2010.02.25 カエシで麺を
カエシ
本格蕎麦店が使う合わせ調味料です。
みりんと醤油  店によってはそれに砂糖を加えたものを指します。

その店独自の秘伝秘技があり、長い時間寝かせてまろやかな旨味に
熟成させ、ダシと合わせていつも同じ味に仕上げます。
同じ味というのが重要でして、習ったとおりに同じ事を繰り返す 
 と言う事ではなく
同じ味に仕似せる  仕事が重要なのだそうです。
これが老舗の語源なんだとか。



そんな難しいことは老舗でもない私たちには不要です。
みりんを煮立たせて、醤油を同量合わせるだけで簡単に作れます。
大いに活用したい、日常的に利用したい知恵なのです。


ポイントは二つ。
みりんを沸かしてアルコールを飛ばし、煮きりみりんにすること。
(でも全く飛ばさないやり方もあるんですよ)
醤油を混ぜたら絶対煮立たせない! 沸く前に消火する事!
この2点。

このカエシをダシで割る事で簡単に美味しいツユ、タレ、汁が作れます。
例えば
  カエシ 1:カツオダシ 1.5~2
で万能冷麺ツユが出来るといった具合にです。

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蕎麦、うどん、そうめん、冷麦、中華麺などなんでもこれだけで楽しめます。
ただし、長期保存はききません。
ダシがダメになるからです。
ダシは新しく取り、長期間保存しておいたカエシに合わせる。
これが正しい使い方です。
あまったら玉子焼きでも煮物にでもじゃんじゃん使いまわせます。
あっというまに味が決まりますからその実力が判ります。

さて、今回は蕎麦をこれで作りました。
カエシ1:ダシ5~8  です。

なぜ 5~8 と幅があるかと言いますと
一概には決め付けられないからです。

麺類の塩加減は気温、湿度、などで微妙に変わりますが何と言っても量が決め手です。
私達ラーメン店ではタレを小さなレードルで一杯丼に入れて
スープを加えて味を決定します。
これがカエシとダシの関係と同じなのです。

色を透かして見ていつもと同じかどうか? とか
あと、いくつかの要点を見て一杯ずつ決定していくのですが、
大盛り(ウチにはありませんが)に1.5玉の麺を入れるのなら
タレも1.5杯必要になります。

それが不可能ならば大振りの器を別に用意して多目のスープが入るようにしなければいけません。
つまり、麺の量に応じた濃度もしくは量が必要になる。
というわけです。

ですから汁蕎麦にする場合カエシとダシの割合というのは一概に言えないのです。

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これはワンタン蕎麦を作ったときの画像です。
蕎麦にはこういうツルッとしたワンタンは非常に相性がいいのですが
今回は具に変化をつけてひき肉の他に刻み納豆を入れました。
納豆ワンタン蕎麦 というわけです。

そんな事はどうでもいいんでした。
注目はこの色です。

この色を見て関西人は
「あぁ、東京の蕎麦は真っ黒でまずそうや」
「しょっぱくて食えたもんやない」
と言う

と私たちは本やTVなどでよく聞かされます。
本当なんでしょうか?
実は私は密かにそれは ウソではないかと疑っています。
いかにもありそうなステレオタイプの作り話だろうと睨んでいるのです。

もし、本当にそんな事を言う関西人がいたとしたら
それは単なる味覚オンチかよほど不出来なお店に入ったんだとしか思えません。
確かに見慣れないものには違和感を感じるでしょう。
でも食べてみれば塩分量の違いはさほどでもない事に気づくはず だからです。

ウチのラーメンは真っ黒です。
当初は関西ナンバーのお客様がいらっしゃると内心
『しょっぱくて食えん』とか
『なんや酷い色やな』 などと言われやしないかとちょっぴり不安でした。
それもこれも『関西人は薄味を好む』という先入観念があったからです。
全くそんな事はありませんでした。

京都などでは富山以上に濃厚なラーメンが好まれるという話も聞きます。

それに、関西人の大好きな魚のスキヤキである「魚すき」などは割り下で作った方が
断然美味しいのです。
当然それはカエシ仕立ての蕎麦とほぼ同じような色になります。

私は薄口醤油で浅い色に仕立てたうどんの方に却って塩を感じることもあります。

もうひとつ言えば
ウナギの蒲焼のタレ これも真っ黒です。

どうも「関西人がこう言った」というのは他の理由による詐話のような気がしてなりませんね。


ところで、この「塩分」という言葉
いつも何度も書きますが判っているようで案外知らない方も多いでしょうから
また書きましょう。

塩の多いものを食べると喉が渇き、水を飲みます。
塩=NaCl でしたっけ
この、水を欲しくなるというのがナトリウムの仕業ですね。

ですから丸元淑生先生の本では明確にナトリウムの総摂取量を控えよ! と書かれています。
「塩分」などとまどろっこしい書き方は学究肌には馴染まないのでしょうね。

化学調味料は抽出時にナトリウムと結合させる必要があるため(単体では不安定なため)
グルタミン酸ナトリウムとなっています。
これを業界では見て見ぬふりをして
「昆布のグルタミン酸と同じですよ」と大声で叫びますが
グルタミン酸とグルタミン酸ナトリウムは似て非なる物質なんです。


化学調味料の1/3がナトリウム値となるそうです。
ですから
小さじ一杯が塩の適量なラーメンがここにある  とします。
スープをきちんと仕込んでいればそれだけで充分美味しくなります。
旨味の中にはコラーゲンをはじめとする各種栄養素が含まれています。
これは食後さほどには喉の渇きは覚えません。
口の中も粘つきません。

ところがスープを手抜きで仕上げたラーメンは旨味が足りませんから化学調味料を入れます。
小さじ一杯の塩+大さじ一杯の化学調味料
(これが今まで現実に目撃した最大量です)
大さじ1=小さじ3  ですから
ナトリウム値換算で実に二杯の塩が入っている事になります。

塩ならしょっぱくて食えません。
でも化学調味料なら「旨い!」と行列しているのが現実なのです。
しかし、後から喉が渇きます。
そして自覚はしていないでしょうが腹がもたれます。
そして、口の中がいつまでも粘つきます。

このグルタミン酸ナトリウムのことも含めて「塩分」と言うのです。
ラーメンには塩分が多い  と言うのはこのことなのです。
色ではありません。
醤油の塩濃度はそれほど高くはありません。
もし、ダシを全く引かないで「本だし」のみで作ったカエシ仕立てのかけ蕎麦が
あったとすればそれはやはり「塩分」過多の蕎麦になります。


見た目だけで判断していてはいけない と言う事なんでしょうね。
ちなみに私は薄色のうどん・蕎麦どちらも作りますし、好みます。

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ですが天丼だけは絶対「東夷(あずまえびす)」タイプの真っ黒のカエシ仕立ての方に軍配を上げたいと思います。

ステレオタイプの作り話ではないか?
と疑うのにはここにも原因があります。
関西人が東京の天丼を「どう言ったのか?」という事には全く触れないのが通常だからです。
実に作為千万だとは思いませんか?

いちどカエシをお試しください。
出来ればそれで蕎麦を召し上がってみてください。
その素晴らしい知恵に感嘆するとこの手の貧相な詐話に腹を立てる私の気持ちもお解かりいただけると確信しています。

最後にカエシで作る美味のレシピをご紹介しておきましょう。
カエシ 1+かつお一番だし 1 =割り下(わりした)となります

これで鍋を作るのです。

用意するものは鶏肉、お好みの野菜
材料を全て削ぎ切りにします。
鶏肉には小麦粉を薄くはたいておきます。

名前は「治部煮鍋」と言います。薬味はワサビです。
鍋に割り下と野菜を入れて点火します。
沸いてきたら鶏肉を加えます。

鶏肉の旨味が小麦粉で閉じ込められてツルリとした食感が素晴らしく、
野菜もとても美味しく食べれます。
カエシの威力ここに極めリ  といったところです。

そして最後に蕎麦をこれで食べるのです。
蕎麦好きにはたまらない鍋でしょう?

アミノ酸に頼っていてはこんなに滋味深い味わいは決して生まれません。











 

 



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2010.02.24 鶏ごぼう飯
またまた鶏ごぼう飯の登場です。
例によって少しずつゾーンをはみ出させます。
今回のテーマは「具沢山」
このを美味しく感じさせるのにはいくつかコツがあります。
普通の大きさでは案外どれだけ多く入れてもあまり人は感じないのです。
具を多く入れれば入れるほど炊き上げが難しくなるにもかかわらず案外
「うわぁぉ!具が一杯入ってる!!」
とは誰も受け止めてくれません。

炊き込みご飯を作って人に食べさせた事のある人なら誰しも経験のある事でしょう。

コツ 1 具材を小さく切る
コツ 2 具材を大きく切る

え!しつこい?
失礼しました。  

はい、今回は具を大きくそろえました。
名づけて
鶏肉ごろごろ
こんにゃくゴロンゴロン
牛蒡ザックザック     のご飯です。

例によって
一晩下味のついたダシで寝かせます
朝、それを鶏油で炒めます。
すると大きくカットしてあるため肉から水分が出ます。
それをザルで漉してもう一度強火で炒めます。
引火する位の強火でです。

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宮崎の地鶏を炎を上げながら焼いているのを見て何か違和感を感じてはいましたが
なるほど良く判ります。
余分な脂や水分を飛ばすんですね。
大きく切った鶏肉がプリッと締まってさらに美味しくなります。

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お次はコンニャク
群馬産芋100%の玉コンニャクはそれだけでプリリとしていますが
これも大きめにむしって炒めます。
容赦なく炒めますと焦げ目が付いてきます。

こうして炊き上げます。
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大きく切り揃えた具材を多く入れる事で具沢山感を否が応でも感じさせます。
でも、下味をしっかりとつけてなければ逆効果なのは言うまでもありません。

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今回は上に青海苔をかけました。
青海苔
ちょっぴりだけ書いて置きましょうか。

青海苔は3種類に大別されています。
上は糸青海苔
中はアオサノリ
下は阪東粉(バンドウコ→バンドコ)

糸青海苔は細い糸状のものを粉末にしたものです。
産地によってランクはありますが、甘く、香りが良く、溶けやすい海苔です。
四万十の青海苔をトロロにかけると日本人がいかに古来からこの香りに
価値を見出してきたのか、かつまたいかにそこに情熱を傾けてきたのかがよく解ります。

アオサノリはワカメぐらいのものを細かく砕いた砕片状態で販売されます。
香りは若干劣りますが、充分甘く、口溶けもスムースです。

バンドコ
普通お好み焼きやヤキソバ、たこ焼きなどに掛かってるものはほとんどこれです。
香りが弱いのと安価だからとで大量にかけられます。
これは硬いのが特徴です。
甘さは少なく、溶けません。
ですからもうお解かりですね。
そう
こいつが歯にくっつきます。

これが青海苔の評判を落としているのです。

若いカップルを悩ませて歌にまでなっています。
♪「君の歯に青海苔が」付いてるのを注意した方がいいのか?どうしょうか?♪ と

お客様の歯にくっつかせて恥をかかせるわけには行かないので
ウチではアオサノリを使いました。
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とても美味しく風味も良く仕上がりました。
平日昼の日替わりサービス  200円
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HPには安易な見てくれだけを追い求めず「食」を真摯に問いたい 
と表記しています。

自分の中の沢山の疑問、永遠のテーマを掘り下げ続けたいのです。

その中のひとつ
美味しいって何なのだろう?
自分にとって美味しい  が他者に伝わらないのは何故か?
その正体を突き止めたい

という料理する人が共通して感じる味覚の壁です。

でもそうは言いながら
心の中では開き直っている自分がいます。
「全員が全員に美味しいと言ってもらいたくて作っているんじゃない」
40年近くも料理人をやっていれば誰だってこんな天邪鬼の一匹や二匹は腹の奥底に飼っている。
飼い猫だって何十年も長生きすると尻尾の先が二股になって猫又という妖怪に変化するそうな。

「土佐丸」もそうした疑問を追い求めた過程で生まれました。
『ここまでやれば誰にでも通じるんだろうか?』 という試みでした。

そうこうしながらひとつづつ実証を積み上げてさらに次の段階を目差します。
これは昼のミニ丼でも同じです。

始めは簡単な置き換え。
次にちょっぴり独創を加えます。
お客様のストライクゾーンを少しづつ慣らしながら広げて行くのです。

かつて野球の江夏投手がこれを得意としていたそうです。
ボール半分だけずらして投げ続けると普通なら「ボール」になるところを
「ストライク」と主審に判定させるという技だったそうです。

私のはそれほど大それたものではありません、
かつて初めてランチを始めた頃のトラウマを引きずっているだけです。

ほぼ30年前最初のお店をオープンした頃、
まだ富山には中国料理店で昼のランチを出す店は皆無でした。
何を出しても全く出ません。
東京新橋のガード下の店では「回鍋肉」とだけボードに書いて営業していたのはそれよりもずっと前だったのに、

それから何を出しても完売できるようになるまで3年かかりました。

今はお陰様で「旨いもん」を楽しんでくれるお客様がついてきていただいて
なんとか凌いでいます。
日々少しづつストライクゾーンを拡張し続けた甲斐があったというものです。

最近はカニに執着しています。
かに玉丼  です。
中華料理の天津丼のボール半個分ずらしたものを出し続けて強引にストライクにしてしまおう
という魂胆です。

まず、こちら。
和ダシで親子丼のように卵でとじたものです。
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かに玉のとじ丼


そしてお次はこちら。
ご飯に刻み紫蘇と金ゴマを混ぜて

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かに玉でくるみます。
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ダシのかかった、かに玉ご飯

上から和ダシのあんをかけて完成。
あっさりとした薄色のダシのかつお風味がラーメンとよく合います。

どちらもよく出ました。
初めてご来店の方はお隣の常連さんが頼んだ品が運ばれると実に不思議なお顔をされて横見です。
お帰りには外のボードを眺めてお帰りになられます。

今日はかに玉でくるんだオムライスを出しました。
こうなってくると何が直球なのか変化球なのか自分でも判別不能です。
遊び心はあっても美味追求の気持ちは真剣ですから
お客様にも伝わるのでしょうか。

かに玉でくるんだあっさりオムライス

今回は具材をたっぷり入れたご飯を用意しました。
タマネギ、シメジ、エノキダケ、えんどう豆、などです。
味付けはケチャップ少々、塩コショウ、ウスターソース、醤油、カニ味噌。

添えるのはトマトソース。
イタリアントマトを粗越ししたものをいったん煮詰めてかつおダシで伸ばして調味。
ネギを加えて甘味を補充し、酸味を強めにしてバランスを採ります。

トマトだけの味 ちょっとのぞいて見てご覧 断面図


そしてたっぷりカニ肉を入れたかに玉をくるんで仕上げます。
本日も仕込んだ分は完売でした。
売り切れごめんでお断りしてしまったお客様には大変申し訳ありませんでした。

大好評なので明日も連チャンしましょう。

実は、かに玉は油をたっぷり使ってふっくらと作るのが美味しいコツとされています。
でもそれでは油だらけの卵になってしまいますよね?
ですから私はかつおダシに麩を細かく砕いて混ぜ、それを卵に加えて作ります。
ただのダシ卵よりさらにふっくらと柔らかく仕上がります。

平日昼のミニ丼 200円

新しいスタイルをお客様と楽しみながら模索しています。

目指すものは「新 富山ご飯」。








雪が降ると色々な道具が必要になります。
屋根から張り出した雪をかき落とす長柄の道具。
雪を押しのける道具。
スコップも土木で使用するのは剣先と呼ばれる尖ったものですが、
除雪用には向いていません。
除雪専用の四角な先が平らになったものが要ります。

そんな道具のひとつに車の雪を落とすものがあります。
朝、ぽっこりと雪に埋もれた車のドアを開ける前にまず積もった雪を落とすためのものです。
雪が手で払いのけられるような生易しい量ではなくなった時、
ーそんな時は当然ものすごく冷えて寒い時なので
とても重宝します。

私の店ではお客様がお帰りになる時に自分で雪を払わなくともいいように
私専用のお客様用の雪落としを玄関脇にスタンバイさせています。

そうなんです。
雪の多い年には一杯のラーメンを食べるわずかの間に周りが見えないほどの量が降り積もるのです。
せっかく温まった体を雪払いで冷えてもらいたくないので頃合を見て私がお客様の車の雪を落としておく

そんな時のための道具です。

昨日、ふとそれに気づきました。
こんな具合です。
rad 042 サンパラソルのツルが巻きついています


やっぱり今年は暖冬だったんですね。
いえ、まだ油断は禁物ですが、、、。


今の時期富山湾にサンマの群れが入ってきます。
秋モノとは違い型は小さく、脂もそれほど乗ってはいません。
それだからこそ、刺身には最適なのです。

マグロのトロなどと違い何でも脂が乗ってさえいれば刺身が一番とは限りません。
脂の充分乗ったサンマは焼いてこそ美味ですが
生で、刺身にするのなら断然脂の少ない方が美味です。
脂にジャマをされない分本来の味をしっかりと識別できますが、
やはり秋のものとは違いますね。

でも、こういう事を言うとすぐ「どちらが上か下か?」となりがちですが
どちらにもそれぞれの美味しさがある  でいいんです。
要はその時々の魚にふさわしい料理法をチョイスすればいい  ということなのです。

魚を長く扱っている人は
「サバの身ってのは実は白身魚に近いんだ」と言います。
実際私たちはヒカリ物や青物に対し脂の乗りを重視するあまり
身肉自体をあまりしっかりと見ていない傾向があります。
 
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確かにこうして改めてしげしげと見るとうなずけますね。
白身のような透き通った感じも確かにあります。

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皮目だけを見ると鹿児島のキビナゴのような印象を受けます。
しかし、実際に味わってみるとこちらの方が断然強いです。
脂も少なめなのがお解かりいただけますでしょうか?
旨味の濃いあっさりとした 美味しい刺身です。
これで脂が強いと酢締めにしたくなるんでしょうが、
今の時期やはり生が一番ですね。

今回はこれでちらし寿司を仕立てました。
シャリには山菜を甘辛く煮含めたものを混ぜ込みます。
   
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毎度御馴染みのキーワード。

総和

もうお解かりでしょうがもう一度。
シャリは甘さを控えめ、酢をきつめに。
山菜は甘めに。
もちろんネタとのバランスもよく考え、
一番のポイントであるラーメンとのトータルで味を決めます。

そしてもうひとつのポイント。
今回はサンマの中骨を取らずに作りました。
柔らかいものの中に硬いものがあればそれは違和感となります。
しかし、このサンマは脂が乗っていなくて新しいので
しっこりとした程好い硬さがあるのです。
硬いものの中に少々の小骨があっても全く気にならないのです。
もちろん骨が小さいと言う事もありますが、。

薄くそぎ切りにします。

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真ん中には味の変化をつけるために酢〆したものを乗せました。

しかし、いつも思うことですが
本当に富山湾には多種多様な魚種が豊富です。

しかも漁場が港に近いおかげでいつでも新鮮です。
お客様の中には職漁師さんもいらっしゃいますが
黙ってきれいに完食していってもらえます。

こんな新しい魚をあれこれと調理させてもらえるだけで料理人冥利というものです。

今の時期北陸では和食処、お寿司屋ではそんな新鮮なサンマのあっさり刺身や握りが味わえます。
私の店では「握り」は出せません。

ぜひこちらへお越しになって味わってみてください。
富山湾を囲むエリア
富山県、石川県、能登です。
そしてお約束。
お帰りには富山のラーメンをどうぞ。
当店では今、魚の記憶も吹っ飛ばすくらい強烈な「土佐丸」もお待ちしています。

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  サンマちらし寿司        土佐丸







この冬は暖冬との予測が外れたという意見が多く聞かれます。
確かに大雪の被害もあちこちで出ました。
所によっては記録的な大雪に見舞われたところもあり、亡くなった方もいらっしゃいます。
心よりご冥福を申し上げます。

雪が降ればそれを排除しなければいけません。
この除雪作業というのが雪国以外の方々には想像を絶する苦行なのです。
スコップ、ママさんダンプ、雪はね、と時代とともに道具も移ろいはしても
苦労は同じです。

この除雪作業の呼び方にも所によって違いがあるそうでして、
富山では「雪すかし」「雪よけ」
新潟では「雪捨て」「雪投げ」などと言うそうですが
同じ新潟でももっと山間部に行くと「雪掘り」と言うところもあるそうです。

雪の量によって呼び方が変わるのも面白いですが、
裏面、除雪作業のつらさからくる怨嗟の感情も少なからず感じることができますね。
はい、同じ苦労をする雪国に住む人ならご理解いただけるはずです。

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こちらは今まさに雪を投げている瞬間です。
本来道交法では車両の通行の妨げになるものを道路に出してはいけないのですが
他に置く場所もない以上仕方ない面もあります。

除雪車が通過したあとは車はスムースに通行はできますが両脇には硬い圧縮された雪の壁が立ちふさがり
高齢者や間口の広い駐車施設をもっている所は相当の労苦となります。
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子供たちにとっても試練の冬です。
ゴミ集積場もこんな有様。

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当番の人は早朝から場所を確保しなければなりません。

そして、ようやくここ数日温かい日差しが戻ってきました。
今日は雨です。
こうなると雪どけです。

なにやら春近し といった響きを感じるでしょうが、
この時期になると「融雪注意報」というものが発令されます。
なだれ、崩落の危険。
沢水の増水といった危険に備えてください  というわけなんです。

雪どけ水もちょろちょろと流れフキノトウなどが顔をのぞかせているうちは可愛いものですが
大きく集まると破壊力を持つほどに成長するので大変な危険をともなうのです。
数年前の北海道で火山が噴火したときには大量の雪が一気に解けて、土石流がおこりました

また、そんな危険な所には行かないから大丈夫などと安心もできません。
屋根の雪です。
これは積もった直後→解けかかった雪
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このこんもりと盛り上がるのが雪の特徴です。

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雪はこうしてくっつきあう特性をもっているのです。
これがゆっくりと下がってきてこのような形になった時が危険です。

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恐怖のタラコ唇 といったところですね。
温かくなってくるとここから水滴が落ち始めます。
そしてくっつきあった雪が離れて静かに落下するのです。

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この下を歩いていると首筋などにピチョリと落ちてきますから「あっ 危ない!」と
不慣れな観光客でも気づきます。
ところが今日の富山のような雨の日、傘を差して歩いていると判りません。
どうぞ、観光やお仕事で雪国にいらっしゃる皆様は上を気にして歩いてください。

もっと急激に温かくなると土石流のごとく大屋根からドドドッと一気に落雪もします。

北海道の別荘地で都会から来た方が屋根雪の下敷きになって亡くなられた事もあります。
ここ富山でも慣れているはずなのに二階から落ちてきた雪の下敷きになって車が
メチャメチャに壊れてしまった という話をたまに聞きます。
頭に直撃でもしたら大変な事になります。

暖冬

不思議な言葉です。
「今年は雪支度なんかしなくてもいいんだよ」
「今年は雪なんか降らないから安心してていいんだよ」
と言う風な暗示力があります。

事実ホームセンターなどでも例年より除雪道具は少なめに陳列されており、
心なしか販売も熱心には行われていないように見えました。

ところが!
一回降っただけでたちまち売り切れてしまったのです!

コレ自体は驚く事はないのです。
これはいつもの光景なのです
私が不思議なのは毎年毎年同じ事を繰り返しているはずの住民が
何故! 降る前に! 用意しておかないのか??

という事なのです。
そして、いつものセリフが続きます。
「今年は降らないかと思っていた」 と
一回も降らない年はほぼ無い  とイヤほど解っていてもこうなのです。

子供の頃 地吹雪の中、帰路を母の外套にくるまれながら
吹き溜まりに間違って足を踏み外さないように一歩一歩
がけ下に転落=命の危険
という中を必死にしがみついて歩いた記憶をたまに思い起こします。

『あの頃は本当に寒かった』 と

今は断熱の良い住宅、良い暖房器具、暖かな車、防寒着に包まれて
なお、ほんのたまの大雪を嘆いています。

あえて言わせてもらえばやっぱり今年も暖冬だったんじゃないでしょうか?。

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またまた「土佐丸」の出番です。
今回はリクエストを沢山頂いての再登板となります。

土佐丸の味を覚えていらっしゃる方々は一様に新しい麺を土佐丸でとお思いになるようです。
実は私もそれを楽しみにしていた一人なんですが。

相当すごい事になるだろうな と想像はしていました。

スープを強くすればするほど
麺を強くすればするほど
がっぷりと組み合う という事はわかっていましたから。

しかし、実際にこうして作ってみるとやはり、
いえ、正直、想像していた以上の強さでした。

多加水手打ち、手もみ仕上げの極太麺が
強すぎるほどの旨味と香りの洪水の中で飲み込まれないで
どっしりとそれらを組み伏せているのです。

これが口中に旨さの奔流となってなだれこんできます。
箸が止まりません。
普段は一玉しか召し上がらない方も土佐丸なら麺を追加されるのですが、
今回はいったいどうなることやら


どうしてこれほどの旨さが生まれるのかもう一度振り返ってみましょう。

カツオ節。
ピンからキリまである中で最上級は本枯れと呼ばれるカビ付け乾燥させたものです。
カビ付けすることでカツオ節の芯まで余分な脂肪を分解して旨味に変換しているのです。
干し、カビ、薫蒸を幾度もくりかえして完成する頃にはカツオ節同士をぶつけると
カンカンからキンキンという硬質音へと変化し、
折ってみると断面はまるでガラスのように透き通っています。

これをごく薄く削ったものが「本花」です。
よく出来た花かつおには全くアクがありません。
下位品なら多少の雑味がありますが、本花は旨味と風味の凝縮された花びらです。

そして、海苔。
これほど日本人に深く身近で愛されている海藻もないのでは?  と思う程ですが
同時にこれほど無残に踏み荒らされてしまったものも無いとも言えます。
味付けと称した化学調味料もその犯人の一人です。
スーパーには見るからに恐ろしげな怪しい海苔が大メーカーのラベルで販売されていますが
本当に美味しい海苔を探し当てるのは至難の技です。

それで『こういうもんだ』とすっかり飼いならされてしまっているのです。

不愉快な話ですが残念ながらそれが現状です。
小売店は利幅の大きいものを売りたがるのです。
後略しますが圧倒的多数がそういう論理で動いているとだけ記しておきましょう。

しかし、小売店で探すのは非常に困難でも専門メーカーに行けば実に容易に美味が入手できます。
解ってみれば簡単な話です。
扉を間違えていてはいけません。

今回使用する海苔は「新海苔」です。
解禁直後の若い柔らかい新芽を摘んで作られています。
一枚の海苔の中に香りと風味と柔らかな甘味とをギッシリと抱え込んでいるのです。

海苔は乾燥しているときには全く香りはありません。
のり巻きにしたり、頬張ったりして湿り気が加わった時にカプセルがはじけるように香りが一気に舞い立つのです。

余談ですが、
ですから寿司屋さんのカウンターで鉄火巻きなどを目の前の付け台に放置したまま
「いや~オバマもねぇ~」  などとのたくっているのを見ると頭をはたきたくなりますね。

失礼しました。
え、そうでした。
土佐丸はこの高価な海苔を一枚丸ごと乗せます。
切るとスープに漬かってしまうからです。
せっかくの香りを逃がさずに目の前に運びたいからです。

富山市内の高級すし店でも数えるくらいしかこんな贅沢な海苔は仕入れていないそうです。

海苔とカツオ節
ありふれた食材  と思い込んですっかり地盤沈下が進んでしまっていることに気づいていない
お客様がこれを食べると何故こんなに美味しいんだろうというお顔をされます。

どこの何人よりも一番解っていなければいけないはずの日本人がこの味、風味を忘れかけようとしているのです。

土佐丸で思い出してみてください。
本物の風味、本物の香り。

私の手打ち麺はそれらを心からリスペクトしつつもねじ伏せ、支配しています。
たとえどんな豪華ゲストをお迎えしようとも
主役は麺なのですから。

この強引なまでの旨さ爆発を
暴君「土佐丸」と呼び改めて皆さんにご紹介します。
今回は土、日、祝日&終日OKで期間限定で2/8(月)よりスタートいたします。

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PCが無事戻ってきましたので麩の項を終えていきたいと思います。

麩が保水性に富み、またその応用には幅広いものがあるというところまででした。

その他にも色んな挑戦技があるのですが今回はこの保水性にだけ焦点を当ててさらに続けます。

のり巻き(太巻き)に高野豆腐を入れますか?
私は最近必ず入れるようになりました。
細く切って煮込み、程好く汁気を絞って巻き込みます。
するとわずか5ミリ四方あるかないかのそんな細い高野豆腐からしっかりと僅かな汁気がにじみ出て
美味しく食べれるのです。

そこで、もう少し視野を広げてみましょう。
保水性  
これがキーワードです。

のり巻きに加える具材で他に保水性を持ったものには何があるでしょうか?
かんぴょう、干ししいたけ、これらの他に
ほうれん草の茹でたものをカツオ醤油に浸したものなどがあります。

のり巻きに加えませんが油揚げなども保水性能が高いですね。
お稲荷さんで御馴染みです。

こうしてみるといわゆる乾物類が多い事に気づきます。
乾燥させることで水分を飛ばし、保存し、使うときには乾燥した細胞膜内に美味しいダシを含ませる。
素晴らしい古人の知恵です。
ワラビ、ぜんまい、ショウマなどの山菜が王様と呼ばれるのもこの「戻り」と「含み」効果の素晴らしさ故なのです。
海藻もあります。
切干大根や干しタケノコなども。

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偉大な先人のおかげで日本にはこうした 保水性に優れた食品が沢山あります。
ダイエットを経験した人ならよくお解かりでしょう。
これら保水性のよい食品はたいていローカロリー、高ファイバー食なのです。
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なんと素晴らしいことでしょうか!
ダイエットをやって解るアメリカ人の不幸、日本の幸福 という表現もむべなるかな

乾物の保水性能のもうひとつのメリット
それは腹の中での充足感というか、ボリューム感なんです。
生野菜をはるかにしのぐ圧倒的な高性能ではないでしょうか?

さて、この保水性を利用して毎度御馴染みのメニューをもっと美味しく仕立ててみました。

「イカめし」です。
普通はもち米だけを詰めます。
ゲソを刻んで入れるのもアリですが、大抵硬くなってしまいます。
おそらくもち米が膨張するときに圧迫を受けるからだろうと思います。

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それにお昼に出すのだからと、もち米をなるべく多く入れようとするほど、
もち米はしっかりとお互い圧着してしまい硬めのイカめしになるのです。
これではイカ餅です。
ラーメンと同時にお出しするにはいまいち間食っぽいですね。

そこで牛蒡、人参をたっぷり加え、最後に薄揚げを細かく刻んで混ぜ込みました。
こちらがその断面です。

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もち米ばかりぎゅうぎゅう詰めだとこれが真っ白です。
こちらは程好く色が滲んでいますね。
味が乗っているのです。

そして、食べても口の中でほどよくバラケてくれます。

これも、保水性能のおかげです。
材料の取り合わせやレシピ通りに、などといった固定概念にとらわれず
一度「保水性」というキーワードを念頭に置いて手順を見直してみませんか?

工夫すればきっとその成果が出るはずです。

私達料理人はお盆に乗せる品全ての味のトータルだけではなく
こうした噛み心地やバラケ具合などといった食感に至るまでを考慮して
仕事をします。
それが総和です。








PCの調子がここ数日変だと思っていたらとうとうドック入りするはめになり、
おかげで麩の話の完結を書くのは画像が無い為、先送りになりました。

代わりに予備のノートを出してきて書いています。

今回は確認したいことがあり久しぶりにうどんを打ちました。
手打ちうどんはやはり楽しいです。

「そんな事言って、毎日中華麺を作っているではないか!?」
と言うなかれ、
それでもやっぱりうどんは楽しいんです。
何というか、
自家用ならではの無責任の気楽さ+手の感触の快感+仕込み(仕掛け)の期待
などです。

うどんの生地には特有の滑らかさがあり、触れていると癖になる楽しさがあります。
これは初めての方でもすぐに理解してもらえます。
出来上がりを期待して寝かしを行うのも中華麺と同じですが今回はあえて
変化球を試しますのでいっそうの期待でソワソワするほどです。

この「手中から生まれ出ずる美味の面白さ」
  という素晴らしい事をできるだけ多くの人に伝えたいものです。
  民族の遺産とも呼べるものではないでしょうか?
昔から小麦生産の盛んな地域では
「上手にうどんを打てないと嫁に行けない」 などとされたくらいだそうです。

さて、今回打ったのはこちらの2種。
栃木県佐野に伝わる耳うどん と 群馬県桐生のひもかわうどんです。
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スーパーに並んでいるパック入りが普通になってしまった今
これを見ると不味そうに見えるかも知れませんね。

耳うどんはすすり甲斐が無さそうだし、ひもかわうどんは薄すぎて口当たりが悪そうに映ることでしょう。
今回私が実証したかった事の第一はそこなんです。

1、うどんで麺の変化をどの程度加えられるのか?
  また、それによって変化を起こす水分勾配によるコシの経緯の検証。

すみません、つい持って回った言い方をしました。
要は麺の変化を舌で確かめる ってだけです。

耳うどんは薄く延ばした生地をマッチ箱程度の大きさに切り分け両手でつまみ、
ぐるりと回してくっつけるだけのものです。
茹で時間はその同じ厚みのうどんと同じ。

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もうここにいらっしゃる皆さんはお解かりでしょう。
茹で時間は厚みで決まりますから表面積は無関係です。
これは10分程度茹でて、いったん冷水で洗いぬめりを落としてから
具と一緒にダシで煮込んだものです。

郷土料理なんだそうです。
重なった部分の生地の変化がとても美味しい  
『やっぱりこれもうどんなんだな~』と食べながら思わず笑って納得してしまいます。

お次は「ひもかわうどん」です。
桐生は昔、繊維産業が盛んだったそうで食事の時間も惜しんだ女工さん達が作って食べたという経緯があるそうです。
女工哀史の話を引くまでもなくもう悲しみが伝わりそうな風情ですが、
これは想像に反して実に美味しいうどんです。

時間を惜しんだというくらいですから誠にすばやく茹で上がります。
しかし、茹で立てならではのふっくらとした食感と異様なくらいのその幅広な形体でツユの絡みが素晴らしいのです。
つまり、ダシは薄くても十分美味しく食べれたはずです。
貧しい女工さん達がそんなにおごったダシを引いていたとは思えないからです。

さて、この2種類のうどんを見て皆さんは何を思い感じますか?
実に示唆に富んでいると思うのは私だけでしょうか?

耳うどん  戦後の悪名高い「すいとん」にどこか似ていませんか?
事実それに近い「団子汁」といううどんの遠縁もいます。
しかし、これは違います。
それどころか「ハレ」の料理なんです。

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年末に作り正月三が日に食べることで魔除けにする  そうなんです。
つまり、
うどんを悪魔の耳に見立て家庭の話を悪魔に聞かれないから無病息災に過ごせる
or
悪口が聞こえないようにして近所との交際を円滑にする
などの説にもとずくものです。
ですから
正月料理につきもののかまぼこや伊達巻などの豪華な具材と一緒に煮込んで仕上げます。

はい、
ここで誰しも疑問に思う点に触れましょう。

不思議な事に  すすれない  不満は全く感じません。
煮込みという一点に主原因があるのでしょう。
熱すぎるうどんはどのみち盛大にはすすれませんからね。
でも、その短所を十分補ってくれる長所があります。

食べ飽きが来ないのです。
ふっくら、もっちり、重なった部分はしっこり、と

熱々をハフハフ などと食べていると
             これは、うどんなんです。やっぱり。
断じてすいとんではありません!
これは手打ち、多加水だからこそなんです!
コシ があるからこそ  なんだとしっかり確認できました。

さて、ひもかわうどん  
幅広といえば全国には様々なタイプがありますがこれほどの極端なものはないのでは?
それがこんなに美味しいとは素直に驚きました!


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実食に勝る想像無し

食べて見なくちゃ解りません
とかくネットでは見た、読んだ、
「らしい」「そうだ」だけで勝手に情報が独り歩きします。
ですからこれを読んで頭から信用もしないでください。
どこかで食べる機会があってもそれはまた同一とは限らないからです。

でもこれで両方を食べてみて
もうひとつの課題もクリアできました。

2、多加水麺はなぜ腹持ちがいいのか?  を検証する。
  というものです。

皆さんは「うどんは消化がいいからすぐに腹が減る」
     「うどんは腹持ちが悪い」
と、思ったり、聞いた事はありませんか?

それは間違った印象です。

茹で玉うどん(白玉うどん と呼ぶ)では確かにそういうこともあります。
しかし、しっかり多加水、手打ちで鍛え上げたうどんは実は腹持ちが大変いいのです。

なぜか?
一般に低加水と多加水の麺を比較すると低加水麺の方が延びにくい印象を持ちがちです
が実は反対なのです。
低加水麺は水分が少ないが為、すぐに水を吸いやすい傾向があります。
多加水麺はそれより幾分吸いにくい と言うわけです。

伸びる=ふやける とまず量が多くなります。
そして、以前にお話した鉄筋コンクリートのような構造が壊れやすくなります。
すると、当然分解が早くなりますよね。
ですから、白玉うどんや低加水麺は腹持ちが悪い  となります。
白玉うどんでは『沢山食べたはずなのに??』となって一層、先のような印象を強くします。
(量の問題では無い ともうお判りですね)

ところが低加水麺のラーメンでは化学調味料や脂で腹持ちがいいように錯覚をします。
腹持ちではなく大抵の場合「もたれ」です。

では、多加水手打ちではなぜ腹持ちがいいのか?

それは手打ち麺の構造にあります。
顕微鏡で見ると小さな気泡がいっぱい見えるそうです。
打って見ると良く解りますがどうしても空気の層を巻き込んでいくから
自然にそうなります。
それがツルツルとした食感を生み、
そして打ち込むほどに強靭な「コシ」=鉄筋構造を形成するのです。
空気の層と鉄筋構造で伸びや分解は遅くなります。

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そう、低加水麺には正確な意味での「コシ」はありません。
小麦粉を練って茹で上げた状態の水分勾配をコシと錯覚しているのです。

しっかりとしたコシと多加水構造が腹持ちを良くする原因です。

なぜ、では私が多加水麺にこだわったのか?
答えは「腹持ちを良くする為」だったのです。

無添加スープで体に悪いラードを排除してラーメンを作ると実に消化が良いらしく
すぐにお腹が空く というのが欠点だったからです。
今は
やたらにお腹がふくれる  と言ってもらえます。
いずれ、きっと腹持ちも良い事にも気づいてもらえることでしょう。
しかし、それは決して
不快な「もたれ」ではありません!
幸せな満腹感の持続です。
静かに無添加が分解吸収されているのです。
きっと血糖値の上昇も幾分ゆるやかなのでは? と想像しています。

寝る間も惜しんで働いた女工哀史の主人公たちが空き腹を抱えていたなんて想像もしたくありませんね。
きっと手打ちのひもかわうどんはしっかりと腹持ちよく厳しい労働に耐える彼女達を支えてくれたに違いありません。

参考文献
旭堂出版
「うどん大全」