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「ラーメンが嫌い」と言う方は意外に多くいらっしゃるものです。
もしかすると
「うどん嫌い」や「蕎麦嫌い」よりも多いかも知れません

アレルギーなどの不可抗力的なものを抜きにしてどんな理由からと
考えてみました。
ラーメン嫌いは来店されないので想像するしかありません。

化学調味料の入れすぎによるあざとい味と後口の悪さ。
脂過多。
動物系スープの匂い。
単に肉食が嫌い。

塩”分”過剰。
麺の食感が嫌い。
麺がかん水臭い。

こういったところでしょうか?

その他に「麺が総じて好きじゃない」と言う方もいらっしゃいます。

私は料理人としてこの「食の好き嫌い」と言う点に深く興味を持っていて
「○○が嫌い」などとうっかり私の前で言おうものなら
「何故?」「どうして?」「どんな点が?」
「他に類似する嫌いな食品は?」「いつ頃から?」などと
質問攻めにするという悪癖を持っています。

聞かれる人も案外嫌がらずにスラスラと答えてくれます。
普段から
「わがままなヤツ」とか「ぜいたく」、「やかましい奴」
などといった迫害を受けているせいでしょうか。
嬉々として語ってくれる人までいます。

そうした事を永年繰り返してきたおかげで少しづつ法則めいたものを掴みつつあります。
いつかまとめて書いてみようと思いますが、
ひとつだけ言えるのは
嫌いになるにはそれなりのワケがあるからという事です。

麺の話に戻しましょう。

麺好きからすると考えられないことですが、
まず、麺の何が嫌いかといってあのずるずるとすする事が大嫌い!
と聞いた事があります。
するとこちらはすかさず悪癖起動してしまい
「じゃヤキソバはどうなの?」とか「パスタは?」
などと聞き出すのです。

この時は
「すすらないで食べるピザなどはなんとか食べるけど小麦粉料理自体が、それほど好きじゃない」
という答えを聞けました。

先ほどの法則の事ではありませんが、
実はラーメン嫌いや麺嫌いの方々が自身でもそれとは気づいていない点があります。
先に挙げたラーメンの弱点もあるでしょう、
すするのが嫌い という方もおいででしょう、

でも、もっと根本的な嫌味要素があるんです。
ひとくちに言って「小麦粉の臭い」つまり「麦粉臭さ」です。
これは麺好きでも嫌いな匂いなんです。
これが原因で小麦粉嫌いになっているケースが案外多いのですが
当人にはあまり自覚は無いようです。

色々なケースで聞き出した結果を羅列しましょう。
・戦後の食糧難の時に食べさせられたスイトンの小麦粉団子が
 生煮えで不味かった味と匂いがいつまでも忘れられない
・大判焼き(今川焼き、回転焼き)の中が半生のものを
 食べた時の不味い匂いと味を連想する
・回転焼きの皮が不味かった
・そうめんの味噌汁がふやけた時の不味さと匂いが原因
などなど 匂いに繋がる悪い記憶が多いようです。

口では言うのですが麦粉臭さが何故小麦粉嫌いにつながるのかが解らないのですね。
これはよくあるケースなんです。

スイカが嫌いで見ただけで逃げ出した方がおられました。
この人は徹底していました。
フルコースの最後、宴もたけなわという時に季節外れのスイカを
出した時の事でした。
皆が「ワォ!」と喜んだ瞬間 ただ独り「ギャッ」と脱兎のごとく逃げ出したのです。

心配するほかの酔いどれには目もくれずあれこれ聞き出したのは言うまでもありません。
こんな面白い素材を見逃すはずがない私です。
傍目には優しく介抱する人に見えたでしょうが、残念ながらそれは的外れというものです。

原因は匂いでした。
したがって、同類のメロンは言うに及ばず胡瓜もダメなんだそうです。
共通項は「青臭い匂い」
子供の頃の不愉快な記憶がそうさせるのです。
この方はそれをはっきりと自覚されてました。

嫌いの素は匂い  ということは多々あるのです。

麺の話に戻ります。

麦粉臭さ=毒です。
蕎麦は生煮えで食べても大丈夫ですが、小麦粉は腹を壊します。
ですから小麦粉には葛湯や蕎麦掻きのような簡単調理はありません。
焼くか茹でるか、しっかりと熱を通すものしかありません。
でも運悪く火の通りが悪いものを食べさせられて不具合を起してしまうと
小麦粉全般が苦手になるケースもあるんです。

それは麺ばかりじゃありません。
かき揚などでも中心部の火の入りが悪いと起こります。
グラタンやホワイトソースでも起こります。
加熱不足の小麦粉料理が「麦粉臭く」感じるのは体が毒を感知したというアラームなのです。
それだけ感度が鋭い人の証明なのですね。

うどんやパンでは加熱時間が比較的長いので起こりづらいのですが
ラーメンではよく起こります。
危険なのが
湯の量に対して大量の麺を入れてしまった時です。
たっぷりの湯で泳がせなくてはならないのに
麺の対流が不完全だとダメなヌメリが発生して麦粉臭さの原因になります。
これも加熱不足の結果です。

沸騰した茹で湯が吹きこぼれそうになって差し水を入れすぎたときにも
当然起こります。
加熱不足が原因です。

濁った湯で茹でても起こります。

しかし、未熟な人はそれを解りません。
なぜなら一定時間経過した茹で麺というのは手で触った感触がほぼ同じだからです。
沸騰しない湯で3分茹で続けた麺と
沸騰している湯で3分茹でた麺が比較的似ているのです。
もちろん慣れていればまるで違うと解ります。

端を口に入れてみれば全然違うと誰でも解ります。
この時の味が「麦粉臭い」味なんです。
腹に来る味です。
これを食べさせられれば二度とこんな物を食べたくないとなります。
にちゃり とした歯に粘る食感 これを歯ぬかりといいます。
歯ぬかりする、麦粉臭い味。
こんな物を出していては麺嫌いを増産しているようなものです。
非常に困ります。

とはいえ
この頃では麺の茹で加減を指先の感触で見れない職人が多いそうで、
あまつさえ、最近ではタイムセットした時間がきたら自動で麺上げをする機械まで現れました。
私自身がラーメン屋ということを置いても、
麺好きにとっては先行きの暗い話です。

いつぞやはうどん屋さんでも体験したことがあります。
つい今しがたうどんでは起こりにくいと書いたばかりですが、
加水時(水回し)の攪拌が不十分だとそんな事もたまにはあるようです。
全般的に硬めに茹で上げられたうどんの中に明らかに硬い芯の残ったものが混ざっていて、
これは麦粉臭い味がしたものです。

蕎麦でもまれに麦粉臭いのに出会う事があります。
が、これはお時間をいただく約束ですからもう少し後で書かせていただきましょう。

麦粉臭さはかように調理の不手際でも起こりますが、
もっとも危険なのが保管方法の不適によるものです。

温度や湿度管理。
長期間の保存などです。
あまり流行ってなさそうなお店でうっかり地粉などを買うと
匂いが嫌なものに出くわしたりします。

また麺に加工するまでが大丈夫でも暑い場所に放置したりすると麦粉臭くなってしまう事もあります。
それらは明らかな劣化です。

そんな全てが管理不行き届きという一言でまとめられます。
どんなにそれ以降正しく茹でても取り返しはつきません。

小麦粉から麺に加工、それから茹で上げるまで生鮮食品を扱う心構えが必要なのです。

あまり長く書くと差しさわりが出そうですから今回はここまでにしておきましょう。
でもこの話はもう少し掘り下げて行かなければいけません。

寿司屋さんがネタの魚を暖かい室温に出しっぱなしにするでしょうか?

実は大事な本質を含む話です。












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