2016.02.28 鴨について
果たしてラーメン好きに「鴨」は受け入れてもらえるのか?

と一抹の危うさを感じつつもスタートを切りました。
案の定初日の昼はほとんど出ず、夜に若干盛り返しつつも
『やはり馴染まないのか?』と思いつつ翌日は定休日

ところが!
開けて水曜日には爆発的に出ました。
初日に食べられた方がお連れ様を伴ってのリピートまで
あるほどです。

一安心しました。

最近よく行っている蕎麦店でもこれは同様のようで
「変りメニューなんてやらなければ良かったと思う日もある」
と率直な感想を聞きます。

私はその手の試行錯誤をン10年と続けてきていますから
「くじけちゃだめだよ」  と励ますのですが
私自身常にプレッシャーと疑念にさいなまれ続けても
いるのです。

楽しい仕事にはそれ相応のリスクはつきものなのですね。
でもありきたりな仕事だけじゃ明日に繋がりません。

ご注文いただいた
ほぼ全てのお客様が美味しいときれいに食べていって
いただけます。
たっぷり入れているネギのひとひらさえ残っていないのが
その証拠です。

でも、ただ一人 I さんが言うのです。
「鴨は脂くどいからどうかしら?」  と

先に”不用心な一言は食の遍歴をさらけ出してしまう”
と書いたことを覚えておいででしょうか?

まさにこの一言が逆説的に言い得ているのです。
I さんは随分と高価な食事をしてきてらっしゃるようです。
国産の脂の乗った鴨肉は脂が多過ぎて
「まるで脂を食べているようだ」と言われます。

確かに高級な鴨肉は脂層は分厚いです。

今回の当店のメニューは輸入品でそれ程でもありませんから
と申し上げて食べていただきました。

卵の時にも少し触れました。
上質なものは確かに美味しいのですが
同時にくどい味にもなるのです。

ですからそれを矯める技術が求められるのです。
あるいは知恵と置き換えてもよろしいでしょう。

良い肉を使って美味しいメニューを修行先で習う。
そんな事は誰でも一度見れば出来るようになります。
困難なことは  その時その時の素材の状態に応じた
最適を施すことなのです。

腕の良い寿司職人は魚を〆る時に脂の乗り具合に
応じた塩の振り加減をすると言います。
習った事をただおうむ返しをしているだけじゃ”足りない”
のです。

その過不足の無い最適を学ぶため、身に着けるための
目を養い、勘を掴む時間がかかると言う訳です。

今回の鴨肉ラーメンでは多過ぎるほどのネギがそれ
加減の減にあたります。

もちろん他にも隠れた加の仕事はあります。
それら全てがただ一言
「美味しい」の為です。

プロのカメラマンが会心の一枚を”たまたま”得るなど
あり得ないように
美味しい一杯を得るにも作戦や技を駆使してこそ
仕事を支配できるのです。

手間と時間を掛けて仕込むのも全て過不足の無い味を
作り上げる為、
そうしてやっと笑顔をいただけるのです。

「鴨肉ラーメン」は本当に美味しいです。
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今まで変りメニューは星の数ほどやってきましたが
その中でも”ヤガラの天丼”や”ず丼”とか
”すっぽんのたまご掛けご飯”のような
何年たっても思い出していただけるようなレベルになりました。

予定では3月の第二週までです。






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前回ご案内致しました鴨肉ラーメンを本日より始めます。
試作段階でのいくつかの課題を全てクリアして完成いたしました。

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冬ネギと鴨治部煮のラーメンです。
麺はストレート細麺です。
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鴨肉は切り方を工夫してより食べやすくなりました。
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片栗粉が付きすぎる点を工夫してスムースになった結果
スープのとろみ感は若干弱くなりましたが
鴨の美味しい脂が染み出た力強い味わいはそのまま、
今日のような肌寒い日は体の芯から温まります。

毎回書いていて恐縮なのですが
冬のネギは本当に柔らかくて甘味があり
ブリ大根の主役は大根ではないのか!  と
言われるが如く

むしろネギの方が主役なのではないのか!   というほど
ネギの存在感が強いのです。
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美味しいものを作る時の要諦は美味しい所を強調する
という基本を踏まえていつもは麺の追加時には
チャーシュー耳をおつけしていますが
今回はネギの炒めたものをご用意します。
どなたもきっと得心されるはずです。

スープはかつて和風ラーメンを出していた時の物を
更に進化させたあっさりとしていながらも
深いコクを持つものに仕上げました。

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当店が作るのですから当然無添加です。

化学調味料をはじめ怪しい添加物が一杯発売されており
無添加と表示してあるのに期待して行ったら
「食べられなかった」
とおっしゃるお客様が当店には沢山お出でになります。

怪しいものなど加えなくともこの日本には美味しいものは
沢山在るのです。
五箇山の高千代さんですら入れないでちゃんと「味」を
作っておいでです。

かつて
店内に表示していた文をもう一度ここに書かせていただきます。

”ラーメンは味の素を入れなければ成り立たないなどと
言われていることが間違いであると証明するために
和風ラーメンをお出ししています
腕の無い職人がもっと安直にと作り始めて広がったのが
実際なのです。”


無添加でも麺の追加には耐えられます。
本当の仕事というのは裏切りません。

味の素だけに依拠したものではただの一玉の追加麺にすら
耐えられません
味の素と言うのは裏切る奴なのです。




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2016.02.20 鴨肉ラーメン
2月22日(月)より鴨肉ラーメンを始めます。
鴨は冬に脂がのり、より美味しくなると言われますが
残念ながら今回は冷凍ものそれも輸入、ハンガリー産の
鴨ロースを使用します。
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国産では価格を数千円に設定しなければならないから
おいそれと手が出ません。

ハンガリー産がお安いのはフォアグラを採った後のものだから
そうですが十分鴨肉の上品でこくのある味を堪能できるものです。

鴨は時知らずでももうひとつの材料
この時期ならではの素材としてはまたまた「ネギ」です。

じっくりと炒めたネギは柔らかく甘く、
鴨の脂と相まって絶妙のコンビネーションを発揮してくれます。
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ですから今回は他には何も加えません。
余計なあしらいや飾りなど全て蛇足です。

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じっくりと味わってください。
見た目は頼りなさげでしょうが
食べるとどこにも無い深い味わいがお楽しみいただけます。

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鴨南蛮とも一味違います。

鴨肉はスライスしてから下味をつけ
かたくり粉をつけて煮ます。
加賀料理の「治部煮」の手法です。

旨みを閉じ込め口当たりがとろりとなります。
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なお今回の画像はまだ試作段階のもので丸切りになって
いますが、もっと食べやすくするための改良を経て
半切り(三日月型)にするかも知れません。

その点をご了承ください。

今回も細麺で実施いたします。
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鴨肉から出る旨みと脂のコク
表面から溶け出た片栗粉が若干スープに柔らかなとろみをつけ
しっかりとした固ゆでの麺に程よく絡みます。

鴨肉ラーメン  800円
土日祝を除く平日のみ
昼夜OK
麺の追加 一玉 200円

ご来店を心よりお待ち申し上げます。
冬ネギと鴨治部煮のラーメンです。
スープは淡麗仕立てです。

うどんを美味しく食べると言えば
ざるうどん、掛けうどん、釜たま と色々ですが
それらは水分勾配しか持っていないエセうどんでも
そこそこ美味しくなってくれるものです。

本物のうどんをせっかく打ったのなら”ならではっ”という
ものを作りましょう。
「焼きうどん」です。

え”~焼うどん~っ?
  と思った人 あなたは甘い! 

ここで中華料理店時代の昔話をしましょう。

某寿司店での事
たまたま隣り合わせたウチの常連客が
「貴方のトコの焼きそばが好きで行ってるんだ」 と
嬉しい事を言ってくれたのです。

毎度私が書いているように
正しく下ごしらえをした焼きそば麺はアルファ化(糊化)
されており低加水麺であってもコシのあるような美味しい
弾力を持っているからなのですが、

それを聞いた寿司店親父さん
「ほう、どんな焼きそばなんや?」と口を挟んできました
それで仕込み方法を飛ばして
「具材と麺を醤油味で炒めるんです」
と簡単に答えたところ

「なんや  焼きうどんみたいなもんか」
と鼻で笑ったのです。

この一言でどの程度の食遍歴を持っているか
どの程度の食に対する情熱があるのかが知れます。
迂闊な一言というのは裸と同じ、恐ろしいものです。
道理でそこの・・・・・・・・・・ ゴホゴホ 

失礼しました、年寄りの昔話でした。

焼きうどんの発祥地では乾麺からゆでて作るそうです。
パスタでいうところのアルデンテ
すなわち85%程度の茹で加減、まだ芯の残る部分を残す
ここに美味しい味を染み込ませて程よい硬さに仕上げる
という工程が必要なのです。

ではどんな味を染み込ませるか?
豪華な具材でブイヤベース風にするか
肉たっぷりのイタリアン仕立てか
あるいはカレー味か?   と自在すぎて悩んだ結果

「ネギ」にしました。
ネギ、カツオダシ、醤油とみりん同割のカエシ 花ガツオ

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それだけ用意しました。
ではネギの切り方は?
魯山人氏いわく。”ネギを加熱する時はぶつ切りに限る”

世に「魯山人のすき焼き」と言うものがあり
平らなすき焼き鍋にびっしりと同じ長さに切り揃えたネギを
立て並べて煮た   と言うものです。

先に白髪ねぎは歯に挟まるから斜め切りにと書きましたが
加熱する時はこの切り方がベストなのです。
まさにケース・バイ・ケース。

うどんをたっぷりの湯で茹でます。
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沸騰した湯にうどんを入れ蓋をします。
これで再沸騰までの時間を最短にしましょう。(これ重要)

沸騰したらやや弱めて約10分
ラーメンのようにそのまま熱いスープに入れて完成という
場合はつまんで硬さを見ればOKなのですが
うどんはつまんでから水に冷やしてから食べてみます。

程よい硬さになったらザルに空けて水洗い。
これで表面の片栗粉を落として締めておきます。
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フライパンに油を引いてネギを中火でじっくりと炒めます。
ゆっくり火を入れる事で甘味が立ちます。
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うどんを投入して炒めてカツオダシを加えます。
カエシを加え軽く煮込みます。
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これを私は味を染み込ませるために圧をかける  と
表現しています。
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味見と硬さをチェックして仕上げます。

皿に盛って花ガツオを少々掛ければ完成です。
ネギの焼きうどん
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確かなコシが堪能出来る美味しい焼きうどんになりました。
ネギが甘くて中の芯の部分などとろりと蕩けます。
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ゴテゴテと具材を多くしないで大正解でした。
うどんとネギだけで御馳走なのです。

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「なんや焼きうどんか」   とは言わせません。

本物の手打ちならではの美味しさです。

ぜひお試しください。
コシの話  了。




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さて、長々とコシを尋ねる話を続けてまいりましたが
ここで家庭でも簡単にそれを実感できるものを実践しましょう。

手打ちうどんです。
ちっとも面倒じゃありません。
足で踏むから億劫だったり食べ物を足で?!などと
二の足を踏んでしまう    あ、もう踏んでしまってる?

ホームセンターでこんな丸い棒を買ってきたらもうOKです。
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長さは肩幅ほどもあれば十分。
お店で出すような何キロも作ろうというのなら別ですが
数人分ならこれで楽勝で作れます。

今回は小麦粉(中力粉)を200g
塩  5%   10g
水  47%  94g  これが加水率
ボウルに粉を200g計ります。
別のボウルに塩を10g入れた中に水を94gまで加えます。
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ここで勘違いされがちなのが 10g+94g  ではない
という事です。 10g+水=94g です。
なお94CCとも違います。 (微妙ですが)
(粉の水分含有率でも微妙な差異があります45~52%前後 )

塩をよく溶かしたら粉に入れます。
菜箸でよくかき混ぜます。
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ある程度まとまってきたらビニール袋に移して30分~1時間
そのまま放置します。
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普通はここから足で踏み伸ばしますが今回は手で行うのです。

テーブルに置き麺棒を上から押し付けます。
端から十分押さえつけたら両端を折り畳みます。
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これ一回で3層になります。

角度を90度動かしてもう一度繰り返し両端を折り曲げます。
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角度を90度動かしてこれをと、合計5回繰り返すと
この様に程よく水分が回ったやや硬めの生地となります。
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一日目はここまで  一晩室温で休ませます。
一晩経つと生地はこんなに柔らかく戻っています。
小指で軽く押しただけでめり込むほど
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ここで打ち粉が必要になります。
私たちは焼成澱粉というサラサラしたものを使いますが
ご家庭では普通の片栗粉で十分です。
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テーブルに薄く広げて生地をのせ麺棒にも粉を付けて
「伸ばし」に入りましょう。

まず対角線にのします。
これを角出しと言い、なるべく四角く伸ばすための重要な
工程です。
後はご自由に縦横無尽に伸ばして結構。
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ある程度伸びたらこうして麺棒に巻きつけて
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トントンと手で叩くように中心から横へと手のひらを
移動させつつ転がします。

向こう側でひっくり返してもう一度という風に・・

厚さ数ミリになったら三つ折りに畳みまな板に移し
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カットします。

太かろうが細かろうがあまり気にしなくても大丈夫。
茹で加減にはさほど影響は出ません。

切り終えたら出番が来るまで冷蔵庫保存。

意外に話が長くなったので続きは次回にしましょう。

さて、コシを実感してもらうために何を作りましょうか?

今回は足で踏まないで手打ちうどんを作るまででした。


蕎麦にはコシはありませんと書きましたが、
数ある乾麺の中にはコシのある蕎麦もあります。

でも
よく見かけるなま蕎麦の「手打ち」には確かにありません。
加水をして一気に練り上げるものは一体構造になっているからです。

乾麺でざるそばにして美味しい物というのは意外に
数少ないのですが、コシのある乾麺蕎麦というのは
ほとんど知りません。

私の知ってる中では富山県 五箇山の利賀手延べ蕎麦が唯一それです。
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きっと他にも沢山あるでしょうが、
もし新たに出会ったらおいおいご紹介いたしましょう。

今回は利賀です。
その前に手打ちと手延べの違いをご存知でしょうか?
簡単に復習しておきましょう。

手打ちは店頭などでも見ることができます。
こね鉢と呼ばれる木鉢で蕎麦を練って麺台で伸ばし
包丁で切るものです。

うどんでもよく似た作り方をしますが、
うどんは麺体を足で踏み折り畳んでは踏むという
工程で多層構造を作り、寝かしでコシを強めるという
作業があります。

蕎麦はすぐ伸ばすから多層構造が出来ないのです。
手打ちというカテゴリーでは蕎麦もうどんも同じですが
麺体の中は全く異質な物であるとお解りいただけますでしょうか?

ところが手延べは更に次元が違います。

そうめんでご説明しましょう。

小麦粉を塩水と油で練り桶に入れて寝かします。
包丁で渦巻のように切り目を入れ油を手に付けて
ひねりながら伸ばします。
それを何度か繰り返しある程度細くなったところで桟にかけて
更に寝かしてから引っ張り伸ばして最後は干して完成となるのです。

ですからこれは店頭で行われるようなものではありません。
気候や気温で微妙に影響されます。

富山県にはこれの有名な大門そうめん(おおかど)がありますが、
気温と風を読むのが難しいと言います。

讃岐うどんの釜前でも出てきましたね
この「読む」ことが難しいのはどこでも同じです。

農業の話ですが
ある人が天候不順で作物の出来が悪かったと気候を言い訳に
したそうです。
すると名人が
「そんなことは織り込んでおかないあんたが未熟なんだ」と
斬り捨てたというのです。

もっともその名人ですらがあらゆる事を想定しているにも
かかわらず予想外の事が起る   と言います。
「だから農業は面白い」とは名人ならではの言ですが

まだ見ぬ先を読むのがいかに難しいか
という話です。

話を戻しましょう。
ビックコミックの「そばもん」にこの手延べの事が今週号に
詳しく載っていたので引用させていただきましょう。

手延べそうめんは伸ばすときに植物油を手に付けて伸ばします。
生地にも伸ばす時にも油が入るのでこれを油入り法と呼びます。
いっぽう油の入らない油不入り法では米粉を使用し、その分
そうめんほど細く伸ばせないためやや太めに出来上がる
ものが「ひやむぎ」
もっと太い仕上げにしたものを「手延べうどん」
(引用ここまで)

これらはひねりながら伸ばす時に構造的に
また適度に時間をかけて乾燥させることで寝かし効果を
与えてコシが生まれるのです。

ですから仕込み時期は主に冬です。
夏の暑い空気の中では過乾燥ぎみとなるのでしょう。

では利賀の手延べ蕎麦ではどうでしょうか?
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小麦粉がそば粉より先に書いてあります。
これはそば粉より小麦粉のほうが多いという意味です。

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実際に食べてみましょう。
不思議な食感です。
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蕎麦のザラリとした舌触りは全く無くつるりとしています。
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正確に言うならばそうめんのように作られた蕎麦だから
そうめんに近いのも無理ありませんがこれはこれで
独特の食べ心地というしかありません。

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村の9割以上を森林が占める厳しい環境の中で古来から
受け継がれて来たことを踏まえるとこれはかつて
製粉技術がまだ日本全体で未熟だった頃

私も子供のころ食べたあの蕎麦殻の混入したザラザラで
チクチクした恐ろしく不味い蕎麦をどうにかして美味しく
食べよう、子供にも美味しく食べさせたいと
願ったであろう結果なのでしょうね。

新潟では「へぎそば」がそうでした。
滑らかな食べ心地を得るためでしょう。
「ふのり」を混ぜて作られていました。

利賀手延べ蕎麦を冷たいまま食べると
まったくそうめんと同じような食感です。
もちろんこれはこれでつるりとして美味しく食べられます。

今度は温かい「かしわ蕎麦」にしてみました。
ダシにカエシを入れ関東風の仕立てにします。
ネギと下味をつけた鶏肉を煮たてて
茹でた蕎麦に掛けます。
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これにははっきりとコシを感じます。
細いのですがムニムニとした他の乾麺蕎麦には無い
明確なコシが感じられるのです。
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これは温かい仕立てにした方がよりはっきりと
美味しさが伝わりますね。

蕎麦というよりむしろそうめんだろ?
という突っ込みも聞こえるような気もしますが
古来から蕎麦をいかに美味しく食べるかと
連綿と受け継がれてきた事を考えるとやはりこれは
美味しいお蕎麦でしたと言わざるを得ません。

コシを堪能できる珍しい蕎麦です。
さすが手延べの奥深い技
美味しくいただけました。
ご馳走様でした。






今回はネギをどっさり乗せてのトライ
おかげさまで開始早々ご好評を頂いております。
ありがとうございます。

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自由自在なトライ出来るのもご利用いただくお客様が
いらっしゃればこそといつも感謝をしております。

頭の中には次なる出番を急いて次々に新しい味達が
早く出せ!とかまびすしい事となっております。

ところで
もうお気づきでしょうが以前に聞いたような名前のメニューでも
少しづつしつらえを変えて行っております。

麻婆ラーメンでは一回目は普通に
二回目は摺りたての地元、山椒の粉をおつけする
という風に。

今回のネギは一目瞭然ですから言わずもがなですが
むしろ眼目はひき肉の方です。

”ラーメン好きは放っておくと野菜を全く食べないので
少しでも野菜を多く食べさせたい”

これはミニ丼をやっているころからの私の願いでした。
ですから今回は冬に甘味を増す野菜を刻んで加えます。

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しかし、そのままでは水気が出過ぎて上手く
ありません。
そこで刻んでから干します。
冬の日差しは弱くて心もとありませんが
それでもちゃんと手間をかけた分だけは応えてくれるのです。

また前回同様
アレルギーの方を意識して干しエビは用いておりません。
エビカニの類は入っていませんのでご安心ください。

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ベースを作る全ての食材を明かすことは出来ませんが
今回は一つだけご紹介いたしましょう。

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 これは方うりの漬物です
 昨年の夏に漬けたものです
 普通特段に珍しくもありませんが
 昨年は猛暑で不作でした
ようやく入手して漬け込んでおき、使う事ができました。

古漬けは嫌う人もいますが、スープに加えることで
独特のヒネ感が出ます。
歯ごたえと風味を出してくれる縁の下の力持ちです。

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少しづつ前を
ちょっとでも上を目指して新しい味をと
しかして
全体の味を壊さず
内容を充実させ
ご飯や麺の追加にも耐えうる  盆上の味の総和を
図る姿勢はいつもと同じです。

菓子職人は甘くて甘くどくない甘味を作り出すのに
呻吟します。
唐辛子味噌が辛いからといって砂糖を多量に加えて
甘くどくしては元も子もないように、

辛いメニューだからといって
ただ単純にだだ辛いだけでは退屈ですし
だからといって化学調味料や砂糖系の物をやたら加えるのも
芸がありません。

辛過ぎず、しかもその下に潜む旨みを
いかに取り込み、演出するか?

いつも繰り返す
理(ことわり)を料(はかる)という
仕事の原点。

今回もそれをたっぷりと仕込んで
ご来店をお待ち申し上げます。

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ネギラーメンというメニューがあります。

これをラーメンに単なる小口切りネギを多く入れたもの  と
捉えるとやや退屈なメニューとなってしまいます。

そこには仕事が必要なのです。

長ネギを横に置き真ん中に切り目を入れ斜め切りします。

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これを水でさらしてよく水を切り
ゴマ油と豆板醤か唐辛子を混ぜたものをラーメンに乗せる。

これが本道です。

普通じゃない  手を加えたもの
それがプロの仕事と言えるものです。
単に芋やリンゴを切るだけでもプロとしての厳然たる技があって
然るべきなのです。

たかがネギラーメンごときで何故こんな事を言うかというと
昨今のラーメンブームで金儲け主義が蔓延しすぎて
包丁も満足に使えない素人を雇う所が増えた結果

あろうことか
ネギラーメンを出す所の一部では
生け花の剣山を使ってこんなことをするところがある 
というのです。
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また、ネギの細切りといえばよく見るこんなパターンが
あります。

ネギの白い部分を縦に極細く切って水にさらしたもので
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         ○                 ×

これは白髪ねぎと呼ばれるものです。

見た目は上品そうに見えることから多用されるかもしれませんが
実はこれはあしらいや飾りには使えても具材とするのには
致命的な欠陥があるのです。

ネギの繊維を断ち切っていないから
この状態の長いままでは歯に挟まりやすくなるのです。
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いっぽう斜め切りにすると繊維の長さはわずか1~2ミリで
見た目は雑な仕事に見えても歯には挟まりにくくなっています。

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     左 と     =    右の繊維の長さは同じ

またネギというのは白い部分だけじゃ風味が絶対的に不足
します。
青い所や中心部にこそネギらしい風味があるのです。

私は年末の雪が降る前に毎年大量のネギを買いだめて
ストックします。
雪が積もると相場が暴騰するという事もありますが
この時期低温に当たるとネギが柔らかく一層甘さが引き立つからです。

これをたっぷりと乗せて「ネギ担々麺」を今回の期間限定で
お出しします。

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見た目ほどには辛くありません。

むしろネギの旨さをご堪能ください。
辛さは加減いたします。

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8日(月)は臨時休業をいただき 8、9と連休とし
 10日(水)    よりのスタートとします。
土日祝を除く平日のみ
昼夜OK
800円でのご提供です。

麺追加 一玉200円

その時期ならではの1杯を出し続けて
ご来店を心よりお待ち申し上げます。

哲学者の先生のお話によると
プロとつく言葉はプロジェクト、プロダクト、プロモーション等
沢山ありますが、ではプロという言葉の語源とはというと
”もっと前へ”と言うものがあるそうです。

守るべきは守り
変えて良くなるものは積極的に取り込む
そんな柔軟な姿勢もまたプロフェッショナルたるべき
スタンスであろうかと受け止めました。

全てはもう一歩先のまだ見ぬ
「美味しさ」を得んがために。







私達日本人は小麦粉由来で無くても細長い麺線状であれば
全て麺料理として受け止めます。

蕎麦、春雨、葛切、はてはところてん、魚のすり身だって
ダシに放てば魚そうめんと呼び南瓜ですらがそうめん南瓜
と呼び麺の仲間のようにとらえます。

その中から今回は
「コシ」を語る比較としてビーフンを取り上げてみましょう。
ご存じのようにコメの粉で出来ているから米粉と書いて
ビーフンと呼びます。

中国や台湾ではそのままビーフンと呼びます。
タイやベトナムではこれが大人気で
タイではその太さや幅の違いから様々なものが
作られています。

ベトナムでは毎朝スープに入れた「フォー」を食べないと
一日が始まらないと言われるほどです。

いっぽう日本では今まで正しい作り方が知られていなかった
為と不出来な商品が多かったため長く低迷していました。

原因の一は戻し過ぎだったのです。

細いタイプを長々とぬるま湯に漬け過ぎてふやけ切った
のを手早く調味できない人がゴリゴリとフライパンで
かき混ぜすぎてブツブツに細かく千切れてしまったものを
食べさせられると誰だってビーフン嫌いになってしまいます。

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乾燥保存してあるものですから水、またはぬるま湯などで
戻します。
裏書きの通りに作れば誰にでも簡単に出来ます。

まず、台湾の細いタイプです。
この細いのは焼きビーフン向きです。
台湾でもやや太めの物は汁ビーフン向きになります。

ぬるま湯に漬けて置き、その間具材を用意します.

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今回はエビなどの他になんでも美味しいのですが
旨みを吸わせる重要なアイテムとして干しシイタケと
ベトナムの干しエビの刻んだものをそれぞれ水に戻しておきます


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時たま、ビーフンの硬さをチェック。
硬いのは大丈夫なのです  後でどれだけでも吸水させる事
が出来るから。

ダメなのが戻し過ぎ、ふやけ過ぎです。
後戻りできません。

こうして曲げてみます。
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硬すぎるのは鋭角的に曲がりますが丸く曲がる位に
なったらザルに上げておきます。
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フライパンに油を少々引き具材を軽く炒めます。
酒を入れ
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そして干しエビを戻し汁のまま入れます。
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味付けは塩コショウ、それにトナミ醤油さんのイカ魚醤。
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これだけで簡単に味が決まります。
正しく仕込まれた魚醤には旨みがぎっしりと詰まっているからです。
そこにビーフンを加え炒めます。
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実に簡単に作れるのですが大事なコツは吸水です。
幾分固めに上げたビーフンにエビやシイタケの戻し汁を
吸水させて好みの硬さに仕上げる。

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最後にごま油をひと混ぜして完成です。

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心地よい歯ごたえの美味しい焼きビーフンです。

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ふやけビーフンしか知らなかった人がこれを食べると
目からウロコとなりますが逆にそんなものを知らない
若い世代は素直に旨い麺料理だと受け入れます。

具材はなんでもOK。
味付けだって和風、本場風、イタリアン、カレーと
ご飯がどんな味にも合うように自在に作れる便利な食材です。

でもここには美味しい歯ごたえはあってもコシはありません。

お次はタイの太いタイプです。
細いセンミー
平たいセンヤイ
太いセンレック と大まかに分けられているうちの

このセンレックを使ってフォー(汁ビーフン)を作りましょう。
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これがコシを解明する大きなヒントになってくれるはずです。

ぬるま湯に付けた後沸騰した湯で茹でます。
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全て裏書きしてある通りに行いましょう。

スープに具材を入れ塩コショウ、トナミ醤油さんの魚醤
これも同じです。
味が決まったらごま油を数滴落とし完成

丼にセンレックを盛り、上から掛けます。
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ラーメンで言えばタンメンと要領は同じです。

食べると程よい歯ごたえはもちろんですが
美味しい弾力があるのです。
解っているのにこれをコシと呼びそうになります。
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これはコシじゃありません。

美味しい弾力があるというだけなのです。

一体構造の麺なのでコシがないから
太くしたり固ゆでにする必要があるのです。

こんにゃくでも硬いのもあれば柔らかいのもあります。
つまり小麦粉製多層構造じゃないものでは
茹で加減や太さで「硬さと弾力」を持たせていると言う訳です。

ここで「ところてん」を引き合いにして一体構造麺というもの
を考えてみましょう。
天草(てんぐさ)という海藻を煮だして汁をバットで固めて
天突きと呼ばれる道具で突き出します。

生地は完全な一体構造です。
天草の割合を多くすれば、つまり濃度を濃くすると
強い弾力が得られるという訳です。

他のものではどうでしょう?
ビーフン(フォー)ではタピオカ澱粉が添加されたりします。
冷凍うどんでも澱粉が入ります。

よく勘違いされる蕎麦について触れましょう。
ざるの十割蕎麦では心地よい歯ごたえが得られます。
これは焼きビーフンのやや硬めに仕上げたものと
同類の硬さです。

これを食べやすく、打ちやすくするのに小麦粉を2割程度
加えたものがいわゆる2・8蕎麦ですが
その二割を中力粉ではなく強力粉で打つとどうなるでしょう?

答え、食べ慣れた人でも十割か? というぐらいの
硬い蕎麦になります。
ですからこれを食べた人がつい「コシ」と表現してしまうのです。

そう、一体構造の麺ではコシではなく水分勾配と言う名の
「硬さ」が求められているのです。

粉の種類、濃度、太さ、ゆで時間すなわち吸水加減
これらは全て硬さで食べ心地を演出あるいは表現
させるためのファクターなのです。

多層構造を持つ麺ならそんなものは一切不要です。
柔らかく茹でても、固ゆででもしっかりコシはあります。

もちろんどんな麺を美味しいと感じるかは人それぞれです。
また、何に「コシ」を感じてどう語るのも自由です。
中には学校給食のソフト麺でも
「コシがあるから好きだ」と語る人もいるのですから。

でも、本物のコシを持っているとこんなことが起こります。
当店のお土産専用の「焼きラーメン」です。
生麺を茹でて焼きます。
冷ましてパックします。
冷凍保存します。

お客様がお買い求めになって持ち帰られます。
その間に冷凍は解凍されてしまいます。
それを自宅でもう一度冷凍庫で保存されます。
電子レンジで加熱して召し上がられます。

その麺にちゃんとコシがあるんですよ。
まさに手打ち多層構造の麺にしか出来ない技です。

ちなみに汁ビーフンにカレー粉を投入するとこんな具合です。
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カレー味のビーフンも実に美味しいです。
一度お試しください。

長い記事をお読みくださりありがとうございます。










麺に関する誤解や不理解の解明を書き続けています。
「う~ん小麦粉本来の香り」
などといった誤解を解く比較対象に選んだのはうどん

麦粉臭い話の触媒に取り上げたのは蕎麦でした。

さて、今回は言葉に置き換えるのが至難の「コシ」です。

日本人にとってこれほどよく使われるのに
これほど言葉にしづらいものもないと思います。

ペンキを塗る刷毛でもコシが求められます。
女性が使う化粧用の刷毛、筆、
これらは柔らかさの中にしっかりと受け止める力といった
使い心地を求められることをたった2文字で伝えています。

さて、麺ではどうでしょうか?
柔らかさの中にしっかりとした言わば「芯のようなもの」
それは正しくしつらえられた手打ち麺にあるものです。

噛み始めの最初はふっくらと柔らかく無抵抗のように歯が入り込み
次第に押し返す力が感じられるようになり
最後には小気味よくプツリと切れる様です。

ふわり、むぎゅうぅぅ、ぷつり  です。
一本の麺の中には多層構造があるからこういう事が起ります。

では手打ちではない麺の「コシ」とは何でしょうか?
答え
正しい意味ではそれは存在しません。

いちどきに作り上げるタイプの麺には多層構造が作られていないからです。
ですから茹で加減でそれを演出するしかありません。
それを水分勾配と言います。

水分勾配のみです。

表面の加水が十分な部分と加水の少ない中心部への
水分含有の角度を表す言葉とでも言いましょうか・・

つまり固茹での麺の水分勾配は大きく
スーパーに並んでいるような茹で伸びしたうどんはほぼ0です。

麺とは本来小麦粉を水で練ったものを指す言葉です。
イタリアではパスタ、 だから漢字の一部に麦が入っています。
 
では手打ちではあっても麦以外の素材でできた麺線ではというと
蕎麦、米粉、その他あらゆるものが存在します。
それらに「コシ」はアリやナシや?  というと
やはり正確な意味では ナシ となるのです。

麺線以外に小麦粉の多層構造といえばクロワッサンの生地
などがあります。
バターなどの油脂を塗りながら何度も折りたたむから
焼いたときに表面はサクサクで中はフワリと仕上がる訳
ですが、これなども大きくガブリとやるとコシが味わえます。

肉で言えばロース肉はほぼ一体構造ですから
火は通りやすいですよね。

ところが肩ロース肉では小さな筋肉の束が集まったような
構造ですから火は通りにくいのですが
この二つが一体構造の麺と多層構造の麺との違いに例える事も出来ます。

鶏肉で例えるなら
一体構造のむね肉と筋肉束の収束したもも肉という具合に・・。

つまり火の通りと茹でた場合の水分の浸透具合は似ているからです。

手打ち麺の何度も畳んでは伸ばすという繰り返しの作業で
形成される多層構造麺では水分勾配の出来方が単純ではなく
熱と水分の浸透が段差を持ちながら進行するのです。

クロワッサンの焼け方火の通り方が多層構造の一枚づつ
に違いがあるように   です。

これが一体構造の麺の単純で直線的な水分勾配とは
異なる歯ごたえを生むのです。

これがコシです。
もはや水分勾配などとも言われません。
コシ
このたった二文字で麺の美味しさが表現されるのです。

そう、
わざわざ言わなくても解る、知ってる美味しさ

だったのです
昔から日本人は杵つき餅の出来たての美味しさを旨さを
そのコシを。

ハケでも筆でもコシと表現されるのは同じです。
もちろん小麦粉とは材質は違いますが
最初はふわりと柔らかく次第に反発力を強めていき
放すと素直に元に戻る柔と剛を併せ持ったもの。

これはやはりコシと表現されるのも無理ありませんね。


次回は実際にビーフンを作りながら追求してみましょう。