この時期氷見から「ながらも」という海藻が入荷します。
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どうやら正式名は「アカモク」らしいのですが
例によってそんなことはどうでもいいですね。
其々の地域に根ざした食べ物は其々の地元ネームでなんら不都合はないからです。
キノコと同じですね。

北方四島には天然のフキが沢山採れるそうです。
そこにはロシア人や朝鮮人、そして日本人が住んでいて
それぞれ仲良く交流していたそうです。
(その頃には韓国という国はありませんでした)

まだ日本人が引き上げてくる前の話です。

国同士では色々あっても辺境の地ではお互い助け合わなくては生きていけません。

せっかく沢山あるものを食べれればいいのだが、ロシア人や朝鮮人には食べ方が分からない
どうにか調理してみてもまずくて食えたものじゃない。
ところが日本人だけが嬉々として採ってるのです。

そこで日本人に教わって皆がフキを食料とすることが出来るようになった。
と言う話です。

町に住む人には何のことか分からないでしょうね。
辺境の孤島。
周りに沢山ある野生の草(?)が食べられるようになった
しかも保存食にもなる。
それがどんなに偉大な事か!

そこではおそらくロシア人も朝鮮人もそれを「フキ」と呼んでいた事でしょう。
このような限定された地域では名前はほとんど意味を持ちません。
レシピだけが優先されます。
そこではレシピは人種に関係無く生存に貢献できたのです。

素晴らしい話だと思います。
未知の食材の食べ方を知るという事はある種の感動です。

この「ながらも」を始め、
海藻には私たちがまだよく知らないものが沢山あります。
いえ、知ってるものが少ししかない  という方が正しいですね。

この「ながらも」も知ったのはほんの数年前でした。
この時期にしか入荷しません。
海藻を摂って食べることは大昔から普通に行なわれてきましたが、
近年、海の汚染と海岸の浸食により急激に生産量が減っています。

それだけに貴重な海を大切に守らなければと
美味しい恵みを食べつつ思いを新たにしています。

キレイな海であることとキレイな岩が無ければ海藻が
育たないということがあります。
よく聞く「もずく」なんかも岩について成長します。

今の時期、岩海苔の採取もニュースに流れますがこれもキレイな岩礁地帯があればこそです。
ではキレイじゃない岩とは何でしょうか?

一番は泥による汚染です。
油汚染などは滅多に起こりません。
河川から運ばれる土砂が海底や岩礁をダメにしています。

何故、そんなことが起こるのか?
森林を含む「山」の荒廃です。
放置林、耕作放棄、竹林の暴走、過疎、ダム
などがその原因とされています。

どうにも大きすぎて一人の力では太刀打ちできそうにない無力感にさいなまれますが
まず、一人一人山や河を汚さない、ゴミを捨てないというところから
心がけるしか手はなさそうです。

北方の島のような狭いエリアではそういう事も差し迫った現実として
皆等しく受け止めざるを得ないのでしょうが、
なまじ、周りがあるものだからつい
『誰かがやってくれるだろう』とか
『お金で買えるんだから』などと真剣に受け止めないような人もいます。

残念な事に山の上にはどこまで行ってもびっくりするようなゴミが捨てられています。
よくぞこんな所まで運んできたものだと妙な感心すらします。
これが自分の家の井戸の傍なら絶対捨てないだろうに
と残念な気持ちにさせられます。

そういう人は自分が捨てた車や冷蔵庫から染み出た汚染物質が回りまわって
自分や大切な家族の口に巡り戻ってくるという簡単な事が想像できないのでしょう。

今更ながら「自然を大切にしよう!」という翁の言葉を思い出します。
自然に対する感謝の気持ちを忘れないようにしたいものですね。


さて、この「ながらも」を食べましょう。

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さっと茹でてザックリと刻みます。

それを三杯酢、酢味噌でいただきます。
やや粘り気があり、さっぱりとして、サクサクとした心地よい歯応えでどれだけでもいけます。
イカや魚貝類などと和え物にしても、サラダにしても十分使えます。
美味しい海藻です。
どんどん積極的に取り入れたいものです。
味噌汁にしてもとても美味しい粘りが出ます。

料理人としてパスタやお好み焼きなど百通りのメニュー、百通りの美味しさを
ここで語ることは簡単にできますが、
やはりラーメン屋ですから百聞は一見にしかず
ラーメンで語らせてもらいます。

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あっさり味で仕上げてみました。

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細麺にゆるく粘りがまといつき、かすかな海の香を
持ってきてくれます。

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もずくや海苔もそうですが、海藻は日本人にとって
根源に関わる食品だと思えます。
今の時期しか食べられない自然の賜り物「ながらも」
美味しいですよ!

家族みんなで海藻の話をしながらこれを食べましょう!
きっと心にも体にも染みとおる美味しさとなってくれるはずです。





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