2010.10.14 熊出没注意!
秋にはキノコ採りが定番です。
今年は豊作らしいという噂を聞きますが、行けそうにありません。
熊の出没が例年になくとても多いからです。

こんな事は初めてではありません。
数年ごとに繰り返しています。
数年前にもありました。
その年も山の木の実が不作でしたが今年はそれ以上だと言います。

現に近くの公園に行っても普通ならジャマな程に落ちているドングリがほとんどありません。
トチの実はゼロです。
数年前には
「あんな苦いトチの実まで熊が食べているよ!?」と
山の方々を驚き呆れさせたのですが、今年はゼロどころか梢の方は枯れこんでいる有様です。

秋の木の実として都市在住者にも馴染み深いギンナンも異常に少ないですね。
きっと今年は高値でしょう。
ギンナンの木=イチョウは雌雄異株で
本来その枝振りはラジオ体操の両手を高く挙げたようになります。
ところが雌株には沢山の実がつくので重さで徐々に枝が下がり両手を斜め上に挙げたような枝振りになる
といわれています。
つまりギンナンの成る木は枝振りを見ただけで遠目でも判別できるのです。
一本の枝に毎年数キロ~十数キロの実がたわわに成ればそういう事になるんでしょうが、
今年は見当たりません。
数百分の一くらいの印象です。
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10/8現在で富山県での熊目撃情報は80余件。
昨日も今日も続々と増え続けています。

熊にとっては秋に欠かせないエサの致命的な不作。
夏の猛暑の影響ですが、それ以前に
やれ道路を整備しすぎたから  とか
雑木を切りすぎた  
里山整備を怠った   等など諸説ありますが、
ほとんど全てが”人間のせい”なのは間違いなさそうです。

ところがAさんという山の大好きな方が興味深い話を聞かせてくれました。

世間では山にエサがなくなると熊が里の柿の実を狙ってやってくるから
早く柿を収穫しなさい、とか切ってしまえと言うがあれは間違いなんだ
と言うのです。

「え? 正解じゃないんですか?」と聞き返しました。
すると数年前の出来事を例に引いて話してくれました。

仲間と車で山道を走っていると畑で野良仕事をしているお婆さんがいたそうです。
ナント!そのすぐ傍の柿の木に熊が登って柿を盛んに食べていたのです!
『こりゃ大変だ!』『おばあちゃん逃げなさい!』
と車の中から必死で大声を出さないで身振り手振りでアピールしたそうです。
『お願いだから気づいて!』『あなたの後ろに!!ほら!!』と

そのうちに熊は食べ終わってスタコラ森に帰ります。

一同ホッと安堵し、ようやく車から降りおばあちゃんに近寄ると
おばあちゃん少しも動じる気配もなくケロリとこう言ったそうです。
「あぁアレはいつもの事だから心配いらんよ」
「柿を食うのは冬眠準備の為だから今年もそろそろ籠るんじゃろ」
全員で山の人の知恵に感嘆して帰宅したそうです。

Aさんの話です。
今では山に天然の柿の木がほとんどなくなり
柿というと私たちは人間が植えたもの と思い込んでいます。
ところが熊にしてみればこの時期は柿を食べて冬眠に備えるという
遺伝子の命令に沿って行動しているだけなのです。

ではなぜ柿を食べることと冬眠が関係あるのか というと
冬眠中は排泄をしないため止め栓をする為なのだそうです。
人間にも思い当たる人もいらっしゃるでしょう。
そうです
熊は「便秘」状態を意図的にしつらえるのです。
柿渋がその役割を果たすのです。

そうして冬篭りから明けると
ザゼンソウという山菜や樹皮などを食べて下剤効果をもたらし、いっきに排泄するそうです。
古くから熊撃ち猟師はこれを「栓を外す」と呼び猟期の目安にしたそうです。
すなわち、冬眠中に胆のうが肥大していて
最も大きな「熊の胆(イ)」を得る事ができるからです。
熊撃ち猟師さんにはこれがもっとも高額な現金収入となっていたのだとか。

里に熊が出没して猟友会の方々がこれを射殺すると
主に都市在住の人達が「可愛そうだ」という優しい気持ちから
「殺さないで」という声が上がります。
年々生息固体数が減少し続けている と言う声も上がります。

ところが、現在富山では本業としての熊撃ち猟師がいなくなってしまって実際は熊が増えている
という説もあるのです。
ニホンカモシカが天然記念物に指定されて狩猟できなくなって増えている という説もあります。
温暖化の影響でイノシシの流入と繁殖が問題になってきています。

そろそろ山の事は山の人達の知恵にゆだねたらどうか とAさんは語るのです。

なるほど、
柿の実を早めに収穫すると熊はもう一歩里に近づくしかないのです。
そんなことならいっそ山中に柿の木を移植してやればどうかとも思います。

「街の人達」のする事全てが間違っていると言う訳じゃありませんが
山の方々が眉をひそめる事のひとつに「奥山放獣」があります。

これは里近くに仕掛けた檻に入った熊を殺さないで奥山に放す事です。
一見優しい措置のように思えますね。
ところが現実にはまた出没するそうなんです。

何故か?

山には熊のテリトリーがあります。
其々の熊の縄張りがあるのです。
良い餌場は強い熊が確保していて弱い順番に裾野の方に追いやられているのです。
最も弱いのが子連れの母熊です。
だから里に出没するのは子連れが一番多いのです。
ちょっと山の条件が悪化するとたちまちエサに不自由するようなテリトリーしか持ってないからです。
その下というとそこは里です。

ところが子連れの熊は最も危険です。
何故でしょうか?

オス熊が小熊を殺そうと常に狙っているからです。

オス熊が子孫を残そうとメス熊に近づこうとしても
小熊を連れているメスは受け入れません。

そこでオスはまず、小熊を殺すのだそうです。
そして、小熊が居なくなるとメスは受け入れてくれるそうです。
悲しい仕組みになっているものだとは思いますが、
だから子連れの熊は凶暴なんだと解りますね。
常に臨戦態勢なのですから。
のんきな人間なんかが通り道に遭遇したらひとたまりもありません。

野生動物は常にエサの確保に追われています。
藪から藪へと伝って必死に里へ近づくのも本当は嫌なのです。
ですからそのストレスでいきおい凶暴にならざるを得ません。
ただでさえ空腹で苛立っているというのに、
その点と点を駆け抜ける時に人間と接触したら、
反射的に掌で払う(ボクシングのフック)攻撃を仕掛けるそうです。
過去には痛ましい事故も沢山起きています。

しかし、人間にとってそんなに危険でも熊同士では弱いランクにいるものを
つまり幕下力士のようなのを横綱クラスが居座っている所へ放すとどうなるでしょうか?
良くて追いやられてまた舞い戻るか、
悪ければ殺されてしまうのです。

熊は雑食性だといいます。
前回の熊騒動の時に岐阜県で聞いた話ですが
そうして奥山放獣した熊が殺され、しかもその後その遺骸を食べていたそうです。
檻に入った熊を殺処分するのも止むを得ない処置なのではないかと思う所以です。
実際に檻中の熊を処分する人には辛い役回りです。
皆でその心労を察してあげましょう。

子連れでないメス熊にはさらに深刻な事情があるそうです。
熊には「着床遅延」という特殊な繁殖生理があり、出産できるか否かは
秋の堅果類の摂取量に左右される  というのです。

熊は6月ごろに交尾をしますが、受精卵は発育を休止したままで子宮内膜に
着床しないのだそうです。
秋の食餌が順調で炭水化物を充分摂れて、
11月頃の栄養状態が良いと実際に着床して本当の意味での妊娠となるといいます。
その為、妊娠あるいは出産の可能性のあるメス熊はより以上に広い範囲をエサを求めて活動するのです。
これも遺伝子と空腹にせっつかれて気が立っていそうです。

反対に不十分な体だと流産してしまうか
体に吸収される という事です。

命を残す、伝える とは過酷なものですね。


話はそれますが、
月の輪熊は春のススタケ(ネマガリタケ)が大好物です。
沢山生えるど真ん中にデンと座ってあの巨大なクマデのような爪で
タケノコを一本一本器用に皮をむいて食べます。
ですから
熊がタケノコを食べた後には皮が山のように残っているそうです。

とここまではよく聞く話ですね。

でもちょっと考えてみてください。
あの愛らしいパンダは笹を食べるんです。
堅い笹竹をバリバリ食べるパンダってものすごいと思いませんか?

いっぽう
いちいちタケノコ(ススタケ)の皮をむかなきゃ食べられない
月の輪熊って熊族のなかでは、なんて”ひ弱”な奴なんだろうって思えませんか?

凶暴なイメージを持ちがちですが、いえ、もちろん人間にとっては危険な存在には
違いありませんが案外弱い側面を持っているのも確かなんですね。
生存という点でみれば
近年急速に増えているイノシシに劣るのではと思います。
食性、繁殖全ての面において。

私は出来る事なら山で熊に出会いたくはありませんが、
山の方々は昔から熊を山の親父と呼び
恐れと敬いをもって時には狩り、時には崇めて共存してきました。
そんな良い関係を保てないないものかと密かに心を痛めています。

しかし、果樹園を経営する方々の苦労は察するに余りあります。
シカや猿にやられ、熊の出没です。
熊は実も食べますがもっと深刻なのは枝を折る事です。
翌年の収穫も失ってしまうからです。

ついに今年は果樹園従事者の方まで襲われてしまいました。
被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げますとともに
近隣の皆様のご心痛や不安はいかばかりかとお察し致します。

根本的な熊対策が無いものか
またなにか私達にも出来る事がないのだろうかと思っています。
どなたかご教示くださる方がいらっしゃらないものでしょうか?

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