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川で網を使っているとモクズガニがかかることがあります。
これは上海ガニの仲間だとかで、事実富山在住の中国人が
河口近くで捕獲しているのがよく見受けられるそうです。

このカニには忘れられない思い出があります。
50歳を待たずに亡くなってしまった同期の友人がいて
彼の義父がこれの大好物だったんです。

某日、乞われて一緒に上市川河口まで捕獲に行きました。
この手の仕事が大の苦手な彼の代わりに山ほど捕りました。

目の不自由なその義父の目の前に大きな洗い桶に
ゆで上げたばかりのカニが山のように積み上げられると

「さ!おまんさぁらも食わんか」というが早いか
実は目が見えているんじゃないの?  というぐらい素早く
次々にバリバリと食べ始めるのです。

私たち二人が唖然と見守るなか大量のカニはあっという間に殻だけになったものです。
ご機嫌だったその義父が憤然と怒りはじめたのはそれからすぐ後でした。

怒らせたのは当時20代後半だった私。
「サクラウグイが美味しいんだ、君も食べたことがあるか?」
と問われ
当時海釣りしかしていなくて川魚の事を知りもしないで
不味い海のウグイと混同したんですね

「あんな不味いものは食べたくない」
と答えてしまったからです。

「食べたことも無いのに! 
と大いに怒り散らして
「よし、今度用意するから美味しいか不味いかよっく味わってみろ!」
と言われて帰宅したのです。

それっきりだろうと思っていたら
本当に数日後かの友人からお声がかかりました
あの親父さんがウグイ料理を用意するから来いと言うのです。

行ってみて驚きました
味噌田楽をはじめ数種類のウグイ料理がそれこそ
卓上一杯に並んでいてそれが本当に旨いんです。

手をついて感謝と先日の非礼のお詫びをし、
己の不明を反省した次第です。

この時が私の川魚の初体験となりました。
おそらくこの経験がなかったら今も食わず嫌いだったはずです。


夜にテンカラ網で鮎を獲っていたら
大物だと思ってビクに入れていたうちの二匹がウグイでした。
普通は放すのですがこの夜はモクズガニも捕まえていたので
ふとあの親父さんを思い出して持ち帰ることにしました。

ちょうど鮎味噌を仕込むための蓼があります。
蓼味噌田楽にしてみましょう。

ウグイはうろこと腹を出してよく洗います。
軽く塩をしておき、その間蓼をすり鉢でよく擦ります。

次に味噌とみりん、砂糖とを足して甘味噌に仕上げます。
ウグイの塩を洗い落として焼きます。

9割がた火が通ったところで蓼味噌をたっぷりと塗り
仕上げ焼きをします。

これで完成。
ウグイの蓼味噌田楽。

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焼きたてにスダチやカボスなどのかんきつ類を絞って頬張ります。
この日は沖縄のシークワーサーをかけました。

懐かしい、美味しさです。
鮎は珪藻を食べ、カジカは肉食魚。
そしてウグイは雑食ですからそれぞれの味は異なりますが

むしろ海魚に近い味わいです。

富山市では海魚に偏っているから川魚を嫌う傾向がある
とは
釣具店の店長をしていた芝さんの言葉ですが
確かに私もいままでほとんど食べてこなかった方です。

でも、イワナや鮎の他にも美味しい獲物が一杯いると思えば
『どれ、片っ端から食べて行ってみようか』
という気になります。

あぁ今もあの人たちが存命なら鮎やウグイを今度は私が
振る舞ってやれるのに・・
と思いつつ杯を重ねました。

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