麺に関する誤解や不理解の解明を書き続けています。
「う~ん小麦粉本来の香り」
などといった誤解を解く比較対象に選んだのはうどん

麦粉臭い話の触媒に取り上げたのは蕎麦でした。

さて、今回は言葉に置き換えるのが至難の「コシ」です。

日本人にとってこれほどよく使われるのに
これほど言葉にしづらいものもないと思います。

ペンキを塗る刷毛でもコシが求められます。
女性が使う化粧用の刷毛、筆、
これらは柔らかさの中にしっかりと受け止める力といった
使い心地を求められることをたった2文字で伝えています。

さて、麺ではどうでしょうか?
柔らかさの中にしっかりとした言わば「芯のようなもの」
それは正しくしつらえられた手打ち麺にあるものです。

噛み始めの最初はふっくらと柔らかく無抵抗のように歯が入り込み
次第に押し返す力が感じられるようになり
最後には小気味よくプツリと切れる様です。

ふわり、むぎゅうぅぅ、ぷつり  です。
一本の麺の中には多層構造があるからこういう事が起ります。

では手打ちではない麺の「コシ」とは何でしょうか?
答え
正しい意味ではそれは存在しません。

いちどきに作り上げるタイプの麺には多層構造が作られていないからです。
ですから茹で加減でそれを演出するしかありません。
それを水分勾配と言います。

水分勾配のみです。

表面の加水が十分な部分と加水の少ない中心部への
水分含有の角度を表す言葉とでも言いましょうか・・

つまり固茹での麺の水分勾配は大きく
スーパーに並んでいるような茹で伸びしたうどんはほぼ0です。

麺とは本来小麦粉を水で練ったものを指す言葉です。
イタリアではパスタ、 だから漢字の一部に麦が入っています。
 
では手打ちではあっても麦以外の素材でできた麺線ではというと
蕎麦、米粉、その他あらゆるものが存在します。
それらに「コシ」はアリやナシや?  というと
やはり正確な意味では ナシ となるのです。

麺線以外に小麦粉の多層構造といえばクロワッサンの生地
などがあります。
バターなどの油脂を塗りながら何度も折りたたむから
焼いたときに表面はサクサクで中はフワリと仕上がる訳
ですが、これなども大きくガブリとやるとコシが味わえます。

肉で言えばロース肉はほぼ一体構造ですから
火は通りやすいですよね。

ところが肩ロース肉では小さな筋肉の束が集まったような
構造ですから火は通りにくいのですが
この二つが一体構造の麺と多層構造の麺との違いに例える事も出来ます。

鶏肉で例えるなら
一体構造のむね肉と筋肉束の収束したもも肉という具合に・・。

つまり火の通りと茹でた場合の水分の浸透具合は似ているからです。

手打ち麺の何度も畳んでは伸ばすという繰り返しの作業で
形成される多層構造麺では水分勾配の出来方が単純ではなく
熱と水分の浸透が段差を持ちながら進行するのです。

クロワッサンの焼け方火の通り方が多層構造の一枚づつ
に違いがあるように   です。

これが一体構造の麺の単純で直線的な水分勾配とは
異なる歯ごたえを生むのです。

これがコシです。
もはや水分勾配などとも言われません。
コシ
このたった二文字で麺の美味しさが表現されるのです。

そう、
わざわざ言わなくても解る、知ってる美味しさ

だったのです
昔から日本人は杵つき餅の出来たての美味しさを旨さを
そのコシを。

ハケでも筆でもコシと表現されるのは同じです。
もちろん小麦粉とは材質は違いますが
最初はふわりと柔らかく次第に反発力を強めていき
放すと素直に元に戻る柔と剛を併せ持ったもの。

これはやはりコシと表現されるのも無理ありませんね。


次回は実際にビーフンを作りながら追求してみましょう。

 
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