2009.10.13 ソースカツ丼
カツ丼にはデミグラスソースをかける岡山県のスタイルと
一般的な卵とじのスタイル
そしてこのソースカツ丼があります。

中国料理系ではカツに卵のチリソースをかけたスタイルもありますがここでは却下しておきましょう。
丼になりえていない と思われるからです。

丼ではありませんが、他にはカツカレーやカツサンドなどもあります。
日本人は本当にトンカツが大好きなんですね。

トンカツがらみで脱線してみます
もう随分前の話ですからここで書いても大丈夫でしょう。

上野の某有名トンカツ屋のご主人はアイデアマンであんこを挟んだトンカツなどユニークなメニューの多彩ぶりで人気でした。
パフォーマンスも得意で料理教室などでも引っ張りだこの大人気。
その得意技にはこんなものがありました。

揚げ油の温度を指で計るのです。
点火して、そろそろかな?  という頃合に指を油の中に突っ込んで
「はい、これはまだ150度ですね」
などとやるものだから
参加した女性陣は驚いてキャーキャー大騒ぎ というわけです。

これにはタネがあります。
もちろん瞬間なら何も必要ありません。
それどころか油の中でざわめく流れを見ただけでおおよその見当はつきます。
さっと油の表面を触って掌にしまいこむだけでもおおよその温度は計れます。
でも、それじゃ華やかさがありません。
カツ屋ご主人は衣を付けながら語り、
油のざわめきを見極めたうえで、
その粉などがついたままの指を油の中に突っ込むのです。
すると派手に油が反応するほどには指はそれほど熱くはなりません。
わずかな時間だからこそ出来るパフォーマンスといえます。

でも、あちらこちらからお呼びが掛かるものだからつい調子に乗って
それをしょっちゅうやったのです。
終いには指が真っ黒になってしまったそうです。

これを笑い話で終わらせては何にも得る事はできません。

肝どころはズバリ。

トンカツは蒸し焼きに近い料理   という点にあります。

衣が派手に音をたてるからつい単純に揚げ物と思いがちです。
しかし、パン粉は直接油に触れますが肉は間接なのです。
ですからカツ屋ご主人の指も度重なるパフォーマンスに耐えれたのです。
いってみれば低温やけどのようなものでしょう、後がより大変ですが、。

ですからトンカツの肉というのはゴマカシが利きません。
悪い肉で作ろうものなら切り口からもう悪い匂いが濃縮、増幅されて立ち上がります。
そんなものを頬張るとすえたような獣臭さで辟易するハメになります。
でも、そんな肉でも竜田揚げなどではなんとか使えるのです。

塩と醤油の力の差ということもありますが、
これがカツとから揚げの違いです。
良い肉を選定しましょう。

さて、このカツを卵にとじてもソースに浸してもデミグラスソースを掛けるにしても命はやっぱりカリッとした食感です。
それを心に留めて仕事をしなければなりません。
損なわない仕事です。

カリカリに揚げてジュッと熱いソースに一瞬浸します。
それでも、口当たりはカリッとしたものになります。
ぬるいソースでは論外。
べったりとしたトンカツソースもいけません。
まとわりつき過ぎるからです。

ウスターソースを主に中濃ソースを適宜ブレンドして割り下の丼ツユで割ります。
これで正しい日本の丼になります。
程好くからみ、程好く流れ落ちご飯にまで染み通る。
掛けすぎても辛くなく、甘くどくない。
そんな具合に調味します。

今回は野菜を複合にしました。
永原農園さんのタマネギとキャベツ、レタスを3cmくらいに切り揃えて水サラシしてから良く混ぜておきます。

大事な事は朝冷蔵庫から出しておく事です。
常温に戻しておかなくてはいけません。

ソースは湯せんにして熱く温めておきます。

カツが揚がるころを見て温めた丼に熱々のご飯を盛り、野菜をたっぷりと乗せます。
熱いソースをたっぷりと回しかけます。

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揚げたてのカツをソースにジュッを通してまな板に乗せカット。
丼に乗せて最後にほんの少量のソースをかけて完成!
最後のソースは切り口に染み込ませる位の感じです。

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これでもかとたっぷり野菜の乗ったソースカツ丼。
200円。
好評でした。
気持ちよい位の食べっぷりです。
いわゆる丼飯というのはかっ込む という表現がぴったりですね。

ここでソースへの苦言を少し書かせていただきます。
加工食品全般に共通する悪習がここでもあからさまに目に付くからです。
詳しくデータを取ったわけではありませんが、恐らくテーブルソース全般の売り上げは落ち込んでいるはずです。

「アジフライに何をかけて食べますか?」
という質問を10年以上前から事あるごとにだれかれ構わずし続けてきました。
結果35歳位から上の世代はほとんどソースと答えないのです。

圧倒的に醤油派が多くなってきています。
原因はもう皆さんお解かりですね。
毎度御馴染みの図式がここでも飽きもせずに繰り返されています。
全く食品会社というのは何を見ているのだろうか? と呆れます。

甘すぎるのです。
砂糖ならまだわかります。
砂糖の原価すら惜しんでその何百倍という甘味料にまで手を出しているのです。
原価がべらぼうに安いからです。

そして正義の味方のふりをした魔女の使徒「アミノ酸」
これが何をもたらすのか本当に判ってないの????
というくらいまだやってるのです。

正しく作ったソースには野菜や果物の自然な甘味がバランスよく入っています。
だから食べて美味しく、胸焼けなどの不快な食後の心配もありません。
なによりも また食べたくなるのです。

正しい食品はこうあるべきです。
よく例えに持ち出すのにお菓子の話があります。
子供向けの駄菓子と本格和菓子の違いです。
菓子というのは「甘くなければならない」という至上命題を負わされています。
では何をもってその甘さを演出するか?  
が菓子職人の腕とプライドをかけた仕事なのです。

そうして和菓子は
しつこくない上品な甘さ、自然な甘さに行き着きました。

一方駄菓子は砂糖どっさりの甘味のみが突出した味です。
子供の舌にはその方が喜ばれます。
でも、大人の味覚では繰り返し大量には食べれません。
最近では街のお菓子屋さんでも砂糖より安いという理由で甘味料が多く使われていますが果てしなく駄菓子以下になりつつあると自覚してもらいたいものです。

ソースに添加されるアミノ酸
もちろんグルタミン酸だけじゃないことはここへお出でになる皆さんはもうご存知ですよね?
防腐剤込みの複合調味料としてのアミノ酸等 というシロモノ。
それに加えて本来野菜や果物が煮溶けて自然な粘度になるものを
手間を省いて増粘剤で粘りを演出。

これらは全て原価を抑えて収益率を上げるための手段でした。
安ければ安いほど売れる  と魔女のささやきにも似た
大きな勘違いがもたらしました。
大間違いなのです。

美味しくないものは必ず売れなくなります。
夕食に食べて、その翌朝玉子焼きにふとソースをかけてみようか?
と思うくらいの美味しいソースを作らなければ生き残れません。
当たり前の話です。
少々高くついても消費者はそういうものを手に取ります。
高ければ少しづつ惜しんで使うからです。
その分食べ飽きも起こりません。

安ければふんだんにダバダバと使いますが、その分飽きるのも早くなり
テーブルの上に置いてあってもだんだん使わなくなり、
終いにはテーブルの上にすら置いてもらえなくなるでしょう。
是非ソースメーカーさんには原点回帰をしてもらいたい と切に望みます。

そして量販店の担当の方々にもひとつ。
大メーカーのべったりした駄菓子クラスのソースばかりでなく
そういう良心的な中小規模のメーカー品の上品な甘味のソースも陳列していただきたいのです。
私がソースを買いに走る郊外のお店では客層が中高年者が多いせいか
大メーカーのものはいつでもどっさり売れ残っていますが
そんな美味しいソースはいつも残り少なく、ともすると売り切れになっていることすらあります。
利幅ばかり追求していると客は他店に流れていってしまいますよ!

「これは少々お高いですが本当に美味しいソースなんです」と
消費者に正しく教えるのも販売者としての責務だとは思いませんか?
そして消費者も
そんなお店を歓迎すると思うのですがいかがでしょうか?


平日お昼のミニ丼 200円でお出ししています。
甘くないソースをたっぷり絡めた今回のソースカツ丼はご飯粒一粒残さず食べてもらえました。
繰り返します。
美味しいご飯はそれだけで既に甘いのです。
甘くどいソースや、しつこいアミノ酸ではご飯の味方にはなれません。
駄菓子は食事時には不要なのです。















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