最近面白い話を聞きました。
ご存知の方も多いでしょうが、改めてご紹介します。

これは「なっとう」ですね
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そして
こちらが「とうふ」です。
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実は元々の読みと意味が入れ替わっていたというのです。
漢字に置き換えてみましょう。
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「豆腐」は豆が腐ったものだから
本来は
こちらを指す言葉であった。

また
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「納豆」は豆を箱に”納めた”ものだから
本来は
こちらを指す言葉であった。

というものです。

それがいつの間にか発音の粘り感から
「とうふ」の方を「なっとう」と呼ぶようになっていった。

というのです。

なるほど!
そう言えば何故豆腐の字に「腐る」という字を当てる
のだろうか?と子供の頃に不思議だった記憶がある。
と思わず得心

しそうになりました。

それは全くの間違いなのだそうです。
詳しくはこちらをご覧ください。
納豆のwikipedia
ややこしいので説明は省きます。

このように良く出来たウソというのは
ほんの一部
「おや!そういえば!
「あ!そうだったのか!

というパーツが埋め込まれています。

結婚サギは
「心底誠実に尽くして最後の数パーセントで裏切る」
などと言われるのと似ています。


言葉遊びだけなら実害を伴いませんから罪はないですが、

数年前のことです
某食品会社が「手作り餃子」という商品を発売しました。
それだけならなんでもない事ですが
あるお店がそれを仕入れて「手作り餃子」と
品書きに載せてお店で出したのです。

そこまでを営業戦略として考えて製造販売したのなら
コロンブスの卵的な発想とも言えるでしょうが
さて、お客さんはどう思うのでしょうか?

新聞はインテリが作ってヤクザが売るとは
昔から言い古されてきた言葉ですが
こちらの自称手作り商法は残念ながらパッとしませんでした。

理由は簡単。
一軒に売り込むことに成功した営業マンは次々に声掛けを
したからたちまち広くばれてしまい
思ったほどの成績を上げられなかったという訳です。


さて、手作りというといつも話題になるのが
どこから~どこまでをそう呼ぶのが適切なのか?
という点です。

機械でほとんど製造しておいて箱詰めのみを手作業で
行なうのを手作りとはいくらなんでも呼べないでしょう?

私は手作りの概念をそんな騙しもどきや、
作り手側の事情や都合だけから語るのではなく
実際に食べる人の感性に拠るべきだと考えています。
つまり
作り手側ではなく食べる側、買う側の利益を満たすもの。
どこにでもあるモノとは違う価値観を持つもの。

というものです。

工業製品では出せない質感を持つ製品、色、風合い。

食べ物なら
ありふれてない食感、味という点です。

言葉を換えて言うなら
大量生産品よりは消費者になんらかの良い点があるモノ
とでも言いましょうか。

その反面工業化された食品には悪しき共通項が歴然と
しています。
防腐剤などの各種添加物の問題は当然として、
なにより一番の問題は平準化された味にあります。

これを「万人向けの味」などと思い込んでいる点が落とし穴なのです。

ある高名なシェフの出してくれた料理に感激した評論家が
あまりの美味しさに思わず
「どうしてこんなに美味しいんですか?」
と尋ねたところ
「う~ん  きっと万人向けじゃないからでしょうか」
と応えたという有名な話には
そこの辺りの深い真理が見えてきます。

繰り返しになりますが
「万人向け」などと安直に言われる
大量販売を前提とした味の平準化というのは
飽きやすい味となり、それは決して強みなどではありません。

言葉を換えて言うなら「並み」です。
機械成型の回転寿司や各種業務用食材を多用している
ところはその「並」をかろうじて整えようと躍起になって
それを
「手間隙かけている」と勘違いしている様にすら見えます。
まず、
その嘆かわしいレベルを自覚するところから始めるべきでしょう。
そうすればおのずと改善すべき点も見えるはずです。


美味しさとはそんな月並みな凡百のラインを
越えたところから始まるからです。

ですから私達も手作りにこだわり
原点回帰を主張しているのです。
なにもこだわっている事を売りにしているのではありません。
手間ひまを掛けて美味しい物を提供するのが
料理人として、飲食店として当然あるべき姿ですし
それがお客様の利益に合致するものだと信じているからです。

納豆と豆腐の話のように
ひねったり、小細工をわざわざ仕掛けなくても
普通に手間を惜しまずまともな仕事さえしていれば
それが味に正直に出ます。

何もしていないくせにさも何か特別な事をしているかの
ように見せかけるステイングは不要です。

そして
実際に召し上がってくださったお客様がもし、
『なるほど手作りらしい食感と味だった』と
ご納得していただけたなら冥利に尽きる幸せというものです。

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2012.04.04 岩魚の骨酒
先日は師匠の上げた初岩魚(イワナを一匹有難く持ち帰り
骨酒にしました。

先の「アユカケの骨酒」のときに「酒が甘くなる」という話を
書きましたが覚えておいででしょうか?

アユカケでは酒が甘くならない
イワナでは酒が甘くなる

という話でしたね。

まず
なにはともあれ焼いて食べましょう。
冬の間にあまり食べていないせいか随分痩せています。
胃袋にも何も入っていませんでした。
雪解け水にはまだ餌も少ないのでしょう。

これから木々の柔らかい新芽が萌え出ると
それを食べるために虫がいっせいに出てきます。
それが落下したり、川虫の活動が旺盛になると
魚も肥えて来るのでしょうね。

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食べます。
解禁直後のイワナなんて初体験です。
あっさりとしていますね!
なるほどこれは美味しいものです。
いい経験をさせていただきました。

さて、次に残った頭と骨をもう少し炙ります。
小鍋に酒を注ぎ燗をつけ、程よいところで骨を投入
もう少しだけ沸かします。
これを飲みます。

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「おぉぅ」と思わず声が出てしまいました。
旨い!
旨いものです!
色が出てるのがお判り頂けるでしょうか?

昆布だしや煮干しだしだって
「正しくダシと出た状態は色が出るんです」
骨酒だって色が出るくらいでないと味も出てこないんですね。
(ココ 実は重要)

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思った通りでした。
タネはこの酒。
あえて安い酒をチョイスしました。

石川県の「福正宗」は純米蔵です。
つまり、純米酒しか造りませんという所です。
そこの一番安価な酒で一本1,000円ほどです。

これでやると骨の旨味と酒の弱さとがちょうど良い按配に
なるんです。
じゃ、もしこれを上等のどっしりとした純米酒や
上級酒でやるとどうでしょう?

それは「甘くなる」んですね。
その甘味とは美味しいでしょうか?
いえ、未熟な酒飲みなら喜ぶかも知れませんが
それは決してまた欲しくなるという味ではありません。

いつか詳しく書く機会もあるでしょうが
それが「旨味」の特徴なのです。
化学調味料の旨味特性にも通じるところがあります。

私はかつて骨酒というものが嫌いでした。
昔、あるお店でそれはそれは不味い骨酒を飲んだからです。

あまりの不味さに
いったい骨酒というものはどうやって作るんですか?
と尋ねたところ
「骨と燗酒に味の素を加える」
と答えが返ってきて得心して以来、嫌いになっていたのです。

ただし、その頃はまだ自分も仕事で味の素を使っていたのです。
それでも不味く感じるほどだったというわけですね。

因みに、酒と化学調味料というのはかなり深い関係にあります。
興味のある方は調べてみてください。
そんな日本酒がまかり通りすぎて
「日本酒は二日酔いする」と
敬遠されて今では恐ろしいほどのシェア陥没状態です。

だから先ほどのような純米蔵という原点回帰の所がでてきた
というのは酒飲みにとって雨降って地固まるという喜ばしい
ことなのですが、現実には今もってろくでもない酒が
幅を利かせているわけです。

そんな酒で骨酒を作ったらと思うだけで寒気がしますから
もう一度熱いのを一杯作りましょう。

イワナは安酒で作るに限ります。
ただし、純米酒で!

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う~んやっぱり旨い
しっかりとしたダシと米の旨味が噛みあって飽きない
美味しさとなってくれます。

どうやら、またも飲みすぎたようです。


おなじみの「土佐丸」です。
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当店のラーメンは個性が強いのでなまなかな具材では
弾き飛ばされてしまいヴァリエーションが広げにくいのです。

また、その個性の強いものを食べに来店されるお客様に
「無添加タンメン」などを期間限定でお出ししても
受けません。

自然に基本のラーメンを土台にした構成になりました。
その中でも一番人気がこの「土佐丸」です。

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濃い口醤油ラーメンを
普通に仕上げます。


ucc 044チャーシューメンの場合も同様です。
普通なら両者の相違点は
肉の量の多少だけですが
当店では崩して混ぜ込むという
特徴からチャーシューメンの方が
味がいっそう濃くなります。

oaa 039それをさらに濃厚にしてくれるのが
この本枯れ花カツオです。
あまりに高価なので
地元市場には常備されていません。
焼津からの取り寄せ品です。

oaa 040その上にかぶせるのが
有明産高級新海苔
今では寿司店でも扱ってくれる
お店は少なくなったと嘆く海苔メーカーの
社長との会話がきっかけでした。

tkr 010その一枚に秘められた力と違いは
「通」だけとか「グルメな方が」などと
いうレベルではなく
”誰もが即座に判る”
という凄さです。

oaa 044今ではほとんど忘れ去られようとしている
海苔と鰹節のホンモノをあしらうだけで
こんなに凄い力を発揮してくれるのです。

この「土佐丸」を始めると必ずこんなお声を頂きます。
「一杯目の麺の量は少なかったでしょ?」と

いいえそんな小細工はできません!
材料の力が強いからそれに飲み込まれて一杯目が
あっという間に無くなってしまうからです。

本物のカツオ節には「力」がみなぎっているから旨く
そして本物の海苔は美しいからこそ美味しいのです。

化学調味料で整えた虚味では決して到達できない
本物のみが持ちえる力を組み上げて構成しています。
上辺だけを取り繕った凡百の小細工を蹴散らしてしまう
まさに暴君の破壊力です。


多数のリクエストをいただきながら
開始が遅れて申し訳ございませんでした。
今回も美味しい材料を調えました。
本日からスタートします。

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「土佐丸」です。
ラーメンでもチャーシューメンでも

プラス200円

うけたまわります。