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2019.09.16 サザエの話
サザエの話
サザエは大きな殻に入っていますが上身は案外に少ない貝です。
ハマグリなどの二枚貝は全て食べられますが、それらに比べると
随分と歩留まりの悪い貝とも言えます。

大きな口元の上身の下は内臓部位でともすると
ジャリジャリすることがあるので普通お客様にお出しできません。
その中間部位を除いた下の小さく丸まった部位は肝なのでここは
大事に使います。

大きな口元の上身にはさらに通常、苦い部位があるのでここも
切り取ります。
なので食べられる部位は本当に少なくなります。

ところが、ここで「通常」と書きました。
私の郷里の能登内湾ではサザエは苦みのあるものと決まって
いるのですが以前に新潟の柏崎でつぼ焼きを食べたところ全く苦く
ないのです。
内臓部分も含めて丸ごと食べたのに、です。

潮流、環境やえさの関係でしょうか?
不思議な経験でした。

それでも、サザエは頭でっかちで急激に尻すぼみなその形から
大言壮語するような輩を指して「サザエのような奴」などと良くない
意味に形容されることがあります。

でもサザエを無垢に愛する能登人として敢えて言わせてもらうなら
「サザエは縁起食」なのだという事です。
いえ、けっして井の中の蛙的な郷土びいきなどじゃありません。

野崎洋光氏執筆の「縁起食」中日映画社 2015初版では
ー引用ここからー
「さざえ」の語源は、小さな家という意味の”ささ・(い)え”。
漢字では「栄螺」と書くことから、家業が繁盛し、一族が繁栄する
ことを祈って食べられてきました。

ー引用ここまでー
とあります。

野崎氏は「分とく山」など4店舗の総料理長として統括する
料理人で本も多数執筆されておられます。

よく食べられることの多い
サザエのつぼ焼きでは先の柏崎でのようにシンプルに丸ごと浜焼き
にしたものが一般的ですが、
どうしても食感の良くない部位があるためにそれらを除去したもの
との2パターンとがあります。

シンプルなのは直接ガス台に網を置いて火にかけます。
この時に殻が弾け飛ぶことがあり危険なので能登ではサザエの
お尻をぺろりと舐めてから火にかけると弾けないというおまじない
があります。

火が通り始めると中から盛んに泡ブクが出てきます。
やがてそれが小さくなってきたら火が通ってきた合図。
酒と醤油を掛けて完成です。

これが一般的な丸ごとパターン。

もうひとつは料理人の腕とセンスの見せ所。
野崎氏は
先に身を取り出してタケノコ、シイタケ、ごぼう、銀杏などと
合わせて醤油や豆乳で味を整えたものをご披露されておられます。

さて、
私はどう誂えましょうか?
能登生まれの私にはいくつもパターンがあります。

能登では男子の成長の証となるサザエ。
夏、海に行きただ泳ぐのは女の子。
男の子はただ泳ぐのではなく貝を採ります。

大きくなるにつれ潜ってサザエを採ります。
大きなサザエは深いところにしかいません。
大きなサザエはそれだけで一人前の男子の証なのです。

私にとってはサザエは夏の味です。



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