2009.04.15 コシアブラ
banner_br_sakura.gif



桜が散り葉桜になりはじめると山も新緑シーズンです。
    nrhl 029 nrhl 032
山では吉野桜ともまた違った種類の桜が遊歩道沿いに咲き誇っています。
木苺の花も可憐です、
とは言え新緑を愛でる気持ちは人に負けませんが「花より団子派」の私の目当ては山菜です。
食べれない新芽より食べれる新芽が愛しいのは当然でしょう。
nrhl 024
これはコゴミゼンマイです。
細くて小さな株ですが、すでに採られてしまった後です。
こうして一株から数本だけ採り後は残すのがルールです。
丸ごと摘み取ると株が絶えるからです。
春にはそこら中に見かける山菜ですが、ベテランはこれが一番難しい山菜だと語ります。 
残念ながら私はこれを採るのがヘタです。
ピンポイントでどこに出るのかをきっちり覚えておかないと早くても全く陰も形もありませんし、
遅ければ
   nrhl 027 nrhl 025 nrhl 026
このように開いてしまいます。
これをホウケルと表現します。
ホウケテしまったコゴミを食べる方もたまにはいますが普通は山菜採りの対象とはしません。
趣味で庭に植える方もおられますね。
『やっぱり今年も遅かった』 と言うわけです。

でもこのタイミングなら
nrhl 037
ありました!
コシアブラには適時だったのです!
道沿いのはすっかり採りつくされて絶滅寸前ですが
少し中に入るとここにも、あそこにも(ここだけの話です、内緒ですよ!)
真っ盛りではないですか!!(他言無用に願います)

nrhl 031nrhl 033nrhl 036
最近ではすっかり有名になり美味しさも知れ渡ってきましたが、
信じられない事に私達がこれを採り始めた頃は誰もこれを採る人がいなくてほぼ独占していました。
独特の香気と程好い風味が人気を集めるとスーパーにも並び、一躍人気者です。

山菜の世界で人気者といえばそれが受難の始まりです。
萌え出たばかりの新芽をポキリと摘むのは子供でもできます。
楽しくて美味しいのですから止められません。
初心者にでも簡単に見つけられます。

でも、萌え出た新芽を全部摘み取ってしまうとその一本は簡単に死に絶えます。
脇芽を採るなら先端を、
先端に複数出ているなら一本だけは必ず残してやらなくてはいけません。
そうしないと翌年は採ろうにも木そのものが無くなってしまっているのです。
そうして道端には枯れて死んでしまったコシアブラの木が沢山あります。

かつて遊歩道沿いに沢山あったコシアブラが今では数えるほどに激減しました。
そして今年も新しい山菜採りの初心者が山に入ります。
これら僅かに残った木が死に絶えるのも時間の問題でしょう。

でも、山はしぶといのです。
コシアブラは成長が早く数十メートルの巨木に育ちます。
秋に種が舞い散り実生苗がそこら中に出ているのです。

この日も数センチから数十センチの実生苗が『やけに沢山在るな』と歩いていたら
天をつく程の巨木に成長したコシアブラを見つけました。
20メートルをゆうに越すその全ての枝先に無数の新芽を持ち、人の手の届かない安全地帯で静かに風に揺らせていました。
カメラを持たなかったのでしばらくうっとりと眺めていました。
美味しいコシアブラの母原木です。
感謝しかありません。

    nrhl 035 nrhl 034
こうして死なずに生き延びた枝先からは今年も新しい新芽が出てきました。
一本立ちの実生苗には先端に一個だけ新芽を持っています。
これを摘み取らないでやって欲しいものです。
今はたった一個の新芽しか萌えていませんがこうして真っ直ぐに天を目指して成長し、ほんの数年後には沢山の新芽を萌え出してくれるのですから。

ところが!
山はしぶとい と言いましたが山人はもっとしぶといのです!
飛騨高山の某村に行った時の事です。
見事な巨木に育ったコシアブラを切り倒しているではないですか!

ん?ん?ん?
芽を採ると枯れるから採るな と言うべき立場の人が何故に?
と不思議に思い尋ねました。
「あ?これ?」
と事も無げに
「だって手の届かないコシアブラなんて役に立たないからね」と言うのです。

つまり、
大きく成長したなら子供苗を残して切り倒すのです。
そうすると切り株からまた新芽が(ウズ)が出ますからまた育てていけば良い。

切り倒した大木はキノコのホダ木に利用します。
普通のナラ材などではキノコが出るまで数年を要するのに比べ
コシアブラの木は一年で出るから重宝するのだ そうなのです。

まさにそまびとの知恵。
恐れ入りました。

私はとてもかないませんが、せめて乱獲だけは慎みたいと思います。
来年も美味しく食べたいですから。

街には街の掟があるように、山には山のルールがあります。
山に入るなら山のルールをまず学び、最低限守るという約束事があります。
それを守らない初心者には明確な報復が待っています。
翌年には手に入れられなくなっているからです。
約束とは感謝の心を忘れないという意味でもあります。






   
スポンサーサイト
Secret

TrackBackURL
→http://oisiitoyama.blog96.fc2.com/tb.php/493-bd861761