまく出来ているものでそういう希少なものほど
滅多にお目にかかれないので一般的にどれがどれやら
識別不能→採られずに済む→密かに生き延びる。
というサイクルも成り立つのですね。

しかし身近な道端の美味しい山菜はほぼ全滅状態です。
残念ながらこれもまたヒトが選択した結果だから
しょうがない話です。

山菜を料理するというとすぐにおばあちゃんの家庭料理と
いったイメージが沸きますが、高級料亭ではその正反対
究極の高級料理に昇華します。
誰でも知っているフキノトウの天ぷらで例をあげると
家庭のまんまのものが高級カウンター天ぷら屋さんで
出てくるはずがないのは道理でしょう。

ひらく前のフキノトウの葉を押し広げて今咲き開いたばかり
といった形でカリッと揚げて出してきます。
こう聞くと誰でも出来そうですが、
全てほぼ同じ大きさで、全て同じような形を完璧に揚げる
というのは至難の技です。

そういう意味ではいかにおばあちゃんの”ではない”仕事を
して見せるのかが問われるという、料理人にとっては
手の掛かる反面おもしろい食材だとも言えます。

美味しく仕上げれば老若男女問わず喜んで食べてもらえます。

この日も強いダシを利かせてワラビと海老で炊き込みご飯に
仕立てました。
ぜいたく懐石風ご飯 としてお出ししました。
お陰様で早々と完売してしまいその後大勢のお客様に
お詫びするはめになりました。
ありがたいやら、申し訳ないやらで昼はあっという間に
過ぎました。


ところで、
山菜といえばよく耳にするのが「アク」という言葉です。
人間にも比喩として使われますが、
辞書を見ると
植物に含まれる渋みや苦味のこと  とあります。
それでどなたも案外簡単にアクと言います。
タケノコには強いアクがある。
山ウドはアクが強い。
などから始まり終いにはちっともアクの無い山菜まで
アク抜きをしなきゃ  と言い出します。

私は・・
あくまでも私の考えですが
これらはアクと言うべきじゃないと思っています。
野趣とか風味とか香気をアクと言うと料理するにあたって
間違いを犯すんじゃないか?  と思うからです。

渋みや苦味、独特の芳香、それらは「持ち味」なのです。
それらを抜いてしまったんでは台無しになります。
ここにワラビを例に挙げましょう。

ワラビには少量の発ガン物質が含まれています。
ただし、水溶性ですから水に溶かし流し出す事で食用に
成り得ます。

これがアクです。
そのままじゃ苦くて食べれません。
しばしば、有毒成分はこうして強い苦味やピリピリとした
辛味のような味覚を伴って危険を教えてくれます。

許可を得ていないのでリンクを張る事はしませんが、
私が訪問するブログ主さんのお母さんは若かりし頃
ジャガイモの芽だけを摘んで味噌汁にしたことが
あるそうです。
どんな味がしたんだろう? と興味がありますよね?
貴重な体験談です。

とても苦くて飲めなかったそうです。

このような明らかな毒性のある苦い、辛い味をアクと呼ぶべきです。

そうすると人間に当てはめた時もぐんと解り易くなります。
悪さをする個性の強い人を指す時には「アクが強い」と
言えば
『あ、関わるのはよそう』となりますし、
「クセのある人」といえば
『あぁ、良い意味での個性的な人なんだな』と合点がいきます。
アクが強い人の事を「食えない人」と置き換えると更に
大合点できますね。

ワラビもそのままではとても食べられません。
人間だけじゃなく動物も食べません。
明確な毒がある苦味なんでしょう。
タンサンや灰を加えて熱湯をかける事で
このアクを抜き、先端の胞子嚢を除去して水にさらして
食用となります。
tuu 008 tuu 009

tuu 010




このアクは抜くべき嫌味要素ですからきっちり抜いても
いいのですが、山菜の中には抜いてはいけない苦味を持つ
ものもありますから中々判断の難しいところでもあります。

スーパーで買う栽培されたウドにはクセが足りません。
香りも風味も弱いのですが、本などでは酢水でアク抜きを
しろと書いてあります。
そうして真面目にその通りにやりすぎると味も香りも無い
抜け殻のようなものになってしまうから要注意です。

でも、クセの無い方が最近は好まれますからどちらとも
言えないと言えばその通りなのですが・。

ワラビは動物も食べないという話の続きを書いてみましょう。

あるワラビ山での事。
(繁茂する種類によって山を分類して呼び分けます)
(ゼンマイしか採れない山はゼンマイ山という風に)

その山にはウサギが沢山いるとみえていたるところに糞の
山があります。
普通は乾燥して黒っぽくなっていますが、
早朝に山に入るとまだ新鮮な鮮やかな緑色のままのものも
混じっており
『あぁウサギは草食なんだな』と妙に納得させられ滑稽に
なります。

自分もその仲間入りをしに来たかのような気分がするからです。

周りはそこらじゅう野草の新芽だらけ、木の芽だらけです。
さぞかしウサギ君にはご馳走フルコースの卓上にいる状態
なのでしょう。
身の周りが全て好物だなんて素晴らしい環境じゃないですか。

そこにワラビが混じっているのです。
食べない?
いいえ食べてます。

まだ若いウサギは知らないのか、それとも冬の間に忘れた
のか一口だけかじります。
でもやっぱり苦いんでしょうね。
それっきりです。

『ちぇっ苦くて美味しくないや、ペッ』 と
ウサギがやってる姿をつい連想して笑ってしまいます。

そのかじり跡のついたものをポキリと折って私が摘みます。

山菜や野菜の知ってるようで知らない話
書いてもキリがないのですがもう少しだけ続けてみましょう。
この時期ただでさえ忙しいのに山からの呼ぶ声が風に乗って
きて落ち着かない気分です。

PCに向かう時間も短くなりがちですがゆっくりと書いています。









スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://oisiitoyama.blog96.fc2.com/tb.php/790-fcc5d868