一概とか概略などの概とは枡で計量するときの
この凹凸をならす棒のことだそうです。

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イランに初めて行ったのはタンカーに
乗船した最初の航海でした。
原油というのはそれ自体は発火の危険性は少ないそうですが
そこから揮発するガスが非常に危険なので沖のカーグ島と
いう小島の桟橋に横付けします。

そこから下船して桟橋を通って本土に上陸するわけですが
上陸といったってたいした娯楽施設があるわけでもありません。
それでも入港したら大地を踏む為に上陸はします。

小さな売店で買い物を済ませたらもうすることがない。
そんなところでした。

あるとき何かの用で出かけた時、
ゲートを通過して構内を出ようとしたらちょうど昼時
だったので守衛さんが昼食を摂っている所でした。

見ると

ーー日本人は海外に行っても日本料理店に好んで行く
傾向が強いのですが私は根っからの料理好きですから
現地食が気になって仕方が無いという悪癖があります。
そのせいで何度手酷い目にあったことか!  

ーほとんどの船員は上陸するのに気が急くから誰も見向きも
しません
ーもっとも人様の食事を覗くという無作法な事をしない
というたしなみゆえでしょうが

それでも
見てしまったのは、
そう、目を奪われてしまったのです。
それがあまりに質素な昼食だったからです。

ナンのような大き目のパンとおかずは紫タマネギのみ。
その生タマネギをカットしながらパンをむしっては
交互に口に運ぶのです。

はい
お行儀の悪いのは百も承知です

見ていると視線に気づいた守衛さんが振り返りました。
30代くらいでしょうか、
中東の方々は皆ヒゲを蓄えているから見た目は老けて
みえますがややお若い印象を受けました。

そこでそのタマネギを指差して
「それは辛くないのか?」と尋ねました。
もちろん日本語です。(キッパリ)

すると彼は快く一欠けらを差し出すのです。
「食べてみろ」と言います。(勝手に意訳)

その少ない貴重なおかずを掠め取るのに多少は罪悪感を
感じつつも好奇心には勝てず
「ショコラン」
(”ありがとう”の意。これだけは知ってる)
と言って
かじりました。

辛いんですよ。
普通のタマネギと変わりません。

この記憶は長く残り折りに触れ思い出しました。
イランにとっては原油輸出は外貨獲得の国策であり
その施設で働く人は公務員のような存在であろうに
食事はあんなに質素なものだった事は少なからず衝撃でした。

中東には様々なパンがあり
シリアでは
野菜やスパイスを混ぜて焼き上げたホブスバサーリ

レバノンやヨルダンでは
具やゴマなどを包んだり貼り付けたりした
アライスやカーク、マナキッシュなど多彩です

イランにもナンのようにのしてから小さな穴を開けた
ラヴァッシュというものがあり
それぞれに美味しそうなのですが
私の見たものは本当に質素なものだったのです。

当時はパーレビ王朝で王様の一族は金を湯水のように
使っていても庶民や公務員はさほどでもないのだなと
お国の台所事情までのぞいたようなそんな気分だったから
でしょうね。
ほろ苦い記憶でした。

それから間もなくイラン革命が起こります。

先だってのアラブの春のような事が昔から頻発してるんですね。

イラン革命のニュースを聞いて
真っ先に思ったのが
『あぁこれで皆も少しは豊かになれるんだろうか』
ということでした。

それから長い時間が流れ
つい先日の事です。

TVを見ていたら
日本で活躍する外国人タレント特集というのを放映していて
筋肉隆々のイラン人タレントがあの紫タマネギを持ち
「イラン人はこれが大好きなんです」と嬉々として
語っているんです。

これは普通のタマネギと違って甘いんですよと力説
するんです。

司会の日本人タレントがどれどれと、かじってみます。
「辛いよ~」  
顔をしかめるんですな  これが  
やっぱり辛いんですよ。

でも、
質素な食事だからと思っていたのに
実は大好きだからそれだけで事足りていたんだと
判ってからはあの時の守衛さんの食事は
決して貧しいものではなかったんだと理解ができ

ほろ苦さなど余計な御世話だったと妙な反省をしました。

日本人だって白いおにぎりに梅干
おかずは沢庵一切れが最高!
だって言う人もいるわけですから。

貧しさとか豊かさなんて一概に並べて論じたり
軽々しく口にするべきではないのだなと
今更ながら痛感しました。

それでも
イランの現状はイスラム体制下で進行している
核開発の為、欧米による経済制裁が続き
医薬品や食糧不足が深刻さを増していると聞きます。

いったい何が幸せなのだろうかと疑問は尽きず
先日のアルジェ事件のことなどを想うにつけ
宗教国家との付き合いの難しさを考えざるをえません。

様々な”答えの無い難問”をえいやっと
均してくれる魔法の概がどこかに無いものでしょうか?


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2013.01.20 塩魚

”塩かつお”をご存知でしょうか?
カツオに塩を当てただけのものです。
焼くのも結構でしょうが、これは生で食べる為のものです。

塩で〆て一週間で食べ始められるそうですが
二週間置くとさらに美味しくなるというのです。

この時期富山湾にはほとんど本ガツオは入ってきません。

「ほとんど」
というのはたまには入るからです。

初夏に北上するのを昇りガツオと呼びますが
この時太平洋側だけではなく日本海側に迷い込んで
北上するのもいまして
それは秋に下りガツオとなる時にも日本海側に
入るそうです。

これを迷いガツオと呼び、とても美味しいそうですが
高くて手が出ません。
マグロの上級クラス並の値が付きます。
ほとんどは築地に行くらしいですね。

塩マグロ、塩カツオ
こちらで拝見して作ってみようと思い立ち
カツオが無いなら他の魚でトライしてみようと
やってみました。

まずサワラです。

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ねっとりと旨味が凝縮されていて生臭みはほとんど
感じません。
少々塩っぱいので酢をつけて食べるととても旨い!
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ではこれをカルパッチョ風にします。

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スライスしたタマネギとみじん切りのニンニク
レモン汁とオリーブオイルを掛けて食べます。

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なるほど!
これはオツなものです。

次に
これを炊き込みご飯にします。
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実山椒を少しだけ加えて炊き上げます。

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なんとも旨いものです。

次はスモークしましょう。
今だから出来る低温での勳煙かけです。
こちらです。
時間を掛けてじっくりと仕上げました。

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まるでスモークサーモンのような味わいです。
これはサラダにでもサンドイッチにでも使えますね。


次に調子に乗って
メジマグロでトライです。
ご存知本マグロの幼魚。45cm程度の幼体。
この位なら食物連鎖の弊害も少ないので安心です。

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スライス、
カルパッチョ

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スモーク

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意外なほど臭みやイヤミがありません。
でもサワラに比べるとややクセがあり魚体が小さかったせいか
塩分も強く出ています。

この二つをピザにしてみました。

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なかなかいけます。

次にこの塩分を活かせる「お茶漬け」です。
軽く焼きほぐしてご飯に乗せ熱々の煎茶を注ぎます。

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これは旨い!
普通に食べる刺身などとは全く異なる風味です。
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メジマグロは本マグロの子とはいえあっさりとしていて
10cm単位で味が変わると言われ、成長とともに味が変化
します。
関東ではヨコワ、西ではシビ、シビコと
呼ばれ親しまれています。
幼魚では
『これがマグロなのか?』というほど淡白な味です。

ところがこうしてお茶漬けにすると
力強いどっしりとした旨味がほどけ出てくるのです。
栴檀は双葉よりかんばし
といったところですね。

子供といえどマグロの子はやっぱりマグロ
あなどれません。


塩魚

この手法はどの程度の魚種まで通じるのか
はたまた脂のある無しでどのような変化が起こるのか
それを追求することを今年一年の課題のひとつと致しましょう。






2013.01.14 酒肴
一般に酒肴と言えばあまり腹がくちくならないもの
が求められます。
もちろん空腹時ならばお腹の膨れるものもよろしいのですが
腹が膨れすぎると酒が入らなくなるからです。

カラスミやコノワタやクチコなどが珍重されるのも
ただ単に珍味であるというだけでなく
この腹がくちくならないと言う点で優れた酒肴なのだと
認められているからです。

ですから
このような珍味、酒肴のたぐいがお嫌いな方は
まったくそういう点を理解できません。
「あんなモノ、腹の足しにもならない」
と吐き捨てます。

では
腹の足しにもならなければなんでもいいか?
というとそうもいきません。
酒飲みは要求がやかましいのが常です。

酒をひとくち飲み、ちょびっとつまむわけですから
味の濃いものでなくちゃいけません。
というわけで
旨味のある、おのずと塩分の強い物になっていくわけです。


これは洋の東西を問わずご同様です。
チーズなどもブルーチーズのようなものが珍重され
キャビアなども結構塩分が強いですし、
スモークサーモンや生ハムなども無添加のものは
塩分は強めです。

開高健氏はキャビアを丼で豪快に食べたそうですが
普通はそんなに食べませんから塩分の過剰摂取の
心配もさほどに必要ではありませんね。


正月にそんなものを食べようと暮れに仕込んだものが
いくつかあります。
おせち用にと昆布巻きです。

ブリ大根の昆布巻き


ニシンや鮭、関西では鮎、九州ではサバなど
所により中に巻く魚は地方色あふれる特徴が出ますが
今回はブリ大根にトライしてみました。
ブリの大トロ部分を細く切り大根と共に昆布で巻く
だけです。

ただし、生の大根をそのまま巻いたんじゃ柔らかすぎて
昆布巻きにはなりません。
干し大根を拍子木に切って巻きました。

なかなか軽やかな食味になります。

次は白子の塩辛。
白子の塩辛

スケトウダラの白子は何にしても美味しくなりますから
いまさら解説など不要でしょうが、
新しいものをたっぷりの塩にまぶして冷蔵庫で一週間。
袋に移して酒を注いで2時間。
その後水切りをしてから昆布じめにして2日。

意外に簡単に仕上がります。
色がついているのは昆布のせいです。

塩辛といえば酒肴の定番ですから
この際
通年で仕込んでいるものを並べてみましょう。

釣ってきた魚や仕入れてきた魚をさばいた折りに
ヒマをみて塩辛に仕立てたものです。

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桃色小鉢がカマス
青小鉢が前出の白子


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六角小鉢がナマコ
右小鉢がスズキ

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白小鉢が鯛
緑小鉢がイワナ

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おなじみのイカの黒作りと
フタ付き小鉢がメジマグロ

カマスなどの魚食魚(フイッシュイーター)は
消化液の力が強いのですぐに腹が弱ります。
水揚げ直後のものでしか仕込めませんので
一年かけても作れる量はほんの少しだけです。

イワナは早い時期から抱卵がはじまっていて
ほんの一筋の細い卵巣が一年がかりで少しずつ成長していきます。
それと胃を一緒に塩辛にしていきます。
ひとシーズンの釣果を塩辛で味わいつつ
振り返るのです。

この他にも魚卵の塩漬けなどを仕込んでいますが
機会をみてご紹介することとしましょう。

一年で手にする魚の数は数え切れませんが
こうして使える部位を少しずつ加工する楽しみは
もしかしたら飲む行為そのものよりも楽しいかも知れません。



2013.01.03 謹賀新年


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正月明けはおだやかな天気だったのに
今日3日からお店を開けたところ大雪になってしまいました。

今年も力一杯働きなさいということなのでしょう。

山に川にと忙しく動き回り
美味しい物をここ富山から発信いたします。

どうか
今年もよろしくお願い致します。