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(比喩として使う為に並べました。)
(麩は重宝していますので決して批判目的の為ではありません。)
(麩製造者の皆様どうか悪意には取らないでください。)

麩は大変に優れた栄養食です。
でも、もしここに肉の味と風味を備えた麩があったとします。
肉を食べたいと思った時に左の本物の肉を食べますか?
それともはるかに安価な右の肉味の麩を選びますか?

これは長年私が言い続けている比喩です。
もし、今本物の肉が手に入らなくなってしまったら
仕方がないのでそんな偽装肉でも食べるかも知れませんね。
(もちろん肉食否定主義者は違うスタンスでしょうが)
大豆グルテンで作ったタンパク肉などは既に存在していますからあながち空論でもありません。

でも、本物の肉の味を懐かしむ人たちには受けてもそれはほんのしばらくの間です。
『安いからこれでも仕方がないさ』
と諦めて我慢して買ってくれる世代がいなくなればもう次の世代は買わなくなります。
わざわざ不完全で中途半端な食品を求める意味が無いからです。
そも、オリジナルの「肉」を知らない世代は懐かしむ為にガマンしてまで単なる麩より高価な擬似肉を求めないからです。

紫蘇のふりかけに話を沿わせましょう。
先に私が作る昔ながらの紫蘇ふりかけを紹介しました。
塩と梅酢の味を染み込ませた紫蘇です。
太陽の熱でゆっくりと仕上げます。

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では「ゆかり」を商標登録しているこちらのM食品のものには一体何が入っているのでしょうか?
紫蘇、塩、砂糖、アミノ酸、リンゴ酸
ではこのうちの何が「食べ飽き」を起こさせるのでしょうか?
まず、不要なものが添加されている事。
砂糖、アミノ酸です。
次に必要な物が入っていないこと。
梅酢です。

これが食品を工業化する人たちの常套手段とはいえ
ほとんど死に絶えようとしている漬物工業会社と呆れるほど中身は一緒です。

昔から塩梅(あんばい)と言えば丁度良い塩加減を指します。
その為の努力や一定の売れ筋範囲を狭める覚悟を怠けて、
誰にでも受けるいわゆる万人ウケなどという幻を追った愚かな商品を作っていることにいまだに気づいていません。

万人ウケなどという食べ物は存在しないのです。
少なくとも工業化でもたらせは断じてしません。
そんな物がもしあるとすれば手作業の結果でしか得られないのが本当の所です。

機械工業が進んだおかげで確かに便利になりました。
大量生産によって確かに安価で高機能な工業製品が出回り私たちの暮らしを豊かに助けてくれるようになりました。

でも、食べ物は違うんです。
農機具は随分普及しましたが、実際に作物を育てているのは人の手です。
土を作るのも人の手。
時期を見極めて収穫するのも人が判断して行うのです。
ですから、今年のような不順な年には優劣が出てしまうのですが、それはまた機会を改めましょう。

昭和30年代に規制が緩和されてから新しい加工食品がどっと街に溢れかえりました。
けばけばしい色のハムや保存料のたっぷり入った腐らない便利な加工食品(製造販売する側には夢のような、買う側は悪夢のような)です。

この時からわざわざ家庭で作らなくとも安価にいつでも買えるようになったからと顧みられなくなった食べ物達のなんと多いことか!。
ここから日本人の食品に対するアンテナがさび付き始めたのです。

それ以来なし崩し的に危険を予見する外堀を埋めるようにして新商品を受け入れ続けているのです。
カップ麺が出た時に「便利」が一番に叫ばれました。
確かに災害時であったこともそれに拍車をかけたでしょう。
ですが日常は災害時とは違うはずです  が簡単に意識を置き換えてしまったのです。

カップうどんを例に挙げましょう。
生の茹でうどんが入っていて常温で販売されていますよね?
薬品が入っていなければ無理な話です。
カツオだしの味と風味はあります。
でも、どんな栄養があると思いますか?
ほとんどゼロです。

肉の味、風味のする麩を食べているのとなんら変わりはないのです。
いえ、麩よりはっきり劣っています。
食品の工業化というものはおおむねそういうものです。

私たち一般の食品を扱う職種の原価率というものはだいたい30%前後と言われます。
100円の商品なら30円前後の材料費 それが一般的な損益分岐点です。
残りの70%で光熱費、人件費、設備諸経費の回収などが引かれて残るのが少々の純益となります。

ところが工業化をするのに膨大な機械設備費を先行投資して、そんな原価率ではとても回収なんて不可能です。
最初からまともなものなんて期待できない  といっても過言ではないでしょう。

もし私がそんな会社の開発担当だったら(また出た!!)
世界中から安価な材料を調達してこう書きます。
一番良いものを選んで来ました!
また、食品に対する不安が残る国からの仕入れには
一番生産量の多い国から仕入れました
と書き 多数派安定志向の多い消費者をなだめます。

そうして主点のみを強調した商品を作るのです。
紫蘇さえ入れておけば文句はあるまい。
塩が入っていればふりかけになるだろう。
味が塩辛いと言われないように砂糖も混ぜておこう。
旨味がないといけないから化学調味料もしっかりと。
酸味? 最後にちょっぴり入れておこうか何しろ酸味は嫌われやすいからな。

これはあくまでも
もし私が社員だったらという仮定での話です。

でも仮にそんなスタンスで本当にやったら100円のものを数円で作る事ができるかも知れません。
そうすれば本当に安い物を
お客様のため、暮らし応援します!
と言って99円で恩着せがましくセールできるかも知れませんね。

原価を考えればちっとも安いとは思えませんが皆様はいかがお考えでしょうか?

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私は紫蘇のふりかけを炎天下で汗かきつつ揉み解しながら
いつも母を思い出します。
私が大好物だったため毎年たっぷり作ってくれました。
わざわざ梅酢を絞りすぎず時間がかかるのを厭わず。

揉み解しても全部が一気に終わるわけではありません。
ほぐせないのはまた干しなおします。
固いのはすり鉢ですり潰します。
そうしてまだほぐせないのはもう一度干しなおします。
こんなに手をかけてようやくふりかけになるのです。

自分が美味しく食べたい ということももちろんあります。
でも、家族や大切な人たちの喜ぶ顔を見たいことも大きな原動力になります。
手作業の美味とはそんなものだと思っています。
おかげで息子も大好物です。
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そうして美味しい物を次世代に繋いでゆく、たったそれだけで国の未来が明るくなるとは言いませんが少なくとももう少し加工品を見直す事が必要だと思いませんか?

今、安くあげる事が出来ても医療費などでかえって高くつく可能性があるとは思いませんか?
そしてその時に医療を正しく受けられるのでしょうか?
まず、正しい味覚を取り戻す。
その為の努力を始める。

そうして危険を予見できるセンサーを磨きましょう。

大勢の皆がそうして本物の美味を求めればほんの少しこの国も良くなるかも知れません。
決して大げさな話でもないんですよ。
ここ数年の急激な化学調味料離れがそれを証明しています。







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