2015.09.27 マタギの店ー2
くま丼が出てきた時にそのあまりに美味しそうな景色に
思わず箸を出してしまい映像を撮り忘れてしまいました。
ま、見た目は普通の親子丼風だったということでご容赦ください。

ところが!味はとても力強く旨いものでした。

くま肉と聞くと匂いや癖があるとか、硬いのじゃ? などと
思われる方もいらっしゃるでしょう。

かつて鹿肉のところでも書きましたが
もし、そんな野生肉を食べて好印象を持ってないという方が
いらっしゃいましたら   それは携わった方々のせいです。

仕留めるには  
道具の選定、方法、時期、場所、個体の選別、狙う部位、など
様々な要因があります。
例えば鉄砲で撃つ場合でも何歳の個体の(オスメス含め)
どこが急所なのかを熟知したうえで正確に仕留める。

各種罠ならそれに適した場所を選ぶ、掛かった獲物を苦しませずに仕留める。

などと難題ばかりな上
仕留めたら素早く解体して血抜き作業をしなければなりません。
何10キロもある個体だと山から下ろすだけでも恐ろしく重労働
なのです。

悪い例をあげるとこうです。
急斜面にいた熊を撃ち仕留めたはいいが日も暮れかかっていて
谷に転落した熊を収容するのは難儀だったので翌日にした。
(実話)

エゾシカを撃ったが半矢で(致命傷ではない浅い傷)
長時間逃げ回られてやっとの思いで仕留めた。(実話)

身肉が活きているうちに血抜きしないと全身が血なまぐさくなるのは
魚と同じです。
またいたずらに長く怖がらせ、苦しませてしまうと酸が増えてこれも
味を落とす原因となります。

つまり仕留める人、解体する人の技量次第で味は決まるのです。
命あるもの
肉であれ、魚であれまた野菜、米、はては水まで全て同じです。
そこに感謝の気持ちがありやなしや   で違ってくるのです。

食べ物じゃない切り花ですらがそうではありませんか?
高千代さんは
「熊肉が美味しくないというイメージを持つ人がいる」
のを
「なんとか払拭したい」
と考えそのための努力を惜しまないのです。

市販の肉を業者から電話一本で仕入れて大した手当もせず
『美味しくない』とクレームがついたら精肉店のせいにする
そんな怠け者料理人の多い事を知っている私からすれば
まさに料理人の鑑です!

次に
熊のつけ蕎麦が出てきました。
熊肉を煮込んだつけ汁はいうなれば鴨蕎麦の変型判です。

「蕎麦に塩を振ってあります。最初はそのまま召し上がって」
と言われて一口食べるとこれが
驚くほど旨いのです。

蕎麦が? 塩が?
いえそのどちらも美味しいには違いありません  が!
そのどちらもの美味しさを引き立たせる本体が

だったのです。

こう書くと水が重要なのは判り切っているよ  と
思われるかもしれません。

確かに水の不味い所では大したものは作れない
その反面
水の良い所では何を作っても美味しくなる

というのが通説です。

私も地下水大好き人間ですからかつて何度も各地の
美味しいと言われる水で蕎麦を打ちました。
ところが!
案外に味には作用しないことに気づき拍子抜けしたことが
あるんです。

ここの蕎麦を食べて直感を得、お冷やグラスの水に蕎麦を
浸して食べてみました。
案の定
先ほど感じた旨みポイントがアップしたのです。

蕎麦の仕込み水も重要ですが
仕上げに洗う水ももっと重要だったのですね。
蕎麦にまといついたその美味しい水が美味しさの何分かを
受け持つ
という不思議な実感を初めて勉強させていただきました。

ここほどの名水に恵まれていないところでは
ではどうすればいいのか?
敵わないさともろ手を挙げてしまうのか?
いいえ
ひたすら技を磨くしかありません。
精進こそが勉強なのです。

おかげさまで素晴らしい教訓をいただきました。

ご長男さんは秀才で京都大学に進んでおられたそうですが
知識の世界に見切りをつけて
お父さんの活きた知恵の世界へと戻ってきたそうです。
きっとこれからも地に足付けた素晴らしいお店を発展させて
行かれることでしょう。

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また訪問する日を待ちわびて今から楽しみにしています。
五箇山に素晴らしき店あり

マタギの店「高千代」さんでした。
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