2017.12.20 ニベとの遭遇
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市場で「ニベ」を仕入れてきました。
昔は魚屋さんでザルに盛られてよく並んでいたと聞きますが
最近ではほとんど見られなくなった魚種です。

これは大型で50cm以上ありました。
よくイシモチと混同されますが種は異なるそうです。
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かつてどの位「よく上がった」のかと言えば
この魚の浮き袋を煮溶かして協力接着剤の”にかわ”が作られたといいます。

いったい全国でどのくらいの”にかわ需要”があったのかは
知りませんが凄い量なのは間違いなさそうですよね。

しかもベタベタくっつく”にかわ”の反語?として
取り付く島もない、愛想もない人の事を「にべもない」という
語源にまでなっているのです。

その原料になる「浮き袋」は大きな魚体に比してたった
これだけ、10cm程だけです。
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右から白子、浮き袋、胃袋。
全国でどれだけのニベ漁獲量があったのかとため息すら出ます。

気になる魚自体のお味はと言うと
脂が程よく乗り煮ても焼いても美味しい魚でした。
試食の後は例によって「焼き干し」行きです。


ちなみに、魚の腹の中で旨いものと言えば
一に胃袋、二に浮き袋、3.4が無くて5に白子、真子
その次に心臓、肝でしょうか?

浮き袋を食べたことが無いと言う人でも
鱈の胃袋のキムチならご経験がおありでしょう。(チャンジャ)
どんな魚の胃袋でもコリコリとして美味しいものです。

浮き袋は全体がコラーゲンの塊と言った感じで
ツルリンとした食感です。

大きな魚の浮き袋と言うのは概ね美味しく
特に中国料理では高級食材として扱われます。
かつて米国で巨魚の浮き袋の密輸入事件すら起きています。

今回も味噌汁に入れて美味しく頂きましたが
他の魚の物よりもねっとりとした食感が特徴的でした。


魚に関する「温暖化の影響」はしばしば当ブログでも
取り上げていますが、先日新湊漁港で「イサキ」が
並んでいました。

とうとうここまで来たか!?
という思いです。
つい数か月前太平洋側からの梅雨イサキを焼き干しに加工
したと思ったらここ富山湾でまさか遭遇できるとは!

でも見た目が地味な魚であるのと、やや小ぶりなのとで
中買いさんに値段を訊ねるとなんと2匹で100円!

ヤガラが初めて中央市場にお目見えした時もそうでした。
大きなサワラを前にした魚屋さんが
「これは身が柔いから刺身にはならない」と言った時にも
この違和感を感じました。

そう
急激な温暖化の影響で”まだ学習不足な状態”なのです。
喜んでいいのか嘆くべきか今年も各漁港で
悲喜こもごもなニュースが流れていますが、
なに、私たちは
上がった魚を有り難く食べるだけ。

遠来からはるばる到来してくれた魚に感謝して
「いただきます」




日はまた昇る



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2017.05.29 魚の話

魚の事となると私たちは知っているつもりで案外知らない
或いは解ってないことがいっぱいあります。

昔の日本人ならいざ知らず魚離れの進む現代ではそれが
さらに加速していくんでしょうが、知っておいてもらいたい
覚えていてほしい、伝えていって欲しい、
そんな「美味しさ」に関する話を少しばかりしたためてみたいと
思います。

四方を海で囲まれた日本には全国廿浦浦に港があり
その地方の海産物があります。
でも九州では鮭やニシンが無かったりなどと
地方により種類や味に違いが大いにあるのです。

特に最近は温暖化の影響で、それまで水揚げの無かった
魚種が揚がるようになり知っておかなければ危険を伴う
種類まで出始めてきています。

有名なのはイシガキダイ。
ここ富山湾でも昔から少量ですが揚がっていました。
磯釣りの好対象ですが、シガテラ毒を持つことがあります。
用心したいものです。
これの大物が釣れたから持ってきたよ  などと云われたら
要注意です。 フグより怖い奴になってしまっているんですから。

最近よく見るのがサワラ。
西日本では昔から揚がったのですが富山はごく最近の事です。
魚へんに春と書いて鰆ですがこれは春の産卵で沿岸に
寄って来て良く獲れたからついたもので美味しい旬は脂の
乗った秋です。

ところが魚屋さんでも最近まで「身が柔らかいから刺身は無理」
などと言っていたくらいです。

サワラの本場岡山県では美味しい刺身にするため
関係する方々全員がそれこそ腫れ物にでも触るように
丁重に大切に扱う高級魚でして
「触らぬサワラにたたりなし」と極力温かい手で持たないように
すると言うのです。

刺身には無理だ  などと言ってると扱いが悪かったと
白状しているようなものなんですね。

今回取り上げるとっておき超お勧めの魚が「イサキ」です。

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とは言っても残念ながら富山では揚がりません。

県外、特に太平洋側から西にかけておなじみの魚です。
地味な姿ですが魚好きなら誰でも知っている旨い魚です。
普通、魚は腹に卵や白子を持つと味が落ちて行くものですが
これは全く落ちません。

夏前(つまり産卵が終わるまで)までは脂が乗った濃い味を
堪能でき、夏に入ると(産卵が終わったもの)は脂が程よく
抜けてあっさりとした美味しさを味わえるという
季節ごとの美味しさを味わえる素晴らしい魚です。

最近ようやくここ富山でも入手できるようになったので
私はラーメン用に「焼き干し」に加工している訳ですが
どうも富山県には無かった魚なので売れ行きは
芳しくないそうです。

釣りをする人なら知っていると思いますが
富山でも釣れる「シマイサキ」は亜種でしょうか、
全く美味しくありません。

それで美味しくないイメージがあるのかも知れません。

ベラや海タナゴでもそうですが
地方によって同じ魚でも旨い不味いがあるのは
海流(暖流と寒流)の違いとその生息環境の違いが大きいのです。

砂泥底の海ではキスやヒラメなどが適し
イサキやベラ、タナゴ、アイナメ、カサゴなどは岩礁地帯が
好適地なのです。

ですから岩礁地帯のポイントである佐渡ではベラは大喜びを
され富山市周辺の砂泥地から遠征に出かけた釣り人は
首をかしげます。
富山市周辺でベラを喜んで食べる人はほぼ絶無だからです。

奥能登でも岩礁地帯が多く餌が豊富なため盛んではありませんが
ベラ類は比較的食べる事が多いようです。
岩礁地帯のベラは美味しく
砂泥地のベラはそれほど美味しくはありません。

しかし、料理次第で美味しくはなるんです。
食べようとしないだけです。

その代表的な例が「海タナゴ」
環境の違いからか富山ではほとんど食べられません。
能登ではよく食べられます。
富山から旅行に行った人が民宿の朝食でタナゴの干物が
出てきて驚いたという話を聞いたことがあります。

「食べたんですか?」と尋ねたら
「あんなモン食べないよ」と憮然として答えました。
私は残念に思ったものです。
きっと認識を改められたのにと

では富山で釣れる海タナゴは不味いのでしょうか?
塩焼きは はっきりと不味いです。
でも煮付けにするととても美味しくなります。
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ウソだと思ったら一度お試しください。
正真正銘富山で釣ったタナゴですが
カレイの上品な煮付けのような美味しい味わいでした。

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食わず嫌いは大変な損をしているんだとどうかお気づき下さい。
魚の話はきりがありません。
今回はこのくらいで。



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