今回は山形県の中でも一番富山県に近い鶴岡を
訪問してきました。
鶴岡といえば馴染みがないという方でも庄内地方と言えば
聞いたことがあるでしょうか?

かつては鶴岡県となっていた時期もあるなど山形県には
複雑な歴史があります。
なかでも三方領地替えなどはその特異さから小説の題材にまでなっています。

豊かな庄内平野と豊富な海の幸に恵まれた鶴岡の方々が
支持するラーメンとはいったいどんなものなのか?

まずは一食目
青竹打ち「よこみち」さんです。
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こちらは先代のお父さんが佐野で手打ちを学んで開いたお店
現在は息子さんとお母さんで切り盛りされていました。
メニュー
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山形県は「ワンタンメン」の人気が高く名店が揃っています。
生地は麺とよく似たタイプですが薄くてしっかりしているので
麺との重複感は感じないツルリとした美味しい皮です。
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具も大きすぎず味付けもあっさりとしていて流石に
長年にわたり完成された技というものを感じさせてくれます。
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麺は中力粉が多めですがしっかりとコシのある
(つまり柔らかめなのにコシの強い麺)
やや太めの素晴らしく美味しい麺です。
口元でプルンと跳ねるような食感が実に心地よい。
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スープはアゴのような魚介系をまとった鶏ガラ味
すっきりとしたクセの無い味わいです。
麺の量は180g程度でしょうか。

スルッと完食でした。

青竹打ちで手で伸ばし、手で切る純手打ちです。

そうなると粉は中力粉主体で作る訳ですが、
以前に佐野市に長期出張したという方に伺った所
佐野ラーメンは「麺が柔らかめ」という話とはずいぶん
様子が違います。

親子二代で技を磨き上げた結果なのでしょう。
美味しく頂き勉強させてもらいました。
ありがとうございます、ご馳走様でした。

カラーボトルのインディーズ時代の名曲「あぜ道」

僕等あぜ道を あぜ道を選ぶように
今を抱き寄せて 抱きしめて 生き抜きたい



青竹打ちの麺を語るについて端折る訳にはいかない話があります。
「よこみち」さんで食べたのは人様の打った麺では二回目で
私が初めて食べたのは富山の「福力」さんでした。
二回だけ行きました。

私達料理人はそれを勉強させてもらったと表現します。
今でもその貴重な食経験に感謝をし、敬意を払っています。

同時に今はすでに閉店してしまい無くなってしまったことに
深い悲しみと腹立ちをいつまでも抱え込んでいるのです。

余計な事と思われるかもしれませんが、
或いは現存の当店の主がこんな事を書くのは不適切なのか
どうかは知りません。 I don't know と言っておきましょう。

普通、飲食店がオープンすると誰しもプロがやっていると
思うでしょう。
もちろんアマチュアなどじゃ開店など出来ません。

ですが、実在の話ですが
ある有名料理旅館で長年、板長をやってきた方が独立を
してお店を持ったのです。
でも数年を経ずにあえなく閉店に追い込まれました。

何故でしょうか?

実はそんな話は飲食店だけにとどまらずどこの業界にもある
話なのです。
技術職で功成り名を遂げた人が独立しても成功するとは
限りません。

お店でいうなら全体の仕事のうち専門職の技の占める割合など
2割にも満たないかも知れません。
朝の清掃から始まり、仕入れ、仕込み、調理、片付けといったような
表に見える仕事の他には

ご近所とのお付き合い、仕入れ先との円滑な人間関係の構築
無駄のない仕込み、光熱費の効率的な管理、維持。
従業員の円滑なあしらい、教育、従業員の生活を考えたシフト
お客様を獲得するための様々な努力。
popや広告の制作など営業努力、経理管理。

今までは単に厨房で腕を振るっていれば他は担当者が
それぞれに、こなしてくれていたことが全てのしかかってくるのです。
そうすると、不思議なことに肝心の料理の勘もずれがちになり
プロスポーツ選手のスランプのような状態に陥ることすら
珍しくもありません。

そう、例えその道のベテランと言えども
独立開業したては一年生なのです。

技術はあっても経営などしたことが無い
経営のノウハウなどゼロに等しいのが普通だからです。

昔から
「コックがやると店を潰す」と言われます。
反対に
「ボーイがやる店は成功する」と続きます。
ボーイとはウェイターやフロアマネージャーの事です。

つまり、扱うものが食であれ、車、家、金融商品であれ
相手はすべからず”ヒト”。
これが営業の大原則なのです。

「福力」さんは見るからに長年裏方でひたすら麺打ちのみを
実直にこなしてきた方といった接客もおぼつかないような
また、奥様も客商売とは無縁に過ごしてきたような印象でした。

そんな優し気なご夫婦の店にラーメン好きのサイトを運営する
人たちが大挙して押しかけ自分たちの好みを押し付け
あろうことかしまいには自分たちが贔屓にする店にまで
ご主人を連れまわし
「この味を勉強しろ」とばかりにやったのです。

ここまで来ると完全に営業妨害です。

個人が住宅ローンを組み、働きつつ多額の借り入れを返済
するだけでもかなりのストレスですよね。
そんな時に「それじゃダメだもっと支払い(コスト)を増やせ!」
などとやられたら誰だって頭を抱えてしまいます。

しばらく後で3度目の勉強をさせてもらおうと訪れたら
もうお店は閉店した後でした。

実に残念で仕方ありません。
私が始めるよりずっとずっと以前にその青竹打ち「福力」さんは
ここ富山に確かに存在していたのです。

今回私が山形県鶴岡市で食べてみてその当時の麺は
決して引けを取らない美味しい麺だったと確信しました。



私が今一番通っている蕎麦店があります。
でもブログではまだキチンと紹介していません。
まだそこは一年生だったからです。

そろそろ手馴れてきたようなので落ち着いた頃に
ご紹介できると思います。

ネット上では日々、あらゆるお店の情報が流れています。
でもオープンしたばかりでまだ手馴れていない状態というのは
誰でもわかるはず。

出来る事なら、そこが気に入ったならば尚更の事
そっと見守る事も必要な場合があるのじゃないかと
私の個人的な印象です。

出来る事ならせめて
かつて「福力」という名店があった
というだけでもご記憶していただきたいのです。




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