2011.01.31 お品書き
メニューの表示について考えて見ます。

一般的にはメニューやお品書き、と書かれることが多いようです。

別にそんな項目というかタイトルなど要らないようなものですが、
そこにはやはり、店主、料理人の意気込みや経営理念などが
ほのかに透けて見えてくるものがあるのです。

中国料理では「菜単」と表示されます。
単とつくからといって単品(ア・ラ・カルト)ものばかりでは
ありません。
単純にメニューと訳して構いません。

そんな項目の書き方にも色々あります。
最近はあまり目にしなくなりましたが、
「舌代」
と記すところがありました。

好みは人それぞれでしょうが、
私は書こうとは思いません。
ですが、最近この意味する所をしみじみ痛感するのです。

これこそ古い料理人の行き着くお品書きのカタチなのだろうかとさえ思います。

価格表と書くとまるで原価に対して掛け値がいくらなどと
つい余計なことを考えそうになります。
そうではなく、あくまでも舌が喜ぶ代金を申し受けます
と控えめに、しかし一定の矜持をもってきっぱりと書き記す姿さえ
想像できそうです。

そこにはケチな手間賃仕事など入り込めません。
手間代ではなく
つまりどれだけ手を掛けたかどうかなど無関係にあくまでも
舌喜ぶ美味だけを今日はこれだけご用意できました。

と そっと記してある。
という風にようやく解りかけて来ました。

こうして昔の事が少しづつ解るようになり、また一歩古い人間になって行くのでしょう。






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富山湾では今のほんの一瞬しか上がらない
チカメキントキを食べつくそうと、またまたちらし寿司にしました。

前回は他のネタも乗せましたが、今回はこれだけで整えます。

そうすると脂の乗っている分それを和らげる工夫が必要になってきます。
ガリを刻んで乗せ、青紫蘇も加えましょう。
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ゴマと海苔は定番です。

ワサビ醤油にいつもは普通の粉ワサビだけを使用していますが
脂を消すために今回は「山ワサビ」を摩り下ろして加えます。

ツンとした刺激と芳香がさっぱりと舌をリフレッシュさせてくれるのです。

狙い通りの美味しさになりました。

寿司はラーメンにあわせるため、やや酢を強めにして仕込みますが
脂とワサビの効果でいつもよりさらに味の総和がよくなりました。
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チカメキントキ、美味しい魚です。
因みに「近眼(ちかめ)」と言えば昔は近眼の人に対する蔑称でした。
確かに牛乳瓶の底のような目をしてるとも言えますが、

上から見ると眼と眼が離れていない=近い
というところからついた名前でしょうね。

昔の人は面白いセンスをしています。

私はかつて釣り師でしたから、ただ魚をさばくだけでは退屈です。
必ず胃袋を開いて何を食べているかをチェックします。

釣り師はそうやって次回の釣りエサの用意、調査をするのが重要でしたから習慣のようなものです。
そうすることで魚の情報を集積するのです。
どんな環境にいるのか=ポイント選定
どのくらいの深さにいるか=仕掛けの長さ(棚取り)
何を好むか=エサの投入のしかた=釣り方の選定

この魚はホタルイカを食べていました。
もう深い海ではホタルイカが近づく産卵に備えて用意が始まっているのでしょう。
陸上は相も変らぬ雪景色ですが、海の中では粛々と時計が動いているのですね。

予言しておきます。
今年はホタルイカ豊漁でしょう!

え?
もし、違っていたらどうするのか  ですって?

決まっています。
チカメキントキが食べ過ぎたせい  にします。
それがイヤなら今のうちに頑張ってキントキを皆で食べましょう!

冗談はともかく本当に美味しい魚です。
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あーっ 能登の幸寿しさんでこれの握りを食べたいっ!

2011.01.26 金目違い
金目だとばかり思っていた魚が実は違う魚でした。

よくよく調べてみたら「チカメキントキ」という魚です。
こちらの方がよほど珍しいようですね。
ボウズこんにゃくの市場魚類図鑑

浜でも市場でも、魚屋さんまでが皆でキンメだというのですっかり永年
これがキンメだと思い込んでいました。
反省

これからは、「富山ではこれをキンメと呼ぶ事が多い」という事にしておきましょう。

さて、このチカメキントキ全国的にみても流通量は少ないそうですが
美味しい魚です。
大型は高価ですが、
こういう小型は欲しがる人が少ないので安く買えます。
私にとって見れば「面白い」材料です。

ベテラン寿司職人さんは「寿司に映える」 というらしいので
さっそく見真似してみました。

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小型なので背身は一貫、薄腹は二枚付けです。
小さくとも厚みがありコリッとしているので切り目を入れます。

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やはり、寿司にすると見ためも味も映えます。
日本人にとって魚を最も引き立てるのはやはり寿司ですね。
鮨 とも書きます。
魚が旨いというぐらいです。

こうして味を確かめて昼のミニ丼に仕立てました。
ちらし寿司です。

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金目改め、チカメキントキのちらし寿司。 200円


手間はかかりますが、身肉がしっかりしているのでさばきやすい魚ですね。

魚をさばくと言えば、
魚はまず「ウロコを落としてから」とばかり思っていませんか?
実はウロコを落とさない方が良い魚もいるんです。

アマダイなどの柔らかい魚などがその代表的な例です。
ウロコを落とそうとバリバリ引っかくと身肉がぐにゃりとなってしまうのです。
アマダイなどはウロコを逆立てて焼き上げるという逆転の発想の調理法までありますが、

うろこの硬い白身魚などは大概うろこを落とさない方が手早く、しかも美味しく仕上げられます。
真鯛、スズキ、ホウボウ、カマス、などは代表選手です。
私は基本的に刺身にするのならウロコは引きません。
板前さんはウロコを包丁でそぎますが私はそれもしないでいきなりさばきます。

焼き、煮物の場合のみ、引きます。

その前に超初歩的な話からですね。

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最初にまな板を洗います。
何故でしょうか?
ホコリや汚れを落とすのはもちろんですが、
まな板というのは無数の切り傷がついています。
そこに魚の血や汚れをしみこませない為に、先に水をしみこませておくのです。
こうしておくとそれらを洗い落としやすくなります。

フキンでさっとふくだけではダメです。

次に包丁も濡らします。
魚の脂をはじき、すべりを良くするのです。

ですから刺身や切り身にするときのフキンも硬く絞ったタオルではいけません。
包丁に適度な湿り気を与える程にややゆるく絞ります。

最初は出刃包丁を持ち
チカメキントキの頭と腹を取ります。
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左手でしっかり魚をホールドし、
次に刃のウラを背骨に当てて背骨の感触を確認しつつ
刃を立て気味に前後にスライドさせて尾の方に向けて進めます。
刃のウラをぴったりと背骨に沿ってゴリゴリと感触を感じながら行ないます。

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この時にこうして刃を寝かせると刃が背骨から離れて上身が小さくなり、
骨にたっぷりと残ってしまいます。

こうしておろしたのが3枚おろし。
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腹骨をかき取ります。

次に刺身包丁に持ち替えます。
皮を引くのもいいのですが、それも省略してしまいましょう。
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こうして中心の中骨をまたいで入れて、
皮に届いたら刃先をひねってそぎ落とします。

反対側も同様に
中骨をまたいで入れて
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皮に沿って反対側に刃をひねってそぎ落とします。

こうしてさばくとカワハギなどの手間のかかるのも一気にさばけます。
最初の皮をはがなくても済むからです。
というより皮が付いている方が滑り止めの役目をはたしてスムーズにやれますね。

こうしておろしたのを刺身包丁で刺身にすれば完了ですが、
チカメキントキにはもうひとつのお楽しみがあります。
この皮をから揚げにするんです。

こうです。

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びっしりと細かいウロコがバリッと香ばしく揚がりおつまみに最高です。

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チカメキントキ
この深い海から上がってきた大きい目は今何を見ているのか
いつもながらこの目の中を覗き込むと吸い込まれそうになります。
不思議な目です。










2011.01.23 金目鯛
新しい海が始まっているという話に続けてみます。

昔、船員をしていた頃の話から始めましょう。
外国航路を長く航海していて日本に帰ってきた時に
何が一番食べたいかといって

まず、新しい刺身、それの乗った寿司です!
つくづく日本人にとって新鮮な魚と寿司というのは特別な食なのだと
思い知らされ続けた船員時代でした。

原油を運ぶタンカーでしたから寄港地はわりと辺鄙な場所が多く
なかでも鹿児島県の喜入港は母港でしたからしばしば入港しました。
日本最大の備蓄基地のある所といえば聞いた事もおありかも、
ここでは名物親父のいる寿司屋さんがありました。

入るといかにも旨そうな新鮮なネタがずらりと並んでいます。
場所柄、南方系の魚種が多いのはもちろんなのですが
なにしろ「飢えて」いるのです。
ネタの名前も上の空でビールと刺身を注文し、かぶりつきます!

ところが!
実に、誠にもって悲しいことに
鹿児島の醤油は甘いのです。

非常に甘いのです。
砂糖をたっぷり加えてさらに甘味料を入れて販売されたものを
寿司屋さんも負けじとみりんなどを加えて「お仕事」をしたの?

というくらいに甘いのですね。
非常にガッカリします。

目の前にはずらりと美味しい魚が並ぶのに
まるで拷問にあったようなものでした。
その当時はこちらも迎える方もどちらも不慣れだったんです。

最近では迎える方も県外の客だとみると甘くない醤油を勧めてくれます。
しかし、こちらは慣れてしまって地元の醤油でいただきます。
が、日本一甘いと言われる鹿児島の醤油に慣れるにはやはり時間が少々かかりました。

鹿児島ではその頃も今も変わらぬ南方系、暖流系の美味しい魚が楽しめます。

タンカーでは数少ない国内航路も経験しました。
横浜の根岸です。
根岸というとすぐに
「根岸の郷のわびずまい」などという句を連想しますが、
タンカーの寄港地としては賑やかな部類の港です。

仕事が終わったらタクシーに飛び乗って港の見える丘公園を素通りして
関内や伊勢崎町方面に向かいます。
その馬車道の小料理店で初めて食べたのが「金目鯛」です。

脂の乗ったコリッとした白身です。
驚きました。
板前さんに思わず「何という魚ですか?」と聞きました

それで金目だと判ったのですが、板前さんが
『え? なんで今更そんなことを聞くの? 知らないの?』
とでもいうような怪訝な顔をしたのを今でも覚えています。

つまり、その当時はそれだけありふれた大衆魚だったのです。
こちらでいえばフクラギぐらいでしょうか?

北陸でフクラギの刺身を出して
「これって 何ていう魚ですか?」と目を剥いて聞かれれば
『なんなんだろ?』と思うかもしれません。

それ以来私の中ではキンメと言えば「超旨い魚」とインプットされてしまいました。
人それぞれですから構いませんが、
旨い=高級魚ではないですよね。
高価でも旨くない魚なんていくらでもあります。

高価でも美味しくないキノコがあるのと同じです。
市場原理で変動する貨幣価値と味は比例するとは限らないのです。
先に書いた「ヤガラ」も富山に出始めた頃はバカ安でしたから。

キンメ
富山では長らくお目にかかれませんでした。
たまに市場の場内で水揚げされたのを見かけますがとても手の出る値段ではありません。
関東でも最近は高級魚に出世したそうですが、
富山ではずっと高値の花でした。
いえ、それどころか姿を見れるだけでもマシというくらいの貴賓席だったのです。

ところが、ここでも温暖化の影響が出てきました。
小型のキンメが大量に上がり出したのです。

これです!
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細かいウロコがびっしりと被っています。
これだけで普通はおっくうになるところでしょうね。
この旨さを知らなかったら多分私も手を出さないかも知れません。
いかにも身肉が薄そうだし   とか言ってそうです。

手の平サイズのキンメ
これが旨いんです!
こうです。
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コリッとした食感は根岸で食べたのと同じです。
脂の乗りは小型の分だけやや少なめですが
今が旬だけに素晴らしい美味しさです!

金目万歳!  と叫びたいぐらいの味です。
永年恋焦がれ続けた味です。

温暖化も悪くないかも  とこっそり思うのでした。
さて、次は何が来るのでしょうか?
もう一人の恋人「イサキ」でしょうか? それとも???

さて、最後に鯛やヒラメ、このキンメなどのお茶漬けをご紹介しましょう。
作り方は至って簡単。

すりゴマに醤油を垂らし、刺身を合えます。
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その間に熱湯で煎茶を淹れます。
刺身を熱々のご飯に乗せて、お茶をかけまわします。
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仕上げに、お好みでワサビ、ミツバ、あられ、海苔なんでも結構。
ちょこんとあしらう。
それだけで完成です。

お試しください。

間違っても永○園のお茶漬けの素なんか使わないでくださいね。
翌朝必ず、もたれます。
『あぁ最後のお茶漬けが多かったかな、胃が・・』
なんてやるのは その小袋が原因です。

お茶漬けがいけないわけじゃありません。
その証拠にこうして作る本物のお茶漬けは食べたことすら思い出せない程、胃に負担をかけません。

え?  そりゃ呑み過ぎなだけだって?

ハイ おっしゃるとおりです。






2011.01.21 ヤガラ
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ヤガラが上がりました。
ヤガラという名前は魚体が矢に似ていいる所からついているものです。
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この愛くるしい目からは想像できない残忍な
幼児虐待性をもつとんでもない奴です。
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この長い、大きな口を見るとガバリと開けそうですが実は
こんなにおちょぼ口なんです。
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これのどこが残虐?!と思うでしょ?
これが食わせ物なんです。
スポイト状になってるんです。

海には卵からかえったばかりの稚魚が沢山います。
孵化してから流れに乗って沖合いに出る
という所まではTVなどで紹介していますよね。

沖合いに出てから成魚になるまでには様々な苦難が続くのですが、
あたかも賽の河原の子供たちがお地蔵様のすそに隠れるように
稚魚が寄り添って隠れ棲むのが潮と潮の境目つまり潮目に漂う海藻塊。

これを「流れ藻」といいますが、この中や周りに隠れて生きているんです。

このヤガラって奴はこともあろうにそこを餌場にしてるのです。
藻の中に隠れる稚魚や小魚、小エビなどを
その長い口吻をグイッと差し込んでヒュッと吸い込んでしまいます。
長い掃除機ホースを持った吸引力抜群な魚というところですね。

どうです?
まさに幼児虐待でしょ?
進化の妙というか、神様もイタズラがお好きですね。

そんな悪い奴はやっつけてやらなくては  
と、これを見たら積極的に買い求めます。

なぜなら旨いからです。(これが本音)

ちなみにこの頭部でダシを取ると腎臓病の薬になるそうですが
私には判断できません。

物の本によると
「刺身はさほどではないが、椀種などにすると一級品の味わい」
なんだそうでして、
大変な思いまでして刺身になんかするよりも  と
今まではもっぱら天ぷらの種にばかりしていました。

ところが!!
今回お刺身にしてみたら!!

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「旨いじゃないか!」

白身なのに実に滑らかな脂が乗り、歯応えも良く
間違いなく一級品です。

本などで紹介される情報というのはどうしても
東京発に偏りがちです。
東京=築地=太平洋の魚ばかりとは言えませんが、

冬の日本海
温暖化が進み、今まで日本の誰も知らなかった美味がこっそりと育っています。
無理もありません。
こんな暖流系の魚なんてほんの数年前までは富山湾に入ってこなかったんですから。

ブリが冬の日本海に入って誰もが認める美味となるように
ヤガラもまた冬の日本海の潮にもまれて今までに無かった美味へと昇華しているのかも知れません。

心配な事も多い「温暖化」ですが
また違う意味ではこれから楽しみとも言えます。
冬の日本海の温暖化  どうなるのか解りませんが

誰も見た事の無い海になるのは間違いないようで目が離せません。


ようやく新年も落ち着きを取り戻して
平常がもどってきました。
ミニ丼の出番です。

お初にはちょっとだけ気を使います。
少なくともおせちや正月料理に飽きた舌に新鮮に感じるものをと思うからです。

そして選んだのがオムライス。
オムライスは最近色々なタイプが盛り沢山です。
中でも人気なのがトロトロオムライスですね。

残念ながらあまりにトロトロなのはラーメンと相性が良くないので
オーソドックスなタイプにしますが、ソースのほうに手をかけます。
ホワイトソースです。

エビ、キノコ、じゃがいも、人参などをスクエアカットにすると、
チャウダーのようなソースになります。
ただし、牛乳だけじゃ濃すぎるのでカツオダシも加えてあっさりと仕立てます。
隠し味に醤油もちょっぴり。

だって食べる人は日本人だし
パンじゃないし

こうしてカツオダシのホワイトソースにすると
和風になりますからグラタンにしてもあっさりと美味しいものに仕上がります。
白身魚やカキなどを敷いてお試しください。
日本酒にも合うグラタンの出来上がりになりますよ。
野菜にも和を持ち込み、柿などもおもしろいかも知れません。

今回のオムライスソースにはタケノコも忍ばせましたが全く違和感がありませんでした。
ソースに包括感があるのか、カツオダシが万能なのかは解りませんが美味しいのは確かです。

カツオダシと言えばもうすっかりお馴染みの仕込みです。
鶏ももの皮を取り、小さくカットしたものを味付けしたカツオダシに一晩漬け込んでおきます。

これが、翌朝ザルにあけて水切りをしようとしても水分がほとんど落ちないのです。
肉に美味しいダシが滲み込んでしまってるんですね。
粉をまぶし、ニンニクと炒め、タマネギのみじん切りも一緒に混ぜ込んでやります。
これがご飯の具となります。

鶏肉だけでも充分美味しいのです。
しかし、ここでもカツオダシが入ることでぐんと味がアップします。
ケチャップ控えめなのはチキンライスの時と同じ。

さっぱりとして甘さ控えめ。
旨味がたっぷり入っていれば甘さなんかいりません。
この考えはラーメンでも同じです。

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美味しいと感じるのは体喜ぶ栄養がそこにたっぷりあるから、
なんて言うと
「ラーメンに栄養なんか求めていない」とか言う
頓珍漢もいるけどそんな人はたっぷりの粉末を有難がってればいいさ 
とひたすら自分の味を追求していく一年にしたいものです。

ネット上では新年早々
インチキおせちだとか
国産餃子と称して中国産餃子を送りつけたとか、にぎやかな事ですが
こちらは今年も
手抜きなし
ウソなし
体喜ぶ本物の「美味しい」をご提供できることに幸せと誇りを持って続けていきます。

何のかんのと言っても安心国産はごろごろしています。

求むれば得られる

はい、求め続けましょう。
まず、料理人の仕事の一は探す事から始まるのですから。
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2011.01.12 山菜のチカラ
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山菜のショウマといいます。
トリアシショウマとサラシナショウマが代表的な種です。
私はこれが好きでよく採ります。
ところが実はこれがよく解らないのです

ワラビやゼンマイはシダ類ですし、
ウドは成長すると硬くはなってもなんとなく草木の類だと解ります。
ところがこのショウマは出てくる姿はシダ類のようで
成長すると低木です。

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塩漬けにして保存がきくので重宝しますが、
塩戻しをして煮物にするその工程は全くシダ類同様です。

保存性と戻りのよさからゼンマイは山菜の王様と呼ばれますが、
ほぼそれに匹敵するほどの戻りの良さを持っています。
また、サラシナショウマは全体がつるりとしていますがアクがあり、
トリアシショウマは全体に産毛にくるまれていてクセがありません。

とにかく良く判らない奴ですが
採取場所もお気に入りのワケとなっています。
日当たりの良い土手です。

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例えばワラビは日当たりのよい草むらとか、
ゼンマイは日陰の湿地などとそれぞれの好む条件が異なり
そこを押さえて探すのが楽しいのですが、中には目を突きそうな
細竹が密集するネマガリタケやハチクなどもあります。

またどうしょうもなくクマと遭遇する機会の多いものもあります。
道から外れて奥へと入り込むほどその蓋然性は高まります。

その点、ショウマは道沿いを歩くだけで簡単に採れます。
雪解けとほぼ同時に崖からずり落ちた柔らかい地面の下から
ニョキニョキと萌え出てきます。
ちょうど鶏が足を持ち上げた時に指をすぼめるような
カタチをしているところからトリアシと名づけられています。
赤っぽい色をしています。

この細いものはどこにでもありますが、
太いものはなかなかありませんでした。
ところが最近、永田さんと行くようになった奥山では
太いのが沢山あるんです。
飽きるほど採れます。

茹でてお浸し、和え物、汁の実。
天ぷらなどの揚げ物、キンピラ等など何にしてもクセのない美味しい山菜です。
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塩漬け保存したものを今の時期
こうして戻して、煮物にします。

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と、今まではここまででした。

調べているともっと凄い奴だったんだと判りました。
山菜には全て薬効がありますが、
これは解熱、解毒、鎮痛効果があるというんですね。

6月の花の咲く頃に根茎を堀起こして水洗いし、
日干しにしたものを煎じて呑むと風邪薬になるというのです。

「これは!」とひらめきました!
薬酒です。
薬酒に最適じゃないですか!
早速今年の新しい目的が出来ました。
ムフフ  とひとりで今からほくそえんでいるのです。
今までに数あまた薬酒は作りましたが
「風邪に効く酒」というのは初めてです。
これはムフフではないですか!

くれぐれもナイショですよ。 ムフ




1月12日(水)より期間限定「土佐丸」をスタートします。
初めての方はこの状態で運ばれてきたのを見て戸惑われます。

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「どうやって食べるの?」
はい、海苔の真ん中に切り目が入ってるのでそこから
引っ張り出して召し上がってください。

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はっきり言って『面倒だな』と思われるはずです。
でもそれが一番美味しい食べ方なんです。

こうです

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芳醇と言うにふさわしい 新海苔の香り
匂いだけで旨味が解る と言うほどの香ばしいカツオ節

ほら こうして器の真上に顔を置くとそれらが直撃します。
海苔はこうして濡れたところから香りを放ちます。
一枚の海苔には数え切れないほどの香りのカプセルが埋め込まれているのです。

そして上物の海苔の証がこれです。
香りのカプセルがはじけたらそれっきりってんじゃ退屈でしょ?
 
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上物は柔らかく、そして甘いのです。
海藻の新芽だけで作られた新海苔はここからが旨味の出番です。

海苔の下には贅沢なカツオ節がどっさり。
これはしっかりと水晒ししたネギによく合うんです。
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こうしてネギにカツオ節を乗せたものに醤油をかけるだけでも
充分美味しくご飯や酒肴にもなるくらいです。

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でもどれだけ計算しつくされているといっても
もうそんな事はどうでもいいはずです。

極太手打ち麺と溶け出し始めたチャーシューが絡み合います。
そうして持ち上げられたときに
全ての旨味を合体させて口中へと運ぶのです。
箸が止まらなくなっているはずです。

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これは初めての方だと
はっきり言って味わうヒマなくあっという間に
一杯を食べきってしまわれます。
そして、麺を追加(替え玉)される方が多いのです。

一杯の量に対して美味しさが溢れかえるくらいに入っているからこそ
そういう事になるのです。
麺1玉じゃ物足らなくなるんですね。 

土佐丸
カツオ節と海苔のトッピング  +200円

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今年成人になられた皆様、おめでとうございます。

例年この成人の日には荒天が多く、
新聞やTVでは紋切り型の
「試練のスタート」などと書かれています。

ところが数年前から1/15ではなくカレンダーによって日付が変わり
タイミングがいいと晴れになったりすることがありました。

それを私たちは「お天気の神様のウラをついたようだ」と笑っていたのですが
どうやら今年は見破られたようで積もりました。

どうか雪になど負けない強い社会人になってください。


出来もしないことをシャアシャアと並べ立てて気を引くうそつきの多い世の中になりました。
どうかそんな鉄面皮な恥知らずに騙されないオトナになってください。

ろくでもない食べ物を外国から仕入れてきて安価だからと言って
売りつける輩が幅を利かせる世の中になりました。
どうかそんなカラクリを見抜けるオトナになってください。

私達中高年も若い人達の足手まといにならないよう頑張ります。




土佐丸の話を続けます。
強い醤油味と強いトッピング
こうして何もかも強いもの同士を合わせるとえてして
「蛇足」になりがちです。
くどい味、あざとい味、そして途中で食べ飽きてうんざりしてしまいます。

ですから縁の下に力持ちを置いておくのです。
それがネギです。
でしゃばらず、地味な奴ですが必須です。

薬味としてのネギは多方面で大活躍していますが、いつも
議論になるのが水にさらすのが正しいか否か  という点です。

さらした方がいい  と言う人は
ネギの辛味や苦味を嫌って語りますし、

さらさない方がいい と言う人は
ネギの風味を残すべき、
水っぽさの残る不味さ を語ります。

私に言わせれば何もそんなにムキになる事はない  で終りです。
辛くないネギならさらさなければ良いし、
辛苦ければさらせば良い。
ネギの風味を残しつつ、水をしっかり切れば良い。
たったそれだけです。

要は見えないところの仕事をきっちりやっておけ
というだけの話なのです。

食べる人に余計な突込みを入れられるのは仕事に穴があるからです。
何も不満や不具合を感じさせずにするりと食べさせれば
「○○は如何でしたか?」と聞いても
「え?何の事でしょうか?」となります。

腕の良い寿司職人が「今日のワサビの具合は如何でしたか?」 などと
客に聞くわけがありません。

次にこのネギの切り方について記します。
まず、良く切れる包丁でないといけません。
ネギは最も刃を消耗させる野菜です。
繊維の塊だからです。

お刺身は長い包丁を向こうから手前にすーーっと力を入れすぎないで引きますよね。
そうすることで肉の繊維を壊さないで「やさしく断ち切る」のです。
同じネタでも腕の良し悪しで味が違うのはひとえにこの点なのです。

一般には 刃物=切れる と思い込まれていて
包丁というだけで切れて当たり前と感じるようですが、
包丁はそのままでは実は「切れない」のです。

刃は動かさないと切れません。
解っているつもりでも実際にやると出来ていない場合が多いのがここです。
つい押し切りをやってしまいます。
ただ上から下に押し付けるように包丁を下ろすのです。

こうすると繊維は切れるのではなくつぶれます。
千切れると言えばお解かりでしょうか?

ネギだと中の粘液が飛び出てきます。
こうしてつぶしてしまったネギは水にさらしても美味しくなりません。
また、水を切ろうとしても「切れない」のです。
美味しくない、べたついたさらしネギになるのです。

素早くスライドさせながら切らないと「切れない」のですね。

では、スライドさせながら切ればネギは美味しくなるのか?
いいえ、次はその厚みです。
幅一ミリ位がちょうど良い厚さです。

ネギにも色々な種類があり、また季節によっても風味や味わいは変化します。
中には分厚く切った方が美味しいというのもあります。
でも、薬味として一定のスタイルを年間通して保つ必要のあるお店では
これが最適だと確信をしています。

いつも言うようにケースバイケースとかお好みで
などという逃げ口上は通りません。

こうして薄く切って水晒ししたてんこ盛りのネギ
土佐丸では最大限その効果を発揮してくれます。

ウチではネギ嫌いなお子様もいつのまにかネギを食べれるようになったという
ケースが沢山あります。

食わず嫌いではないのです。
食べ物を嫌いになるのにはそれ相応の原因があり、
その原因を作ったのが実は料理人の怠慢だった  
なんて事になったら責任重大と言うべきですね。







1月12日(水曜日)より大好評「土佐丸」を再スタートします。
毎度長々と前口上を述べさせていただいておりますが、
今回もまた性懲りも無く書かせていただきます。

私にとっての永遠のテーマというのがありまして、
それは
「何故人によって美味しいというポイントが異なるのか?それを見極めたい」

というものです。
何故Aさんが美味しいというものが
Bさんにとって美味しくないとなるのか

そこに「好み」という要素以上の強い味を持ち込んだらどうなるのか?
そんな絶対的な誰もを得心させうる「美味」というものがあるのか?

という事をいつも考えている時にふとしたイタズラ心で生まれたのが
この「土佐丸」でした。

ですから並の花かつおでは意味がありません。
そんな普通の「作業」なら誰にでも出来ます。
考えた末の「仕事」だからこそモノを選ぶ必要があるのです。
本当の強い味が欲しいのです。

「土佐丸ってどんなんですか?」と尋ねられて
「花かつおと海苔が乗った・・・」と答え始めた途端に

「あ”~っ 生臭いのは嫌いっ!!」
と応えられた方がいらっしゃいました。

あまりの事に驚いて黙ってしまいました。
初めての経験です。

でも、周りをみると確かにそんなことが山ほどありますね。
生臭いだけの煮干しだし
魚臭いアラ汁

こんなんだったら乗せないほうがマシというほどの
異臭のする花かつお

市場の塩干部(えんかん)の番頭さんとよく話しますが
どうも最近は魚貝ダシのことを知らない人が増えたと言います。

生臭ければダシが出てると勘違いしている人が多い と言うのです。
ちゃんとした煮干しで正しくダシを取ると黄金色になります。
魚の風味はあっても決して生臭くはありません。
いっぽう古いモノやダメなものでダシを取ると
やたら生臭かったり、酷いものだとダシが濁ってしまいます。

そんな酸化したものは体に悪いのですが毎日の事とて慣れてしまうようですね。

魚臭さ=魚ダシ  ではありません。

魚を煮る時に水から入れて煮ると生臭くなりますから
沸騰した時に魚を入れてやりますよね。
日本人は昔からこうした魚貝類を美味しく食べる知恵を積み重ねて
行き着いた究極の旨味がカツオ節だ  と言っても過言ではありません。

煮干しは茹でこぼして生臭みの元になる脂を抜きました。
焼き干しはじっくり強火の遠火で脂ヌキと同時に臭みを抑え、香ばしさを出しました。

そしてカツオはカビ付けをして脂を分解させるという凄い技を編み出したのです。
3番カビまでやると脂臭さは全く感じません。
燻蒸してからカビ付け乾燥を繰り返して限りなく水分を抜くと
カツオの断面はガラスのようになります。

それは
水分と脂を抜くと同時に旨味を究極まで押し上げる効果があったのです。

欧米ではベーコンがそんなカツオ節に相当すると言われていますが
保存性などを考えるとずば抜けて日本人の知恵が優れているでしょう。

これを薄く削ったものが「花カツオ」ですが
ここでさらにランク付けされます。
血合いの多い部分が混じったものと、ほとんど含まないものです。

血合い=色の濃いもの
これを含むからと言って決して生臭くはなりません。
味は濃厚になります。
しかし、その分多く入れるとしつこさが出ます。

血合いのほとんど含まない花カツオは上品な香ばしさを伴う一級品です。
えぐみや、生臭みなど全くありません。
しかし、これで強烈な旨味を出そうとすれば
イヤでも大量に入れたくなるというものです。

そして結局そうなりました。
大量の花カツオ投入です。
雑味の無い純粋な「旨味」の塊です。

いかがでしょうか
それだけでも食べてみたいとお思いになりませんか?

残念ながらここ富山では
これほどの高級品は普段売れないそうです。
ですから問屋さんにも常時は置いてありません。
この期間の為に焼津から箱で取り寄せてもらっています。

いよいよ12日(水)からスタートします。
お待ちかねの人も沢山いらっしゃいますが
ようやく今年の第一弾の登場です。

暴君「土佐丸」 +200円のトッピングです。





2011.01.08 雪の予報
数年前、東京に多めの降雪があったとき
気象庁に抗議が殺到したと聞いて大層驚きました。

確か、10cmほどの積雪予想に対して実際は20cmほどの
積雪だったかと記憶しています。

その時の気象予報士さんは雪国ではこういう非難や抗議は
絶対起こらないと言っていました。

私が思うに、雪の量の多寡よりも雪国でもないのに
(準備や装備も無いのに)
雪が積もることへの腹立ちからの多分に八つ当たり的なものだろうと。

なぜ、こんな事を言い始めたのかというと
先日の鳥取島根の大雪の時の事です。
沢山の船が一晩で沈没してしまうほどの急激な積雪でした。

決して雪に不慣れとはいえない地域でも
予想のつかないほどの大雪ではあんな事も起こるのですね。

船に大量の雪が積もることでバランスを失って転覆するのでしょうか?

でもそれなら何故途中で雪下ろしに行かなかったのだろう? と
思いますよね。
少なくとも雪国の人間なら誰しも不思議に思うところです。

そこで問題になるのが当日の積雪。
予想では50cmだったそうです。
そして実際に積もったのがなんと約90cm!

一晩で一気にほぼ一メートルの雪!
ものすごいケタです。
誰しも恐怖で震えます。
船の所有者の方々も除雪に出かけることすら適わなかったそうで、
無理も無い話です。

ちなみに、日本ってのは世界にもまれな豪雪地帯なんだそうでして
その世界最高積雪記録は新潟の一日で2mなんだそうです。

でもそれは山間部の話です。
冬、気圧が西高東低になり大陸からの冷えた空気が日本海の上を通過する時に
湯煙状態になり、それが冷たい大地山脈にぶつかって雪になる。
という原理からすると
普通は山間部は雪が多くても海岸部は雪が少ないというのが当たり前なのです。

そういう意味では今回は例外的に海岸にも大量の降雪があった  
という稀有の例となるのでしょう。


大渋滞に巻き込まれた方々も大変な苦痛だった事でしょう。
最悪の場合
死者が出た恐れすらあったかも知れません。

被害に遭われた方々には心から同情いたしますが、
ところで、
いったい気象台にどれほどの苦情が行ったのでしょうか?

それが、ネットで検索してみた限りでは
見当たらないのです。

私達雪国に住む人間は雪がヒトの思うようにならない事を知っているからなのでしょうか。
それとも単に我慢強いのでしょうか。

その頃、北陸でもかなり多目の積雪予想が出されていました。
山間部では80cm 平地では40cm との事でした。

私たちは
「話半分としても20cmは積もるかな?」
などと言っていましたが、実際にはほとんど積もりませんでした。
寒に入った今日も雪はこのようにチラホラしているだけです。
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雪はヒトの思惑になど頓着しません。

雪国ではどんなに寒くても積雪さえなければ有難いのです。

もちろんスキー場では沢山の積雪が必要ですが、
だからと言って暖冬にスキー場関係者が
「全然降らないじゃないか!」
「どうなってるんだ!」
などと抗議の声など上げません。

再び東京の話に戻ります。
やはり、数年前の2月のこと
気象台発表では6度の小春日和のはずが2.8度の寒い日になったところ
この日も苦情の電話が沢山あったそうです。

雪のない東京などから雪国を見ると
『大変だな』
『あんな所には住みたくないものだ』
などと思われるでしょうが、
案外慣れてしまうと空の事は空任せで
目の前の楽しみをエンジョイしているのです。

スキーやスノボ。
冬の味覚。
雪景色を温かく暖房を効かせた室内から眺めて楽しむ事すらも、雪国ならではの愉悦です。

そんな季節ならではの楽しみを逆に感謝しつつ、
謙虚に生きたいものです。

いや、どうか 「お前が言うな」なんて言わないでくださいね。

雪国もいいものです。
冬の北陸に遊びに来ませんか?
美味しいもの沢山ありますよ。



2011.01.02 米と小麦
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い申し上げます。

天気予想が外れてくれたおかげで雪のない
お正月を迎えることが出来ました。
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今日から麺打ちの仕事を始めました。
1/4からの営業日にお出しするには今日から始めなければいけないからです。

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玄関には毎年こういう無骨なしめ飾りをかけています。
稲わらだけの華やかさのないものです。
この藁を寄り合わせたものを見ると麺の生地を打っている
所とそっくりなんです。
一本一本を束ね寄り合わせたお飾りのように

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小麦粉も練り、打ちながら多層構造を作る。
一晩寝かせて明日早朝にカットして4日の初売りに備えます。
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米と小麦粉
今年もこの2大主食にこだわり抜いて
また新しい旅を続けましょう。
正月という一里塚でほんのしばらくの間の一休みです。