2012.09.19 替え玉の話
たまにはラーメンのことも書きましょう。

当店では替え玉をしていますので大盛りはありません。
「麺追加」と表記をして1玉を200円でお出ししています。

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お客様はごく自然に「追加」と注文されていますが、
この追加制は当初は難しく、他のほとんどのお店と同様
「大盛り」までしか出来ませんでした。

ではこの「大盛り」と「追加(替え玉)」の違いは何かと
いいますと、ズバリ「スープの強度」と言えます。

他店の事は知りませんから当店の事だけで語りましょう。

ラーメン店にした最初の頃に麺を1玉食べ終わって
追加玉を入れるとスープの旨味もコクも何も無くなって
しまっていたんです。

つまり1玉分の味を支えるだけの力しか無く
それを食べ終わる頃にはスカスカのスープになっていた
というわけです。

でも、そんなスープでも大盛りには耐えられます。
タレを多く入れてスープも多くする。
つまり一回り大き目の丼で供すればOKなんです。

これが「大盛り」と「追加玉」のスープの違いです。

かなり苦労してようやく「追加麺」の出来るスープに出来た
時に「大盛り」を止めました。

大盛りというのは単に量が多いというだけのものです。

追加というのは麺を後から投入することで隠れていた味
つまり
一杯目には醤油の後ろに隠れていた昆布やガラの本当の
旨味、そんなものがゆっくりと解け出て美味しく変化するのです。

だから
普通に空腹を満たすだけなら一杯だけ、
それでも足りなければご飯でも食べれば充分なのに
しかも
1玉の量も多目に設定されているにもかかわらず
ほとんどのお客様が麺の追加をされるのです。
それも2玉すら珍しくなく中には4~5玉も食べる方まで
いらっしゃいます。

よく耳にする「博多ラーメンの替え玉」とも
そこの辺りが若干異なる点ではないかと認識をしています。

名前が出たところでもう少し博多ラーメンのことを書くと
博多でも全てのお店が替え玉制を行なってるわけじゃない
そうでして、
以前にどなたかのエッセイでそんな
替え玉をやってないお店での事を読んだ記憶を要約すると

(要約ここから)
その店は替え玉をやっていなかったが旧知の仲でもあり
無理を言って替え玉をしてもらった。
一玉を食べ終わった丼にもう一玉を入れてもらった訳だ
ところがどういうことだか
まるで湯の中に入れたみたいでまるで味もコクもない
これじゃ何を食べてるのか分らないという結果に驚いた
(要約ここまで)

これがいわゆる普通のラーメンのスープなんです。
替え玉に対応するにはもう少し濃いスープに仕立てる必要が
あると言う訳ですね。

ではそれはどうやったら出来るのか?
というと固形物を多くする
つまり、鶏ガラなどをたっぷりと使うということです。
または
当店で行なっているように昆布をどっさりと入れる
あるいは
野菜などをたっぷりと入れる
という方法などが考えられます。

さらに
スープを濃くすればタレもそれにつれて強くしなければ
なりません。
スープを濃くするという事は誰でも分るでしょうし
また、案外簡単にできます。

しかし、強いタレというのは実は非常に難しいものです。
普通は色々な調味料を組み合わせようとしてしまいがちです。
でもそれじゃただ単に濃い味のタレというだけで
強いタレにはなりません。

ここは誰しも苦労するところでしょう。
だからつい化学調味料に手を伸ばすわけですが
多く入れれば入れるほど強い味にならないところが
これの特徴であり限界でもあります。

スープだけを濃くして弱いタレと合わせると
なんともバランスの悪いものになり、
知らない人はスープのせいにして後戻りをしてしまいます。

ところで
鶏ガラや昆布などを多くするのはまだいいとして
化学調味料を多用すると思わぬ落とし穴があるのですが
それはいずれ改めて書くとしましょう。

化学調味料は決して万能ではないとだけ記しておきます。
使い方を誤れば”後ろから匕首”のように裏切る奴なんです。

こうして濃いスープと強いタレが出来たら
最後に麺です。
以上の二点と比べると一番創り出し易いのがこれです。

誰でも具体的なイメージを持てるからです。

一玉を食べ終わって『あぁもう少し食べたいな』と
思ってもらえる麺を合わせれば完成です。

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そうそう、強いタレのことをもう少しだけ書きましょう。

以前に「和風ラーメン」をやっていた時に
ラーメンなんて
化学調味料無しには出来ないように言われているのが
間違いである  
という事を証明するために出していましたが

この和風ラーメンも元の強いタレを還元するだけで
簡単に出来ました。
しかも無添加のあっさりラーメンなのに
麺の追加は2個まで可能でした。

強いタレというモノの正体が少しはお伝えできましたでしょうか?

富山ブラックと g.s.さんにつけていただいた名称も随分
浸透してものすごく塩辛いというイメージが独り歩きを
していますが、ただ塩辛いだけじゃ強いとも言えません。

強いタレとは小さな丼一杯では納まりきれないほどの
旨味を持ったタレの事です。
ただ塩辛いだけじゃそんな力は持てません。

だから
何個も麺をお替りして頂けるのです。
麺を追加するたびに
ゆっくりと隠れていた旨味が丼の中でほどけ広がるのです。

でも、青竹式手打ち麺になってからはひと手間を
おかけになった方がより美味しく召し上がっていただける
ようになりました。

そのまま投入しても充分美味しいのですが、

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まず、茹であがったばかりの麺を1~2本そのまま
味見をしてみてください。

その次に少量のタレを麺に絡めてから丼に移す
たったこれだけです。

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手打ちならではの表面のつるみがスープの染込みを遅く
するからです。
より素早い一体感をお楽しみいただけます。

どうぞ
無添加スープが支える「麺追加」の力をご賞味ください。












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2012.09.13 残暑のミニ丼
暑さも一段落したと思ったのにまだまだ
暑い日が続きます。

ツバイソが上がり始めて喜んでいたら
潮の流れが変わってしまったとかで最近はさっぱり
上がらなくなってしまいました。

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これは先日作った
「ツバイソのタタキのメンチたれカツ丼」です。
もうすっかり御馴染みですね。
新潟たれカツ丼の応用です。

醤油たれでさっぱりと、ナスと合わせました。
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翌日はとても暑くなるということで
「残暑お見舞い申し上げます」と添え書きをして
冷やし中華丼の出番です。

今回は冷たいホイコーロー(回鍋肉)。

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もうしばらく暑い日が続きそうですが
しっかり夏野菜を摂って暑さに負けないようにしたいもの
夏野菜には暑さに耐えるためのビタミンがたっぷり入っています。

野菜も人間も同じ季節の中で同居しているからなんですね。

感謝  



2012.09.12 夏から秋へ
以前にオーストラリア在住のあゆみさんのブログで
40度の猛暑が通り過ぎたお庭の画像を拝見したことがあります。
猛烈な熱波が通過した跡は枯野でした。
温暖化とはこんなに恐ろしい光景をもたらすのかと
恐怖しました。

ところがそれから数年後まさか日本でも40度の夏が
来る事になろうとは!

さすがに富山は40度までは行きませんでしたが、
恐ろしいフェーン現象の熱風が連日吹き荒れました。

日本列島の真ん中に山脈がそびえている為に
冬の北風は日本海の湿った空気を雪に変えて落としますが、
夏の南風は山を駆け下りてくる時に猛烈な高温になります。

このフェーン現象には漢字があるそうで
「風炎」
と書くそうです。
まさに閻魔大王の炎の息吹のような風です。

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鉢植えもご覧の有様です。

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このようなサボテンの仲間しか生き残れない季節に
なろうとしています。

でも
そんな厳しい暑さももうそろそろ交替時期がきました。

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陽射しは強くても空の上にはいつのまにか秋雲。
陰もずいぶん長くなりました。

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里には稲穂の海が広がり
柿は着々と実り

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ひまわりもそろそろ仕舞い準備を始めています。

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浜には打ち捨てられた花火の残骸が転がり
賑わった夏の余韻を残すのみです。

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もう少し涼しくなれば今度はキノコのシーズンですが
こんなに暑さで疲れた年は初めてです。
それまではもう少し体を休めましょう。


先週の店休日。
この日は雨上がり。
この様子ではオロロはいないだろうと出かけてきました。

前回も書いたように人が通った後のミョウガのコロニーは
悲惨の一語。
なぎ倒され、踏み付けられ、時には肝心のミョウガでさえ
踏みつけられています。


こんな跡をそのまま通ったんではまるで収穫は望めません
この踏み倒されたミョウガの木を起してその下を探すのです。

さいわい、先行者はオロロの襲撃にたまらず焦って
足早に見てまわったのでしょう。
やや花が開いてはいるものの数だけは沢山採れました。

とはいえ
藪から転げ出る頃にはすっかり汗と泥とで
まるで山芋でも掘ってきたかのような有様です。
ご丁寧にその頃になるとオロロまで出てきて
顔の周りをブンブンと飛び回ります。

こりゃ漫画にでも出てきそうな
絵に描いたような小汚いおっさんだなと苦笑しつつ帰途に・

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富山地鉄電車の踏切を越えて川に降りると

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鮎釣りをしている人たちがいたので写真を撮らせて
もらいました。

友釣りです。
この川は入漁料がいらない事
放流していないから釣れるのは天然遡上の鮎
などの理由から近年隣県からの釣り人が多く訪れます。
今回は平日だと言うのに岐阜ナンバーや松本ナンバーが
5~6台もいました。

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橋の下でテーブルなどを出しているところを見ると
泊りがけでしょうか?
いやはや釣り人はどこでも熱心です。

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鮎は珪藻という石に付いた藻を食べます。
この黒いところが鮎の食み跡。
釣り師はこれを見てポイントを探します。

丁度目の前で釣れました。
12~3cmほどでしょうか。
小型ですが天然モノですから上々と言えますね。

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以前に関東からここに来て鮎を狙っていた人がいて
その時は全く釣れなかったんですが
川から上がってきて
「水から上がっても臭くないのがいいですよね」
などと言っているのを聞いてビックリしたものです。

世間じゃそうなんだ! と妙な所で感心しました。

いつまでも暑い夏でしたがそろそろ曲がり角。
稲が美しく色づいてきました。

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味を考える事は奥深いことです。
千人いれば千人なりの味があり、考え、手法があります。

きれいな景色をみて「美しい」という言葉は同じでも
どこが?と問われれば皆感想は微妙に違うでしょうし
そこの風景画を描かせればそれぞれ違うはずです。

味もそれと同じです。

本来違って当たり前だったのに”同じような味”に
なってきたのが化学調味料以来です。

千の手法、取り組みで作られていた頃には
素人の仕事と玄人の仕事とには
線引きがくっきりとあったはずです。

ところが今はプロでさえ化学調味料などを安直に使う人が
多い為にその区別を味の上で判別しにくくなってきているのです。

そうなると
わずか数種類の手法を知っているだけで
違う仕事をしている人を指して

「邪道だ!」とか「仕事を知らない」

などと非難します。

僅かな味の経歴の味覚しか持たない素人でさえ

「何をしたいのか分らない仕事だ」
「この料理人の味覚は大丈夫か」

などと語ります。

何をもってして「美味しい」と感じるのか
それは何故なのか、ではどうすればそれを実際の料理に反映
させるのか?

口で語るだけなら実に簡単

誰でも語れます。
実際に食べていなくても食べたかのように語るひとすら
います。
一度食べただけの感想を10年語る人もいます。

また、同じ料理でもその時の体調や嗜好などによって
味わいが異なることもあります。

理屈はいいから美味しい物を作ればいいんだと
言う前に
「美味しい」を作ろうとするなら
まず舌から化学調味料を抜くことが先決ですし、

「美味しい」を語ろうとするなら
まず、舌を洗うべきです。

味の構築はその先に無限の手法があります。



2012.09.04 2012 ツバイソ
夏もそろそろ終わりかな?  という
風が朝夕に吹き始めて今年もツバイソが上がり始めました。

ブリの幼魚です。
ブリは出世魚なので全国に数え切れないほど名前がありますが
30cm未満のものをこちらではツバイソと呼びます。

夏の暑い時期に脂のノリの少ないさっぱりとした味が身上
です。
この時期にちょうど出回るミョウガなどと合わせて
タタキ丼に仕立てるのが夏の定番となっています。

ミョウガ、青紫蘇、生姜、ネギのみじん切りと合わせます。
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ところが今年は富山湾に小イワシが大量にいて
それをたっぷりと食べている為
型は小ぶりでもとても脂のノリがいいんです。

こんなに脂ののったツバイソは初めてですが、
でもこれはこれで旨いものです。

これを新しい、まだ身が活きているうちに”血抜き”を
して〆てやるとギュウッと身肉が締まります。
そうしてタタキにするわけです。

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ラーメンが完成するタイミングにあわせて、

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熱々のご飯に金ゴマと刻み海苔を敷きタタキを
たっぷりと乗せてお出しします。

昆布醤油に好みでワサビを溶いたのを上から回しかけ、
ワシワシと掻きこむ様にして食べるのがこれの食べ方です。

ところが
タタキと書いてあるためかそれとも育ちが上品なのか
今までにお一人だけ
醤油小皿にタタキを取って少しづつ召し上がる方が
いらっしゃいました。

こちらでは上記の食べ方をご説明しているにもかかわらずです。
おそらく居酒屋や割烹などで「アジのタタキ」などを
そうして召し上がるのでしょう。

そうすると
ただでさえ熱々のご飯の上に盛り付けてあるわけですから
ワシワシと掻き込みラーメンをすするよりもはるかに
時間がかかるのでタタキが生煮えのようになってしまい
この方は残されてしまいました。

最適な食べ方を指示しているのに
美味しく感じられなかったのでしょう
やや不機嫌にお帰りになられました。
残念なことです。

「タタキの食べ方ぐらいラーメン屋ごときに指図されなくとも」
と思われるのも無理からぬところではありますが、
一般的な「タタキ」と「タタキ丼」は全く違います
そのために醤油や小皿までキンキンに冷やしているのです。

温かいご飯の刺身定食がご馳走なのを丼で再現しているのです。
冷やご飯と刺身では美味しくありませんよね?

ツマツマと時間をかけてゆっくりと召し上がるのは
お止めください。

モノには最適な食べ方というものがあります。
例えば
お茶漬けをこのようにひと粒づつゆっくりと食べれば
ご飯がふやけてしまい不味くなってしまうのと同じです。
カキ氷ですら溶けてしまっては美味しくないでしょう?

なのでそれ以来
解り切ったはずですがあえて毎回のように
「溶いて、かけて・・・」と
お指図をして出すハメになっています。

翌日はそんな面倒を避けるためにも
寿司にしました。


タタキを海苔巻きにするのも手ですが、
こうして並べて中心に薬味を乗せて巻きます。

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断面はやっぱりタタキ状になっています。
この日はタチウオの押し寿司と組み合わせて
ボリュームいっぱいになりました。

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さあ、
これからはどんどん水揚げが増えて価格も下がってきます。
沖釣りをする人に聞いたら沖にはツバイソが沸いているそうです。

美味しく食べてもらうにはどう仕込み
どういう仕掛けで楽しんでもらい
どういう満足の総和を為すか?

簡単なようで難しく、それでいて料理人しか味わえない
愉悦の世界、
今年はどんなカラクリが出ますか自分でもまだ未知の世界です。

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