富山弁で
「ダラにも ダラにも」
というのがあります。
馬鹿にもほどがあるだろうに  というほどの意味あいですが実際は
あまりの愚かさに腹が立って言葉が無い という使われ方をします。
ですから実際にその後は発音しません。
「~~も」 で切って口をつぐみます。

なぜ唐突にこんな事を言い出したのか? というのが表題の件です。

フグに毒があるのは子供でも知っている事ですが、
なぜこんな事が起こるのかを考えてみましょう。

フグ中毒というとすぐにお金持ちの食道楽の果てにと思われがちですが
実際にちゃんとしたお店で起こるのは稀な話です。
「ちゃんとした」と言うのは免許を持った という意味です。
その稀な例に歌舞伎の人間国宝だった故坂東三津五郎さんがおられますね。

あまりに熱心に頼まれてついほだされて出したのでしょうか?
あたって、大事に至ってしまいました。
裁判所は被害者責任も半分あるとしながらもお店にも当然責任を追及します。
数千万円の支払いを命じられました。

実際に多いのは自分で釣ってきて自分で調理して中毒というケースですが
まあ、これは自己責任ですね。

馬鹿にもほどがあるのが今回のようなケースです。
注文もしてないのに勝手に出してくるのです。
幸い今回は大事には至らなかったようですが、過去に医大生が死亡するという
痛ましい事故がありました。
故郷を離れて外食する事が多かったのでしょうか?
馴染みのお店でサービスで出されたフグで中毒死したのです。

今回もそうですがこういう場合はとても危険です。
信頼している馴染みの親父さんが
「はいこれ美味しいから食べて」 と卵の煮付けなどを出してきた、
それを断れる人がどのくらいいるでしょうか?
金持ちだけの道楽ではないんですね!
しかも、その親父さんは味見すらしてないわけです。
全く酷い話です。
味見さえしていれば親父さん自らが毒性を証明してくれるはずだったんです。

このケースではたしか一億くらいの賠償金だったはずです。
お金だけじゃありませんが もし支払能力がなければ泣き寝入りです。

万一の場合に備えて食品賠償保険などというものもありますが、
9.1.31 129こういうケースでは果たして?

しかも、加入しているお店がまだ少ないのが実情です。

(富山県では高岡市駅ビルの井戸水汚染事故が起こるまでは少なかった
のですが以後激増したそうです。)


食中毒というのは『大変に苦しいのだろうな?』と想像するまでしかできないと思いますが
その後のほうがもっと大問題なのです。
会社の宴会であたったりすると全員仕事が出来なくなり業績どころか
下手をすると存続すら危うくなってしまったりするのです。
当然それらについても損害賠償問題はついてきます。
残された家族の生活はどうなってしまうのでしょうか?

こんな恐ろしい結果を理解出来ない想像力の乏しい料理人がただ珍しいから
とか、旬だからというだけでしかも白子と卵の見分けも出来ずに出すというのが
言語道断なんです。

大事に至らなくてもトラウマは一生残ります。

フグ毒には免疫性がありません。
個体差もあります。
生息海域や捕食している餌によっても毒性は違います。

つまり、子供の頃から食べなれているとか同じフグで前回は無事だったから
というのは当てにならないのです。

フグ毒は一番強いものから猛毒>強毒>弱毒と続きますが
猛毒で青酸カリの1,000倍 10g以下で致死量とあります。
ふくとく、フグの話http://tot3.com/fukutoku/hanasi.htm
9.1.31 127
たったこれだけで確実に死亡です。
(画像は沢庵です。当店の沢庵には毒は在りません)

私なんか一瞬で3人分の致死量を頬張ってしまえます。

生息海域により馴染みがなかった ということもあるでしょうが、
料理人たるものむやみにフグに手を出すべからず という所ですね。

ましてや最近の温暖化で生息海域も変動しています。
今迄獲れなかった所でも獲れるようになり、また今迄無毒と信じられていた物に良く似た有毒種が混ざるようになったりする可能性があります。

ここ富山でも無毒の「シロサバフグ」がよく水揚げされますが良く似た「クロサバフグ」は有毒なのです。
しかし、魚屋さんでそれを知らない人が沢山いるので驚きます。
幸い今は水揚げされたという話は聞きませんが、日々勉強をして備えておきたいものです。

もうひとつ温暖化の影響だとされる毒魚で「イシガキダイ」があります。
isidai.jpg磯釣りの王者イシダイの仲間です。
磯釣り師垂涎のターゲットです。
イシダイの大型をクチグロ
イシガキダイの大型をクチジロと呼び
これを釣り上げるのを夢見て毎年沢山
の釣り人が沖の岩礁に渡ります。

これが最近毒魚の認定を受けてしまいました。
元釣り師としてはとても悲しい事です。
小型なら大丈夫という事ですが多分もう流通しないでしょうね。
美味しい魚なので残念です。
餌による凝縮作用だと言われていますが詳しい事は不明です。

本来南方海域でしか見られなかったシガテラ毒がとうとう東京湾でも
上がるようになった というのです。
シガテラ毒についてhttp://tsuriyoubi.jp/essay/0050/07.html
このシガテラ毒のうちのマイトトキシンはフグ毒のテトロドトキシンの200倍と
言いますから青酸カリが可愛くすら見えてきますね。

もうひとつ示唆に富んでいるのがキノコの「スギヒラタケ」です。
長年地域の人達に親しまれてきたのに突然毒キノコだと言われてしまったのです。

これも温暖化犯人説が有望です。

ところで、最近TVがつまらないと良く耳にします。
確かに怪しい番組も多いようです。
でも、TVはこういう役に立つ情報も多く発信してくれるのです。

「魚のことなら誰よりも判ってるんだ」とか
「俺は魚のプロなんだ」とか
「それは昔っから食べてるから大丈夫」 なんて言わないで
虚心に日々勉強する必要があるのです。
TVでもインターネットでもその他のメディアででも  です。

誰も見たことの無い新しい季節が訪れようとしているのですから。
料理人は人命に関わる仕事をしているんだと言うことを忘れないで欲しいのです。

それと、一般の人ももう少し用心深くなりましょう。
ダラにもダラにもな人も中にはいるのです。
「これは何ですか?」 と聞く勇気を持ってください。
残された人たちの不幸を想ってください。

安心して美味しい物を食べたいものです。
注意を怠らずにちゃんとしたお店をお選びください。

それと

自分で釣ったフグは食べないでください!

好奇心と食い意地のせいで家族まで道連れにしても独りで先立つのも不幸です。
笑いものになりますよ!
ダ○にも  と言われます!
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