やまびとはワラビの出る山を「ワラビ山」
ぜんまいの出る山を「ぜんまい山」などと呼びます。
これはキノコなどでも同様です。
人の名字で「栗山さん」というのも案外似た事情なのかも知れませんね。

ぜんまいは半日蔭を好みますがワラビは陽光さんさんといった
場所に繁茂しますのでとても暑い山菜採りになります。
そんなワラビ山に今年も出かけてきました。

車を降りてから小一時間山道を登るとそこは一面のワラビ。
わずかな笹や低木があるもののススキや野バラなどの
株間から、あるいは見渡す限りの野原いたるところから一杯に
萌え出ています。

そんな中、リュックを担いで行きつ戻りつ採り進みます。
前掛けエプロンが一杯になると背中のリュックを下して
移し替え、ついでに水を一口飲み、汗を拭きます。

日当たりの良い、日陰の無い山の上というのはこんなにも
暑いのかと毎年呆れるほど汗をかきます。

昔からワラビ採りは「女子供の山菜採り」と言われます。
ぜんまいほど急崖でもなくススタケ採りほどの危険もない
比較的平坦な場所での事だからです。

でもそれは手提げかご一杯とかザック一杯とかの
収穫量での話です。

山菜採りも大量に採る、採れるとなるとそれがどんな種類であっても
ハードになります。
以前にフキノトウを大量に採って八百屋さんに卸し、
その代金を西アフリカの食糧支援金に当てていた時
『フキノトウ採りってこんなに大変だったっけ???』 と
嘆息したことがあります。

ここのワラビ採りもハードです。
大きなリュックに一杯採ると肩に重くのしかかり
うっかり下方にしゃがむと転げ落ちそうになるほどです。

事実この場所では転げ落ちたお握りを見かける事も
珍しくはありません。
”おにぎりころりん”だけなら笑えますが、高齢者が坂を転げ落ちたら
笑い事じゃすみませんね。

でも斜面の笹原から大きなワラビが頭をもたげていると
「行かざるを得ない」と前のめりに進入するのです。

日当たりの良いところでは3~40cmくらいが採り頃ですが、
笹原や藪の中では日照を求めて1m位まで伸びています。

それが少しも硬くなく下で手折ると上の方もその衝撃で
折れてしまうほど柔らかいのです。
笹原に体を預けるようにして一本ポキリと手折ると、
もう少し先の方にまた一本顔を出しているのが見えます。

そこでもう一歩足を踏み込み反対側の手で手折ります。
するとまた目と鼻の先にもう一本という具合にキリがありません。

そうするとあたかも笹原の上をクロールで泳いでいるような様に
なっているんです。

地面には枯れたワラビが分厚くワラでも敷き詰めたように
腐葉土の層となり ほんの数センチ顔を出しただけにしか
見えないワラビでも根際をグッと押さえこむとその2~3倍の長さで
収穫が出来ます。

全山がこの調子です。
しかも他の山菜と違ってワラビは採れば採るほどより一層萌え出る
と言われています。
これも子孫を残すための遺伝子構造なのでしょう。

ですから採り頃を過ぎて葉を展開したものは積極的に折りなさい
とも言われております。
実際の所はそんな暇などないのですが、
ワラビの実態はタケノコと同じく地下茎だと言われます。

胞子を撒き散らすために栄養葉を伸ばしてはいるものの
本体は地下茎だと言うのです。
秋に地上部位が枯れても栄養を蓄えた地下茎はゆっくりと冬眠して
春を待つわけです。

ですから次々に手折られても続々と増産してくるという説です。

ちなみに
この地下茎を秋に掘り出して作るのがワラビ粉で
それで作る代表がわらび餅です。

本物はなかなか見かけられなくなりましたがとても美味しいものですよね。
地上のワラビは人間しか採り食べませんが、
この地下茎が大好物の獣がいます。

イノシシです。
温暖化の影響で雪国にまで北上してきています。
クズの根やワラビの根を盛んに掘り返して食べます。

こやつが来るとタケノコなど人間には採らせてはもらえなくなる
とまでは聞き知っていましたがこの様子では
いつまでワラビの海で泳げるのやら  と心配になります。
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