2011.01.23 金目鯛
新しい海が始まっているという話に続けてみます。

昔、船員をしていた頃の話から始めましょう。
外国航路を長く航海していて日本に帰ってきた時に
何が一番食べたいかといって

まず、新しい刺身、それの乗った寿司です!
つくづく日本人にとって新鮮な魚と寿司というのは特別な食なのだと
思い知らされ続けた船員時代でした。

原油を運ぶタンカーでしたから寄港地はわりと辺鄙な場所が多く
なかでも鹿児島県の喜入港は母港でしたからしばしば入港しました。
日本最大の備蓄基地のある所といえば聞いた事もおありかも、
ここでは名物親父のいる寿司屋さんがありました。

入るといかにも旨そうな新鮮なネタがずらりと並んでいます。
場所柄、南方系の魚種が多いのはもちろんなのですが
なにしろ「飢えて」いるのです。
ネタの名前も上の空でビールと刺身を注文し、かぶりつきます!

ところが!
実に、誠にもって悲しいことに
鹿児島の醤油は甘いのです。

非常に甘いのです。
砂糖をたっぷり加えてさらに甘味料を入れて販売されたものを
寿司屋さんも負けじとみりんなどを加えて「お仕事」をしたの?

というくらいに甘いのですね。
非常にガッカリします。

目の前にはずらりと美味しい魚が並ぶのに
まるで拷問にあったようなものでした。
その当時はこちらも迎える方もどちらも不慣れだったんです。

最近では迎える方も県外の客だとみると甘くない醤油を勧めてくれます。
しかし、こちらは慣れてしまって地元の醤油でいただきます。
が、日本一甘いと言われる鹿児島の醤油に慣れるにはやはり時間が少々かかりました。

鹿児島ではその頃も今も変わらぬ南方系、暖流系の美味しい魚が楽しめます。

タンカーでは数少ない国内航路も経験しました。
横浜の根岸です。
根岸というとすぐに
「根岸の郷のわびずまい」などという句を連想しますが、
タンカーの寄港地としては賑やかな部類の港です。

仕事が終わったらタクシーに飛び乗って港の見える丘公園を素通りして
関内や伊勢崎町方面に向かいます。
その馬車道の小料理店で初めて食べたのが「金目鯛」です。

脂の乗ったコリッとした白身です。
驚きました。
板前さんに思わず「何という魚ですか?」と聞きました

それで金目だと判ったのですが、板前さんが
『え? なんで今更そんなことを聞くの? 知らないの?』
とでもいうような怪訝な顔をしたのを今でも覚えています。

つまり、その当時はそれだけありふれた大衆魚だったのです。
こちらでいえばフクラギぐらいでしょうか?

北陸でフクラギの刺身を出して
「これって 何ていう魚ですか?」と目を剥いて聞かれれば
『なんなんだろ?』と思うかもしれません。

それ以来私の中ではキンメと言えば「超旨い魚」とインプットされてしまいました。
人それぞれですから構いませんが、
旨い=高級魚ではないですよね。
高価でも旨くない魚なんていくらでもあります。

高価でも美味しくないキノコがあるのと同じです。
市場原理で変動する貨幣価値と味は比例するとは限らないのです。
先に書いた「ヤガラ」も富山に出始めた頃はバカ安でしたから。

キンメ
富山では長らくお目にかかれませんでした。
たまに市場の場内で水揚げされたのを見かけますがとても手の出る値段ではありません。
関東でも最近は高級魚に出世したそうですが、
富山ではずっと高値の花でした。
いえ、それどころか姿を見れるだけでもマシというくらいの貴賓席だったのです。

ところが、ここでも温暖化の影響が出てきました。
小型のキンメが大量に上がり出したのです。

これです!
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細かいウロコがびっしりと被っています。
これだけで普通はおっくうになるところでしょうね。
この旨さを知らなかったら多分私も手を出さないかも知れません。
いかにも身肉が薄そうだし   とか言ってそうです。

手の平サイズのキンメ
これが旨いんです!
こうです。
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コリッとした食感は根岸で食べたのと同じです。
脂の乗りは小型の分だけやや少なめですが
今が旬だけに素晴らしい美味しさです!

金目万歳!  と叫びたいぐらいの味です。
永年恋焦がれ続けた味です。

温暖化も悪くないかも  とこっそり思うのでした。
さて、次は何が来るのでしょうか?
もう一人の恋人「イサキ」でしょうか? それとも???

さて、最後に鯛やヒラメ、このキンメなどのお茶漬けをご紹介しましょう。
作り方は至って簡単。

すりゴマに醤油を垂らし、刺身を合えます。
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その間に熱湯で煎茶を淹れます。
刺身を熱々のご飯に乗せて、お茶をかけまわします。
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仕上げに、お好みでワサビ、ミツバ、あられ、海苔なんでも結構。
ちょこんとあしらう。
それだけで完成です。

お試しください。

間違っても永○園のお茶漬けの素なんか使わないでくださいね。
翌朝必ず、もたれます。
『あぁ最後のお茶漬けが多かったかな、胃が・・』
なんてやるのは その小袋が原因です。

お茶漬けがいけないわけじゃありません。
その証拠にこうして作る本物のお茶漬けは食べたことすら思い出せない程、胃に負担をかけません。

え?  そりゃ呑み過ぎなだけだって?

ハイ おっしゃるとおりです。






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