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香酥鶏翅(シャン スー チー ツウ)というれっきとした中国料理です。
馴染みがないのも無理ありません。
これは定番料理というよりも宴席料理に供されることのほうが一般的ですから。

宴席では丸ごと揚げたりします。
私の場合は丸の中から骨を全部外してもち米を詰めるのが得意でした。
丸揚げにしか見えない所にナイフを入れるとぱっくりと切れるという瞬間が見物だったんです。
手羽先だけでこれを盛んにはじめたのが名古屋の居酒屋さんなんでしょうか。
いまではすっかり名古屋風として定着しつつありますね。

この手羽先と言う奴はから揚げにしても火が通りにくいのです。
またなんとか火を通しても骨離れが悪かったりします。

そこで今回はこのレシピを公開してみましょう。
中国料理ではよく仕事を重ねます。
これもそのひとつ
「蒸して  揚げる」 という技です。
手羽先に下味をつけます。

元ネタは塩コショウ+ネギをよく揉み込む というものです。
名古屋風ならみりん+醤油でしょうか しばらく漬け込んでおきます。

小麦粉をまぶして約20分蒸します。
これを冷ましたらほぼ出来上がり。
あとはお好きな時に油で揚げるだけです。

強火でからっと揚げるのがポイントです。
名古屋風なら白ゴマをくっつけて完成です。

さてここからがいじりです。
下味なんて自在にできますね。
カレー味、唐辛子風味、
揚げてから田楽味噌にくぐらせる「揚げ田楽」でもOKでしょう。
いかにもいじりやすそうでしょう?
酢醤油をベースに香味野菜をたっぷり混ぜてソースにして上からかけるのもOKです。
これは油淋という料理になるんですが、なに家庭料理ではそんな事に構ってられません。
どんな香味野菜を加えるかで風味はがらりと変わって面白いものになりますから
あえて何々とここでは書きません。

自由な発想でチャレンジしてみてください。
揚げる時間が短いですから、油くどくなく、柔らかい、しかも骨離れの良い美味しいおかずになります。

ちなみに画像はお昼のミニ丼のおかずとして小鉢で出したものです。
これを出すと皆さん骨先までかじります。
鶏は皮が一番美味しいのですが、そういう意味では皮の比率が最も高いから揚げだとも言えますね。



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2009.05.31 山菜ご飯
山菜には不思議な力が沢山あります。
人は昔からそれを上手に取り入れてきました。
デトックスやダイエットなどという言葉もまだ無かったはるか昔からです。

「山や川をきれいにしておけばご褒美に山菜や魚がもらえる」
なんて素敵な神々との約束でしょうか!

私は宗教に入信はしていませんが八百万の神々の存在は深く信じています。
山には山の神様
水の神様、火の神様 いつも日常的にその存在を感じて暮してきました。
子供の頃からずっとです。
山の中の一軒家でなかば自給自足のような生活環境だったのがそのあたりの感度を増幅させたのだと思っています。

ですから山菜も神からの恵みだと素直に思えます。
約束もきっちり守ります。
熊を遠ざけるための爆竹以外は鼻紙一枚落としません。
鼻をかんだら必ずポケットにしまい、持ち帰ります。

ですから、山菜を粗末に扱ったり根絶やしにしたり法外な金額を暴利(ボル)輩を見ると腹が立つというより畏れを知らない奴 と思ってしまいます。

人は人 我は我

なるべく簡単に取れる山菜をふんだんに使い、安く、美味しく、活用し
山菜を若い世代に受け継ぐのも使命だと思いましょう。

というわけで今回は
まず、炊き込みご飯です。

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山菜は下ごしらえさえ済めば後は自由自在に応用ができます。
炊き込みご飯などは定番すぎて退屈なほどですがこれも布教活動の一環と思い努めましょうか。

oah 014ーエビと山菜でー

ススタケ(ネマガリタケ)を中心に
ウド、フキ、ヨシナ、エラ、ヨブスマソウ、ショウマなどを炊き合わせて煮含め
ザルに空けてダシを切る。
そのダシでエビをさっと煮る。

米に分量のダシを計量。
上から山菜を乗せて炊飯。
炊き上がったらエビを混ぜて完成。

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ー肉と山菜でー
肉は生姜と醤油を混ぜておきます。
鶏油で炒めて、ザルに移し、熱湯をかけて余分な脂を落とします。
コゴミ、や先述した山菜と一緒に炊き上げます。

山菜力爆発です。

それでも残る肉の脂を山菜が吸い込んでくれて他の野菜とは比べ物にならない美味しさとなって返ってきます。
このパワーにかろうじて対抗できる野菜といえば牛蒡くらいしかありませんね。

それに加えてこのサクサクとした心地よい歯応え。
しっとりとしたヨシナの粘り気。
ほのかな山の香気。
この美味しさを若い世代に広く伝えねばいけません。

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ーエビと山菜のちらし寿司ー

寿司に仕立てるときには椎茸と揚げが欠かせません。
揚げの油気が仲を取り持ってくれます。
同じような山菜の煮込みがまるで違う味に変身するのは「酢」の力。
山菜も自在に変化してくれます。

山の恵みに感謝。

いずれも平日お昼のミニ丼で出したメニューです。
250円  小鉢つき




前回に続き初夏の山菜採りです。
タイトルでハードと書いたのは山で8時間歩き回るからであって、
決して岩登りしながらとか谷渡りをしながら熊の目をかすめてなどという激しいものではありません。

中にはザイルを使ってゼンマイを採るという剛の者もいるのが山菜採りの世界です。
しかもその時期はまだまだこれからだというのですから恐怖です。
いったいどんな深い谷なのやら。
今はまだ雪に覆われているのですね。

最近知り合った達人は八百屋さんに卸しているプロなんですが、
これまでは山菜の仲買人に卸していた人なんです。
山のように採ってくる→卸す→買った人が整理して市場に出す。
いわゆる大元な訳ですね。

ディープな山菜採りの世界です。

さて今回はさらに馴染みの無い山菜を取り上げましょう。
ミヤマイラクサ
別名「エラ」
これは在るところではそれこそ草のようにうじゃうじゃに在ります。
気づかずに通ると服の上からでもチクリとしますのですぐにそれと判ります。
小さなトゲがびっしり生えていて、
そこに触れると蟻酸があるのでとても痒いのです。

採る時にはゴム手が必須。
茹でてしまえば無毒で特に癖の無い上質な山菜です。
本当は山の人たちもコレを売りたい所なのですが、イラクサ特有のチクチクがあるので一般流通には乗りにくいのが現状です。

そこで今回はヨシナ(カタハ、ミズ)&ワラビと一緒に「柴漬け」にしてみました。

それがこれです。
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そして結論。
山菜は使えます。
全国の山菜好きな皆様。
山菜採りを愛する皆様。

私がここ富山県から全国の山菜を加工する皆様にお伝えしましょう。

なにも京都の柴漬けだけが正統なものではありません。
山には山の柴漬けがあっていいのです。
むしろ山菜の柴漬けのほうがより美味しく出来上がります。
「エラ」や「ヨシナ」「ワラビ」などは柴漬けの為の山菜だと言える位マッチします。
ぜひ!積極的な取り込みを始めてください!

あくどく山菜を高く売りつける事ばかり考えてその秩序を崩そうとしない勢力に日々挑みます。
安い山菜をじゃんじゃん使って美味しく食べようではありませんか!
儲け主義の鉄面皮には本当の美味は作り出せません。


さてもうひとつ馴染みの無いものをご紹介しましょう。
「ツルニンジン」です。
ツル性の根茎を掘り採取します。
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こんな形です。
これで10余年モノらしいです。

名人の永田さんとご一緒でなければお目にかかれなかったシロモノですね。

これを焼酎に漬け込んだ「ニンジン酒」がこちら。
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一説には糖尿病に薬効が顕著だとか、
強壮だとか言われています。

他の薬酒同様、飲みにくい味ですが信じる人は救われる という味わいです。

このツルニンジンは蒸したり煮たりして食べることも出来ます。
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エゾ鹿ロース肉の行者ニンニクソテーです。
ツルニンジンのグラッセ添え(Nonバター)

サクサクとしていながらほっこりとした食感。
生の時の強烈な匂いは全くありません。
どちらかといえば無味に近い、明らかに野菜とは違う不思議な味です。
糖尿病の猪にでもなったような感じがします。

薬酒、加熱調理ときてお次の3番目は鑑賞です。
ツルが伸びて成長したら花が咲き種がつきます。
地味なリンドウと言った風情の花が咲きます。
地味ですが山野草マニアには堪えられませんね。

飽きたら食べれる山野草というのも面白いのではないでしょうか?
そういう方面に興味のある方はメールでご連絡をください。
生息環境や地質その他薬効など色々話が長くなります。
2323さんの朝市でも出されるはずです。

この日はあっというまに8時間経過!
ハードではあっても充実した楽しい夢のような時間を山で過ごせました。



最近、山菜採りの名人永田さんに同行させていただいています。

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ここは高原地帯でまだ残雪があります。
この日は快晴ですが、コシアブラがようやく展開したところ。
いま本格的な春がいっせいに訪れた というタイミングです。

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高原野菜を作っている農場があります。
広くて気持ちの良い照葉樹に囲まれた山です。
モミジガサ
ヤブレガサを採っているところ。
ガレ場の険しい崖にへばりついての作業。

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ススタケ(ネマガリタケ)もこんなに太いのが初心者でも採れます。
プロはこんな太いのばかり採るそうです。
ヨブスマソウに松田のマヨネーズと酢醤油をかけて食べます。美味。
別名ウドブキともいうそうですがまさにそんな味。
山形県では山菜の王だそうな。
こちらでは標高の高いところでしか採れません。

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ここまで来て熱心に採っているのが伸びたフキノトウ。
今出たばかりのもあります。
雪の下からのぞいたのも採りますがそれよりもお目当てはこちら。
花は落として持ち帰り、茹でます。
上から葉を引っ張ると皮がすーっと剥けます。
右がむきかけの画像です。

フキで時間がかかるのは皮むきの作業です。
なぜなら細い部分の皮をつまむのに手間取るからです。
その点フキノトウなら「ココ」「ここから」とでもいうように
葉がその為のタグのようについていますからこれをすいすい引っ張ればすぐに皮がむけます。
実に楽チンです。

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刻んで味噌和えやキンピラにします。
若いフキの風味。
野ブキの赤ちゃんといった味わいで美味しいです。

やはり深山のものは何を食べても美味しい。
次回はもっとディープな山菜が登場します。

永田さんありがとうございます!。







2009.05.26 土佐丸 順風
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以前は平日のみ としか書かないでもっとシンプルなものでした。
ところが、氷見市から来店されるお客様が「有給取って来た」と言われた事があり、
それで反省して週末でも夜の部なら対応できます と変えました。

有給を取ってまで来店される事への感謝と
そんな不自由なメニューしか出せないふがいなさへの反省を込めてせめて精一杯心を込めてお作りしています。

しかし、夫婦二人だけで対応するにはやはり、週末祝日のお昼にはお出しできません。
どうかご容赦のほどお願い申し上げます。


山菜採りは採って来た時間の数倍 後始末の時間がかかると言われています。
が、実際はもっと手がかかります。

例えば「野ブキ」なら
  山で収穫
  家で葉を落として茹でる
  冷ます
  皮を剥く
  カットして調理、または保存ビンにて保存用加工
といった手間がかかります。

これをトータルするとだいたい10倍くらいの時間が必要ではないでしょうか?
一時にするのではなく暇をみて行うから可能な仕事ですね。

それでも楽しいと思える人(苦にならない)
そこまでしても美味しいものを食べたい人  が喜んで手を出します。
そしてその採って来た山菜の種類が多いほどその苦労(あるいは喜び)は多量になります。

ところが最近どういう訳かお店の方がやけに忙しく
この暇ができません。
すると山菜の片付け作業は寝る間を削って行うしかなく、
というわけでこのところ寝る間の無い状態が続いています。
ブログの更新どころか沢山頂くメールの返信もままなりません。
これを多忙と言って良いのか間違っているのか もうそれすら判断できない状態の半脳死段階です。

(思えば子供の頃、夜トイレに行こうと起きたら母親が夜なべしてフキの皮をむいていました。)

この山菜highな状態が時にはとっぴな思い付きをします。
『目の前の大量の山菜をキンピラにしてしまえ』

というわけでやってみました。

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例えば山ウドの仕事はどうするかというと。
根回りの太い所は皮をむいて酢の物などの生食。
先端部分は天ぷらに。
そして残った、むいた皮を刻んでキンピラにします。

普通はこうして処理します。
ところがそれがあまりにも大量にあったらとてもそんなのんびり構えてられません。
それでなくとも山菜はすぐにしおれてしまいます。
そこで全部まとめて一気に刻んでキンピラにしてしまうのです。

泥を落とす作業だけは丁寧に行います。
よーく洗ってきれいにしなければ後が台無しですからね。

いっきに刻みます。
いっきに炒めます。
いっきに片付きます。   素晴らしい!!!!

しかも超美味しい!さらに素晴らしい!

あちこちに配り、無理強いして食べさせた所、どうやら脳死状態の判断ミスではなく本当に評判が良く
どうやらこれは自分だけじゃなく人様にも認めていただけるシロモノのようだな となりました。

そこで「おいしい富山本舗」のメンバーの「2323さん」の登場です。
彼は現在朝市でお店を出しています。
「越州村」(富山市の商業施設)の朝市です。
さっそくそこで販売してもらいました。
それが先ほどの画像です。

使う山菜はその時々の収穫したもの、八百屋さんで仕入れたもの
要するに国産、地物のみ と言うわけです。
これが案外評判が良いんですね。
万事塞翁が馬 なのか瓢箪から駒 なのか
まったく何が幸いするのか判りません。

中身は色々ですがその時期に採れる山菜の風味を活かして かつ程好く殺して
どなたにも食べやすい味になるように細工を施してあります。
(ちょっと腕自慢も入ってます)

コシアブラ、ウド、ミヤマイラクサ、ショウマ、クレソン、ミョウガタケ、ネマガリタケ
モミジガサ、オオバギボウシ、ヤブレガサ、モウソウチク、ワラビ、フキ、
オオナルコユリ、ユキザサ
などが今の顔ぶれです。

そろそろ次の顔が出てきます。
真ダケ、セリ、ハチク、山ミツバ等など

普通こんなんをキンピラになんかするか? というような高価なのも
委細構わずいっきに放出して作ると どうなるか?

答え_ゴージャスな味わいのキンピラになります。

ありそうで、どこにも無い味の「山菜のキンピラ」です。
2323さんが早起きして頑張って販売しています。
もうそろそろ片付けの頃でしょうか?




土佐丸というネーミングは別に相撲から取ったり船の名前を参考にしたわけじゃありません。

昔から鰹を使うのは土佐と名づけられてきました。
フキをかつお節で仕上げた「土佐煮」などが有名ですね。

丸というのは海苔を一枚丸ごと使うからです。
海苔の部で書いたように海苔をシケらせてしまったら台無しですから一番上にそっと乗せてお出しするのです。
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ウチのラーメンはとても強情なスープでして
今までに色々なものをトッピングとして試しました。
今ではいくつかの定番も出来ましたがその頃は何を乗せてもはじかれてしまって合いませんでした。

それをスープが強情なので適正範囲が狭小なのだと勘違いしていたのです。
違うのです。
スープが強すぎて弱いネタじゃバランスがとれなかっただけなのです。
それをこの土佐丸が教えてくれました。

強いスープに強いかつお節をぶつける。
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そして上に海苔を

その前に大事な仕事。
十文字の切り込みを入れてやります。
そこから引っ張り出すようにして召し上がっていただきます。
これが土佐丸のお約束です。

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はっきり言って面倒です。
でも誰もそれを厭いません。
美味しいからです。

それだけじゃ大して香りも立たなかったのに一口頬張る頃にはむせ返るような海苔の良い香りが貴方の鼻といわず顔中に押し寄せてきます。
その丼の真上に顔を置く人の特権です。
カツオと海苔の複合香が次に襲ってきます。

力の強いもの同士がぶつかる事で未知の美味が立ち上がるのです。
これが弱いかつお節やヘタレな海苔だとこうはいきません。

スープを吸い込んだ柔らかい海苔を食べるとぷっくりとした食感にうっとりとなるでしょう。
それでも、まだまだ香りは続くのです。
すっかりスープに浸してもまだ残る強烈な海苔の香りが「高級海苔」の証です。

食べても美味しいかつお節がスープをすっかり変えていきます。
一杯を食べ終えて麺を追加してしまう方が続出するメニューです。

土佐丸
いよいよ明日21日からの発売開始です。
ご来店をお待ち申し上げております。
ただし、張り紙はいつもの通りいたって素っ気無いものです。

土佐丸  +200円  としか表示しません。
興味を持たれた方にだけ食べていただきたい
これは発売開始した当時そのまま自信の裏返しです。

今年のは海苔をさらにグレードアップしました。
昨年の土佐丸とも別人に仕上がってきました。

海苔がいかに美味しくとも香りが物凄くてもそれだけじゃいけません。
蕎麦通ならもうお気づきでしょう。
それだけじゃ江戸蕎麦の種物の「花巻」そのまんまだからです。

本歌取りというのは元を超えなければいけないのです。
せめて何がしかの独創がなければただのパクリです。

そこで最上の花かつおを用意しました。
一般に流通しているカビづけしない「荒節」ではなく本格な本枯れ節を削った花かつおです。
これはこのお店には無かったので焼津から取り寄せてもらいました。
ここでは高価すぎて売れないそうです。

たまに煮干し粉を化学調味料の代わりに料理に使う人がいます。
本人は無添加を誇るおつもりなのでしょうが悲しいかなナンセンスです。
栄養を摂るだけなら確かに丸ごと食べるのは正解でしょう。
しかし、煮干しは頭や腹を取ってダシを引きますよね?

煮干し粉にはそれらの美味しくない部分も含まれますから丸ごとを食べても即、美味とはならないのです。

その点かつお節、特に本枯れの花かつお節は丸ごと食べても美味しくいただけます。
美味の固まりです。

カビが鰹の余分な脂を分解してしまうからです。
もちろんダシも一級です。
熱いラーメンに上から乗せるだけでもそのだしは活きます。

つまり、食べても美味しい。
ダシも美味しい。
そんな花かつお節をプラスしてやるのです。
次回はそんな土佐丸の全容をお伝えしましょう。
発売開始は5/21(木)からです。
今までは静かに目立たずに済ましてきましたが、また今度「土佐丸」をやる事になりました。

その前に、海苔の話でもしておきましょう。

もう随分前の話になります。
海苔メーカーの社長さんと話していた時の事。

「この頃盛んにTVでラーメン特集をやってるけど良い海苔を使ってないね~」
「へ? 見ただけで解るの?」
「そりゃ解りますよ プロなんだもの」
「そりゃ凄い! でもねラーメンには海苔なんか不用なんだよね」

その頃の私は今から考えても実に不遜でした。
ラーメンには海苔は合わないと決め付けていたのです。
そこで買う美味しい海苔でお昼のミニ丼を作ればそれで充分だと見切るような気持ちでいたのかも知れません。

すると、
「何を言ってんですか!」
 「良いものは何にしても美味しいんですよ!」

と、なかば売り言葉に買い言葉的な勢いで買って来た海苔。

それをラーメンに入れて食べてみて驚きました。
そして自分が海苔の事をちっとも解っていなかった事に気づいたのです。
翌日、社長に頭を下げに市場に走ったのは言うまでもありません。

ここで良い海苔とはいったいどういう物差しで計られているのか記しておきましょう。


つや

香り
柔らかさ  です。

色、つや までは誰でも解りますよね。
これ以降は食べないと本当の所は判らないのです。
正確に言葉で伝えるのは私にも出来ません。

ですが、古来日本人は こと海草の味と香りには並々ならぬ努力を傾けてきたと言えます。
四万十の青海苔に代表される河の海苔にもそれを感じる事ができます。

食べてみないと解らない味と香り というものは確かに存在するのです。
それこそ
「今迄食べていた海苔はいったい何だったのか!?」 というほどのシロモノが、。
普通そのクラスになると一般の店頭には並びません。
高価すぎて売れないからです。
高級なお寿司屋さんにいきます。
単位もぐっと大きくなります。
100枚単位です。

これはなるほど美味しい海苔だとどなたでも解ります。

さて、問題は「柔らかさ」ですね。
よく、ラーメンに入っていてバラバラに溶ける安物の海苔がありますが
あれを想像していただくとちょっと困ります。
次元の違う話ですからいったんアレは忘れてください。
アレはただ単に結着の良くない海苔。
逆に紙のようなのは単に硬い海苔。

海苔は解禁になるといっせいに刈り取られるわけですが一般に早い時期には原藻は柔らかいのです。
ワカメなどでも同じですね。
山菜や野菜などでも当然同じです。
その柔らかい原藻を刻み並べて成型して乾燥させて出来上がりです。
ですから、海苔の厚みに関係なく柔らかいものは口の中でとろけます。

考えてもみてください。
早い時期の柔らかい海苔が乾燥されているってことは原藻が水分を失って幾重にも折り重なっているわけです。
それを口中に入れるとたちまち唾液を吸い込んでふんわりとふくれ上がりばらけていきます。
その過程で閉じ込めていた香りをこれでもか と放出するのです。
旨くないわけがありませんよね?

これを「土佐丸」に入れるわけです。
はまります。
どういう具合にはまるのかは次回に回して

その前にもう少し海苔の美味の壺をしつこく暴いてみましょう。
「素人」呼ばわりされない為にも。

実は白状しますと、私自身が素人呼ばわりされるところだったのです。
「これがその美味しい海苔です」
と差し出されすぐに開封して真っ先にやった事は

鼻を近づけて匂いを嗅いだのです。

言って置きますがこれはやるべきじゃありません。
素人だとすぐにばれます。
幸い、ここでは皆さん優しい方ばかりで親切に教えてくださいました。
「乾燥した状態の海苔には香りはありませんよ」 と

そうなんです!
海苔は湿気が入って初めて香りが立つんです。
お寿司屋さんではのり巻きを巻いて「はいどうぞ」と出された時が香りが立つ瞬間です。
焼き海苔なら口中に入れた瞬間
香りが湧き立つのです。
今日はここまでにしておきます。

「土佐丸」
もう何がなんだかさっぱり判らないと思いますが もう少しだけ引っ張らせてください。
ウチの裏メニューの中では看板メニューなのですから。
5/21からスタートします。





清志郎さんが亡くなったなんていまだに信じられません。

心より哀悼を込めて500マイルの歌詞を写させてください。
かつて細野さん、坂本冬実さんらとHISを結成していた時のものです。

  500マイル
  詩、曲 ヘイディ・ウエスト
日本語詩 忌野清志郎

   次の汽車が 駅に着いたら
   この街を離れ 遠く
   500マイルの見知らぬ街へ
   僕は出てゆく 500マイル

   ひとつ ふたつ みっつ よっつ
   思い出数えて 500マイル
   優しい人よ 愛しい友よ
   懐かしい家よ さようなら

   汽車の窓に 映った夢よ
   帰りたい心 抑えて
   抑えて 抑えて 抑えて 抑えて
   泣きたくなるのを抑えて

   次の汽車が 駅に着いたら
   この街を離れ 500マイル

慎んでご冥福をお祈り申し上げます。
富山湾の氷見市ではワカメの養殖が盛んです。
養殖というとすぐに硬いというイメージをお持ちかも知れませんが、
柔らかくてしっかりとしたワカメです。

このワカメを狙って毎日のように中央市場に顔を出しますがなかなか当たりません。
入荷がなかったり、タケノコで時間を取られすぎて売れてしまったりします。


今回はこれでふりかけを作りながらワカメの美味の壺を探ってみましょう。


獲れたての生ワカメを頬張ると少し塩っぱいですが、
海の香りが濃くて、とても美味しいです。

美味の壺

このワカメの美味しさとは何なんでしょうか?
それは、海のミネラルの美味しさです。
山の野ブキなどでもそれを強く感じるものがありますね。

これらは体が不足している時に、もう意味が解らないくらい美味しくてたまらないという状態になります。
体喜ぶ美味 というわけです。

海のミネラルといえば海水の成分ですから、
海がきれいでなければいけません。
まさに氷見はうってつけの海といえます。
底まで透き通って見えるきれいな氷見の海を思い起こしながら食べると更に美味しく感じます。

さて、美味の壺を突き止めたなら次はそこを強調してやるのが料理人の仕事です。

ワカメのふりかけを作るのにはざっと2通りあり、そのまま吊るして乾燥させたものを焼いて砕いたものと、
もうひとつが今回取り上げるパターンです。
こちらは先に熱を与えます。

茹でます。
ここで注意!
真水で茹でたり、洗ってはいけません!

浸透圧で 塩味=ミネラル=旨味 が逃げ出してしまうからです。
ですから塩を入れたお湯で茹でます。

塩加減はいかほどでしょうか?
正解はワカメと同じ位の塩加減です。
つまり、材料に「聞く」のが正しいというわけですね。

よろしいでしょうか?
決して色落ちを防ぐ とか 塩味をつける というのではありませんよ。
浸透圧によってワカメの旨味を逃がさない為の塩です。

ですから茹で上げたものを水にさらしてはいけません!
それではなんにもなりません。
サラダにでもするってのなら別です。
塩を抜くのも、抜かないのもそこが分かれ目です。

茹で上げたらザルに広げて冷まします。
nrhk 001茹でると瞬時に色が緑変します。
色落ちを防ぐ為に普通は冷水にさらしますが
ふりかけでは絶対にさらしてはいけません。

これを繰り返すとお湯がどんどん濃くなりますから
たまに水を足して作業を続けます。


しまいにはお湯が塩田の塩水のようになります。

nrhk 004
こうしてなるべく重ならないようにうして広げ
冷まします。
できれば盆ザルが適しています。

粗熱が取れたら刻みます。
刻んでから干します。
    nrhi 002 nrhi 019


今時の日差しはかなり強く、茹でた山菜などもどうかすると一日で干し揚げてしまうほどです。
nrho 033 nrho 035
充分乾燥したらそのまま揉み解して出来上がり。
ですが今回はワカメの茎も一緒に作りましたから
茎はほぐせません。

ほぐせない茎を鍋でカラ煎りしてすり鉢ですり、先ほどのと混ぜて完成。
  ワカメふりかけ
まさに海の豊潤なミネラルの旨味!
自然なままの旨味!
ご飯が止まらなくなります!

こうして美味の壺を突き止め、それを強調し、応用し、適所に置くのが「料理」なのです。
「理り」 ことわり を 「料る」 はかる のです。
料理人は常にこれを考えて手を動かします。
決まりきった手順やレシピばかりで動いているうちはまだまだなのです。

習った事は出来て当たり前。
聞いた事を推測して作るのを良とし、
無いものを作り出すのを上としなくてはなりません。
今、在るレシピはそうして先人達が残してくれた貴重な遺産ではありますが
遺産にしか過ぎない とも言えます。

あるいは「忘却されてしまったレシピを再現する」というものであっても
考えた末に自らの手で再構築したのであれば、それはれっきとしたオリジナルといえます。

そんな仕事の出来る料理人を目指したいものです。

ちなみに、ワカメは茎を外して行えば楽に作業を進められます。
今回は焼いたものと混合したかったので面倒なことをしています。

外した茎は茹でて水にさらし、酢醤油やマヨネーズで食べましょう。

こうして無添加で簡単に美味しいものが作れます。
乾燥剤を入れて密封袋で冷凍保存し、小出ししながら頂きましょう。
いつでも応用がきき、便利です。

ですが、ここでお約束の困りごとを。
食後は歯にくっついていないか要チェックです!
















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