2015.07.23 蕎麦
山田村の直売所の中に手打ちそばのお店が入っています。
ここの蕎麦が旨いんです。

牛岳で栽培した蕎麦で打っているそうです。

でもここの十割蕎麦は「在来種」なのです。

以前に蕎麦特集の本で
”今、在来種が見直されている”  という記事を読み
食べてみたいものだと思っていましたが
記事で紹介されている中で最も近い場所で福井県の大野でした

電話をしてみたら秋にならないと入荷は無く
現在は品切れしている。
とのことでした

それっきり忘れていました

ここで在来種の蕎麦の説明を少し。

かつては日本全国にそれぞれの地元の蕎麦がありました。
それを農業試験場などの専門家が近代育種という選抜を行い
改良品種を作り出したのです。
常陸秋そばや信濃1号などです。

これがあまりにも優秀だったためあっという間に全国に
普及してしまい従来からあった在来種が絶滅寸前にまで
追い込まれてしまっているのです。

改良品種は大粒で収量が多く育てやすいのに比べ
在来種はおおむね小粒で気候に左右されやすくて
生産者が手に取らなくなっていったのです。

ところが、
それぞれの立地や気象条件により  ではあるものの
小粒ではあっても甘味や風味の点で優れている
昔ながらの蕎麦の味を守りたい
という頑固で理解の深い作り手がそれを細々と守り続けて
今に残る在来種の蕎麦というものが最近脚光を浴びてきた

というわけなのです。

まさか地元にも在来種があるとはうかつにも知りませんでした。
でもそれを知ったのは天ぷらそばを食べてしまった後だったのです。

そこで無理を言って生蕎麦を分けていただきました。

家で茹でて食べます。

なんと!
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こんな美味しい蕎麦は初めてです!
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味が濃いのです!
力強くて
喉越しも良く最高でした!

今度は実山椒採りの帰りなどじゃなく
これを食べるだけのために家内も連れて出かけようと思いました。

ちなみに
全国の主な在来種を列記しておきますと
山形で 来迎寺在来 天保そば
福島で 会津在来
栃木で 葛生在来
新潟で 妙高在来  こそば
長野で 戸隠在来  番所在来  奈川在来
福井で 丸岡在来  大野在来
徳島で 徳島在来  祖谷在来
島根で 横田小そば
宮崎で 椎葉在来
熊本で 久木野在来
鹿児島で  鹿屋在来
対馬で 対馬在来

といったところです。
このほかにも富山県の八尾在来や山田のように
さほど有名ではなくともしっかりと地元に根付いた
地元の気候風土に適した在来種の蕎麦が
沢山在るとは思いますが収穫量自体は少ないはずです。

幸運にも巡り会う事ができたら心してお召し上がりください。
幾多の先人の苦労があってこそ生き延びた希少な蕎麦です。

東京で在来種の蕎麦が食べられるお店では (2010年発行時点で)
練馬区中村の  玄蕎麦 野中さん 妙高こそば
青梅市裏宿の  蕎麦 榎戸さん   奈川在来
新宿神楽坂の  蕎樂亭さん      会津在来

など

大阪では
枚方市岡南町  そば切り 天笑さん  各地の在来種取り寄せ

美味しい蕎麦が食べられるのも
苦労をいとわずに作ってくれる人があればこそ
そんな幸福をいつまで味わえるのでしょうか?

感謝

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最近やっと自分の好みに合う蕎麦店が見つかりました。

蕎麦は江戸蕎麦のスタイルがもてはやされるようになってから
全国どこでも同じようなパターンになりましたが、
いかんせんそのツユがなかなか好みに合わない場合が多く
苦労するものです。

以前に長野県の戸隠に訪問した折、竹材屋さんで
「どこの蕎麦が美味しいんでしょうか?」と
尋ねたところ
「甘いツユと辛いツユのどちらが好きですか?」と
問い返され一瞬で長野県が大好きになった経験がありますが
ことほどさように麺そのものよりむしろツユが重要なのです。

長野県人は流石に良くご存じなのですね。
蕎麦の達人もその記述に  蕎麦の味とは云うがと前置きし
麺そのものはのど越しや風味を伴うものであり味自体はほぼ無
味を決めるのはツユである
と断定しておられます。

蕎麦を食べなれた東京人も
「産地と呼ばれる地方へ行くと確かに蕎麦は旨いものがある」と
粉や打ち方、切り方に優れたものを認めつつも
必ずこう言い添えるそうです。
「でも、ツユがねぇ」 と。

かつお節の選定およびその使用量。
日をまたいだツユの管理。
みりんと醤油の吟味。
それらの複合から作られるカエシの按配。

そんな点が不満の残る原因のようです。
とはいえ何も江戸蕎麦だけが蕎麦の全てじゃありません。

私好みの蕎麦は
ダシが効いた甘くどくないツユです。

スタイルは定番だけではなく季節ごとの
美味しい、できれば地物を取り入れたものです。

それには温、冷問いません。

よく聞く
「蕎麦はザルにとどめをさす」  キリッ
などといった硬直した観念はあいにく持ち合わせておりません。
要するに美味しい蕎麦を美味しいツユで季節ごとに目先を変えて食べたい
というだけなのです。

そんなお店がようやく出現しました。

そこで教えてもらった食べ方があります。
私達料理人は新しい食べ方や美味しいメニューを味わうと
「食べてきた」とか「味をみた」などとはいいません。

「教わった」「勉強してきた」と言います。
ですが決して作り方を口頭で習う訳じゃありません。
食べれば解る事ですから「食べる事が教わる」 「習う」
という事になります。

その映像を勝手には出せませんから自宅で再現したものを
ご紹介しましょう。
「牡蠣のみぞれ鍋の蕎麦」です。

鍋に昆布を敷き牡蠣鍋にします。
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大根おろしを加えて牡蠣のみぞれ鍋とします。
味はつけません。


そのまま鍋だけを楽しむのならポン酢でも結構でしょうが、
あくまでもメインは蕎麦ですからそばツユを用意します。
ツユの割合は最後に記します。

鍋が沸いてきたころ合いにざるそばを仕上げます。
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自宅では細目の乾麺です。
これで用意は完了しました。

お酒を飲みつつ、牡蠣をそばツユで食べ、
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蕎麦を熱い鍋にくぐらせてツユにちょいとつけて食べ
次は冷たいまま蕎麦をツユに付けて食べ
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ととても美味しく楽しく食べる事が出来ました。

おまけに最近凝っているお茶漬けにまでして牡蠣を楽しめました。
ぷっくりと膨らんだ牡蠣をご飯に乗せ醤油をちょいと垂らして
熱い煎茶を回しかけワサビを添えてお茶漬けです。
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「美味しい季節ごとの食材が沢山あるのにどうして世の中には定番メニューしか無いのだろう?」
という自分の疑問、不満を共有する店主がついにあらわれました。
しばらく目が離せません。

ですがまだ商売人、店主としては始まったばかりの段階です。
慣れない事ばかりの中必死になって努力するその姿に
敬意と更なる進化への期待を表し店名を上げるような野暮は
慎みたいとおもいます。


私流のそばツユの割合
みりん:醤油
   1:Ⅰ=カエシ
カエシ:カツオだし
   1:1.5