干物を作っています。

以前は通販をやっていましたから今とは比べ物にならない程大量に作りましたが、今はお世話になった方々への御礼とかミニ丼用に少し作るだけです。

なぜ、わざわざ自分で干物を作るようになったかというと
儲ける為なんかじゃありません。
買うのが美味しくなくなってきたからです。
はっきり言ってもはや干物ですらありません。

この際です。
はっきり言っておきましょう。
消費者をなめすぎていますから思いっきり書きます。

まず魚に塩をしただけのものを干物だなんて言っちゃいけません。
ウソはダメです。
次に、乾燥機で適当に水分を抜いただけのものを干物だなんておふざけは大概にしなさい。
えぇ? ピチットシートのような脱水紙で水分を除いたのが干物???
バカ言っちゃいけないよ
それはホラというものです。

何? 減塩が好まれるから アミノ酸液に漬けました ?
余計なお世話って言うんです。
ホントは防腐剤をごまかす為のアミノ酸”等”だってもうばれてますよ!

失礼しました。
つい興奮して取り乱しました。

でもね

しっとり柔らかなものが好まれるから  とか
硬いものより一夜干しが売れるから   
などと小細工ばかりして本物を見失っているから売れなくなるんです。

そこに付け込んだスーパー業界が
「安くなければ売れないですよ」
「安いのさえ作ればどれだけでも売りましょう」
とささやくとすぐに飛びついて今ではほとんどの干物は中国産に!

なんだこの惨状!
この愚かしい有様はなんだ!
いったい何を考えてんだ!

と怒り心頭なのは私だけじゃないはずです。

毎年何百という水産加工業者が国内での製造販売を諦めて廃業している

という話を聞いたのが数年前です。
今ではそんな話も聞かなくなりました。

元気の残っている業者は中国に行って安く製造して日本に発送している

そう聞いて自作を始めました。

一昨年サンマが価格高騰したのはまだ記憶に新しいですが、
あれも主原因は中国の台所でした。
以前は川魚しか食べなかった中国人が海魚の旨さに目覚めた結果です。
遠からず干物もそうなるでしょう。
日本人が中国にまで出かけて中国人好みの干物を中国人のために作り始めるでしょう。
ウワサの地溝油でも塗るようになるんでしょうか?

そうなると日本人のための安全な干物はいったいどこの誰が作ってくれると言うのでしょうか?

日本でも頑張って続けている所もあります。
が、まともなものはどうしても高価です。
自分達用の安全で安価な干物はもはや自作するしかないのです。

ところが!
時代と共に味覚は変化しているんですね!

昔ながらの味を求めて作ってみると同じ味にはならないのです。
ふざけて判じ物めいた話にしているわけじゃありません。

鯵の開きで説明しましょう。
昔ながらの本物は浜で上がった新しい鯵をすぐにさばいて作りますよね。
新鮮な魚でなければ美味しい干物にはなりません。
街の魚屋さんが売れ残った魚で作るものが浜の味に叶わないのはそこが原因です。
新鮮な鯵で作ると皮目がピカピカに光っていますから簡単に見分けがつきます。

最近出回っている大きい鯵の開きはほとんどが外国産です。
たっぷりと脂の乗った鯵の開きは大人気です。
おまけに輸入されて箱を移し変えた場所が仮に「沼津」だとすると
それは「沼津産」として販売しても良い となっていますから
もはやそれが国産なのか輸入品なのかという区別すらできません。

サバの話はいまさら言うまでもないですね。
すっかりノルウェー産の脂に席巻されています。

でも、脂の乗りすぎたものというのは飽きるんです。
それで高価なのをガマンして国産のモノを買うと
脂の乗りが今ひとつだったりします。

もうお解かりでしょうか?
自作することは誰でも簡単にできます。
ところが!
自作して食べてみると昔ほど「美味しい」と感じなくなってしまっているんです。

舌が脂のたっぷり乗った味に慣れてしまった というわけです。

主にその理由から干物の通販は止めました。
自分で自信を持ってオススメできないものを売る事は出来ないからです。

昔、浜では真夏をのぞいて、ほぼ一年中干物が作られました。
夏の脂の乗ってない魚でもあっさりしていて美味しいと人が買ってくれたから作られたのです。
今はただでさえ魚離れが激しいところへ持ってきて脂が乗ってないと誰も買ってくれなくなりました。
これでは水産加工業者も商いが成立しないと逃げ出すのも無理ないかも知れませんね。

安くなければ買ってくれない
脂が乗ってなければ買ってくれない
では業者さんも確かに大変でしょう。
でも、原点を忘れてしまった業者さんも悪かったのです。

日本酒、漬物などをはじめとしたあらゆる食品加工業に言えることですが、
過大な期待を持ちすぎて規模拡大しすぎたり、手抜き、利益追求などをやりすぎた結果
自ら招いた結果でもあるんです。
日本人の為の食を自分たちがしっかりと守るという
拠って立つところを見失った結果でもあります。
その証拠に昔ながらの味をしっかり守り抜いている所は今も健在です。

それぞれの業界の中、全てが悪いわけじゃありません。
業界の中の淘汰に生き残るためにも、まず為すべきを為せ  
というだけです。
それが結果的に自らを助け、消費者も喜ぶ正しいサイクルだったはずです。


さて、今は鯵とサバが美味しい時期です。
それで干物を作っています。

こういうと「ちょっと待った!」と声が聞こえそうですね
はい、鯵は夏が旬です。
もちろん存じております。
でも今の寒中は大型で、しかも冷たい日本海に耐えるため
脂がたっぷりと乗っているんですね。

サバもそうです。
寒サバという名前はダテじゃありません。

干物の話を書くと長くなりそうですから機会を改めるとして、
ここで、干物の干物たる必需構成要素を挙げておきましょう。

新鮮な魚に、味付けをして、天日で乾燥させたもの

これに尽きます。
たったこれだけとも言えます。
この中のどれ一つでも損なう事は許されません。

こうして、寒中の鯵の開きを作ります。
雪が降るということは湿度が多い  と言う事です。
夏や太平洋側と違い、ゆっくりと塩が浸透し、緩やかに乾燥する。
つまり時間をかけた一夜干しが出来るということです。

それを焼くとどうなるでしょうか?

こうです。
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ジ・ジ・ジ  と脂が染み出てきて燃え

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鯵の開きを焼く匂いが部屋中に立ち込めます。

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(当たり前ですが鯵と鯵の開きを焼く匂いというは別物です)

ジュク ジュク ブクブクと残っている水分が出てきます

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こうなるともう食べ頃です。

熱々のご飯を盛り、食卓に運びます。
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鯵の開きを作るときに一番苦労するのは
骨の上に何ミリの肉を残して包丁を入れるのか?
と言う点です。
理想は3mmです。
乾燥して1mm。
そのあめ色を焼くとパリッと仕上がります。

それを
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こうして端からペリッ  とはがして食べます。

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これは残念ながら厚すぎました。
なかなか難しいところです。

でもココを食べたいから作ってると白状します。
ここの美味しさをミニ丼で伝えていきたいのです。
この美味しさを分かる人と分かち合いたい味わいです。

四方を海に囲まれた日本でまともな干物が手に入らなくなる
なんて本当に馬鹿げてると思う人には手作りをオススメしています。












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