私は能登産まれです。

この歳になって、
昔話をしてもしょうがないと判ってはいてもそれでも
本物が少なくなりつつある現状に嘆きを隠さずには
いられない時が多々あります。

能登ではかつてイカやイワシが嫌というほど獲れたそうで
それで盛んに魚醤を作りました。
能登の物はイシルやイシリと呼ばれます。
とかイオとは古くから魚全般を指す言葉です。

秋田ではハタハタの塩辛い漬け汁を「しょっつる」
タイやベトナムでは「ナンプラーやニョクマム」
フィリピンでは「パティス」など魚を沢山獲る沿岸地域には
たいてい似たものがあります。

ところが残念なことにその肝心の
漁獲量が減少しているのが原因と言われ て
いて本物がどんどん無くなってきているのです。

たまに帰省で能登に行ってもお目にかかるものは
一見普通の醤油と見まがうものばかりで
味見をしても当たり障りのない無難な仕上げにされたものばかりなのです。

能登のイシリは昔から魚の風味が強くその分天然由来の
アミノ酸がみっちり詰まった万能調味料だったのです。

ですから風味の乏しい青菜の茹でただけのものに掛けても
旨みたっぷりの御馳走に変えてくれたり
大根などをそのまま漬けるだけで芳醇な”料理”に仕上げて
また鍋物に加えるとその内包する海の旨みを惜しげもなく
全体に広げてくれる
という魔法のような離れ業を演出してくれるのです。

いえ  言い間違えました

演出してくれる程の魔法の調味料だったのです

今、本物は少なくなってしまいとうとう帰省して
見かけても手に取らなくなってしまいました。

ところが!
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先日、新湊の海の駅がオープンした時に
ふと「イカの魚醤」を見つけて
『あぁイシリか・・・』
と思いつつ手に取って裏書きを見ましたところ
内容がイカと塩だけです。
「ん?」と思い
もう一度ラベルを見直してちょっと驚きました。
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「イカと塩だけで二年以上熟成させた」と書いてあります。

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これは!
とピンときました。
美味しい予感がします。

帰宅してなめてみると 『おぉっ  これ!』
小皿に移すと一般向けに矯正されていない本物の証
薄濁りがあるんです!

これです!
これなんです!

一般向けに平準化することを日ごろから批判している私には
これは最高の賜りものです。

ある人は雑味と
また他の人は臭いという
ある種のクセが必要な調味料があるんです!

チーズにあの匂いが無かったらどんなに退屈でしょうか?
納豆の匂い無しなんて食べたくもありません
塩辛から風味を奪ったらダメでしょう  というぐらい

イシリ、魚醤にはこの風味が絶対欠かせない風味なのです。

しかし、世の中には旨みだけを残して食べやすいように
風味を押さえました的ないわゆるソフト魚醤なるまやかしが
蔓延していて
それが不愉快だったのです。

かつて大手の酒メーカーが中国の紹興酒の名蔵と契約を
結びました。
しかし、紹興酒には澱が沈殿します。
それを日本向けにと漉したのです。

わずかな澱も逃すまいと超優秀なフィルターで行ったそうです。

どうなったでしょうか?
見事に旨みも風味も飛んでしまい気の抜けた酒に
なってしまったそうです。

除去し過ぎてはいけないものもあるんです。
その点

この魚醤は能登育ちの私がビックリする位の
ホンモノです。


驚きました!
漁獲量が減少していても本物を目指す心というか
本当に美味しいものを極めようとすればいつでも
手は届くという事なんですね。

感動のあまり
製造元まで出かけてまいりました。

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山田村の牛岳の上から眺めるとこの左手のやや山手
庄川の左岸につながる山側にあります
トナミ醤油さんです。
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ここでは地元の柚子などを活用した様々な
食品も手掛けておられます。

砺波地方へお出かけの際には道の駅などで
トナミ醤油さんのコーナーがありお目にかかる事でしょう。

どれも良心的な品作りで販売の方も
その品質を認めてほめていらっしゃったくらいです。

私も柚子ドリンク
「金屋美人」を一本買い求めてまいりました。

庄川は柚子の産地としてつとに有名ですが
文字通り美人の多い事でも有名です。
今回 それを実感してきました。

トナミ醤油さんという素晴らしい蔵を発見できて幸せでした。
しばらくここの商品から目が離せません。


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