前回からの続き

では、麩の力を拝借して丼を作るとどういうことが起こるのかを解析していきましょう。

でも、その前に
丼が何故美味しいのか? を考えてみてください。
主にタレとご飯の関係にだけ絞ってみましょう。

うなぎには甘いタレが少量かかります。
天丼には濃くて甘くないタレが少量かかります。
このタレとその量がとても重要なんです。

今回は親子丼とその応用でいきます。
私の作る親子丼は砂糖を使いません。
割り下で仕立てます。

ずばり、ご飯に美味しいタレがかかるから丼は美味しくなるのです。

当然 ?
いえ失望するのはもう少し待ってください。

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タレがかかる事で美味しさを増すご飯(隠し技も同時に入っています)

ではタレが美味しさの決め手として、多すぎるのはどうでしょう?
少ないとどうでしょう?
各人の好みと言えばそれまでですが、量を決定するのはなかなか難しい判断が必要なのです。

多すぎるタレを嫌う人はジャバジャバした食感もさることながら
何が嫌だといってその後のご飯の「ふやけた感じ」を忌み嫌うのです。

ではご飯にかけたタレが時間によってどう変化するのでしょうか?
ここに実験してみました。

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  かけた直後、

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      ↓          ↓          ↓
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    一分経過、     二分経過、   三分経過

やはり、一番美味しいのはかけた直後ですね。
一分ではさほどの変化は出ませんがやや粘りが出始めます。
二分で飯粒への浸透がみられやや「ふやけ」が出始め、
三分で「ふやけ」感は多くなり、下のほうにもタレのサラサラした感じは見受けられなくなります。

さて、こういった特徴は何も親子丼などにして見るまでもなくもっと端的に表れる代表選手がいますから
汁かけご飯界のスーパースターである
「お茶漬け」でご説明しましょう。

お茶漬けと正統派雑炊はそのサラサラとした喉越しを得ることを主目的にしている
と言い切りましょう。
これが小さな茶碗でご飯を多目に盛ったお茶漬けだったら
たちまちふやけご飯と成り果てます。
また、正統派雑炊は「サラサラ」を出す為に熱いご飯を水で洗います。

米食民族の中でも珍しいほど粘りの強いご飯を好んでいながら
いえ、それだからこそなおふやけたご飯は嫌いなのです。
粘りの鎖がばらばらに千切れてしまっている
伸びた麺類にも似た不味さだからです。

おっと磁石の針がぐるぐると回りすぎてしまいました。
元に戻しましょう。

タレが丼を美味しくも不味くもする というところからもう一度始めます。

さて、そんな難しい微妙な按配を気にしなくても良い魔法があるのです。
そうです、やっと話が繋がりました。
「麩」です。
麩を薄くスライスして加えます。
2ミリ厚だと麩の食感を感じてしまいます。
1ミリ厚だとほとんど気になりません。

それを加えると言う事はどういうことなのかを検証しました。
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この棒麩を半分にカットして、一ミリ厚にスライスしたもの二枚だけで
小匙一杯のダシをほぼ吸い取ってくれます。

ということは5~6枚も入れればもうそれだけで大匙一杯分の水分を「保水」してくれると言う事なのです。
前回の画像を思い起こしてみてください。
麩は圧力を加えるとその溜めていた水分を放出してくれましたよね?

では具体的に何が起こるのかを見るために試作してみました。

こちらです。
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(左)これはタラのフライのとじ丼です。
タラがあっさりとしていながら冬ならではの脂が乗っているため、ふうわりとした食感を楽しませてくれます。

これをはぐってみましょう。
(中)いかがでしょうか?
ほとんどタレがご飯に乗ってませんよね?
このままでは汁気の少ない不味い丼です。
こんなのをお客様にお出ししようものなら「裏切りの丼だ!」と糾弾されちゃいますね。

ところが!
食べようと箸で上から軽く押さえただけで(加圧)
(右)このように汁気が出てくるのです。

これは口中でも程よく起こります。(加圧効果)
食べ始めは丼の下どころか上にすら全く汁気が無かったにもかかわらず
食べ終りにはなんと底の方にわずかな汁気すら確認できました。

しかもその汁気には粘りがほとんど無いのです。
今、まさにタレをかけたばかりのような状態なのです。

いかがでしょうか
これが今回の種です。

でも、
本当はここまでややこしくしなくても丼はそれだけで美味しいんです。
美味しいからいったん手に取ったら普通は一度も卓に置かないで
一気に食べきって欲しいくらいなのが作る側の気持ちなんです。

せっかちな江戸っ子の「深川丼」なんかまさにその代表のようなものですね。
しかも、きちんと作れば素晴らしいご馳走にもなります。
B級だなんて言わせません!

なぜ、私が3分という時間に拘泥したのか?
それは一杯のラーメンを食べる平均的な時間だから  です。
昼のミニ丼はラーメンと組み合わせてご注文いただく以上
ラーメンをゆっくり食べてもその間ふやけないご飯の丼にしたかったからなんです。
一応の完成を見ました。
料理人が仕事を支配するにはそれぞれの味と味の総和をコントロールするのはもちろん
時間と折り合いをつける事も必要なのです。


でも、麩の力は形を変え、さらに応用が広がります。
しつこく、しぶとく追求を続けます。

丼がB級で終わるか、or 料亭に負けないくらいの意地を見せることができるのかは
すべて料理人次第だからです。


本日のタラフライの丼です。
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最後に
ここまで、これでもかとばかりご飯の画像ばかりが続きましたので
お口直しに漬物を添えて置きましょう。
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皆さんは麩をよく使われますか?
私は以前にTVで麩の利用法を教わってから常備して常に工夫を心がけています。
今回はそんな麩の案外知られざる利用法を書き留めておきましょう。

麩  言うまでもなくグルテンの塊です。
これ自体が優秀なタンパクなのですが意外に軽く見られがちです。
いえ、持って実際に軽いじゃないか  というチャチャはお止めください。

今日の話を読み終える頃には見方ががらりと変わってくるはず(?)です。

麩はグルテンを焼き上げて作ります。
ですから内部は気泡が沢山でき、空気の小部屋の集合体となって
-当然ですが、完璧に乾燥した状態で販売されています。

これを普通は汁の実や卵とじなどに使います。
その、類を見ないほどに圧倒的に優れている点をあげましょう。
ズバリ、「保水性」です。

どういうことかここに画像を上げます。

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誰もが知ってる画像でしょう。
普通、汁の実などではこれは口の中で起こる現象です。
麩だけを持ち上げて汁が落ちなくなってから軽くつまむといっせいに汁がこぼれ落ちます。
熱い味噌汁で口の中をヤケドしそうになった方もいらっしゃるはずです。

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これを利用するのです。
細かく砕いてひき肉料理に混ぜ込みます。
餃子、肉団子、ハンバーグなんでもOKです。
肉汁をとらえて逃がさず、かつ口中で美味しさとジューシーさを放出してくれます。

ハンバーグでご説明しましょう。
普通は牛乳にパン粉を混ぜたものを加えますよね?
しっとり感とソフトな食感を産む と言われますが、つい余分なカロリーを足しているんですね。

それに、お店などではジューシーさを強調するために牛脂を多目に加えます。
ナイフで切った時に肉汁がドバッと流れ出る映像をTVなどで見ると私はギョッとしますが
大抵の人は「わぁ!美味しそう」と反応します。
よく見てみてください。
それは愛ではありません。  それは脂です。(中島みゆき調)
実に簡単なトリックです。

麩を使うと成型時にも、寝かしている間も、焼く時も肉汁は逃げません。
だから余分な脂身を加える必要もありません。
切ってもさほどにドバッとは肉汁が溢れないかも知れませんが口中で噛んだ時にジュワッと美味しさが溢れます。

いかがでしょうか?
少しは麩のことを見直していただけるようになりましたでしょうか?

私は餃子には必ずこれを加えていました。
皮にくるまれた中でその効果は最大値を発揮してくれました。
いつまでも熱く、また冷めても美味しいのです。
ひき肉料理が冷めて不味くなるのは脂が凝固して汁気を閉じ込めてしまうからなんですね。
麩を媒介してやるだけで実に多くの美味を提供してくれるのです。

いかがでしょうか?
麩の実力が少しは見えてきましたでしょうか?

ひき肉のカレー(キーマカレー)などにも応用できますね。
ひき肉はしっかり火を通さないといけませんが
通すと多量の脂を放出します。
インドなどでは脂が多いほど浄化度が高いと称され高級だと言われますが
私達日本人には多量の脂は毒です。

元来穀物食だった日本人の腸は欧米人とは性質が違うそうです。
だからといってその脂を取りすぎると今度はボロボロ、かさかさとして口当たりのよくない
ひき肉料理になってしまいます。
そこで麩の出番です。
ある程度脂を除去した後に加えるのがコツです。

次回は先日のお昼に実験した丼でご説明しましょう。
麩の力
まだまだ続きます。










魚の画像が貯まって来たのでまとめてご紹介します。
まずカワハギです。
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冬には肝が大きくなり、身にもあえかなしっとりとした脂が乗ります。
釣り人はウマズラハギと小ばかにした呼び方をしますが、
実は上とされる本カワよりも重宝がられています。

この肝が極上の珍味だからです。
今ではこの肝を摂ることを主目的とした養殖まで盛んになってきたほどです。

アップで見ると良く解りますが面妖な顔にこのおちょぼ口、よく動くヒレでこやつは誠に上手に釣り針からエサだけをついばんで行きます。
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その秘密はヘリコプターのような泳ぎ方にあります。
船が上下左右に波に揺られると釣り針もまたそれにつれて動きます。
普通はその微妙な動きが魚の食い気を誘うのですが、こやつはそんな事では騙されてくれません。
その波の動きに合わせて器用に上下左右へと移動し、
エサにぴったりと張り付くようにしておちょぼ口で上手についばみ尽くすのです。

ですからカワハギ釣りにはまったらもう大変です。
のめり込みます。
はまってしまった釣師(ハギ師)にとっては愛しい悪魔のような こやつです。

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などという事を思いながらそのヒレ部分を刺身でいただきます。
よく運動しているだけあって独特の食感が美味しいんですね。
そこを肝と一緒に食べるとさらに美味です。
 
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釣るのは大変ですが、網ならまさに一網打尽に入ります。


今、富山県魚津市ではこれの大きなサイズを特に選別して関西方面に盛んに売り込みをかけています。
ずばり!
「フグ刺しより美味しいですよ!」
と言うわけです。
そのうち「こやつ」呼ばわりなど出来ない位出世するかもしれません。

では、これの刺身をご紹介しましょう。

カワハギ、地方によってはバクチダイ、バクチウオなどと呼ばれます。
皮をくるりと剥ぎ取ることから相場師や商売人は縁起をかついで食べないと言われたりします。
『みぐるみ剥ぎ取られる』という語呂からです。

その名の通り普通は皮を剥ぐところからさばき始めます。

ところが、表皮のサメ皮は取れても薄皮は残ります。
刺身にするにはこの皮も取らなければいけません。

そこで漁師町ではいちいちそんな二度手間をかけません。
こうです。
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頭と腹を一緒に取り、洗ったら皮ごと三枚におろします。
カワハギは小型なら骨ごと薄切りにしてナマスになるくらいに骨が柔らかいので背骨も削り取る位でよろしいでしょう。

そして腹の部分を取ります。
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そして、皮つきのまま中骨を避けて剥ぎ取るようにして上下の身をおろします。
この時にあまりにきつく皮まで包丁を入れすぎると薄皮までくっついてしまいますがどなたでも案外簡単にできます。
何故なら表皮のサメ皮が滑り止めになってくれるから行いやすいんですね。
ぜひ、一度だまされたとおもってトライしてみてください。

このほかにもカワハギは料理心をくすぐる利用法が多々あります。
おいおいご紹介していきます。

でも、自分で作るのは苦手だけど『食べたい』とお思いでしたら今すぐ富山へどうぞ!
今、この時期北陸 富山、石川能登ではそれこそどこのお寿司屋さんでもこんな握りが食べられます。
冬の日本海、カワハギの実力をご自分の舌でご確認ください。
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多加水手打ちといえば真っ先に手打ちうどんが思い浮かべられます。
ところが、このうどんが蕎麦に次いで厄介。
案外本当の美味しいうどんの事が一般に知られていないのが現実。

今や多くの人がスーパーに並ぶパック入り茹でうどんを当たり前と感じるようになってしまいました。

初めて自分で打ったうどんを食べた時--15年前くらいか もう正確に思い出しもできません
あまりにもその美味しいのに  腹が立ったものです。

『今までうどん屋さんで食べてきたアレは一体何だったのか?!』 と
そして、その次に思い返し気づきました。
自分が今までうどん屋さんだとばかり思っていたお店が実は蕎麦屋さんだった事に。

あまりにも身近に馴染み過ぎてしまっている「生蕎麦」とのれんを出しているお店
うどんやラーメン、カレーや丼となんでもやっている食堂系と呼ばれるお店が
良くも悪くも自分のファーストコンタクトの味覚だったのです。



さて、今回もまた危なげなグレーゾーンにもう一歩そろりと踏み出して
タブーの扉を少しだけこじ開けてのぞいてみましょう。

そう、ひとくちにうどん屋さんと言っても色々です。
手打ち、自家製麺で頑張っている専門店から
いわゆる食堂系と呼ばれる何でも揃っているラーメン、丼、カレーなどまである大衆店。

喫茶店にだってメニューに書いてあるかも知れません。
でも、そんな所で食べて「街のうどん屋さんの味は」などと言っては
いけないのです。
専門店がちゃんとあるんですから。

その前に
ここで改めて専門店という定義づけをしておきましょう。
商品を絞り込んで専門に追求をしている玄人が自信を持って営業している店。
専門知識を持った玄人が吟味した商品を提供する店。
簡単に言えばこんなところでしょうか?

ですから私のブログ内では半素人がインスタントのダシ+袋うどんの商品を提供していて
「あ、ウチはこれ専門なんです」
などと言ってる所を専門店とは言いません。
そこを上手に置き換えて錯覚営業をしているところがあまりにも多いのでお断りしておきます。
単に一品しかありません、というのも専門店とは呼びません。

さて、食堂系のお店では(例外もあるかも知れませんが)普通は茹で麺を仕入れます。
これは製麺会社が早朝製麺して湯がいたものです。
一玉づつ分けて箱詰めにして納品します。
スーパーで私たちが見るのと同じです。
これの長所はとにかく早い事です。
5ミリ角くらいの太さのうどんなら10分以上かかるところをほんの数分で提供できます。

お昼時の立て込んでいる時間帯には大変威力を発揮します。
多彩なメニューに応じ、かつ出前にも応じるとなるとこれは必須アイテムであるとさえ言えます。

短所は茹で伸びです。
言うまでも無く茹でた麺は伸びるからです。
それをいかに感じさせないかが製麺所の「餅は餅屋」的テクニックなのですが、
やはり茹でたての美味しさには勝てません。

じゃ専門店はどうでしょう。
ここからがようやく本題です。

昔、富山にも本格さぬきうどんのお店がありました。
S商店街のはずれにあったそこは鉛筆より一回り太い麺でした。
当然、茹で時間が相当かかります。
間が悪いと30分以上待たされました。
このタイミングというのがつまり、
茹で置きが無くなってしまったから丁度今から茹でます  という「間」です。
間がいい というのは 丁度今茹で上がったところですからすぐに出せます 
というタイミングな訳です。

専門店の泣き所はこの茹で時間です。
太いうどんは美味しいし茹でておいても伸びはゆっくりです。
でも、本当は茹でたての一番美味しい時に食べてもらいたい
でも、それには最低10分以上かかる。 うーむ ー∀ー ; うーん思案どころです。

うどん好きのM.S.さんはかねてから
「美味しいうどんが食べたいのなら10分くらいの待ち時間がなんだ!怒り」と
叫んでいらっしゃいます。
当然です。

しかし、現実はなかなか厳しいのです。
とくに昼の立て込む時間帯が。

繁華街や繁盛店ならばあらかじめ多目に茹でて対応ができます。
(それでも若干茹で伸びは起こりますが止むを得ないでしょう)
事実ほとんどの有名店はそうして待ち時間を短縮する工夫をしています。

とにかく、気ぜわしい時間帯、忙しいお客様は気長に待ってはくれないのです。

それを語るのにこんなエピソードがあります。

うどん王国讃岐
この街には数え切れないほどの専門店がありますが
毎年ランキングが入れ替わり「今はどこそこの店が一番だ」などと評されるそうです。

ぞっとしませんか?
私などは鳥肌の立つ思いがしました。
聞きしにまさるうどん人種の国ではありませんか!
普通の街なら老舗はよほどの事が無い限り老舗であり続けられます。
この街ではわずかなズレも見逃さない厳しい眼を持っているのですね。

こうです
うどんは何分間か茹でて、いったん火を止めフタをして二分程度蒸らしてやらなければならない
こうして柔らかくて、しかしコシのあるうどんに仕上がる。
超繁盛店になるとこの「蒸らし」がついおろそかになり不出来なものを提供して首位から転落してしまう。
というものです。

つまり「待ち時間」というのは客の側だけの要求ばかりでなく店側の事情からも
なかなか厄介な古えから永遠に続く重い「課題」なのです。

とはいえ、讃岐の例ではそのほんの僅かな差異を聞き分ける鋭い味覚を持った「うどん人種」の方に脅威を感じますね。

さて、T地区のHというお店。
ここでは入店するとカウンターの端で店主がすかさず麺を湯に投入する姿が見られます。

そうです。
少しでも早く出せるように工夫しているのです。
出てきたうどんはやや扁平ながらもしっかりしたコシを感じる美味しい茹でたてのものです。
この麺のスタイルに到達するまでの店主のご苦労が忍ばれます。

時間とコシと、
うどんであることを前提にすれば許される範囲内でのぎりぎりの幅と厚みと加水のせめぎあいの結果がこの一本のうどんの中に結実していると思うといっそう美味しく感じられます。

一杯のうどんを食べて美味しかったか否か
量が多かったか否か
気に入ったか否か
価値基準はもちろん千差万別でしょう。
大いに自由になされていいでしょう。
しかし、そこに至る職人の気概や工夫に思いを馳せればそこには新たな価値基準も生まれます。
そんな所に着目して見るのもまた楽しいうどん巡りの興味となります。

私が今現在興味をもって観ている店は若い店主が一本立ちを許されたばかりです。
ここは面白いです。
とても美味しいのに毎回短所が目に付きます。
決してアラ探ししているわけじゃありません。

大量に打ちますから普通、家で作れば失敗するはずのないポイントで
起こるはずの無い事が起こります。
観ながら、食べながらそれらを勉強させてもらえるのです。

ポイントを見て、その原因を当て『なるほど』と独りで合点します。
しかし、あくまでもちらりと横目で見て観ぬふりをしてです。
じろじろ見ては可愛そうですからね。
野暮は最悪です。

そして普通は美味しかった で勘定を出しますが
ここでは 美味しかった+勉強になった  で大感謝して帰ります。
お気に入りのうどん屋さんです。

ただ食べると何の変哲も無い白いまっすぐな一本のうどんですが
その道を進むこの若い職人には果てしなく続くワインディグロードとなるでしょう
それでも頑張ってぐんぐん成長していってくれる と期待してまた足を運びます。

同じような苦労をともにする職人として
また無類の麺好きの一人として

















平日の昼のみとしている現行のミニ丼ですが、
そんな時間には行けないからなんとかならないか  とか
日、祝日にも作って欲しい  などと
リクエストは沢山お預かりしていました。

特に、現在の手打ち麺に移行してからはカップルが増加して更にリクエストが多くなり
それでは試験的にトライしてみようか となりました。

長い時間スタンバイ可能で、(長い時間帯の待機)
調理時間が短く、     (すばやく出せる)
調理手間がかからない、  (すばやく作れて)
味の変化の無い、     (一定レベルの維持が可能か?)
好き嫌いの少ない、    (広く支持してもらえる)
ロスの無い、       (無駄をなくす→安く提供可能)
低価格で満足感      (腹応えのある)

と、こんな設定で考えてみました。
これはいつもの作業ですからすらすらと答えは沢山でて来ますが、実際にとなるとやはり
かなり限定、絞り込まれます。

そんな中から今回第一弾として
「明太とろろ丼」
をスタートします。

ラーメン店開店当初からのお客様ならご記憶でしょう。
10年前ラーメン店で再出発した時のメニューには
「自家製無添加 からし明太子 一本150円」
とありました。

明太子とはご存知スケトウダラの卵です。
ロシアと日本の境界線からこちらに入ってくる頃がちょうど卵が完熟になり
最も美味しくなる時期です。
ですからロシアにはタラコを食べる習慣はいまだにありません。

ところが、日本の商社が暗躍して
ロシアが自国海域でスケトウダラを一網打尽に獲り始めたのです。
未熟なタラコは日本から技術者を連れて行って指導させて加工
製品は喉から手が出るほど欲しがっている日本に高値で売りつける。

身はスリミにして日本の加工業者に高値で売りつける。

ここから日本のタラコ、スリミ及びその関連全ての味が凋落し始めました。
商社は資本の原理のみで動きます。
高値で取引されるほど歩合は大きくなりますから大喜びです。
絵図を描いた人はたぶん出世した事でしょう。

その頃、私は市場で今までの値段より数倍に高騰した品質の劣るタラコを見てメニューから辛子明太子を削除しました。
高くてまずい(未熟卵)添加物まみれのものなんかに自分の味付けなんかしたくありませんでした。
今でも、たまにその頃の事を覚えていらっしゃるお客様が
「たまには食べたい」 と言われます。

でも、タラコといえば何もスケソウダラだけじゃありません。
ここ富山湾には真ダラの卵があります。

これを明太子風に加工します。
もちろん無添加!!

変なものを添加しているロシアなんかに貢献してやるもんか!!###

というわけで
作りました。

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明太トロロ丼 ややミニサイズです。

正月でご馳走ばっかり食べた胃腸に優しく、
大雪の雪かきで疲れた体に体力と食欲増進を!!

本日より一日中、昼も夜も
平日ばかりでなく土、日、祝日も通して試験的に販売開始します。
お値段は 250円。
いつもどおりラーメンとの組み合わせ注文のみで承ります。

ラーメンとなら
        800円+250円=1,050円
チャーシューメンとならば
       1,100円+250円=1,350円 となります。

もちろん今までどおり昼のミニ丼も日替わりで登場しますので、
平日のお昼は丼が2種類となります。
こちらは200円です。

ご利用ください。

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蛇足的な補足

少々ピリリとします
辛いのが苦手な方は難しいかと思われます。






 


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つばきの花が咲きました。
椿の花言葉は
「控えめな素晴らしさ」
この由来は花に香りが無い事から だそうです。
草花と違い虫頼みの受粉結実を最優先としない花木ならではですね。

さて、香りといえば普通は良い香りをさします。
良くない時にはどちらかと言えば「におい」を使う事が多いようです。

が、最近はこれを混同する人が多く紛らわしい事です。
私が最も腹立たしいのは「蕎麦」です。
最近はスーパーでも半生や生の蕎麦が多く出回っていて、年末などは山積みにされています。

これの裏書はこうです。
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酒精とはアルコールのこと と思いますよね?
では何故あんなに「くさい」のでしょうか?

以下私の想像です。
麺類は打って放置しておくとすぐに乾燥が始まります。
つまり、乾燥させるのは案外簡単だと 言えます。

では、乾燥させないで生のまましっとりとした状態を維持させるにはどうすれば良いのでしょうか?
真空パック、密封して冷凍などが考えられます。
でも、スーパーで並んでいる蕎麦は普通の包装で常温販売されています。

では何を添加すればそういう事が可能なのか?
を考えて見ましょう。
いつまでもしっとりとした状態を維持させるには「保湿剤」
いつまでも腐らないようにするには「防腐剤」があります。
ソルビット、ソルビン酸、ソルビトールなど沢山種類がありすぎて私には判別ができません。
あとPG いわゆるプロピレングリコールですね。

そういうものを加えれば消費者のわがままな願いは簡単に叶えられるのです。
しかし、表示にはそんなことは一切書かれていません。
しかし、封を開けた時点で匂うほど強い薬品臭は何なのでしょうか?
むっとすえたような匂いが鼻に付きまといます。

あくまでも私の想像です。
これまでもこういう例は沢山ありました。
醸造アルコールしか添加されていないはずの日本酒に化学調味料の味がしたりするのと同じです。
添加する材料に既に加えられているものについては表示義務はともなわない
いわゆる「キャリーオーバー」と言われるものです。
醸造アルコールにあらかじめ複合調味料として化学調味料や防腐剤などを他のアミノ酸などと一緒に添加させている場合がそうです。
「醸造アルコール」のみが表示されます。
「アミノ酸等」とすら表示義務はないそうです。
いえ、両者が合点承知で話をあわせているとまでは申しません。

化学調味料は一切使用していません と表示しているお店で
業務用製品が出されるのと同じ酷い手口です。

つまり
「私はそこまでは知りません」と言っているのです。
なんたる無責任!
ただでさえPGには健康被害をもたらすとはっきりと確認されているのにもし、
そんな手口が許されるのなら表示などなんの意味も持たないではありませんか!

最近は裏書を確認して買う人が増えてきたのでこのような奥の手はますます巧妙になっていくと思われます。

いつまでも「蕎麦本来の香り」だなどと頓珍漢なことばかり言う愚か者が買い続けてくれると思ったら大間違いです。
いつも言いますが
美味しくないものは自然に手が伸びなくなるのです!
ゆっくりと売り上げは減少していくはずです。

その点乾麺の蕎麦はそんな怪しい化学物質は不要です。
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こうして自分で打てないときには手軽に食べています。
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生麺と比べてもそんなに茹で時間は変わりません。
優良な食品を扱うスーパーなどではそば粉の方が多い乾麺をも当たり前のように並べています。

茹でても、食べても穀類の香りはしますがイヤらしいあざとい匂いなど全くしません。
これぞ
「控えめな素晴らしさ」というものでしょう。

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あるのか無いのか解らない蕎麦本来の香りなどという言葉に騙されたり、
わずかな茹で時間を惜しんで妙な化学薬品を有難がって「一服盛られない」ようになるには
やはり味覚臭覚を日頃から鍛え、なまくらにさせないよう心がける必要があるのです。

舌と鼻は身を守る最後のセンサー
毒物の体への進入を食い止める入り口に立つ大事な門番だからです。
日頃からいたわり、かつ厳しく鍛えたいものです。














2010.01.07 目玉林飯
正月も落ち着いてきましたので6日から昼のミニ丼を再開しました。
ようやく平日モードです。
一年の最初はこちら林飯です。
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目玉焼きを乗せたハヤシライス
一日でも早い景気回復への願いを込めて下に「sun rise」と添えたおかげか
この日は大量に出ました。

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こんな感じです。
普通はバターかサラダ油でブラウンソースを仕込みますが
私はバターが苦手なので例によって鶏脂で仕込みます。

もちろんラーメンとの相性もこちらの方がばっちりです。
食べてしつこくなく、後口ももたれることの無いあっさりとした仕上がり。
それでいて充分なコクが得られます。

以前にも書いたような気がしますが、
こういうものを作ると初めてナイフとフォークで目玉焼きを食べた時を思い出します。

白身部分だけを切って食べ、最後に黄身部分を一口で飲み込むように頬張りました。
なんと食べずらいものだと思ったものです。
後で先輩から
「委細構わずナイフでカットして食べ、最後はパンでふき取るようにして食べる」と
習うまではちょっとした恐怖でした。
不慣れな事は人目が気になるものです。

その点、ご飯はなんでも簡単に受け止めてくれます。
ぶすりとスプーンを突き立てると黄身が流れ出てソースにからみます。
ここで安物の卵か良い卵かの大きな差が出ます。

良くない卵=餌の悪い鶏の産む卵→体調の悪い親の作る不良な新生命

私たちは限りない多くの命をもらいながら自らの命をつなげ次世代に命を引き継いで来ました。

日本は自由の国ですから良くない食事を摂る という自由もあります。
私はいつもそれを
「ゆるやかな自殺」と言います。

正しい環境で育てた鶏は健康な命(卵)を育みます。
これは人間に置き換えてみても誰でも解る簡単な話です。
食物連鎖などという言葉で考えて見るまでも無くその卵を食べる人間の体内に
取り込まれる栄養は有益だからこそ「美味しい」と感じることが出来るのです。

良くない環境で育まれた命は
ー卵であれ、肉であれ、野菜であれ
見た目もさることながらたいてい「臭い」匂いがつきものです。

臭みのある卵黄が混じってしまったらせっかくの食事全てが台無しとなってしまいます。

これを正しく認知してもらえるような素晴らしい味覚、臭覚のお客様ばかりなら
卵だけはいけなかったが他は美味しかった  となりますが
たいていは 美味しくなかった  で終りです。

いわば画龍点睛を欠く仕事になってしまうのです。


それではいけません。
黄身は滋味あふれる豊かな美味しさでなければいけません。


今年も一年「健康で美味しい物」を探して東西南北を駆け回る事になるでしょう。
せっかくなら体の隅々にいたる日々入れ替わる細胞を健康な栄養素で満たしたいものです。
抵抗力という名の防波堤を少しでも高く積み上げたいではありませんか。

今年もそんなお手伝いが出来れば何よりの幸いです。







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新年明けましておめでとうございます。
昨年は沢山の方々にご来訪を賜り誠にありがとうございました。
本年もなにとぞよろしくお願い申し上げます。

という明るい日の出のお正月になれば最高だったんですが。
実際の映像は早朝から雪かきのスタートとなりました。

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31日から降り始めた雪は休まず降り続けてとうとう40cmくらいの積雪です。
午後からはこれで除雪始動ですが、その前に車を掘り出さねばなりません。

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やっぱりこれは「今年も沢山働きなさい」という天からの声なのでしょう。

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さて、昨年末からお伝えしていましたように正月1.2.3日の間
ケーブルTVのコミュニティCHにて当店が紹介されます。

フリーアナウンサーで大のラーメン好きの牧内直哉さんがお出でになり
色々とリクエストを出し、それに私が応えてトッピングを用意するという趣向です。

まるで私がこういうハードルを設定してそれにトライするのが大好きなのを見越したような企画ではありませんか!

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もちろん二つ返事でお受けしました。
かつて趣味にしていた釣りもしまいには
針に餌をつけていたのでは釣れて当たり前と
誰もトライしない設定を自ら課して遊んでいたほどです。
非日常ならぬ 非セオリーこそ自分を高めてくれると信じているからです。

以前には能登地鶏と呼ばれていた能登健康鶏のもも肉を開いて
牛蒡、人参を巻きます。
これを焼きます。

ただし、ここがポイント!
サラダ油ではそのままでは美味しくなってくれてもラーメンには合わないんです。
鶏脂で焼きます。
じっくり、こんがり・・・・。

冷まします。
すぐにヒモをほどくと巻きがばらけてしまうのです。
そうこのまま煮れば鶏肉で作る八幡巻きですね。

一晩そのまま冷ましたら
翌日煮昆布でぐるぐる巻きます。

これを一時間ダシで煮ます。
そう
これは「おせち」なのです。

おせちで飽きたらラーメンを食べにいらっしゃい  ではなくて
日本の原点おせちをラーメンに取り込んで新しい美味をご提供したい
というものなのです。
制作のインターフェイスの参納さんが素敵なネーミングを考えてくれました

「おせちラーメン  虎丸」
オーダーの際にはこう告げてください。
ラーメンでもチャーシューメンにでもトッピングします。
このトッピングは無料サービスです。

ラーメン、チャーシューメンの代金そのままで無料トッピングが受けられます
ただし、「TVで見たアレ」とか「おせちラーメンで」などの明確な意思表示が必要です!


これをトッピングします。
でも、これだけじゃありません。
これだけでも充分美味しいんです。
ですがおせちメニューをラーメンに乗せましたってな退屈な仕事を私が嫌うのは
もうここにいらっしゃる皆様はご存知でしょう?

そう、味と味をつなぐものが必要なんです。
今回は土佐丸で御馴染みの焼津の本枯れかつお節を加えました。
これで強引に馴染ませます。
いつもながらこのかつお節の威力はすさまじいですね!!
もっと美味しくなったのです。

でも、牧内さんのリクエストはまだありました。
白髪葱です。

これを乗せてようやく完成です。
こうなります。

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これを3日からの3.4.5日の三日間、各々先着オーダー30名様限定
無料でトッピングサービスとさせていただきます。
それぞれ三日間とも当日分が無くなり次第終了とさせていただきますので
足場の悪い中恐縮ですが是非お早めにお越しください!!!


ここでのお知らせはここまでです。
でも、ケーブルTVでは番組を見て応募をすれば素敵な落とし玉があたる
プレゼントも用意されています。
詳しくは番組をごらんくださいね。

今年も、誰も出来ない・やらない・どこにもありそうでなかなか見つけられないそんな美味をこの富山発でご提供できればと日々頑張ります!
本年も変わらぬご愛顧のほどよろしくお願いいたします。