麺塊を正しく鍛え充分なコシを備えさせたら
丸一日休ませます。

この時の温度が重要です。
昔はうどん職人がこれを肌で測り夏に涼しいところへ運んだり
冬は布団に入れたりコタツに運んだりと、それこそ勘の世界で行いました。
今は温度設定で自在にコントロール出来る便利なものがあります。

こうして休ませるとあんなに硬かった麺塊にまたふんわりと柔らかさが戻っているのです。
これらを「グルテンの緊張と緩和」と呼びます。
いわゆるパンなどの醗酵による膨らみとは別です。
「五分毎に半分まで減少する」性質を応用して柔らかくするのです。

などと書くと小難しそうですが
ナニ簡単なことです。
人間だって鍛えすぎるとそれがストレスになりますよね。
そこでちょいと休ませて気分転換させ、少しだけ油断させてやる  という話です。

そして早朝まだ寝ぼけている麺塊をさささっと伸ばしてしまいます。
「な!? お、おい!ナニを#☆うわ」
などと言ってる間にもう希望の厚みにまでのしてしまいます。
ぐずぐずしていてはまた硬くなってしまうから急ぎ です。

さて、この厚さの話でした。
先に私達プロは太さを考える時にあまり幅を気にしないと書きました。
なぜなら、よほどべらぼうなサイズでない限りあまり影響が出ないからです。
それに比べると太さを決めるもう一方の因子である 「厚み」

これは茹で時間を決定します。
茹で時間は厚みで決まるのです。

多加水手打ちであろうと、超低加水の代表であるパスタであろうと
変わりません。
正方形断面の極太の柔らかいはずのうどんの方が
硬いはずの平べったいパスタ乾麺のフェットチーネより時間が長く掛かるのを見ても
明らかです。

熱伝導を考えればもっとよく解ります。


さて、一杯=一人前とするお店なら茹で時間をあまり考慮しなくても構わないかも知れません。
しかし、ほとんどのお客様が麺の追加(替え玉)をご注文される私達の店では
これは大問題です。
お一人が一玉を食べ終わる平均的なタイムで次の一玉が茹で上がるのが理想的なので
茹で上がり時間に合わせた厚みを出してやるのです。

ここが自家製麺に切り替えた理由のひとつでもあります。
自在に厚みを変えれる必要があったのです。

私達の店では当初替え玉はしていませんでした。
当初はスープが弱くて替え玉に耐えられなかったのです。
日々苦心して、スープを強く強く鍛え、ようやく替え玉ができるようになり
「大盛り」をやめる事ができました。

それでも日々強く鍛え続けました。
そうすると麺が負けてきます。
それで麺を太くしてもらいます。

その繰り返しでとうとう切り歯16番でこれ以上厚みを取れない という所まで
来てしまっていたのです。

切り歯16番と言うと「え!?あの太い麺でそんな普通の切り歯なの?」と
驚く人もいました。

もう製麺所でも同じ製法での自家製麺ででも 合わせられない所まで
スープを強くしてしまったのです。

今はどれだけでも厚く出来るようになり
しかもそれを体感させないヒネリ技を交えて
おかげでスープともとても良く噛み合ってくれます。

無添加でも物足らない味を目指そうとしてから10年経ちます。
ようやく何処にも無い誰にも出来ない強いスープに強情な麺を組み合わせることが出来ました。

でも、これで終りではありません。
毎度繰り返しますが蕎麦職人は
「九十九里をもって道半ば」と言います
つまり100里など来ない、在り得ないと言ってるのです。

困りました。
だってウチは100里や千里をとうに超えてしまって万里なのです。

自営を始めて10年してからここに移転して名づけた店名です。
もうここに来てから20年になります。

いまさら改名も出来ませんから生意気だとお叱りを受けてももうこれで行くしか
ありません。

怠けないで精進をしますからとお約束をしてどうか許して頂くしかありません。

道半ばですが万里を名乗って商っております。


チャーシューメン

追伸
道半ばとは言いましたが 控えめに言っても
とても美味しい麺です。
お越しを心よりお待ち申し上げます。
ぜひ一度この不思議な食感を味わってみてください。

なんと申しましょうか
ボリュームのある豊満な麺です。
とても濃いスープなのにある意味淡白なスープとベストマッチしています。

年内は30日までの営業となります。
明けてお正月は3日からの営業です。












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