まだまだ寒い日もありますが、ようやく雪も溶け始め
春の足音が近づいてきました。

雪中に足を踏み入れるのは億劫でも気持ちの良い日は外へ
出掛けたくなります。

そんな暖かい日にフキノトウを採りに出かけてきました。
フキノトウは早い場所では12月から出ていますが、そんな場所の物は
苦味が強くて好きじゃありません。

目当ては雪解けの下から萌え出るものです。
苦味が少なく風味の良いもの
ポイントとしては日当たりの良い場所は言うに及びませんが
畑や田んぼの畔などの農地の傍は避けています。

誰にも迷惑の掛からない
安全で安心な、日当たりの良い、雪解けの早いところ。

となると案外、ポイントは限られてきます。
なので往々にしてすでに採られてしまっていたりと
なんだか最近は急激にフキノトウ争奪戦が過熱しているようです。(笑)

この美味しさを沢山の人が分かち合えるのなら何よりですね。

今回のお目当てはもう一つあります。
フキノトウぐらいしか萌え出ていない雪解けの野原に
冬でも枯れないで頑張っているタンポポです。


最近はまっている蕎麦店でタンポポの新芽の天ぷらを頂いた所
香気と程よい苦味がとても美味しくて狙いをつけてきたのです。
ところがここではまだ新芽は出ていなくて硬く古い葉しかありません。

そこで根を掘り上げて持ち帰りました。
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よく洗い、刻み、乾燥させて、空焼きします。
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ちょっと背伸びして「焙煎しました」などと言いたい心境です。
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これをすり鉢ですりつぶしてドリップして
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「タンポポコーヒー」の完成!
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味はかなり薄めです。
コーヒーそっくりだと聞いていたんですが・・
量が少ないのか、焼き入れが甘いのか?
なんだかコーヒーというより野草茶のような雰囲気ですね。

まだまだ本格的な山菜シーズンには間があります。
出来ればもう一度トライしてみたいものです。

フキノトウは大量に天ぷらにしました。
今回は残ったフキ天の活用法にトライしたのでご紹介しましょう。

まずは「天茶」です。
かの魯山人も好物だと記していますが、
このコツは冷えた天ぷらを用いる事だと言います。
揚げたてのものじゃいけないとあります。

大きめの器に半分程度の熱い飯を盛り、ざく切りにした天ぷらを置き
塩を一つまみ乗せてから熱々の煎茶を回しかけます。

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そこにお好みでワサビ、海苔、あられ、梅干などをあしらえば完璧です。

お次は「天むす」
ざく切りにして塩を一つまみまぶしておきます。
手に塩をつけてお握りを作り三ケ所に穴を空けて具を詰めます。
手早くまとめて海苔を巻いて完成です。

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長々にぎにぎとやっていると崩れる可能性があります。
手早く仕上げましょう。

次は「ピザ」
ピザソースを塗った上に刻んだ天ぷらを乗せてチーズを置き、
焼きます。
程よい香気がチーズによく合います。

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最後に「おろし煮」
ダシに味を付け大根おろしをたっぷり加え天ぷらを煮ます。
おかずにも肴にも最適でした。

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2015.03.18 ヤマメとマス
先日浜で小物をひと箱買いました。
浜では数の揃わない小魚を数種類まとめてひと箱とし「混じり」と
表示して販売します。

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これ全部で500円でした。
『面倒くさいから投げちゃえ』的心理が諸見えで笑っちゃいますが
お得なので見逃す手はありません。

太刀魚や鯛などは立派に刺身にもなります。

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今回私が 「おぉっ」 っと驚いたのがこちら

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何だと思われますか?

小さいのがヤマメ
白っぽいのがマスです。

ご存じの方も多いとは思いますが
ヤマメの生態について簡単に記しておきましょう。
まだまだ不明な事も多いそうですが概ね次の通りです。

川で卵からかえったヤマメは成長とともに大きなものほど
群れの先頭に位置し、上流から流れてくる餌を早い者勝ちとばかりに
率先して捕食します。

(ですから渓流釣りでは大きなものから釣れるんです)

やがて小さなものは川から海へと下り、海の豊富な餌をたっぷりと食べて
大きく成長します。
エビやカニなどの甲殻類を食べた体は地が青みを帯び、
銀色のウロコをびっしりとまとい身肉が赤く変っています。

サクラマスへと変身を遂げたのです。

春に産卵のために川に戻ってくると
餌の乏しい渓流には白い身肉のオスが待っています。

大きなサクラマスと小柄なヤマメとで産卵受精が行われるのです。

私はこれまで川から下ったヤマメがマスへと変身を遂げるのには
相当な時間を要するものと思っていましたがどうやら違っていたようです。

浜のお母さんにこれはなんだか知ってるか  と尋ねました
「マスや」と即答します。
じゃこれは?
とヤマメを指すと「知らない」と答えました。

滅多に網に入らないという事なんでしょう。

ですが、こうして銀化したほぼ同サイズのものがいるとは驚きです。
思ったよりずっと早くマスになるんですね。

でも捌いてみるとまだ身肉は白いまま
赤くなるほど甲殻類を食べてはいないのに銀化している
のにも少なからず驚きです。

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せっかくなので姿寿司にしました。

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塩で締めてから酢につけてシャリをかませて出来上がり。

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ヤマメの姿寿司も久しぶりです。

こういう事があるから浜は面白いんです。
皆さんもぜひ足を運んでみてくださいね。
2015.03.17 魚すき
磯釣りをしていた頃、
冬になるとやや大きめのメジナ(グレ)が良く釣れました。
とは言っても沖の
波消しブロック周りの夜釣りです。
本格的な沖の岩礁ではありませんからせいぜい30cm前後が中心です。

大量に釣れるので昆布締めにして食べていたところ
釣の先輩からは大いに笑われました。
その方は船での沖釣り専門でしたからメジナなどには目もくれません。

「昆布が勿体ない」
とまで言われたほどです。

だからと言う訳じゃありませんが、
趣向を変えて煮付けにしたところこれがめちゃくちゃ旨いのです。

言っておきますが夏のメジナじゃありません。
冬の、「寒グレ」と呼ばれる時期の物だから  です。
磯臭さが無く、モノによっては海藻が腹中にあるような時期です。

(メジナは雑食性で海藻なども食べるのですが肉食の魚より
腸が長いのです。そんなところは人間も魚も同じなんですね。)

知っている人にすれば当たり前の事でも
ともすると人間と言うのは固定観念に囚われやすいものです。

鯛は塩焼きか刺身とばかり思い込んでいると「天ぷらで」と聞いて驚き、
殻つきのホタテはいつも頭っからバター焼きにと思い込んでいる人に
私など「殻ごと味噌汁にすると美味しいですよ」とおせっかいをすると
「なんて贅沢な!」と驚きます。

ここ富山では今までメジナを食べる人はほとんどいませんでした。
富山湾はその地形がもたらす恩恵として魚種が豊富です。

魚種が豊富にある
ということは幸せなことなのですが反面”えり好み”が出来るという事でもあります。

それが幸せなのか不幸なのかは言いません。
昔から釣り人は夏に湾内でメジナを釣り、焼いて、あるいは刺身で食べ
「磯臭い」とか「(港内の)油臭い」などと言いあい敬遠してしまっているのです。

私はいつも書いているように
魚は適切な食べ方を選択するとほとんどが美味しく食べられる
という信条なので寒グレは重宝する獲物となりました。

煮て美味しいと言う魚は案外と多いものです。
例えば
海タナゴ
これもここ富山では異常に嫌われています。
あまりに富山人の嫌う魚種が多いのでいずれそんな魚たちをまとめて
「雑魚道場」というジャンルにまとめようと思っているほどです。
海タナゴも煮て食べるととても上品な美味しさが味わえます。

そこで寒グレ。
これをすき焼きにして食べる方法を記しておきましょうか。
磯師を止めてしまった今は残念ながら画像がありません。

うろこを取り、腹を出して頭を取ります。
三枚におろして腹骨をかき取り、皮をつけたまま切り身にしいったん
冷蔵庫にしまいます。

鍋に昆布を敷き、アラでダシを取ります。
すき焼き用の野菜を整えたらいよいよ魚すきの開始。

カエシを作ります。
みりん 1 を煮たててアルコールを飛ばして煮切り味醂にします。
醤油  1 を加えて煮立たせないで火を止めます。

つまり
みりん:醤油が
  1: 1   と言う訳です。これでカエシの出来上がり。
簡単でしょ?  保存がききますから作り置きしておくととても便利です。

次にカツオでも何でもOKですダシを用意します。
今回なら寒グレで引いたダシです。
これを
ダシ:カエシ
 1:1  で合わせます。
これを割り下(わりした)と言います。

これですき焼きを作るんです。
甘くどくない、ご飯にもお酒にもピッタリのすき焼きになります。
もちろん肉類でも通用します。
お店で食べるすき焼きはほとんどこのタイプです。

途中でダシや割り下を適宜追加して調節をすることが簡単に出来ます。

寒グレのすき焼きの話でした。
ではそんな魚が手に入らないという方は
白身魚でお試しください。

先日、ブリですき焼きをしたところ大失敗しました。
その画像を張っておきます。
ブリでは火を通す時間が難しいようです。
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でもこの後つけ蕎麦をしたらこちらはそれなりに美味しく食べる事が
できやれやれでした。



   







最近やっと自分の好みに合う蕎麦店が見つかりました。

蕎麦は江戸蕎麦のスタイルがもてはやされるようになってから
全国どこでも同じようなパターンになりましたが、
いかんせんそのツユがなかなか好みに合わない場合が多く
苦労するものです。

以前に長野県の戸隠に訪問した折、竹材屋さんで
「どこの蕎麦が美味しいんでしょうか?」と
尋ねたところ
「甘いツユと辛いツユのどちらが好きですか?」と
問い返され一瞬で長野県が大好きになった経験がありますが
ことほどさように麺そのものよりむしろツユが重要なのです。

長野県人は流石に良くご存じなのですね。
蕎麦の達人もその記述に  蕎麦の味とは云うがと前置きし
麺そのものはのど越しや風味を伴うものであり味自体はほぼ無
味を決めるのはツユである
と断定しておられます。

蕎麦を食べなれた東京人も
「産地と呼ばれる地方へ行くと確かに蕎麦は旨いものがある」と
粉や打ち方、切り方に優れたものを認めつつも
必ずこう言い添えるそうです。
「でも、ツユがねぇ」 と。

かつお節の選定およびその使用量。
日をまたいだツユの管理。
みりんと醤油の吟味。
それらの複合から作られるカエシの按配。

そんな点が不満の残る原因のようです。
とはいえ何も江戸蕎麦だけが蕎麦の全てじゃありません。

私好みの蕎麦は
ダシが効いた甘くどくないツユです。

スタイルは定番だけではなく季節ごとの
美味しい、できれば地物を取り入れたものです。

それには温、冷問いません。

よく聞く
「蕎麦はザルにとどめをさす」  キリッ
などといった硬直した観念はあいにく持ち合わせておりません。
要するに美味しい蕎麦を美味しいツユで季節ごとに目先を変えて食べたい
というだけなのです。

そんなお店がようやく出現しました。

そこで教えてもらった食べ方があります。
私達料理人は新しい食べ方や美味しいメニューを味わうと
「食べてきた」とか「味をみた」などとはいいません。

「教わった」「勉強してきた」と言います。
ですが決して作り方を口頭で習う訳じゃありません。
食べれば解る事ですから「食べる事が教わる」 「習う」
という事になります。

その映像を勝手には出せませんから自宅で再現したものを
ご紹介しましょう。
「牡蠣のみぞれ鍋の蕎麦」です。

鍋に昆布を敷き牡蠣鍋にします。
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大根おろしを加えて牡蠣のみぞれ鍋とします。
味はつけません。


そのまま鍋だけを楽しむのならポン酢でも結構でしょうが、
あくまでもメインは蕎麦ですからそばツユを用意します。
ツユの割合は最後に記します。

鍋が沸いてきたころ合いにざるそばを仕上げます。
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自宅では細目の乾麺です。
これで用意は完了しました。

お酒を飲みつつ、牡蠣をそばツユで食べ、
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蕎麦を熱い鍋にくぐらせてツユにちょいとつけて食べ
次は冷たいまま蕎麦をツユに付けて食べ
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ととても美味しく楽しく食べる事が出来ました。

おまけに最近凝っているお茶漬けにまでして牡蠣を楽しめました。
ぷっくりと膨らんだ牡蠣をご飯に乗せ醤油をちょいと垂らして
熱い煎茶を回しかけワサビを添えてお茶漬けです。
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「美味しい季節ごとの食材が沢山あるのにどうして世の中には定番メニューしか無いのだろう?」
という自分の疑問、不満を共有する店主がついにあらわれました。
しばらく目が離せません。

ですがまだ商売人、店主としては始まったばかりの段階です。
慣れない事ばかりの中必死になって努力するその姿に
敬意と更なる進化への期待を表し店名を上げるような野暮は
慎みたいとおもいます。


私流のそばツユの割合
みりん:醤油
   1:Ⅰ=カエシ
カエシ:カツオだし
   1:1.5