2010.02.25 カエシで麺を
カエシ
本格蕎麦店が使う合わせ調味料です。
みりんと醤油  店によってはそれに砂糖を加えたものを指します。

その店独自の秘伝秘技があり、長い時間寝かせてまろやかな旨味に
熟成させ、ダシと合わせていつも同じ味に仕上げます。
同じ味というのが重要でして、習ったとおりに同じ事を繰り返す 
 と言う事ではなく
同じ味に仕似せる  仕事が重要なのだそうです。
これが老舗の語源なんだとか。



そんな難しいことは老舗でもない私たちには不要です。
みりんを煮立たせて、醤油を同量合わせるだけで簡単に作れます。
大いに活用したい、日常的に利用したい知恵なのです。


ポイントは二つ。
みりんを沸かしてアルコールを飛ばし、煮きりみりんにすること。
(でも全く飛ばさないやり方もあるんですよ)
醤油を混ぜたら絶対煮立たせない! 沸く前に消火する事!
この2点。

このカエシをダシで割る事で簡単に美味しいツユ、タレ、汁が作れます。
例えば
  カエシ 1:カツオダシ 1.5~2
で万能冷麺ツユが出来るといった具合にです。

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蕎麦、うどん、そうめん、冷麦、中華麺などなんでもこれだけで楽しめます。
ただし、長期保存はききません。
ダシがダメになるからです。
ダシは新しく取り、長期間保存しておいたカエシに合わせる。
これが正しい使い方です。
あまったら玉子焼きでも煮物にでもじゃんじゃん使いまわせます。
あっというまに味が決まりますからその実力が判ります。

さて、今回は蕎麦をこれで作りました。
カエシ1:ダシ5~8  です。

なぜ 5~8 と幅があるかと言いますと
一概には決め付けられないからです。

麺類の塩加減は気温、湿度、などで微妙に変わりますが何と言っても量が決め手です。
私達ラーメン店ではタレを小さなレードルで一杯丼に入れて
スープを加えて味を決定します。
これがカエシとダシの関係と同じなのです。

色を透かして見ていつもと同じかどうか? とか
あと、いくつかの要点を見て一杯ずつ決定していくのですが、
大盛り(ウチにはありませんが)に1.5玉の麺を入れるのなら
タレも1.5杯必要になります。

それが不可能ならば大振りの器を別に用意して多目のスープが入るようにしなければいけません。
つまり、麺の量に応じた濃度もしくは量が必要になる。
というわけです。

ですから汁蕎麦にする場合カエシとダシの割合というのは一概に言えないのです。

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これはワンタン蕎麦を作ったときの画像です。
蕎麦にはこういうツルッとしたワンタンは非常に相性がいいのですが
今回は具に変化をつけてひき肉の他に刻み納豆を入れました。
納豆ワンタン蕎麦 というわけです。

そんな事はどうでもいいんでした。
注目はこの色です。

この色を見て関西人は
「あぁ、東京の蕎麦は真っ黒でまずそうや」
「しょっぱくて食えたもんやない」
と言う

と私たちは本やTVなどでよく聞かされます。
本当なんでしょうか?
実は私は密かにそれは ウソではないかと疑っています。
いかにもありそうなステレオタイプの作り話だろうと睨んでいるのです。

もし、本当にそんな事を言う関西人がいたとしたら
それは単なる味覚オンチかよほど不出来なお店に入ったんだとしか思えません。
確かに見慣れないものには違和感を感じるでしょう。
でも食べてみれば塩分量の違いはさほどでもない事に気づくはず だからです。

ウチのラーメンは真っ黒です。
当初は関西ナンバーのお客様がいらっしゃると内心
『しょっぱくて食えん』とか
『なんや酷い色やな』 などと言われやしないかとちょっぴり不安でした。
それもこれも『関西人は薄味を好む』という先入観念があったからです。
全くそんな事はありませんでした。

京都などでは富山以上に濃厚なラーメンが好まれるという話も聞きます。

それに、関西人の大好きな魚のスキヤキである「魚すき」などは割り下で作った方が
断然美味しいのです。
当然それはカエシ仕立ての蕎麦とほぼ同じような色になります。

私は薄口醤油で浅い色に仕立てたうどんの方に却って塩を感じることもあります。

もうひとつ言えば
ウナギの蒲焼のタレ これも真っ黒です。

どうも「関西人がこう言った」というのは他の理由による詐話のような気がしてなりませんね。


ところで、この「塩分」という言葉
いつも何度も書きますが判っているようで案外知らない方も多いでしょうから
また書きましょう。

塩の多いものを食べると喉が渇き、水を飲みます。
塩=NaCl でしたっけ
この、水を欲しくなるというのがナトリウムの仕業ですね。

ですから丸元淑生先生の本では明確にナトリウムの総摂取量を控えよ! と書かれています。
「塩分」などとまどろっこしい書き方は学究肌には馴染まないのでしょうね。

化学調味料は抽出時にナトリウムと結合させる必要があるため(単体では不安定なため)
グルタミン酸ナトリウムとなっています。
これを業界では見て見ぬふりをして
「昆布のグルタミン酸と同じですよ」と大声で叫びますが
グルタミン酸とグルタミン酸ナトリウムは似て非なる物質なんです。


化学調味料の1/3がナトリウム値となるそうです。
ですから
小さじ一杯が塩の適量なラーメンがここにある  とします。
スープをきちんと仕込んでいればそれだけで充分美味しくなります。
旨味の中にはコラーゲンをはじめとする各種栄養素が含まれています。
これは食後さほどには喉の渇きは覚えません。
口の中も粘つきません。

ところがスープを手抜きで仕上げたラーメンは旨味が足りませんから化学調味料を入れます。
小さじ一杯の塩+大さじ一杯の化学調味料
(これが今まで現実に目撃した最大量です)
大さじ1=小さじ3  ですから
ナトリウム値換算で実に二杯の塩が入っている事になります。

塩ならしょっぱくて食えません。
でも化学調味料なら「旨い!」と行列しているのが現実なのです。
しかし、後から喉が渇きます。
そして自覚はしていないでしょうが腹がもたれます。
そして、口の中がいつまでも粘つきます。

このグルタミン酸ナトリウムのことも含めて「塩分」と言うのです。
ラーメンには塩分が多い  と言うのはこのことなのです。
色ではありません。
醤油の塩濃度はそれほど高くはありません。
もし、ダシを全く引かないで「本だし」のみで作ったカエシ仕立てのかけ蕎麦が
あったとすればそれはやはり「塩分」過多の蕎麦になります。


見た目だけで判断していてはいけない と言う事なんでしょうね。
ちなみに私は薄色のうどん・蕎麦どちらも作りますし、好みます。

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ですが天丼だけは絶対「東夷(あずまえびす)」タイプの真っ黒のカエシ仕立ての方に軍配を上げたいと思います。

ステレオタイプの作り話ではないか?
と疑うのにはここにも原因があります。
関西人が東京の天丼を「どう言ったのか?」という事には全く触れないのが通常だからです。
実に作為千万だとは思いませんか?

いちどカエシをお試しください。
出来ればそれで蕎麦を召し上がってみてください。
その素晴らしい知恵に感嘆するとこの手の貧相な詐話に腹を立てる私の気持ちもお解かりいただけると確信しています。

最後にカエシで作る美味のレシピをご紹介しておきましょう。
カエシ 1+かつお一番だし 1 =割り下(わりした)となります

これで鍋を作るのです。

用意するものは鶏肉、お好みの野菜
材料を全て削ぎ切りにします。
鶏肉には小麦粉を薄くはたいておきます。

名前は「治部煮鍋」と言います。薬味はワサビです。
鍋に割り下と野菜を入れて点火します。
沸いてきたら鶏肉を加えます。

鶏肉の旨味が小麦粉で閉じ込められてツルリとした食感が素晴らしく、
野菜もとても美味しく食べれます。
カエシの威力ここに極めリ  といったところです。

そして最後に蕎麦をこれで食べるのです。
蕎麦好きにはたまらない鍋でしょう?

アミノ酸に頼っていてはこんなに滋味深い味わいは決して生まれません。











 

 



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