石川県能美市五間堂町に丸芋というものがあります。
元々は三重県の伊勢芋というデコボコした種芋だったそう
ですが、昔
手取川が氾濫し美田に川砂が流入して、村人が落胆している
時に植えられたその芋が丸く育ったというのです。

これが村人を救った奇跡の丸芋です。
流入した肥沃な川砂と村人たちの丹精が産んだ奇跡です。

今では「加賀丸芋」の名でその美味しさと粘りの強さで
知る人ぞ知る名品の誉れ高い特産となっています。

数年前からここ富山や黒部でも栽培が行われていますが、

普通のサトイモやジャガイモなどは一個の種芋から沢山
収穫が出来るのに比べ種芋一個から一個しか育たない
という効率の悪さと手間のかかる栽培法がネックとなり
なかなか広く流通していませんでした。

当然高価です。
高級和菓子や懐石料理、高級料亭などで利用されていました。

それが手に入ったのです。
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早速おろしてみました!
粘りが強いです!

このまま味噌汁に投入しても美味しく食べられます。
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そこでラーメンに乗せました!

ぷかり
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と浮島か?、ひょうたん島か?というたたずまいですね。

これを食べてみます。
ふかふかの芋が麺に絡みつき今まで味わったことのない
不思議な食感に驚きます!?
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粘りの弱い長芋だったなら上に乗せた瞬間から丼の底へと
沈んで溶けていってしまいますがこれは沈まない溶けない
いつまでもぷっかりと浮いていますからこうしてレンゲで
すくって食べることもできます。
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何度でも言いますがこれは不思議な食感です!

普通粘りの強い芋といえば自然薯が有名ですよね。
山で掘り出した天然の芋です。

これには強い香りが伴います。
もちろんそれは美味しい香りなのですが
昆布の話ででも例に挙げたように時として美味しい香りで
あっても邪魔をする時があるのです。

ですから高級懐石料理では邪魔をしない真昆布を使用します。
当店のラーメンでも天然の白口浜、最高級真昆布を
使用しています。

このラーメンに合わせるには自然薯の風味よりは
丸芋の無味に近い
言わば”雲のような””雪のような”ふんわり
が最適だったのです。

ツルツルの麺と
濃厚スープ

とろとろチャーシューとふんわり丸芋のとろろ
白と黒の饗宴です。

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普通は溶けて沈んだとろろがダシと一体化しますが
この丸芋とろろは最後までほとんど溶けません。
それでいてスープとは不思議になじむのです。


あっという間に一杯が無くなってしまいます。
これは美味しい一杯です。
どこにもない美味です。

作りたくても高くて手が出せなかった上質の山かけ
簡単なのにとても不思議な味わい。
高貴な口当たり

食べ終わった瞬間、空になった丼を目の前にすると
今味わったばかりのそれがいったい何だったのかと
幻でも見たかのような不思議な気持ちが起こります。

育てるのが大変に難しい芋だといいます。
いつまで入手出来るのか先行きは全く不明です。
どうぞ、この機会にお早目にお召し上がりください。

幻の山かけラーメン
あなたにとって貴重な初体験となるはずです。
本日22日水曜日より販売スタートいたします。

見せかけだけの”騙し”や”空っぽ”が
大手を振ってまかり通っています。
私たちはそんな儲ける為だけの流行の列につくことをせず
本当に美味しいものだけを作り続けます。

”美味しい” って何でしょうか?
私たちはその答えの一つを確かに提示できます。


ラーメンまたはチャーシューメンにプラス200円でご提供
麺の追加にも合います。









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イカの塩辛 2013
昨年同様、今年も塩辛を作りました。

一年魚のイカが最後に一番大きく成長したビッグサイズの
今が最も美味しく肝も充実しているからです。

イカの切り身に肝と塩をまぶしただけのシンプルな
調理ですから全国には様々な秘伝秘法があります。

昔、横浜でめちゃ美味しい塩辛に遭遇した事があり
製法を尋ねたところ快く教えてもらえました。

普通は肝に塩を当て水気を抜いてから身肉に混ぜるのですが
ここではナント!
肝をバターでソテーしてから和えるというのです。
恐るべし!  塩辛!

ここでは書けませんが
私にもそれなりの秘法はあります。
でも、さすがにバターまでとは・・・参りましたm(~)m

ところで、イカ塩辛には一般に
赤づくり、という皮付きイカで作るものと
黒作り、という富山独特のイカ墨を入れて作った
ものが有名です。

ところが、今の時期の大きなイカは身が分厚いので
そのまま切ったのでは固くなって食べづらくなります。

そこで身をそぎます。
北海道名物「イカそうめん」のように細く切ります。

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ゲソ(足)も加えます。
ゲソも大きく、太くなっていますから
吸盤を削り落とします。
次に太い足を一本づつ削ぎ切りにします。

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これで全く固さを感じません。

発酵学の小泉教授によると
塩辛にするということは消化酵素の働きで身肉が
半ば溶けかけた状態だというのも納得な
とろりと口中でとろけるような美味しさです。

今回は
塩と若干の味噌を加えた「若造り」
これが全国で一番ポピュラーな塩辛です。
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おなじみ富山の「黒造り」
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それに好評の「味噌塩辛」これは私のオリジナルですから
他に有るのかどうかは分かりません。
酒肴というよりはっきりご飯のお供という位置づけで
作っております。
皆様もしかするとお忘れかも知れませんが
私、ご飯の味方ですので。
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以上3種類をご用意いたしました。

例によって大量には仕込めませんからすぐに品切れになります。
お早目にどうぞ。

無添加、手作りイカ塩辛3種
各230g 入り  ひとビン 400円

昨年より大幅に増量
ぐっと割安になりました。
一年で一度だけの仕込みです。


2014.01.16 熊棚
昨年はドングリが大豊作で、
キノコ採りに山に入ると地面にびっしりと敷き詰めたように
ドングリが落ちていて朝露に濡れて光っていると
『ナメコか!?』と気が逸るほどでした。

そういうこともあって,初めて熊のフンを目撃しました。
夜行性ですからそこはリビングキッチンだったのでしょうか
人間がやってくる頃には寝室へとお帰りになってくれている
ようでよかったです。

そういう堅果類の木があるところでは多種多様なキノコが
採れるのです。

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これはきれいなモミジの落ち葉。
ここに茶色のキノコが出れば非常に見つけやすいのに
こういう所では何もありませんでした。

なかなか上手くいかないものです。

もうひとつ昨年初めて見たのがこちら
熊棚(くまだな)です。

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熊が栗やドングリを食べようと木に上り太い枝に陣取ります。
実が沢山つくのは大抵枝先ですから引き寄せてむしゃむしゃ
細い枝先に行くと折れて落ちてしまうから無理ありませんが

むしゃむしゃとやりつつ次の枝と繰り返すうちに
体重で押しつぶされた枝がそのままになって残るのです。

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まるで盆栽の刈込のようになっていますが、
よくみると幹には上る時についた鋭い爪跡がついています。

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果たしてこの栗の木には翌年実がつくのかが気になるところです。

堅果類が豊作だったということで昨年は里への熊出没が少なく
人的被害も目立ったものは無いようでした。

おかげで比較的安心してキノコ採りも楽しめました。

なんだか皆で熊の恐怖を忘れてしまったかのようです。

ところが!
熊の生態を考えるとむしろ怖いのは春です。
きっとこの春には子供を産んだ熊が多いだろうと
想像できます。

堅果類をたっぷりと食べたメス熊が冬の間に出産するからです。
子連れの熊の恐ろしさは誰でも知っています。

平和な秋の次に恐怖の春が待ち構えているなんて自然は皮肉ですね。

山菜採りに山に入る皆さんはくれぐれもご用心!


ツキノワグマの着床遅延
ツキノワグマを知ろう
熊を防ぐ
熊知識


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10年ほど前 青森の知人から送られてきたキノコの中に
「ムキタケ」が入っていました。
それが初の遭遇でした。

「なかなか見つけられない美味しいキノコなんだよ~」
とのことで鍋物にして美味しく食べました。

これが今年大発生していたのです。
温暖化のせいだといわれているカシノナガキクイムシ
これが枯らせた木から出るのです。
ほぼ10年でこんなことになってしまいました。

>なかなか見つけられない
どころかどこにでもあるキノコになっているんです。

マイタケ採り名人のYさんが
「ムキタケは採ってるのか?」と尋ねます。
「もちろん! Yさんは?」と問い返すと
「採らない、だって美味しくないから」
との答えです。

そりゃ確かにマイタケのような優良菌と比較したら
何だって採る事さえあほらしくなるのは無理もないけど

「だって味が無いだろ?」

とまで言われて
そういえばムキタケそのものの味を未だ確認していない
事に気付いたのです。

でも、キノコの味って何だろう?
普通は雑木林の匂いというのが一般的です。
それは”味”ではありませんよね?

あるキノコ名人が語るには
「キノコそのものの味見はホイル焼きが一番」
だそうです。

なるほど
そうやって味を確かめると風味も旨みも乏しいような気がします。
今まで何年間も”採れた!  嬉しい!”という
感覚に騙されすぎていたかも知れませんね。

でも、鍋で色んなキノコや食材と一緒に食べていた時は
美味しかったのに・・。

で、試してみました。

まずは天ぷら。
美味しいのは美味しいのですがキノコ独自の風味は弱い。
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そこでそれを蕎麦に浸して食べるととても美味しいのです。
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成程、少し見えてきました。

もう少し確かめるためにコロッケに仕立てます。
肉たっぷり入った芋生地を挟みます。
ムキタケは厚みがあるからこんな事が簡単に出来ます。
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これも芋はいくら美味しくてもフライ部分のキノコは
さっぱりなんですね。

解りました。
やはりそういうことでしたか!

これは美味しいスープやダシを染み込ませないと
美味しくならないキノコなんです。

そうして作ったのがこちら
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鶏肉を挟んだムキタケの紅焼(ホンソウ)
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これはうまい!
絶品です!

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美味しいスープを吸い込んだムキタケが味を倍加させてくれます。
不思議なキノコですね。

私たちはキノコというと焼く、揚げるかキノコ飯のような
キノコ料理といったものに
そう型にはまったモノに仕立てようとしてしまいがちですが
それぞれの特質を活かした料理を探してはめ込んでやる工夫が
必要なんですね。

またひとつ勉強です。

タラの頭と煮込んでみました。
タコとタラのマリナーラソース煮
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豆腐と煮込んで昼のミニ丼で
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キノコは不思議です。
味の良いキノコ
味はさほどでもないが食感の良いキノコ
食感は良くないがダシの良いキノコ

香りのよいキノコ

など色々ですがそれぞれに適した調理法を与えて
やらなければいけないようです。
これは奥が深い!

採る楽しみのほかにもう一つ楽しい宿題を抱えてしまいました。







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ある初冬の朝キノコ採りに行った時の光景です。
車を降りてカメラを向けると子ザルは必至で逃げ惑いましたが
ボスは悠然と食べ続けています。
それを見て子ザルもまた戻って食べ始めました。

林の中に入るとサルの鳴き声がやかましくて
どこの国のジャングルか! という位でした。

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サルは普段でも目にする機会が多いのですが大抵無言です
やはり美味しい物を食べる時は声高に騒ぐのですね。
「キー!キー!」
と、とても騒々しい朝でした。



2014.01.11 キノコの話ー4
キノコ採りにとっては常識ですが
普通、採れる場所は絶対口外しません。
能登ではキノコのポイントを”アド”と呼び厳しく守られます。

家の息子はキノコ採りに連れて行っても娘は連れて行きません。
昔は近隣集落に嫁ぎましたから婚家で漏れる事を避けたのです。

なぜそこまでしたのかというと
キノコは場所さえ判ってしまえば誰でも簡単に採れるからです。

これが魚釣りだったらそうはいきません。
たとえポイントがばれてもテクニックやタイミングそれに
適合餌などが伴わないと誰にでもとはいきません。

そこで万一にも娘さんが山に入りたいと言い出さないために
能登ではおどろおどろしい恐怖な話が沢山あります。
どこそこの娘さんが山で大きな蛇に遭遇して・・・・
などといった話です。

子供の頃は本気で信じていました。
その名残で未だに溜池は近寄りたくないというトラウマを
抱えています。

能登はたおやかな山が多く、簡単に入れるので
キノコ採りはとても盛んでした。

ですからー2で述べたような”アルニヨ”事例が多くあったのでしょう。

有峰のアルニヨはキノコを横取りしながら
「これはなんというキノコなんだ?」
「食べれるのか?」
と知識まで要求しましたが能登でキノコ採りをする人は
それが美味しいキノコであることぐらい先刻承知ですから
当然、揉めたのでしょう。

「ここは私が先に見つけたんだから手を出さないで!」
と宣言する律を設けたのです。

無理もないですよね
女子供だけでキノコを見つけた!
さあ!採ろう!
という時に  「アルニヨ」が横取りに出張ってきたら
どう対応出来ますか?

「ここは私達が見つけたんだから取らないでッ!」
と言えば
「あぁそうか分かった」
と言うでしょうか

たぶん言わないと思います

きっとこう言うでしょう

「なにぃ!」
「この山のキノコは全部自分の物だとでも言うのか!」

そう、マナー知らずに対抗するにはしっかりとルールを
作るしかないのは時代を超えて必要不可欠なのですね。

採る権利や採る自由などと言ってる場合じゃないです。

そんな公設ルールの魔法の呪文が
「まいた!」
というものです。

どんな恐ろしげな親父が
「ほう! どれ俺にも採らせろ!」
とか
「ここは先に俺が見つけていた場所なんだ」
などと言ってきても無効にできる最強の言葉です。

この「まいた!」の語源は恐らく漁業の網を撒く
という意味合いだと思われますが、
能登特有の宣言でしょうね。

長崎にもよく似た決まり事があるそうです。

こちらはキノコ採りではありません。
秋になると砂浜に袖イカという巨大なイカが産卵行動で
接岸するのですが、全長1m重さ十数キロにもなる
イカは一人で取り込むのは大変です。

周囲にいた人が手助けするのでしょうね。
そして後で揉めたのだと思われます。
そこで出来たルールが
「最初にタッチした人に所有権が生まれる」というもの。

獲物を前にすると本性が顕れるのはどこでも同じですね。

話がずれてきたので戻しましょう。

キノコのポイント”アド”を知っていれば簡単に採れる
でしょうか?
いえそれははっきり言って甘いです。
甘すぎます。

アドを守るというのは実は大変な労力を伴うのです。
車のなかった昔、
朝の暗がりから近所の人に気づかれないようそっと引き戸を
開けて足音を忍ばせて家を出ます。

途中、何度も後ろを振り返りつつ歩み
山に入る時には出来るだけ朝露を落とさないよう
蜘蛛の巣を払わず腰をかがめて進みます。

これでお目当てのキノコがまだ出ていなければそっと
引き返し何食わぬ顔で一日を過ごします。

もし、出始めたらさらに大変です。
望みの大きさに育つまで気が気じゃありません。
毎日様子を見に行って見つからないように隠します。

いざ収穫と言うときには
採った後を判らないように木の葉で隠してこなければ
なりません。

普通は採れれば採れたで、また採れなければ採れなかったで
誰かに話したいものですが禁句なのですね。

また、採る事には誰しも熱中しますが
採った後などは無頓着なものです。

ですから大勢が入る山では探索した形跡が
ごまんと残っています。
毒キノコがひっくり返っていたり足跡がついていたり
落ち葉を盛大にひっくり返した後はキノコを採った証拠でしょう。

ここまででもうんざりするくらい大変なのですが
もっと大変なのが骨折や病気などで入院した時です。

シーズインなのに身動きできないとなると
もうこれは毎日が拷問です。

誰かに見つかってはいないか!
誰かに採られていやしないか!
そして一番恐ろしいのが
「荒らされていやしないか」という点です。

あるマツタケのポイントがありました。
割と知られたポイントでしたからアドとは呼びません。
アドとはあくまでも(自分だけの場所)だからです。

その場所はそれでも数年間は採れました。
ところが、急速に出なくなりました。

松の落ち葉はまるで箒で掃き清めたように地肌が露出し
さらに地肌の赤土は鎌で至る所引っ掻いたようになっていました。

マツタケは地中に横たわって成長し、少し大きくなってから
地上に立ち上がります。
名人は目星をつけた枯葉の上からそっと抑えて探しますが
素人は見つけられないと手当たり次第に地面を引っ掻いて
地中に横たわっている幼菌まで採ろうとするのです。

たまにまぐれでそれに引っかかると赤土の中で白く
傷が発見されるからいやでも判りますが
何しろ小さいからいくらでもそれをやり続けて
とうとう菌が死に絶えてしまうのです。

これが”場荒れ”です。

病院から出ると真っ先に”アド”へ直行して安否を確認する
などという笑えない話も無理からぬところです。

富山市内の某山でシバタケがそろそろ出ていないかと
様子を見に行った時のこと
もう7,8年前でしょうか?

出ていないので帰ろうとすると奥の方からお父さんが一人
出てきます。
「何を採ってるんだ?」
「シバタケでも出ていないか見に来たんだ」

「そりゃまだ早いな」
「お父さんは何を?」
「ふふふこれだよ」

とポケットから小さなマツタケを二本出して見せるのです。
あぁよかったね
と別れて帰ってきましたが。

私がマツタケに執着しない人間だったからよかったものの
能登では、しかも鼻の利く名人だったなら
たちまちばれてしまいます。

アドは大切にしましょう。

もっとも
現代では芝を刈りに山に入らなくなり
良いキノコがぱったり採れなくなりました。
それに加えて出かけるときには大抵現場直近まで車です。

見る人が見れば
『オォッ あそこの山では今○○が採れてるんだな』と
すぐにばれます。

アドを守るのも一段と難しくなりました。





2014.01.08 手打ちとは?
「手打ち」という言葉はよく見る事が多いのですが
これを機械製造=機械打ちの麺に対しての言葉と誤解されて
いる人が多いそうです。

ビッグコミック連載「そばもん」によると
製麺機械がまだ出現していない江戸時代からすでに「手打ち」
という言葉は存在していた  というのです。

それは何故か?

江戸時代にそば切りが爆発的な人気を得て専門店が
沢山出来ました。

そうすると数をこなす必要が出てきます。

そこで小麦粉を混ぜた生地をむしろでくるみ
(当時はナイロン袋が無いので)
足で踏んで延したのです。

それを嫌った純手打ちそば店が「手打ち」

という言葉を使い始めたという説です。

現代では手打ちと表記する場合の決まり事がいくつか
あるそうでして
確か要点を3点ほどクリアーすればOKなのだとか・・。

しかし、何もそんな事をわざわざ決めなくても
手打ちそばは最初から最後まで手だけで行います。

うどん屋さんでも一部工程は足踏みは入っても
ほぼ手だけで行います。

その方が設備投資の必要もないし、また
熟練するとより合理的に美味しくできるからです。

手で作るからこそ、その日その日の微妙な感触で
コントロールが出来るのです。

この全て手作業で行う麺打ちを「純手打ち」と呼びます。

一方私の選択した手打ちは一部工程を機械で行います。
青竹で打ち込み、次に鉄パイプに持ち替えてまで
固く鍛えた麺体はもはや手で延す事が出来ないからです。

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こういうスタイルは「手打ち式」と呼ばれています。
その中でも「青竹手打ち式」というジャンルです。

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青竹打ちの盛んな地方ではその後も手で延しているお店も
ありますが、やはり麺体はうどんに近い柔らかな生地です。

柔らかな生地という事とコシの強弱はイコールでは
ありませんから麺の美味しさを追求する上には無問題です。

ですが、私の理想とする中華麺本来の固さを持ちつつ
讃岐うどんの力強いコシと茹で上がりのソフトな触感

つまりは無理を承知で無いものねだりを捏ね上げてしまおう
という麺を作るには
やはりこの「青竹」で無理やりまとめ上げてしまうしか
他に方法はありませんでした。


さて、今まで長く製麺所さんとお付き合いをしてきて
私なりに理解していることがあります。
「餅は餅屋」ではありませんが、
製麺所さんはやはりこの道の専門家だということです。

あらゆる店の願望を叶え、様々なお店の要求を満たす能力
を持っているのです。
それには長年蓄えた知恵と技があればこそです。

私にはそんな手練れの技はありません。
ですから製麺所さんがやらない手法で時間と手間暇を
かけるどんくさいやり方で作ります。

(ついでに白状するとたまに行ううどん作りの講習会でも目が回ってしまうほど足踏み打ちが苦手です)

そんなに大量に作れなくても
たとえ少量でも「美味しい」と言ってもらえれば成り立つからです。

製麺所さんと同じように機械だけで簡単に作るという選択も
ありました。
短時間で楽に大量に作れます。
でもそれじゃ製麺所さんには恐らく永遠に近く敵わないだろう
と思ったのです。

誰もやりたがらない手間をかけ
誰も使いたがらない高価な食材を使い
誰にも出来ない自分だけの一杯を作ろうと我を通せば

いったいどれだけのものができるのか?
他でもない自分がそれを見てみたいのです。

安易なところで”手打ち”(妥協)は出来ません。

万里の手打ち麺

今現在30%の変容中ですが既に好評です。





2日も雪が無く小雨から曇り空に変わり穏やかな天気です。
こんな優しいお正月は久しぶり。

よし!今年は久しぶりにエノキだ!

麺打ちの合間を縫うようにして近くの河原にエノキ茸を採りに
行きます。

エノキ茸は洋名を「ウインターマッシュルーム」といい
冬のキノコなんです。
雪の中でも発生し、成長すると言われていますが
雪国では積雪があるため冬季の採取は出来なくて
雪が溶けてからの早春が適時とされています。

でも雪が無ければ見つけにいかない手はありません。
チャンスなんですから。

朝早くに麺の加水と寝かし、それに一回目の打ち込みを
終わらせて出発です。

冬の初めに一度積雪があっただけで河原の草は
すっかり押しつぶされていますが
野バラの茎は負けていません。

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まるで映画「大脱走」のスティーブマックイーンが
終盤バイクごと絡みつかれてしまった有刺鉄線のように
体や長靴に絡みつき非常に歩きづらいですね。

でも枯れ木を見つけては探索  と繰り返すうちに発見!
第一エノキです。

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エノキはこの「アカメガシワ?」の木によく出ます。
ここは土手の改修整備時の材が沢山転がっているので
好ポイントになりそうです。
でもこんな切って間もない新しい木には出てきてません。

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菌そのものはかなり在るようで道端のこんな小さな小枝に
まで発生しています。

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今年の冬までにまた広がるでしょう。

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天然のエノキの見分け方の特徴である足を見てください。
そう、茎がまるでシャム猫の足のように下に向かって
黒くビロードのようになっているんです。

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この時期にも他のキノコはいくつはか出ていても
この点において見間違えるようなものはありませんから
比較的同定のしやすいキノコです。

でも小さいので量が採れません。

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3時間歩き回ってたったこれだけです。
でも大満足!

山では前回積もった雪が凍ってその凍結路を
剛の者がまだキノコ採りに駆け上がって行っています。
私の車では到底無理!

せいぜい谷底に転落する心配のない河原くらいです。
楽に簡単に沢山採りたい人にはつまらないエノキでも
私にとってはやはり自然の恵みです。

料理か味噌汁の一回分にしかなりませんが
冬の味覚を楽しみましょう。

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こんなのもあります。
フユイチゴ
木イチゴの中では美味しい方だと言われています。



子供の頃は雑煮が大嫌いでした。
というより餅がダメだったのかも知れません。

なぜあれ程嫌いだったのか不思議なくらい
今は餅も雑煮も大好物となっております。

生家では暮れに家族総出で臼と杵で餅をつき、丸餅を
作りそれで雑煮を作ります。

今思えば最高に美味しい環境にいたわけです。

それが何故?
と思うにつけ今現在、人様の”好き嫌いはなぜ起こる”
という事への関心事につながっているのかも知れません。

”餅は餅屋”という言葉があります。
それは昨今の臼も杵も無くなってしまった核家族の
こじんまりとした家屋の時代に生まれた言葉じゃありません。
昔からある言葉です。

誰でも作れるものであっても、それでも専門の玄人の仕事は
さらに抜きん出て優れている

と言う意味ですね。

おそらく生家の餅はつきすぎていて腰がありすぎだったか
それとも丸め方が大きすぎたのでしょう。

食べている途中から餅が固くなり子供の口では
噛み切れなくなったのと
いつも兄からそれを”贅沢な奴だ”と
そしられ続けトラウマになってしまったのが原因です。

結婚してから急に餅が食べられるようになりました。
杵つき餅でも腰を楽しみつつ食べられます。
程よい腰をもちつつ固くなり過ぎない
”餅は餅屋” のなせる技のおかげだと知りました。

昨年末にラジオで雑煮を美味しく食べる方法で
「おでん雑煮」と「カレー雑煮」の話題が出て
盛り上がりました。

これは盲点だったと早速トライです。
大歳にカレーを圧力鍋で仕込んでおき、
一回目は普通の雑煮
そして二回目で初登板しました。

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いわゆるインスタントのルータイプではなく
カレー粉だけで仕上げるスープカレーのタイプです。
ジャガイモ、ニンジン、長ネギのぶつ切り、それに
リンゴのすりおろしで仕上げています。

柔らかく茹で上げた餅の表面に程よく染み込み
なかなか美味しい一杯になりました。

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今年は端っから珍しいものを頂きました。
こうして積極的に美味しいものを取り込み
一年を頑張ろうと思います。

2014.01.01 賀正
あけましておめでとうございます
こちら富山市では久しぶりに雪のない穏やかな元日を迎えました。

どうか今年もよろしくお願い致します。

雨ですが雪が積もらないだけいい天気だと思えます。

明日2日からは早速麺打ちが始まりますので
正月気分はこの一日だけです。

ことしも
「美味しい」
とお客様にお喜びいただけるように全精力傾ける
所存で取り組みます。

故川上氏がTVで語っておられました
出来なかったことを
全力で頑張りましたが届きませんでした   と語るな!

それは頑張りが足りなかったんだ      と


今年も無添加で手打ちで
判らない人の目を見開かせてやろうと
回らない歯車を回すような気持ちで頑張ります。

どうかよろしくお願い致します。
4日から営業致します。