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ホタルイカをフードプロセッサで粉砕して調理する
という事を始めてからは止まらなくなっています。

面白いのです。

イカといってもその種類は沢山ありますが最も一般的な
スルメイカ(真いか)は身肉の風味がとても強く
ほんの少し材料に混ぜるだけで効果抜群です。

でもそれがゆえに毛嫌いされることも多いのです。
「何に入れても同じ味にしてまうからアカン」とは
京都のさる老舗の超有名なご主人の言であります。

このご主人は自店で使うのはその他のアオリイカ、ヤリイカ
またはアカイカなどを用途、季節に応じて使い分けるのだそうです。


30年前まで私はホタルイカを獲りに行くのを最優先に
していました。
文字通り狂っていました。

それこそ冬の頃から(冬でも夜釣りをしていながら)計画を
練り、季節、月の運行、風の具合、等などを読み
二月ごろから鬼の形相で獲り捲ったものです。

(ですからその頃の猛勉強のおかげでいつ頃獲れるかという
読みが今でも90%は当てることができます。行きませんが)

そうして
ご近所に山ほど配り、あらゆる調理法を試しました。
釜飯、串揚げ、焼き石、チリソース、麺類、煮込み・・・
そうして結論。

「ホタルイカは何にしてもホタルイカの味にしかならない」

獲りに行くのを止めたいきさつについては書きとどめたい
事もありますが、
それはさておき、
大量に獲らなくなった分色々試さなくなってはいました。

でも最近思うところがあって粉砕してみるとまるで違った
結果に自分でも驚いているところです。

ホタルイカは真イカと違って身肉自体の味は弱いのです。
その代わり肝の味が強いので、その印象が決め手になっています。

つまり、肝の味をホタルイカの味だと錯覚している訳です。
ちょうど牛肉の味と牛脂の味を混同、錯覚しているようにです。

それを説明するまえにホタルイカのオスの話をしましょう。
オスは冬の間にメスの体内に子種のカプセルを移植したら
もう用無しになるそうです。

そうして春の産卵時期に獲れるホタルはほとんどメスばかり
なのですが、ほんのまれにオスが混じっていることが
あるのです。

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これが私の作る沖漬けに入っていたオスです。
2~300匹に1匹くらいの割合でしょうか
上のメスに較べるとまるで子供ですね。

とても小さな体で有体に言って不味いです。
なぜなら
白子も卵巣もない、オマケに産卵に備えて体力を溜め込むべき
肝も未成熟だから言って見れば”からっぽ”だからです。

でもむしろこのオスこそが本来のホタルイカの味なのです。

鮎を好む人は初夏から美味しいと食べますが抱卵した
子持ち鮎をさらに珍重します。

でもホタルイカは産卵時期のものしか美味しくはないと
言っても言い過ぎではありません。
それが証拠に
浜で茹で上げられて箱詰めにするときにオスは無情に
ポイッと捨てられるのです。

私の作る沖漬けでも除外します。

2月の終わりごろから獲れ始めるホタルイカはまだ肝が未成熟で
味が乗っていません。
初物だということで高値がつきますが味としては未完成なのです。

そして沢山揚がり出して値が落ち着く頃が最も美味しい時期で
これを過ぎて5月頃になると今度は肝が充実しすぎてくどくなって
来ます。

今年は例外的に5月でも小型が多く美味しいままですが、
あくまでも特異な現象です。

ところが、一匹づつを黄身酢などでちんまりと食べるのなら
季節に関わらず美味しくいただけるのですが
凝った料理にしつらえるとたちまち先ほど書いたように
この強い肝の味が立ちはだかってしまうのです。

そこで粉砕です。
こうすることで一匹づつの食感は失われますが
味を平準化するという効果が生まれます。
つまり、あの強い味を弱めたり、矯めたりコントロール可能になる。
というわけです。

とりあえず
コロッケにしてみました。
普通の手順に粉砕ホタルを加えただけです。
案の定、やさしいしつこくないイカの味が楽しめます。

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次はショートパスタです。

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ガーリック、オイル、いずれとも相性がよろしくて
食べ過ぎてしまいます。

普通に食べて飽きたら粉砕ですね。

そうそう
フキノトウの伸びた葉をむしってジェノベーゼソースのような
ものを添えてあります。
普通はバジルで作りますよね。

ナッツ類を加えてコクを出すのですが普通は市販のおつまみなどの
ナッツで充分なのですが、
今回は生のクルミがあったのでこんがりと揚げて加えました。

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ナッツ類を揚げる時は超低温が基本。
火力を最弱で油を入れると同時にナッツを入れてじっくりと
加熱してこのくらいで上げます。

ミキサーでオイルとともに仕上げますが、私はミキサーが無いので
すり鉢で仕上げます。


やさしい山菜の風味がホタルイカにマッチします。

海のものと山のもの、タイミングが同じもの同士は仲良しなんです。
新ワカメとたけのこ などがその最適例ですね。

ついでに言うと
イワナご飯を炊くときに同じ河の流域で採った山菜を入れると
さらに美味しくなります。

料理の味も自然に大きく支配されていると感じる瞬間です。




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