マスのことをよく知らない人は何故か、はなっから鮭より下的な感覚で見ます。
鮭にも、マスにも種類は沢山ありますから全部が全部とは言いませんが
「おおむね、鮭よりマスの方が美味しいんです」 と言うと
「え”~」という表情をされます。

皆が一様に美味しいと認知する紅鮭は実はマスです。
キングサーモンは塩鮭にすると不適ですがムニエルなどが最高に美味しいですよね?
これも、マスです。
和名はそのものズバリ  マスノスケと言います。

富山では昔から鱒寿司で認知されているハズなのにいまだに誤解が多いようです。

その理由のひとつに上げられるのが
戦後 食糧難の時に北海道の「カラフトマス」があまりに大漁だったため
適切な処理をされない大雑把な不出来な塩漬けで大量に出回った 

ということが挙げられます。
いくら食糧難ではあっても美味しく無いものは苦痛ですから
「マスは不味い」という認識が特に鮭をよく食べる地域に浸透したと言われる そうです。

余談ですが、かつて西日本ではあまり鮭を食べる習慣はありませんでした。

これは、同時期に富山湾が日本の胃袋を支えたと後に言われるようになった「氷見丸干しいわし」などの美味しいものと好対照です。

また、食い物の恨みは恐ろしい という事も今更ながら言えますね。
給食支援をしてもらっていながら「脱脂粉乳のミルクは不味かった」と自分でも言いますから、良く分かります。
不味いものを食べさせられるとこんなにも永く悪評が続く というのは料理人にとっても肝ですね。

しかし、美味しいものを美味しいんですよ と伝えるのもまた使命だと思っています。

日本人は昔から美味しい魚  という時には何をもって判別したでしょうか?
1、刺身で美味しい
2、素焼きで美味しい
3、塩蔵品で美味しい  などです。

ところがマスはこれに当てはまりにくい のです。
確かに刺身には超旨いのですが運が悪いと寄生虫がいます。
それでー20度位の冷凍庫でいったん〆てやらないといけません。
昔は出来なかった話ですよね。

また、漁師さんたちが判別の根拠にする
「素焼きで醤油をかけて食べれば不味美味の差が一番分かる」
これも、マスにとっては不利なテストです。
塩蔵品と同様な理由です。
いわゆる下品なくらいの脂のノリ というのが無いからです。

(逆に言えばここにマスの美味の秘密が隠れていいるのです)

冷凍の出来なかった昔はサバのように塩で〆て酢で殺し、「寿司」にするのが一番だったわけですね。
 
と言う事で、
マスの本当の美味しい食べ方を探してみましょう!

と言うか、正しいマスの美味の壺を理解しましょう とでも言い換えた方が良かったりします。

まず、今の時期から上がり始める「サクラマス」
これは高価です。
ですがこれを食べてみないとマスの味が判りません。
出来れば一匹を丸ごと、無理ならせめて一切れでも買ってみてください。

一番簡単な塩焼きでその味を体験できます。
塩を振り、少し寝かしてからガスグリルなどで焼きますが

ここでご用心!!

皮をつけたまま、皮を下にして焼く
これが最大のポイントです!
脂のだっぷり乗ったサバや肉ではその多すぎる脂を落とすのが目的だから切り口が下でもいいでしょう。
マスの上品で淡い脂を理解するためには少しでも逃さない工夫が要ります。
皮を下にして焼き、皮めに残る脂の味を確かめていただきたいのです。
焼きすぎない 事も重要です。
焼き立てをすぐに食べる 事も重要です。

鮭でも他の魚でもない マス独特の上品な味わいを理解していただけるはずです。
これをガンガンに塩蔵してしまうと損なわれてしまいそうなもろい脂なんだと分かってもらえるはずです。

この脂の美味を解れば塩マスでもかすかなその旨みを探すことが出来るようになります。
同じ焼き塩マスを皆で突付いても解っている人と解ってない人の味わい方には明確な相違が出ます。
味覚って不思議です。

絵や骨董品などと似ているかもしれません。
同じものを見ていても、見えていない事ってありますよね?

さて、生のサクラマスで絶対の美味は?と聞かれれば
私は迷わずに「お茶漬け」と答えます。
塩焼きでは理解できなかったと言う人もこれを食べると目の色が変わります。
意味不明な程の未経験の美味に戸惑います。

実況してみましょう。
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これがサクラマスです。
紡錘形の小さな頭がいかにも俊敏さをうかがわせてくれます。
鮭は川に遡上すると命の終焉に向かいますがサクラマスは今の時期河に遡上してから本領発揮し、奔放に大河に君臨します。
まさに王者です。

昆布だしを沸かして塩、醤油少々で濃いめの吸い物程度に調味。
ぶつ切りのサクラマスを投入。
ウロコなんか取らなくなって大丈夫です。
鮭とは違い皮もウロコもとても柔らかいので全く気になりません。
なまじウロコを引くと味を落とします。
さっと水洗いすれば充分です。

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すぐに火が通り、脂が染み出てきます。
左の画像を拡大して見てください。
これが、旨さの正体。
焼きすぎると逃げていってしまう、強烈な個性を持っているのに気弱な脂です。
これを逃がさないで熱々のご飯にかけます。
アラレや三つ葉、ワサビなどを添え物として一応用意しますが実は不要です。

もっと言えば昆布もいりません。
水だけでも充分 未知なる美味に出会えます。
初体験の人は感動するくらいの味です。
おかわりが止まらなくなりますのでご飯はたっぷり必要になります。(笑)
最近「猫まんま」がブームだそうですが、
これは正統派な「汁掛けご飯」として第一級の旨さです。

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こんな美味しいサクラマスが食べれる幸せを少なくとも富山県人はかみ締める必要があると思います。
というのも、仕方がないとはいえ今魚の価格が低迷して私達消費者はありがたいのですが漁師さんたちが大変な苦労をしているからです。
もっと地物の魚のよさを再認識して美味しく感謝して積極的に食べたいと思います。

もし、廃業でもされてしまったらこんな美味しい魚を食べられなくなってしまうんです。
それは困りますから
微力でも一人で広報活動をさせていただきます。

次回は続いて同パターンで蕎麦を、
その次にはマス寿司の作り方を挙げながら塩マスを美味しく食べる方法を探ります。






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