富山県のやや東部に位置する大きな河沿いをどんどん遡ると有名な登山口に至ります。
その中ほどに左に折れる細い道を行くと小さな限界集落があり、私は毎年そこの沿道で山椒の実を採取します。
去年のことです。

いつものように山椒の実を採った帰路、ふと思い立ってもう一本の横道のKダムの方に足を伸ばしました。

薄暗くて狭いトンネルに入るとゆるやかな下りです。
真ん中へんから上りになっている変わったトンネルでした。
その真ん中が車両行き違い用に路幅が広くしつらえられています。

そこを通過するときにふと右側に目をやった瞬間、なぜか背筋がぞくっとしたのです。
何も無いのになぜそうなったのかその時は解りませんでした。
ただ『気味の悪いトンネルだな、薄暗いからかな』ぐらいにしか思いませんんでした。

釣りの時と同じです。
新しいポイントを探す事で ”夢中” になっていたからです。

トンネルを抜けるといきなり道は右に直角に折れ曲がっています。
何も知らずに飛ばしてくるとダム湖にまっさかさまに転落しそうな位の急カーブです。
そしてそのダム湖の水の黒い事!暗い事!
ただでさえダム湖というのは澱んでいるのにここのは見たことがないほどです。

そこから山上に向かって走らせながら山椒の実を採ったんですが
なんだか楽しくないのです。
妙にひっそりしている  というよりも
山が息をひそめている  と言う感じなんです。

ひと気も無い山だからというのとは違います。
山というのは明るいと「山笑う」と言われるくらいですからなんにもしなくてもこちらまで
ウキウキと楽しくなってくるものです。

逆に杉林のような年中濃い緑がうっそうと被っている暗い処は妙に寂しいものです。

ここのはそんな意味ではありません。
陽光も降り注いでいるし、熊除けの爆竹を鳴らすと華々しく谷に響き渡ります。
木々も程好く明るいのです。
しかし、なんだか寂しいのです。
気に入りません。

それで早々に帰路につきました。

その日はそれで終わりました。
ただ帰宅して家内に
「今日はなんだか不思議な気配を感じる場所に行ってきた」というと
即座に「もうそんな所に行くのは止めなさい」と
きっぱり言い切るのにかえって驚いたほどです。

私がその場所で実際に体験したのはそれだけです。
怖いのはその後からでした。

こんな話題が苦手な方はここからはお読みにならないでくださいね。


お客様でその地区(と言っても広いのですが)のあたりの方が来店されました。

そこでついその時の話をしたら、
表情が曇るのです。
「あぁ あそこね」
しばし、口ごもるようなそぶりをした後、
「あそこはあまり行かない方がいいみたいよ」 と言うのです。

何気に話したこちらが驚きました。

聞けば○○○事件の被害者の話やその他のいくつかの事件や事故にまつわる話があると言うのです。

恐ろしい話なのですがその周辺には今も住民がいますから
あまり詳しくは書けません。
ご理解ください。

それだけでも充分肝を冷やす話しだったのですが、彼はさらに
「つい最近も妙な事故があったばかりだ」と言うのです。

現場の見取り図を載せましょう。
st 005
やや高齢の女性が独りで山菜採りに行き、帰りにこのトンネルの中で
運転していた軽四を壁に衝突させ、
どうしたことか自身は
山方向に戻り、ダム湖に転落、水死する  という事故があった

というのです。

この事故の異様さが解りますか? とでもいうように
彼がこちらをそっと窺い見ました。

解るなんてもんじゃありません!
背筋がぞぞぞっ としました。

ありえない事故だからです。

こうして書いていても鳥肌が立ちます。
ディスプレイから妖気が漂うような気がします。

はじめから振り返りましょう。
トンネルの構内は細い、薄暗いとはいえ一本道です。

なぜそんな中でハンドルを切る事があるのでしょうか?

なぜ里へ向かわずにわざわざ山の方に戻ったのでしょうか?

通ってきたはずの(解ってるはずの)道をなぜダム湖になんか転落したのでしょうか?

ここで当然起こる筈の自殺説はあらかじめきっぱり否定しておきます。
収穫を終えた帰路の自殺など有り得ません。
本来そこには「楽しさ」しか存在しないからです。

ここからは現場の怪しい気配を知っている私が勝手に推測したものです。
なぜ、ハンドルを切ったか?
車を運転する人なら誰でも解るはずです。

何かにぶつかりそうになったからです。
もしくは何かと遭遇したからです。
(飛び出して来たか?)

で、なければ狭いトンネルの中で壁にぶつかるほどの急ハンドルなど切るはずがありません。

ではなぜ、山の方へと向かったのか?
怖いものでも見たのでしょうか?

そして、なぜ転落などしたのでしょうか?
恐らく後ろを振り返りつつか
あるいは恐怖で目をつむって走ったのではないでしょうか?

そして、車はどちらの壁に衝突したのでしょうか?
図をご覧ください。
su.jpg

運転席は右ドアです。
降りてから山の方へと向かったということから推測するとどうも右図のケースではないかと考えられます。

とすると

私が通った時に悪寒を感じた上図のA点が起点のような気がします。
そこで何かに遭遇して急ハンドルを切り、B点で衝突。
何かに追われるようにしてC点から転落。

推測はここで終りです。
あくまでも私個人の勝手な推測だということを
重ねてお断りして、
安らかにお眠りくださいとご冥福をお祈りいたします。


富山県には海岸も山も広大な面積がありますからこんな怖い思いをするポイントなんて
ほんの一部の限られた場所です。
でも、言うまでも無くこれはここ富山県にしか起こり得ないというわけじゃありません。
全国のいたるところにひっそりとたたずんでいるはずです。

ですからそんな場所には ”行かない方がいい” のです。
でもたいていうっかり知らずに踏み込んでしまうはずです。

そこで初めての場所でも、そんな場所を察知する方法をお教えしておきましょう。
1、目先の楽しみだけに没頭しすぎないで周囲の雰囲気を感じ取れるように
  アンテナを張っておきましょう。
  (五感を張りつめる心を忘れない)
2、少しでも妙な事、気配がしたら早急に立ち去る。
  (長居は無用!)
3、地元人の忠告には素直に耳を貸す。
4、じめじめとした薄暗い場所は避ける。

以上です。

特に 3 の地元の人の言葉です。
よほど近い人でなければ言いにくい事などでは
やんわりとした警告しか人は発せられ無いのです。

誰が見ず知らずの人に
「あそこは霊がいるよ」などと言えるでしょうか? 
また山菜が採れるらしい と聞いてきた人や
魚が沢山釣れるらしい  と聞いてきた人などには
『嫌がらせで言ってるんじゃないか?』などと
勘ぐられかねません。

忠告しておきましょう。
やんわりとした警告こそが一番やばいのです。

海や山には、特に人気のない裏ポイントのようなところには
”行かない方がいい” という場所があるのです。 
好事魔が多しといいます
楽しい事のすぐそばにぽっかりと口を開けている落とし穴にはまらないようにご用心を!

















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