度々散発的に登場しておりますワンタンメンを
ご用意しました。
今回は少しだけ趣向を変えイノシシ肉を加えます。

山に行くとイノシシが跳梁跋扈して穴だらけになっています。
タケノコなどは人間の採るものが無くなってしまう程の甚大な
被害だと言います。

私の行くワラビ山などでは艦砲射撃でも受けたのか?!と
いう位の巨大な穴が至る所に口を開けていて危険なほど。
人間がワラビ餅でたべても美味しい根の澱粉を食べるんです。

中でも特にひどいのが田畑です。
収穫間近の田に入りゴロゴロと転がります。
これは体についた虫を取るためだそうですが稲穂のチクチクが
彼奴にとって程よいのだとか聞くだに腹立たしくなります。

この田の稲はもうオシャカになるそうです。

これをなんとか食肉として利用しようと今富山県でも
動き始めています。
ですがまだまだ残念ながらハンターさんの数も少なく
安定した入荷が求められないのが実情です。

そこで及ばずながらいささか迂遠ではあっても活用の
一端を担わせていただこうと三重県から仕入れました。

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獣肉の良しあしは一にも二にも
携わる方々の技量に負うところが大なのですが
これは間違いなく一級品です。

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巷には不適な処理肉を食べて
臭い・硬い・不味い
などの不評も多々ありますが、

かつて当店でナマズの丼をお出しした時と同様の
セリフを述べさせていただきましょう。

美味しいものを更に美味しくするのが
それに携わる者の役目
「旨い!」と言わせるのがその最終調理者の私の”仕事”です。

イノシシ肉だけでも十分美味しいのですが
これにベクトルの異なる旨みをかませることで総和の
レベルを押し上げるため富山県産豚肉と能登健康鶏を加えます。

力強い旨みはイノシシ
豚肉は総体をまとめるボディとなり
良質の鶏肉は加熱によって素晴らしいジューを出して

それらをひとまとめにするのが卵白を泡立てたメレンゲです。
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ラーメンからすくい出して口に入れると
中から熱い肉汁がこぼれ出て熱い美味しさが広がります。
メレンゲの気泡が肉とスープの旨みを抱え込んでいるからです。

『大空に浮かぶ雲を食べたい   』  と夢見た人が名づけた
雲呑麺  ワンタンメン

鶏の照り焼きとひき肉のそぼろを添えて本日、スタートです。
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「特製ワンタンメン」  800円
土日祝を除く平日のみのサービスメニュー
もちろん麺の追加もOK
昼夜ともにOK


なおワンタンはトッピングとしても有効です。
「ラーメンにワンタンのトッピング」 850+200=1050円
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「チャーシューメンにワンタンのトッピング」
                     1200+200=1400円
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となります。

ただ単に
「ワンタンメン」とだけの御用命では「特製ワンタンメン」となります。

丼の小宇宙に浮いた一朶(いちだ:ひとかたまり)の雲と
なりえているでしょうか?
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2015.09.27 マタギの店ー2
くま丼が出てきた時にそのあまりに美味しそうな景色に
思わず箸を出してしまい映像を撮り忘れてしまいました。
ま、見た目は普通の親子丼風だったということでご容赦ください。

ところが!味はとても力強く旨いものでした。

くま肉と聞くと匂いや癖があるとか、硬いのじゃ? などと
思われる方もいらっしゃるでしょう。

かつて鹿肉のところでも書きましたが
もし、そんな野生肉を食べて好印象を持ってないという方が
いらっしゃいましたら   それは携わった方々のせいです。

仕留めるには  
道具の選定、方法、時期、場所、個体の選別、狙う部位、など
様々な要因があります。
例えば鉄砲で撃つ場合でも何歳の個体の(オスメス含め)
どこが急所なのかを熟知したうえで正確に仕留める。

各種罠ならそれに適した場所を選ぶ、掛かった獲物を苦しませずに仕留める。

などと難題ばかりな上
仕留めたら素早く解体して血抜き作業をしなければなりません。
何10キロもある個体だと山から下ろすだけでも恐ろしく重労働
なのです。

悪い例をあげるとこうです。
急斜面にいた熊を撃ち仕留めたはいいが日も暮れかかっていて
谷に転落した熊を収容するのは難儀だったので翌日にした。
(実話)

エゾシカを撃ったが半矢で(致命傷ではない浅い傷)
長時間逃げ回られてやっとの思いで仕留めた。(実話)

身肉が活きているうちに血抜きしないと全身が血なまぐさくなるのは
魚と同じです。
またいたずらに長く怖がらせ、苦しませてしまうと酸が増えてこれも
味を落とす原因となります。

つまり仕留める人、解体する人の技量次第で味は決まるのです。
命あるもの
肉であれ、魚であれまた野菜、米、はては水まで全て同じです。
そこに感謝の気持ちがありやなしや   で違ってくるのです。

食べ物じゃない切り花ですらがそうではありませんか?
高千代さんは
「熊肉が美味しくないというイメージを持つ人がいる」
のを
「なんとか払拭したい」
と考えそのための努力を惜しまないのです。

市販の肉を業者から電話一本で仕入れて大した手当もせず
『美味しくない』とクレームがついたら精肉店のせいにする
そんな怠け者料理人の多い事を知っている私からすれば
まさに料理人の鑑です!

次に
熊のつけ蕎麦が出てきました。
熊肉を煮込んだつけ汁はいうなれば鴨蕎麦の変型判です。

「蕎麦に塩を振ってあります。最初はそのまま召し上がって」
と言われて一口食べるとこれが
驚くほど旨いのです。

蕎麦が? 塩が?
いえそのどちらも美味しいには違いありません  が!
そのどちらもの美味しさを引き立たせる本体が

だったのです。

こう書くと水が重要なのは判り切っているよ  と
思われるかもしれません。

確かに水の不味い所では大したものは作れない
その反面
水の良い所では何を作っても美味しくなる

というのが通説です。

私も地下水大好き人間ですからかつて何度も各地の
美味しいと言われる水で蕎麦を打ちました。
ところが!
案外に味には作用しないことに気づき拍子抜けしたことが
あるんです。

ここの蕎麦を食べて直感を得、お冷やグラスの水に蕎麦を
浸して食べてみました。
案の定
先ほど感じた旨みポイントがアップしたのです。

蕎麦の仕込み水も重要ですが
仕上げに洗う水ももっと重要だったのですね。
蕎麦にまといついたその美味しい水が美味しさの何分かを
受け持つ
という不思議な実感を初めて勉強させていただきました。

ここほどの名水に恵まれていないところでは
ではどうすればいいのか?
敵わないさともろ手を挙げてしまうのか?
いいえ
ひたすら技を磨くしかありません。
精進こそが勉強なのです。

おかげさまで素晴らしい教訓をいただきました。

ご長男さんは秀才で京都大学に進んでおられたそうですが
知識の世界に見切りをつけて
お父さんの活きた知恵の世界へと戻ってきたそうです。
きっとこれからも地に足付けた素晴らしいお店を発展させて
行かれることでしょう。

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また訪問する日を待ちわびて今から楽しみにしています。
五箇山に素晴らしき店あり

マタギの店「高千代」さんでした。
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今年、山菜採りに走るうちに気になるお店を見つけました。
それでシーズンの終わりにやっと行けましたのでご紹介します。
お店の名前は「高千代」さんといいます。
土産物店で聞くと
リピーターの多い知る人ぞ知る  名店なのだそうです。

ようやく訪問出来ました
店主ご本人は鉄砲撃ち  すなわち猟師さんです。

メニューには熊、鹿、イノシシ、キジ、ハクビシン、すっぽん
岩魚、山菜、キノコと垂涎のお品書きがずらりと並びます。

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この辺りでは昔から熊をよく食べてきたそうでして
もっとも、こんな手の込んだ料理じゃなく
吸い物仕立ての澄んだダシに牛蒡や豆腐程度の具を加えた
熊鍋だったといいます。(by 土産物店談)

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店主は相当な働き者で
一年中野山を駆け巡り獲物を獲り、さばき、備蓄し、
山菜を採り、さばき、備蓄し、
キノコを採り、備蓄し、
しかもその合間に畑を耕し、大豆を作り味噌を仕込み
蕎麦を育ててお店で出す

という超人なわけです。
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大豆は毎年鹿が食べるからその分を多めに作付けするのだ
そうですが昨年はどういう訳か食べられなくて済み
その分余ってしまって豆腐屋さんに売った。
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などと笑い飛ばすのですが
これ、相当な仕事量なのが想像できますでしょうか?

また、
一口に蕎麦を育ててるというと
『わ~  いいわね♪』
などと嬌声が上がりそうですが
その仕事の大変さと言ったらとんでもないレベルなのです。

現に
「蕎麦は大変でしょう?」と聞くと
息子さんは
「もうこんなのは止めてくれ!」と悲鳴を上げている
との事です

ま  でも止めないですね
あの顔じゃ。

この蕎麦で面白い事を発見するのですが
それは次項に回すとして

メニューには熊のもつ鍋というのがあります。
はて?
「内臓は食べません」(by 土産物店談)
と言ってたはずだけど

と思い尋ねると
「自分で食べて美味しかったら人にも食べさせたいから」
とさらりと答えます。

この一言でご主人が大好きになりました。
それこそが料理店、料理人の原点なのです。

華やかな技量を誇ったり、競ったりは何のためにあるのか
をすっかり忘れ果てたような
それどころかひたすら手を抜いて安直な金儲けばかりに走る
里の料理人に

あらゆる豊富な食材に囲まれていながらよりによってという
モノにばかり手を伸ばす
街の料理人に

違法性さえ問われなければ少々の危険なんか
知らないとばかりに添加物に頼る
食品加工業者に

耳をかっぽじって良く聞け!
と言ってやりたいこの嬉しい一言  

この日は熊のつけ蕎麦とくま丼を頂きました。
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生きるものを殺して商いをすることの罪深さをしっかりと自覚し
「あなたの命をいただきます」といって
手を合わせ自然の恵みに感謝する

という店主は
美味しく食べていただいてにこやかに帰る
お客の笑顔が私の一番の喜びです
と語ります。

これほどのあっぱれな人を私は他に知りません。
人は自分の苦労ばかり語りたがります。

厳しいこの地で子を育て
この地で出来る事を力いっぱいこなしている人の
気負わない力強さにあふれています。

この方にとっては
猟や農耕、その他全て同一次元なのでしょう。
ひとつとして片手間仕事などないのです。

この地で生き抜くという事を決意したその姿に
ここでもまた自然と折り合いをつけて暮らすカタチを見せてもらいました。

美味しかったです。
何年かかるか判りませんが頑張って通い
このあっぱれな全メニューを制覇したくなりました。

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またまたアカニシガイです。
美味しい貝には語りつくせないほどの食べ方があります。

番外としてつぼ焼きをご紹介しておきましょう。
これには苦味部分が無いのでこのまま焼くだけで
美味しくなってくれます。
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直接火にかけて泡立って来たら酒と醤油を掛けてOK
超簡単な料理です。
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でも、
これを基本と置けば応用はかなり広げられる料理でもあります。


ガーリックバターで仕上げればエスカルゴ風となり
バター&カレー粉でやるのも乙なものであり

私が好きなのはいったん取り出してネギぶつやシイタケなどの
キノコ類を加えて詰めなおしたものなどがあります。
味付けも味噌味やごま油を効かせた中華風、
紹興酒を加えたものやオリーブオイルなど変幻自在に化けてくれるものです。

柚庵地の醤油味など面白そうだとは思いませんか?
田楽風の味噌味なども行けそうでしょ?

供する時にはあら塩を敷いた上に乗せて
アルコールを垂らし、火を付けたまま卓上に運べば
演出効果満点ですね。

されどつぼ焼き。

さて、前回は紅焼というクラシックでした。
もう一度古典を再現しましょう。
まさに温故知新
なにも古典ばかりに囚われ続けるという事ではありません。
そこには常になにがしかのヒントが埋め込まれているものなのです。
それをどう感じ、どう再現し、どう作り直すのかが大事なのです。

クリーム煮です。
これにはチキンスープが必要です。

キノコ類、青み野菜、どと合わせます。
スープさえ出来ていれば簡単な調理です。

材料を全て入れて塩味で整え
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エバーミルクを用意します。
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エバーミルクをお玉に入れ水溶き片栗粉を加えます。
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例によって鍋を回しながら少しづつ垂らして入れていきます。
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小返ししつつ固さ加減をみつつ仕上げましょう。
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比較的簡単に出来ますが味付けは
普通は化学調味料と塩でやっつけられることが多いのです。

無添加で作るにはみりん、酒、塩、で整えます。
ここでも力のあるスープが大きな意味を持ちます。
昆布のたっぷり入ったスープにはそれだけでは感じなくとも
料理に仕立てた時に底力が出てくるのです。

特に貝との相性がよろしいのは言うまでもないですよね。

仕上げには鶏脂を少しだけ加えます。
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普通の炒めものや煮物にはごま油が仕上げ油となりますが
こういうあっさり仕立ての時にはごま油は邪魔です。
鶏脂はあっさりとして余計な匂いが無く
コク味を与えてくれる魔法の動物性脂肪です。

獣臭が無い分だけ
私はバターより優れていると思っています。
水溶性なので体への負担も植物性油脂より少なく感じています。

あっさりとしていながらコク味のある一品に仕上がりました。
古典に学びながら私なりの新しい味になったと思います。
アカニシガイのクリーム煮です。

ちなみに、
サバースプーンで取り分ける時の持ち方を説明しておきます。
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人差し指と薬指をまげてスプーンをホールド
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親指と人差し指でフォークを動かして操作します。
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これですくって取り皿に取り、スプーンにへばりついたものを
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フォークでさらい落すといった動作ができます。
ちなみに、小さな茶碗は宴席でのご飯茶碗、またはスープ碗となります。
業界では清湯ボウル(ちんたんボウル)と呼び、取り皿とは決して呼びません。
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取り皿とは手前の小皿です。

またお箸を持つように縦にして操作するやり方もあります。
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最近ではこの二本を添えないお店も増えてきてはいますが、
練習しておくと便利なものです。

慣れるとお皿に添えてあるのをいきなり片手で
まるで菜箸でも取るようにひょいとホールド出来るようになります。

これは普通の人はずいぶん驚きます。
正式な宴席ではトング方式のサバースプーンや先割れスプーン
などは絶対に出てきません。

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前回に続いて再度美味しいアカニシガイです。
磯の貝はとても美味しいのですが加熱するとやや硬くなります。

それと磯の香りが邪魔をする場合もままあります。
私は嫌いじゃないと書きましたがやはり料理によっては
香りを弱める工夫も必要です。

中国料理店で供されるアワビ料理は缶詰のものが多用されます。
これは蒸しアワビと言う名前で見たことのある方も多いはずです。
アスパラと冷製
クリーム煮
醤油煮込み
鶏手羽先と一緒に醤油煮  などでです。

缶詰だからといって侮ってはいけません。
私がかつて仕入れていた頃でひと缶 ¥2,500はしました。
二個入りでです。

今なら幾らぐらいになっているやら見当もつきません。
高級料理なのも無理ありません。

生のアワビを柔らかくするには昆布を当てて蒸します。

その手法でアカニシも蒸しましょう。
アワビより小型だから時間も短いだろうとタカをくくっていたら
結局同じくらいの都合2時間かかりました。
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竹串がすんなり通ったら火を止めてそのまま冷まします。
すると煮汁には磯の香りはしますが、身からは随分と抜けています。
柔らかく癖の無い上身は何にでもしつらえることができそうです。

度々書いていますが魚介の紅焼料理にはスープが不要です。
水だけで美味しくなりますからご家庭でも簡単にトライ出来ます。
ただしその分、良いネギと良い乾燥シイタケが必要です。

どういう訳か中国産のシイタケでは美味しい味が出ません。
どれだけ長く置いても見た目が全く劣化しない  と
不思議がられる原因と同根のような気もしますが
あくまでも想像でしかありません。

美味しい香りと味が欲しいからシイタケを手に取るのです。
だったら国産一択でしょう。
(と、「高くて国産なんか使えないよ」と怠けてるお店に届くように書いて置きましょう)

乾シイタケを水で戻し、長ネギの白い部分をカットしたら
アカニシガイの上身をスライス。
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中華鍋に油を引きネギを十分炒めます。
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良質なネギをたっぷり入れるだけで化学調味料なんか不要となるほどの旨みが得られます。

だからここでも輸入物を使ってはいけない理由があり
また味の素を手放せない原因もあるのです。

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シイタケと貝を入れて水を加えます。
酒、少量の砂糖、醤油、そしてこのくらいのケチャップを
入れます。
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じっくりと煮込み味見をして最後に整えたら水溶き片栗粉
を少しづつ垂らしながら左手は鍋をぐるぐると回してやります。
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ごま油を向こう側から回しかけて大きく鍋を振り大返しにして
ひっくり返します。
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これは危険なので小返しで仕上げても結構です。

料理店でアワビの醤油煮込みを食べると無慮数千円は
しますが、これでやると数百円で出来ます。
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柔らかな貝を頬張るとやさしい磯の香りがじんわりと
広がり海の豊かな恵みを堪能できます。
美しき海と雄大な自然の営みに合掌したくなること請け合いです。