富山湾ではアオリイカが最盛期を迎えています。
かつてはこれを狙って夜釣りで徹夜をしました。
大きくなるとクロダイほどの強い引きをするので釣りとしても楽しく、
また食べても美味しいので人気です。

釣りには生きた小アジを使うウキ釣りとルアー、餌木などを使う
いわゆるエサ釣りとエサ無しの二種類があります。

ところでイカはとても獰猛な奴なんだとご存知でしょうか?
総じて気性が激しいと言われています。
よくSF海洋小説で巨大イカと巨大タコが戦うシーンが出てきますが
その激しい気性のなせるほぼ実話をデフォルメしたものなんだそうです。

アオリイカ釣りをしてみるとなんとなくその辺りがイメージできます。
普段はこの格好で泳いでいます。
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人間と違い野生は遊ぶという事をしませんから
「泳ぐ」=「エサ探し」or「繁殖行動」です。
間違っても海水浴なんかではありません。

小魚を見つけるとそーっと近づき手を伸ばして捕らえます。
素早く手繰り寄せて足全部でつかみ食べます。
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小アジをエサにすると良く解りますが
真っ先に頭をかじります。

と、ここまでは足方向に向かって泳ぎます。
推力はエンペラと呼ばれる「耳」で行います。
アオリイカの耳は大きく発達しているのでかなり力強い泳ぎが可能です。

エサ釣りもルアーもこの素早い捕食行動を逆手にとった釣りです。

このエサを手繰り寄せる動きではっきりとしたアタリがとれます。
ここで竿をぐいっと大きくあわせます。
するとイカは必死で逃げようと胴体から水をジエット噴射して抵抗します。

つまり私たちがイメージしている『イカは水を噴射して泳ぐ』というのは
緊急事態のときだけなのです。
このときにイカ墨も吐きます。
が、アオリイカは墨袋が大きいので釣り上げてからも墨を吐き出します。

釣り上げた時に掌に噛み付くのもいます。
凶暴な奴です。

私はボートで釣り上げた瞬間顔に吹きかけられたことがありますが、
この時期に堤防に行くと墨の跡が点々と残っていて笑えます。
歴戦の痕跡というわけです。
釣れているかそうでないかすぐに判明するのです。

この触手のところに滑り止めのようなザラザラがあり、一説にはここから痺れ毒を出すなどと言われていて
普通はここは切り落として、食べません。
もちろん食べても問題はないのですがザラザラの食感もよくないからです。

中央市場で仕入れていた頃はいくら最盛期になって底値といえども
タカが知れていたのですが浜に近い魚屋さんで買うと、
驚くほど安価になる時があります。
流通経路の面妖なところですね。

こんな時に作るのが
かき揚天丼です。
いくら切り目を細工したところで衣がはがれてしまっては興ざめなのと
食べやすさを考えるとやはり一枚モノではなくかき揚です。

刺身状態にします。
贅沢な感じもしますが、刺身になるようなモノしかないので
しょうがないですね。

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油ハネしないようにここで粉をまぶしておきます。
タマネギをスライスして加えて衣をつけて揚げます。

やや高めの温度で色がつくぐらいの強めに揚げます。
天丼とか天ぷら蕎麦などは一品料理のものとは違い汁気を通すので
この位の揚げ加減が適しているのです。
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湯せんで温めたタレに浸してご飯に乗せます。
ついでに言うと

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こんなフグの天丼や

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こんなカマスの天丼などの時とはタレの濃さを微妙に変えます。
かき揚は瞬時にタレを吸い込みますのでその分少々薄めに整えるのです。

ご飯にあらかじめかけるタレも控えめにしなければいけません。

また、
各種天ぷらをいくつか乗せる
という場合にはタレが共通ですから
かき揚衣の堅さで調節します。
いくぶん染み込みづらい かな? と言う位がベストです。

天ぷらも奥が深いですが
天丼も違うベクトルで奥の深い食べ物です。
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でもプロとしてお出しする以上は
どんなに考慮しようと
どれだけ手間隙をかけようと
またどれだけ手抜きしようが
美味しくて当たり前なのは言うまでもありません。
結果が全てです。

お陰様でこの日も好評でした。
言葉では何も言われませんし、こちらもお聞きしません。
野暮は嫌いですから。

お帰りになる時の顔で勝手に判断させていただいています。
今のアオリイカ 美味しいですよ!

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