土佐丸の話を続けます。
強い醤油味と強いトッピング
こうして何もかも強いもの同士を合わせるとえてして
「蛇足」になりがちです。
くどい味、あざとい味、そして途中で食べ飽きてうんざりしてしまいます。

ですから縁の下に力持ちを置いておくのです。
それがネギです。
でしゃばらず、地味な奴ですが必須です。

薬味としてのネギは多方面で大活躍していますが、いつも
議論になるのが水にさらすのが正しいか否か  という点です。

さらした方がいい  と言う人は
ネギの辛味や苦味を嫌って語りますし、

さらさない方がいい と言う人は
ネギの風味を残すべき、
水っぽさの残る不味さ を語ります。

私に言わせれば何もそんなにムキになる事はない  で終りです。
辛くないネギならさらさなければ良いし、
辛苦ければさらせば良い。
ネギの風味を残しつつ、水をしっかり切れば良い。
たったそれだけです。

要は見えないところの仕事をきっちりやっておけ
というだけの話なのです。

食べる人に余計な突込みを入れられるのは仕事に穴があるからです。
何も不満や不具合を感じさせずにするりと食べさせれば
「○○は如何でしたか?」と聞いても
「え?何の事でしょうか?」となります。

腕の良い寿司職人が「今日のワサビの具合は如何でしたか?」 などと
客に聞くわけがありません。

次にこのネギの切り方について記します。
まず、良く切れる包丁でないといけません。
ネギは最も刃を消耗させる野菜です。
繊維の塊だからです。

お刺身は長い包丁を向こうから手前にすーーっと力を入れすぎないで引きますよね。
そうすることで肉の繊維を壊さないで「やさしく断ち切る」のです。
同じネタでも腕の良し悪しで味が違うのはひとえにこの点なのです。

一般には 刃物=切れる と思い込まれていて
包丁というだけで切れて当たり前と感じるようですが、
包丁はそのままでは実は「切れない」のです。

刃は動かさないと切れません。
解っているつもりでも実際にやると出来ていない場合が多いのがここです。
つい押し切りをやってしまいます。
ただ上から下に押し付けるように包丁を下ろすのです。

こうすると繊維は切れるのではなくつぶれます。
千切れると言えばお解かりでしょうか?

ネギだと中の粘液が飛び出てきます。
こうしてつぶしてしまったネギは水にさらしても美味しくなりません。
また、水を切ろうとしても「切れない」のです。
美味しくない、べたついたさらしネギになるのです。

素早くスライドさせながら切らないと「切れない」のですね。

では、スライドさせながら切ればネギは美味しくなるのか?
いいえ、次はその厚みです。
幅一ミリ位がちょうど良い厚さです。

ネギにも色々な種類があり、また季節によっても風味や味わいは変化します。
中には分厚く切った方が美味しいというのもあります。
でも、薬味として一定のスタイルを年間通して保つ必要のあるお店では
これが最適だと確信をしています。

いつも言うようにケースバイケースとかお好みで
などという逃げ口上は通りません。

こうして薄く切って水晒ししたてんこ盛りのネギ
土佐丸では最大限その効果を発揮してくれます。

ウチではネギ嫌いなお子様もいつのまにかネギを食べれるようになったという
ケースが沢山あります。

食わず嫌いではないのです。
食べ物を嫌いになるのにはそれ相応の原因があり、
その原因を作ったのが実は料理人の怠慢だった  
なんて事になったら責任重大と言うべきですね。







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