2010.06.17 麺の話
小麦粉を水で練ると例えそれがどんな形態であれ全て「麺」となります。
イタリア語では「パスタ」です。

私達日本人に馴染みのある「うどん粉」とは
中力粉です。
塩水を加えて練り、細く切るとうどんになります。
これが多加水麺の代表です。

TVなどでよく見る
手打ちそばなども(小麦粉ではありませんが)
やや多加水麺の手法といえます。

いっぽうラーメンでは強力粉を使います。
低加水麺だと手でまとまりません。
ぱらぱらとばらけてしまいます。
ですから練りようがありません。
加水が少ないとはそういう事なんです。

そこで機械のローラーで強力に圧着して麺体にします。


ご承知のようにそば粉にはその粉の栄養成分の違いから
一番粉 二番粉 三番粉 と分類されます
これはソバの部位や製粉、配合などの違いからうまれます。
そば粉と小麦粉の違い

これと比べ小麦粉では市販品では既に混合されたものしか無く、
灰分(かいぶん、ミネラル)の含有量を示した表を頼りに配合粉を選ぶのです。

麺類販売店は製麺所から仕入れます
製麺所は問屋から
問屋は製粉所から仕入れます

製粉所とは
粉のプロ中のプロです。
粉の配合から販売まで行うホンモノのプロは
出荷段階での保水率をコンマ数パーセントにまでコントロールし、
管理して最善の状態で製麺にまで届くように気配りをします。
ですから当店でも粉を大型冷蔵庫で保管して保水率が狂わないように管理しています。

加水が0.1%違うだけでもがらりと変わる世界だからこその管理です。

そのプロたちが小麦粉の食味でもっとも重視するのは
「つるみ感」です。
つるつるとした食感のことです。

灰分が多くなればつるみ感は失われていきます。
その最たるのが「全粒粉」ですが、
その代わり灰分にはミネラルなどの栄養素と風味や香りといったものが含まれます。

その分類をそば粉とは違い小麦粉では
一等粉、二等粉などと呼びます。

一等粉はつるみ感が豊富で色も白く
二等粉以下は灰分の増加に伴ってつるみ感が失われるのと引きかえに風味感が増します。

風味感とあえて書きましょう。
風味とは何でしょうか?

小麦の香り?

それは確かにあるのでしょうか?
良い香り?
小麦臭い匂い?

粉を扱う業界では香りの話題はあまり出ません。
「麦粉くさい」という話題の方がむしろ多く出ます。

そうです
風味感というのは食べた時に口腔内から鼻腔に抜ける微かな穀物香のことです。
それはプンプン匂うというものではありません。
どちらかと言えば存在しないと言ってもいいほどの香りです。
ですから「なんとなく幸福感を伴って感じる」という程度のものなのです。
それは蕎麦でも同じです。

卓上に供されたときにそれがザル蕎麦であれ、掛けそばであれ
ラーメンであれ、うどんであっても
麺を持ち上げて鼻を近づけてクンクンと嗅いでも滅多に感じないはずです。

蕎麦で言うと
かつて手打ち蕎麦店主に伺った所、
「匂いなんかありませんよ」ときっぱりと言われました。
「蕎麦がきなら香りは立っているでしょうね」
「ザルもね、水回しの時には多少香りは立ちますよ」
 でもね 考えても見てくださいと続けます
練ってから切り、それを茹で上げてからじゃぶじゃぶと水洗いする時に香りなんか飛んじゃいますよ

無理もありませんね
やはり食べる時の微かな香りは蕎麦の内部から零れ落ち
口腔内を経由して鼻に抜ける
美味しい蕎麦を食べているという至福感に付随した風味感だったのです。

では小麦粉の場合はどうでしょうか。
次回に実験画像を張りながら解説をしますが蕎麦よりもっと微少な香りと言っておきましょう。
むしろ「麦粉臭さ」の場合が多いのが現状です。
粉や麺の保存状態が悪かったり、
茹で方が足りなかったりするとそうなります。

生っぽいような、粉っぽいような、明確な穀物臭です。
ホワイトソースの不十分な加熱調理のもので感じる事もあります。
そうめんや冷麦の茹でたりない、洗い足りないときにも感じる事もあるはずです。

蕎麦は生茹ででも食べれます。
ところが小麦粉は生茹でだとお腹をこわします。
だから「麦粉臭い」というのは一種の危険信号を発しているんだと捉える事ができます。

さて、私の本業に入りましょう。
ラーメンではどうでしょうか?

ラーメンの匂い、香り そんなものをひとくくりにして書いてみましょう

なんだかまたまた危険水域に入りそうな予感に満ちつつ
次回に続きます。

最後に今は亡き達人の薀蓄に富んだ名言を添えておきます。

「美味しい物ってのは良い匂いしかあってはならないんだ」
「良くない匂いがあるって事は、それは本当に美味しいものじゃないってことなんだ」

しかと肝に銘じて日々を努めております。
合掌



 
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