2015.03.18 ヤマメとマス
先日浜で小物をひと箱買いました。
浜では数の揃わない小魚を数種類まとめてひと箱とし「混じり」と
表示して販売します。

g41.jpg

これ全部で500円でした。
『面倒くさいから投げちゃえ』的心理が諸見えで笑っちゃいますが
お得なので見逃す手はありません。

太刀魚や鯛などは立派に刺身にもなります。

g37.jpg g36.jpg

今回私が 「おぉっ」 っと驚いたのがこちら

g40.jpg

何だと思われますか?

小さいのがヤマメ
白っぽいのがマスです。

ご存じの方も多いとは思いますが
ヤマメの生態について簡単に記しておきましょう。
まだまだ不明な事も多いそうですが概ね次の通りです。

川で卵からかえったヤマメは成長とともに大きなものほど
群れの先頭に位置し、上流から流れてくる餌を早い者勝ちとばかりに
率先して捕食します。

(ですから渓流釣りでは大きなものから釣れるんです)

やがて小さなものは川から海へと下り、海の豊富な餌をたっぷりと食べて
大きく成長します。
エビやカニなどの甲殻類を食べた体は地が青みを帯び、
銀色のウロコをびっしりとまとい身肉が赤く変っています。

サクラマスへと変身を遂げたのです。

春に産卵のために川に戻ってくると
餌の乏しい渓流には白い身肉のオスが待っています。

大きなサクラマスと小柄なヤマメとで産卵受精が行われるのです。

私はこれまで川から下ったヤマメがマスへと変身を遂げるのには
相当な時間を要するものと思っていましたがどうやら違っていたようです。

浜のお母さんにこれはなんだか知ってるか  と尋ねました
「マスや」と即答します。
じゃこれは?
とヤマメを指すと「知らない」と答えました。

滅多に網に入らないという事なんでしょう。

ですが、こうして銀化したほぼ同サイズのものがいるとは驚きです。
思ったよりずっと早くマスになるんですね。

でも捌いてみるとまだ身肉は白いまま
赤くなるほど甲殻類を食べてはいないのに銀化している
のにも少なからず驚きです。

g31.jpg

せっかくなので姿寿司にしました。

g30.jpg

塩で締めてから酢につけてシャリをかませて出来上がり。

g25.jpg

ヤマメの姿寿司も久しぶりです。

こういう事があるから浜は面白いんです。
皆さんもぜひ足を運んでみてくださいね。
スポンサーサイト
2015.03.17 魚すき
磯釣りをしていた頃、
冬になるとやや大きめのメジナ(グレ)が良く釣れました。
とは言っても沖の
波消しブロック周りの夜釣りです。
本格的な沖の岩礁ではありませんからせいぜい30cm前後が中心です。

大量に釣れるので昆布締めにして食べていたところ
釣の先輩からは大いに笑われました。
その方は船での沖釣り専門でしたからメジナなどには目もくれません。

「昆布が勿体ない」
とまで言われたほどです。

だからと言う訳じゃありませんが、
趣向を変えて煮付けにしたところこれがめちゃくちゃ旨いのです。

言っておきますが夏のメジナじゃありません。
冬の、「寒グレ」と呼ばれる時期の物だから  です。
磯臭さが無く、モノによっては海藻が腹中にあるような時期です。

(メジナは雑食性で海藻なども食べるのですが肉食の魚より
腸が長いのです。そんなところは人間も魚も同じなんですね。)

知っている人にすれば当たり前の事でも
ともすると人間と言うのは固定観念に囚われやすいものです。

鯛は塩焼きか刺身とばかり思い込んでいると「天ぷらで」と聞いて驚き、
殻つきのホタテはいつも頭っからバター焼きにと思い込んでいる人に
私など「殻ごと味噌汁にすると美味しいですよ」とおせっかいをすると
「なんて贅沢な!」と驚きます。

ここ富山では今までメジナを食べる人はほとんどいませんでした。
富山湾はその地形がもたらす恩恵として魚種が豊富です。

魚種が豊富にある
ということは幸せなことなのですが反面”えり好み”が出来るという事でもあります。

それが幸せなのか不幸なのかは言いません。
昔から釣り人は夏に湾内でメジナを釣り、焼いて、あるいは刺身で食べ
「磯臭い」とか「(港内の)油臭い」などと言いあい敬遠してしまっているのです。

私はいつも書いているように
魚は適切な食べ方を選択するとほとんどが美味しく食べられる
という信条なので寒グレは重宝する獲物となりました。

煮て美味しいと言う魚は案外と多いものです。
例えば
海タナゴ
これもここ富山では異常に嫌われています。
あまりに富山人の嫌う魚種が多いのでいずれそんな魚たちをまとめて
「雑魚道場」というジャンルにまとめようと思っているほどです。
海タナゴも煮て食べるととても上品な美味しさが味わえます。

そこで寒グレ。
これをすき焼きにして食べる方法を記しておきましょうか。
磯師を止めてしまった今は残念ながら画像がありません。

うろこを取り、腹を出して頭を取ります。
三枚におろして腹骨をかき取り、皮をつけたまま切り身にしいったん
冷蔵庫にしまいます。

鍋に昆布を敷き、アラでダシを取ります。
すき焼き用の野菜を整えたらいよいよ魚すきの開始。

カエシを作ります。
みりん 1 を煮たててアルコールを飛ばして煮切り味醂にします。
醤油  1 を加えて煮立たせないで火を止めます。

つまり
みりん:醤油が
  1: 1   と言う訳です。これでカエシの出来上がり。
簡単でしょ?  保存がききますから作り置きしておくととても便利です。

次にカツオでも何でもOKですダシを用意します。
今回なら寒グレで引いたダシです。
これを
ダシ:カエシ
 1:1  で合わせます。
これを割り下(わりした)と言います。

これですき焼きを作るんです。
甘くどくない、ご飯にもお酒にもピッタリのすき焼きになります。
もちろん肉類でも通用します。
お店で食べるすき焼きはほとんどこのタイプです。

途中でダシや割り下を適宜追加して調節をすることが簡単に出来ます。

寒グレのすき焼きの話でした。
ではそんな魚が手に入らないという方は
白身魚でお試しください。

先日、ブリですき焼きをしたところ大失敗しました。
その画像を張っておきます。
ブリでは火を通す時間が難しいようです。
fa-64.jpg

fa-63.jpg fa-62.jpg fa-60.jpg

fa-61.jpg fa-59.jpg


でもこの後つけ蕎麦をしたらこちらはそれなりに美味しく食べる事が
できやれやれでした。



   







2015.02.28 魚の煮付け
魚の煮付けや塩焼きは誰でも家庭で作る料理です。
ですから料亭や割烹店などでは案外に注文されない場合が多々あるようです。
例えば
おなじみの「田ばた」さんでその日は
”ハタハタの塩焼き”があったとします
”アジの塩焼き”あるいは”カマスの塩焼き”
普通は
『こんなんだったら家でも食べれる』
と思われるようで積極的に注文しない人が多いようです。

ところが!
こんな一見ありきたりに思える品こそが
私たちが家で食べているものと本物のプロが仕立てるものとの
異次元の隔たりを実感させてくれるのです。

ハタハタは今まで食べたことのない美味でした。
アジもカマスも絶対に家では食べる事の出来ない香ばしさを
また、しっとりとした程よい水分と脂を凝縮した旨みを堪能できるものでした。

「田ばた」さんで食べるものはどれでも超絶的な旨さを実感できるのですが
今までで一番おいしかったのは「ヒラマサの頭の塩焼き」です。
カマを大振りに付けた頭は皮目が香ばしくて酒を飲むのを忘れる程でした。

こんなプロが作ってくれる煮付けは当然絶品です。
目を凝らしてウロコや汚れを最後の点検よろしく丁寧に行い
じっくりとタレを掛けまわして仕上げてくれます。
言うまでもなく究極の美味です。

塩焼きをあれ程の絶品にするのはとても困難でも
この煮付けをなんとかプロの味に近づける事は出来ないものか。


やってみました

まず、プロと私たちが家庭で作る物との決定的な違いは
酒です。
魚を煮る時に水で煮ますか?
ダシで煮ますか?
昆布だしで?
水と酒でしょうか?

プロは酒のみで煮るそうです。
昆布も不要 (味の出ない魚なら有効でしょうが)
酒を沸かしてこびりつきを避けるために牛蒡を並べて入れ
下ごしらえの済んだ魚を乗せます。

紙ブタをして煮ます。
火が通ったら砂糖と醤油を加えて煮詰めていき

煮汁が少なくなってきたら鍋を傾けて汁を掛けまわしてやります。
fa-88.jpg

fa-86.jpg

fa-87.jpg

掛けて、掛けて 仕上がりです。

こうして完成しました。
fa-85.jpg


ほんの少しですが普通に作るよりは美味しくなってくれました。

煮詰めた酒には確かな力が充実しているんですね。
ですが
ここで使う酒が問題です。
アミノ酸混入の酒ではどうでしょうか?

答) お話になりません
   なぜならコメの旨みが少ないのを味の素でごまかしている
   そんな酒を煮詰めたところで旨みが出ないばかりか
   味の素がかえって邪魔をして嫌味な雑味ばかりが立つからです。

ですから
料理に使う酒こそ「純米酒」でなければいけないのです。

純米酒だけしか作らない蔵元を「純米蔵」と呼び
その数は年々増え続けています。

紙パックの料理酒に使える安価なものでも
純米酒は多く出回っており
私がもっぱら常用しているのは
石川県の福正宗から出ている「金色のしずく」
どこでも1,000円以内で買う事が出来ます。

おすすめします。
料理も酒も原点回帰こそが本物の美味しさをもたらすのです。
f-31.jpg

f-27.jpg





2014.12.02 たらのちゅう
東北では毎年「芋煮会」が大盛り上がりです。
里芋などの各種野菜と肉などを煮て食べる鍋料理ですが、
なぜこれが里芋なのか?

と疑問を持ったことがありました。
キノコ会やネギ会でもいいだろうし、白菜や白滝
いっそちゃんこ鍋にでもすればもっと美味しいだろうにと
思ったのです。

昨年秋キノコ採りに行った際の昼食に鍋料理をつついて
その疑問は解けました。

ひと汗をかいて秋風にさらされて、やや肌寒く感じる程に
なった時に柔らかく煮えた里芋をほおばるとその表面の
溶けた粘りととろみが喉から腹に通過した後
じんわりと体の芯から温まるんですね。

それは温かい室内で食べていると恐らく実感できなかった
感覚でした。

ちなみに
私は一年中、外で鍋を作れるように道具だけは車内に
常備しております。
春は山菜採りにいった先で鍋をし、夏には鍋とざるそばを
秋にはキノコ採りで鍋、冬の夜釣りでは鍋焼きうどんと
フル回転しています。
b-43.jpg gac-13.jpg


芋煮会の元となった習慣が芋棒だということは良く知られていますが
その材料であるは北海道で干された棒鱈(ぼうだら)
スケトウダラの事です。

北海道から全国を回った北前船の貨物は
東北では川を遡り広がりました。
もちろん動力機関など無い帆船の時代です。
岸の両側からロープで引いて遡上したのです。
その人足達が寒さと空腹を満たすために始めたのが芋棒鍋。
のちの芋煮会です。

その鱈ですが
北海道以外の地でただ干しただけじゃ棒鱈にはならないそうです。

冬、夜の底冷えでカチカチに凍てつき
昼はゆっくりと戻り 
身肉に絶妙なスが出来て完成するのですが
これを現代の冷凍技術で作りだせないかと
各地で試行錯誤されたらしいのですがとうとう失敗に
終わったそうです。

北海道の厳しくも不思議な気候だけがなせる業なのですね。

棒鱈にはスケトウダラの他に真鱈もありますが
こちらは本棒(ほんぼう)と呼ばれています。

そして今回のネタ
エラと胃袋の干物
gac-30.jpg gac-29.jpg


こういうものがあるらしいとは聞いていましたが現物を手にするのは
これが初めてです。
九州ではかなり知られているそうですが、
これも北海道で作られます。

北海道の珍味が九州で何故認知度が高いか? というと
そこへたどり着くまで身の方から売れていき九州に着くころには
内臓しか残っていなかった
という笑い話のようなおまけが残っています。

富山市内ではほとんどお目にかかれませんでしたが
どういうわけか魚の豊富な県東部の生地(いくじ)で見つけました。

じっくりと煮込みます。
gac-28.jpg

gac-27.jpg gac-26.jpg gac-25.jpg


旨いものです。
エラの筋一本づつが不思議な食感でまさに珍味。

いつかこれでカレーにトライしたいですね。




2013.12.12 鮭飯を炊く
お客様から海獲りの鮭をいただきました。
もう12月だというのにまだ海には鮭がいるのか!
と驚きました。
とっくに河を遡上して産卵を終えたものと思っていたからです。

そう思うと気の毒なような気もしますが、
その分、より美味しく食べなければバチが当たります。

そこで新米の炊き込みご飯を作りました。

鮭は厚めに切って生姜醤油をまぶしておきます。
あとはマイタケと昆布、これだけです。

DSC_0132_edited-1.jpg

DSC_0120_edited-1.jpg



ところで、
私はいつも調味ダシで炊き込みご飯を炊いていますが
研いだ米にいきなり生醤油を入れる炊き方もあります。

色の黒い田舎風の仕上がりになりますが
味わいも懐かしく故郷の光景を思い出します。
今は亡き姉がかつてこの炊き方のコツを伝授してくれました。

米1升につき
生醤油200cc弱
酒  200cc弱
というものです。

最近では料亭仕事がもてはやされて薄色仕立てが
多くなりましたが
どなたも昔お母さんがお釜に直接生醤油を入れて炊き上げる
姿をご記憶かと思います。

ろくに味見もしないでお釜に醤油を直接入れてざっくりと
かき混ぜて炊くだけなのにとても美味しいんですよね。

当店では濃い味のラーメンと合わせるのでやりませんでしたが
今回はこれをご紹介しましょう。

米一升に200cc弱
というと米一合では20cc弱ということです。

米を2合、よく研ぎ、ざるに上げて水を切ります。

今の時期の鮭には脂が乗っていないためぱさついた食感に
なりやすい事が予想されるのでバターをほんの少量用意。

土鍋を少しだけ温めて火を止めて
バターを溶かします。
洗い米を入れて軽く炒めるというより全体にからめる感じで
混ぜ込みます。

DSC_0121_edited-1.jpg DSC_0123_edited-1.jpg DSC_0124_edited-1.jpg


水を1.5合弱入れて、醤油、酒を各40cc弱づつ加えて
混ぜて点火
この土鍋で炊く場合は水加減をやや多めにしたほうが
よさそうなのですが
普通は米と水は同量が基本です。

DSC_0125_edited-1.jpg DSC_0128_edited-1.jpg DSC_0129_edited-1.jpg


各ご家庭の鍋によってその加減は異なると思われます。

上に昆布を載せてふたをし、強火にします。

DSC_0131_edited-1.jpg



湯気抜き穴から蒸気が出てきたらふたを開けて鮭を載せます。

再びふたをして火力を中火。

約20分

パチパチとかパリパリなどというような音がしたら消火。
10分程度蒸らします。

完成しました!

DSC_0137_edited-1.jpg


あとは鮭をほぐしながら混ぜ込み、盛り付ければOK。

DSC_0139_edited-1.jpg


こういうシンプルなご飯にはダシ仕立てよりも
生醤油仕立てのほうがマッチしているように感じました。

バターのしつこさは全く感じません。
ほんの少量だったおかげか鮭の脂を補ってくれるだけに
とどまったようです。

滑川の漁師さんと篠山さんに感謝!
ご馳走様でした!

おかげでまたひとつ勉強をさせていただきました。
ありがとうございました!





タコ釣りというのはもちろん昔から在るジャンルです。
でもタコといえばむしろ漁として成立している
タコ壺漁の方が有名ではないでしょうか?


タコ壺漁とは
その面白い習性を利用した漁法です。
タコは狭い穴倉のような所に潜みたがるのです。

この手の話をすると必ず
「タコってバカだね~」と3分に一回は言いたくなりますが
タコはタコとしてただ生きているだけであって
人間が、より悪賢いのだと自戒を込めておきましょう。

タコ壺にはいろんな形がありますが
どんな形でも無問題。
陶器製、コンクリート、竹筒、果ては瓦を二枚合わせた
だけとかビール瓶などというのまで材質も色々です。

要は入り口が開いていればOK
フタはいらないのです。

例えば子供の頭が入る程度の広さの口のビンがあれば
ヒモでくくって海底に沈めておくだけで入るんですね。
誰が?って、
いえ、だからタコが。

でも
『上げて来る時に逃げるんじゃないか?』
って思うでしょ?

逃げないんです
これが
だからタコって・・・ という話になるんですが

水上に上げても必死に奥にへばりついたままなんです。
床にドンと落せば出てくることもありますが
どうしてもへばりついたままな奴には真水をチュッと
かけてやると奴さん大慌てで飛び出ます。

そう真水が大嫌いなんです。

この点似たような仕掛けで捕るウナギとも大いに異なる所
です。
ウナギも竹筒などを沈めておくと勝手に入り込みますが
収穫時にそっと引き上げるまでは大丈夫なのに
水面まできたら慌てて逃げ出すそうです。
そこで出口にタモ網を当てて捕るわけです。


ところで
タコ壺をいくつも海中に仕掛けておくと簡単にタコが獲れる
かというと実はそんなに甘くもありません。
第一に
毎日見回りに行って中の砂をかき出して掃除をしなくては
いけません。

怠けて壺の中が砂だらけになったり
壺の表面についたフジツボなどを放置しておくと
全く入らなくなるそうです。

漁師さん曰く
「タコはきれい好きなんだ」 そうです。

これはウナギも同様だそうで
川とはいえ
竹筒(ウケといいます)の表面に小さな貝殻が
びっしりとつくそうです。
そうなると嫌って入りが悪くなるといいます。

ウナギもキレイ好きというわけですね。
この両者に共通しているのは体表がヌメヌメしている
というところです。

漁獲量と仕掛けのザラザラを嫌うという点において
その体表の人間の言う”ヌメリ”による相関図には簡単な
言い回しでは語りつくせない合理的な理由があるんでしょう。

私たちだって家を求める時には
屋内の造作はおろか、日向きや堅牢性など、つまり居住性を
第一に求めますよね?

寝具がガサガサでデコボコした寝室で泊りたいと乞う人は
あまりいないでしょう?

タコならなおさらです。
外敵に襲われなくてなおかつ、食いちぎられても
引きずり出されようとしても吸盤の力で踏ん張ろうとすれば
ザラザラ凸凹の住処では心もとないでしょう。

エサ不要の漁ではあっても
タコの居住環境を整えるのが漁師さんのお仕事だと
考えればなにやら滑稽な感じもしますね。

タコに関する話は全てユーモラスに聞こえます。

(ちなみに、タコ壺漁は漁協所属の人しか行なえません)

でも、
スキューバで潜り漁をしているNさんのお話によると
海中で穴倉に潜んでいるタコと目が合うとゾッとするほど
怖いそうです。

やはり私は陸から釣る方が楽しめそうです。
次回は”釣る”お話にしましょう。


ビンのふたを開けるタコの不思議な能力



ね!
不思議な能力でフタを開けても出て行かないんですよ
基本はこんな所が大好きなんですね、やっぱり


2013.10.02 いつか来た道


早朝の仕事が早めに終った日には海に行きます。

n6-a17 030


かつては明けても暮れても釣りにばかり行ってました。

10年ばかりまるでつき物でも落ちたように止めていましたが
再発したようです。
しかし、若い頃と違って普通の獲物じゃ食指が動きません
せいぜいがシマダイくらいなら行ってもいいかな  程度

クロダイやスズキなどと言ってもあまり興味は起きません。

むしろ
一般に雑魚と呼ばれるベラ、ギンポ、スズメダイ、タナゴ
などを釣って美味しく食べる事をここにご紹介したいくらい
です。

何のことはありません。
歳をくったぶん天邪鬼になっただけなのかも知れませんが、

若い頃ほど食欲が旺盛でなくなったこともあり
釣り自体と、その獲物を美味しく食べる事に
より楽しさを感じるようになったのでしょう。

やっぱりヒネたんですね。

最近の朝はもっぱらタコ狙いです。
n6-a14 051 n6-a14 013 n6-a13 171


タコ狙いそのものは昔から存在してました。
でもこの10年 お休みしている間にずいぶん進化した
道具が出てきているんです。

n6-a14 049 n6-a14 050


商品名も
「タコやん」「ちょいあげダンサー」「デビルエイト」
と聞くだけでも明らかに
”漁”とはちゃいます遊びでんがな
と自己主張しているではないですか!

なんで急に関西弁になるんだ  という
突っ込みが入りそうですが実はこれらのほとんどが
大阪発の道具なんです。

大阪人は本当にタコが大好きなんですね。
特にこのデビルエイトの発明者 (これ実は大発明なの)
さんはこれが本業なのではなくひたすらタコを沢山ゲット
したいがために考案されたのです。

(それが釣果抜群なのでヒット商品になっている
というわけです)

そうして一年中タコばかり狙っているのだそうです。

そうそうそんないち抜けた釣りをしたいんだ
とすっかり柴さんの口車に乗ってしまって
今ではすっかり
タコの前に私自身が”釣られている”始末です。

その他の道具もおいおい紹介しますが
この大発明のデビルエイト
海底を歩くように動くんです

軽く投げて着底したらツンツンと少ーしずつしゃくるように
さお先を引張ると
これが猫じゃらしのようにツツ・ツツ・と動くんですね

タコの大好物のエビカニのように・・・

タコさんたまりません。
はいいちころです。

n6-a13 054

これは翌日の画像、これで2ころ。

n6-a13 174


もう笑いが出るほどに簡単に釣れます。

とはいっても早朝の仕事の合間ですから海にいるのは
せいぜいが15分~30分程度。

後はとんぼ返りでまた仕事です。

このタコ
小さいのに釣り上げるのはとても重かったです。
その理由は
奴さん釣り上げられまいと小さな石を二個も抱え込むんです
たったそれだけでとても重くなります。

おぼれる者藁をもつかむ
とは言いますが
タコは水中から引き上げられまいとして石をもつかむ
というわけですね






2013.01.20 塩魚

”塩かつお”をご存知でしょうか?
カツオに塩を当てただけのものです。
焼くのも結構でしょうが、これは生で食べる為のものです。

塩で〆て一週間で食べ始められるそうですが
二週間置くとさらに美味しくなるというのです。

この時期富山湾にはほとんど本ガツオは入ってきません。

「ほとんど」
というのはたまには入るからです。

初夏に北上するのを昇りガツオと呼びますが
この時太平洋側だけではなく日本海側に迷い込んで
北上するのもいまして
それは秋に下りガツオとなる時にも日本海側に
入るそうです。

これを迷いガツオと呼び、とても美味しいそうですが
高くて手が出ません。
マグロの上級クラス並の値が付きます。
ほとんどは築地に行くらしいですね。

塩マグロ、塩カツオ
こちらで拝見して作ってみようと思い立ち
カツオが無いなら他の魚でトライしてみようと
やってみました。

まずサワラです。

aba 051

ねっとりと旨味が凝縮されていて生臭みはほとんど
感じません。
少々塩っぱいので酢をつけて食べるととても旨い!
aba 043

ではこれをカルパッチョ風にします。

aba 044

スライスしたタマネギとみじん切りのニンニク
レモン汁とオリーブオイルを掛けて食べます。

aba 046

なるほど!
これはオツなものです。

次に
これを炊き込みご飯にします。
aba 045

実山椒を少しだけ加えて炊き上げます。

aba 049

aba 050

なんとも旨いものです。

次はスモークしましょう。
今だから出来る低温での勳煙かけです。
こちらです。
時間を掛けてじっくりと仕上げました。

aba 057

まるでスモークサーモンのような味わいです。
これはサラダにでもサンドイッチにでも使えますね。


次に調子に乗って
メジマグロでトライです。
ご存知本マグロの幼魚。45cm程度の幼体。
この位なら食物連鎖の弊害も少ないので安心です。

aba 047

スライス、
カルパッチョ

aba 048


スモーク

aba 055

意外なほど臭みやイヤミがありません。
でもサワラに比べるとややクセがあり魚体が小さかったせいか
塩分も強く出ています。

この二つをピザにしてみました。

aba 056


なかなかいけます。

次にこの塩分を活かせる「お茶漬け」です。
軽く焼きほぐしてご飯に乗せ熱々の煎茶を注ぎます。

aba 053

これは旨い!
普通に食べる刺身などとは全く異なる風味です。
aba 052


メジマグロは本マグロの子とはいえあっさりとしていて
10cm単位で味が変わると言われ、成長とともに味が変化
します。
関東ではヨコワ、西ではシビ、シビコと
呼ばれ親しまれています。
幼魚では
『これがマグロなのか?』というほど淡白な味です。

ところがこうしてお茶漬けにすると
力強いどっしりとした旨味がほどけ出てくるのです。
栴檀は双葉よりかんばし
といったところですね。

子供といえどマグロの子はやっぱりマグロ
あなどれません。


塩魚

この手法はどの程度の魚種まで通じるのか
はたまた脂のある無しでどのような変化が起こるのか
それを追求することを今年一年の課題のひとつと致しましょう。






  本日のミニ丼
マヒマヒのポキ  200円

aaw 002



かつて日本が貧しかった頃、海外に移民した
方々がいらっしゃいます。
挫折して戻ってきた方も沢山いるそうですが
艱難辛苦の果てに成功を収めた人もおられます。

そんな人達が食べたくてどうしょうもないほど恋焦がれた
味が味噌と醤油です。
ほとんどの人達は自家製でまかなったそうです。

ブラジルでは小麦が入手できなくて仕方なしにトウモロコシ
と大豆でほんのりと甘い醤油を作ったそうで
これが今でもブラジルの醤油のスタンダードなのだとか。

ブラジル奥地に入植した人たちの元へキッコーマンの樽が
初陸揚げされる時の事を記した小説では
日本人が歓声をあげて涙を流したと書いてありました。

ハワイではさらに事情が異なります。
なにしろ周り中が海。
新鮮な魚がふんだんにあるのに醤油が無い。

これは魚好きな日本人にとって想像を絶する拷問です。
海を渡って醤油がやってきたときの歓喜は想像するだけ
でもさぞやと思われますよね。

これで刺身がたべられる!
寿司が食える!
煮物・・・・。

どんなに醤油が嬉しかったのか
日本人はそこでハワイでよく獲れるシイラでタタキ丼を
作りました。
柑橘果汁を醤油に加えればワサビは不要です。

そうしてそれは現地の人たちを巻き込んで
今ではハワイを代表するメニューとしてポキと呼ばれます。
ハワイの和食です。

日本のタタキ丼と異なる風味が日本移民の
流した汗と涙のスパイスと思えばまた格別の味わいです。

秋のシイラが上がり始めましたのでさっそくこれを
出しました。
マヒマヒとはハワイ語でシイラの事です。

aaw 006


シイラは日本では案外人気がありませんが、
海外では非常に好まれています。

富山で水揚げされたシイラはほとんどがロシアや
ヨーロッパへの加工用に輸出されるそうです。

そこの水産会社に中国人が働いているそうで
聞くと、シイラの頭を切断するのに硬くて大変だからと
出刃包丁をあてがってから金槌でガンガン叩くそうです。

何千円もする包丁がすぐにだめになってしまうと周囲は
困り果てているそうです。

アメリカのナマズがバーガーの白身魚に化けているように
日本のシイラもどんな料理に化けているのか興味のある
ところですがその第一歩が中国人の洗礼とは時代も変わったものですね。

海外では元気の出る魚としてシイラは大人気ですが
日本では案外と不人気なのにはいくつか理由があり
中には風評としか思えないものもありますが、
理に叶った理由というものもあります。

漁業や鮮魚関係者はそこの辺りを触れたがりませんが
誤解と無用のトラブルを無くす為にもキッチリと書いておきましょうか。

シイラはトップウオーターと呼ばれる水面近くを遊泳します。
捕食するのは小魚、貪欲なフイッシュイーターです。

では海面近くで小魚が群れる所はどこでしょうか?
海の中には潮流がいくつもあり、それらがお互い干渉しあい
かつ激しくぶつかりあい渦や潮目と呼ばれる境界を作り出します。

稚魚は激しい潮流の中では上手く泳げませんからこういう
潮目に棲むのです。
潮目には流れ藻やゴミくずが漂いますからそこの中などで
生息しているのです。

ヤガラもこういうところで”幼児虐待”をしている
と以前に書いたことがありますよね。
テリトリーは同様です。

ただ、ヤガラにはウロコはありませんがシイラには
細かなウロコがびっしりとついてます。
ここが問題なのです。

普通にさばいて三枚にして、そのまま刺身にするとまれに
中る(あたる)人がいるんですね。

ですからよく分ってる料理人はまず、
体表をタワシや金ダワシでガシガシと洗い流します。
ウロコの隙間に入っている汚れを落とすことが重要なのです。

次に三枚に下ろしてからはまな板をしっかりと洗うか
まな板を取り替える。

これだけで安心の食材になります。
大きな体を維持する為に魚を腹いっぱい食べて
これからが産卵の時期です。

白身なのに脂の乗った美味しいシイラをもっと賢く
大胆に活用したいものですね。

「なんでもっと工夫しないのか!?」と
ハワイに移り住んだ先人からお叱りを受けないよう
度々、マヒマヒのポキを作ってみましょう。

サラダ感覚でさっぱりと食べられる美味しい味わいですが
さらに幾通りか変化もつけられそうです。

こうして自分で仕事を増やし、課題が多すぎて困るなんて
潤沢な食材に囲まれているからこその贅沢な話ですね。

いつものことながら言わせていただきます。
いろんな人達が良い仕事を持ち寄ってくださるおかげで
こうして、まがりなりにも料理人の仕事をさせてもらえます。

私に出来る事はただ素直に美味しい物同士を組み合わせることだけ
そこに余計な雑味を付け加えることは
そんな人達に対する侮辱でもあると考えています。

余計なものを添加する必要は全く不要なのです。
今回はすだち醤油で合わさせて頂きました。
どうせ手を掛けるなら”より美味しく”でなければ
ウソですよね。

わざわざ不味くするために余計なひと手間をかけるなんて
馬鹿げていると思いませんか?

aaw 001
美味しい物を作れる事に
美味しい物をご提供して頂いた全ての人に合掌、感謝。




富山県魚津市では冬のカワハギを「寒ハギ」として
関西方面へ売り出そうとPRに努めています。
本カワよりも一段下に見られやすいウマズラですが
冬の時期は肝もたっぷりと肥大してとても美味しくなります。

本カワの養殖は聞いた事がありませんがウマヅラハギが
養殖されているのもこの美味しい肝が目当てなのだそうです。

身が柔らかいのが身上ですが冬は程よく締まってフグにも
負けない美味しさになっています。

肝は通常、上がったその日だけ生で食べることが出来ると
言われていますが
水氷で正しく手当されたものなら二日は大丈夫です。

新鮮なものは全く生臭みがなくとろりと口の中で溶けます。
またこれを包丁で叩き、ネギ生姜などを加えた肝醤油に
しても刺身のつけ醤油として絶大な旨味効果を発揮します。

鮮度に不安がある場合や日持ちをさせたい時には茹でて
保存するのが無難でしょう。

毎年この時期になるとカワハギの身を肝醤油に漬け込んだ
焼き物などを作ったりしていますが、
もっとこの肝をダイレクトに感じる料理は無いものかと
探していたら奄美大島に面白いレシピがありました。

エラブチと呼ばれるアオブダイの調理法です。

まず肝を焼きます。
アルミホイルに乗せて焼きました。

酢味噌を作り、そこへ肝を加えてすり潰します。

ucn 002 ucn 003 ucn 004

この肝味噌をつけて食べるというものです。
淡白な白身が濃厚な旨味と合わさって素晴らしい
一品になります。

ucn 005

次は和えて見ましょう。

ucn 006

これは凄い!
アサツキやフキノトウなどと和えてもいけそうで
これは美味しい一品です。

余った肝味噌をご飯に乗せてみましょう。(出たッ
ucn 008

ucn 010

これも旨いです!

カニ味噌にヒケをとりません。

この日はこれで終りましたので肝に塩を当てて翌日。
グラタンに仕立てました。

下にジャガイモを敷き塩コショウした上身
その上にボイルした肝を乗せ
ucp 007 ucp 011

ソースをかけてチーズとパン粉。
ucp 014

次はソテーをしました。
こちらは身にナガラモを貼り付けてあります。

ucp 013


どちらも美味しいですね。
ちょっぴり心配していましたが全く生臭くありません。
淡白な白身がどっしりとした旨味をまとって
別人になったような味わいで
しかもちっともしつこくありません。

大雪の疲れを吹き飛ばしてくれるような
冬のカワハギには旨味がたっぷり!
富山湾の恵みに感謝!


オショロコマをいただきました。
北海道にしか生息していないカラフトイワナの別名です。
腹が赤味を帯びた黄色でルビーのような斑点が特徴です。

毎度御馴染み永田さんからのおすそ分けです。
ucc 002


今では富山県でもイワナは貴重になり昼のミニ丼になど
使えませんが北海道でも絶滅が危惧されているというのに
気前よく送ってくださる釣り名人がいらっしゃるんですね。
ありがたい事です。

こんな貴重なイワナを一人でただ食べているだけじゃ
天罰が下りますので、お店でも出す事にしました。

イワナにはほんの少しクセがあります。
鮎とも微妙に違う川の香気のようなものです。

鮎飯では香りはほとんど飛び美味しそうな匂いしか
立ちませんが、イワナの場合は残るんですね。

好きな人は気になりませんが、やはりこれは殺した方が
無難でしょう。
それが「一般向き」というものです。
ラーメンもご飯も個性的過ぎると言うのは問題というもの。

ゴボウ、マイタケ、揚げなどをあしらいます。
昆布だしで炊き上げます。

ucc 007


とても美味しくなりました。
意外なほどお客様の反応も良く早くに完売となりました。
鮎飯もそうでしたが案外に魚飯は皆さんお好きなんでしょうか?

それならそれで取り組みは色々できるので
また考えましょう。

北海道と言えば
もう一種有名な魚がいます。
「イトウ」
です。
昔、摩周湖でアイヌ人が丸木舟を漕いでいたら
水面下に船と同じ大きさのイトウがいたという話は
有名です。
どんなに恐ろしかっただろうと想像するたびに
自然の雄大さと恐怖を感じずにはいられません。

イトウに限らず魚類は条件さえ整えばどれだけでも大きく
なるのだそうです。
先日はTVで10メートルものオールフィッシュという魚が
紹介されていました。

トップにリンクさせていただいたオショロコマも大きいですが
まだ丸木舟サイズまでは育ってませんよね。
もうそれほど大きいものはさすがな北海道と言えども
もう無理なんでしょうか?

北海道でさえ無理だということになったら
もう日本国内にはそんな夢のある巨魚はいないのでしょうか?

いえ
実は証拠はありませんが期待できるポイントは
まだまだあります。

ダム湖です。
それも釣りや立ちこみ、立ち入り禁止されている所。
富山で言えば黒部ダム湖のような場所です。

先日黒部ダム湖に行った際、係員に尋ねた所
「魚は確かに居る」と
証言をいただきました。
繰り返しになりますが、あそこは釣り禁止です。

日本最大のダムの
閉ざされた区域でどこにもいけない状況。
餌が豊富で生育に適した環境。
生息に関して特に顕著な捕食者がいない。

となると
イヤでも丸木舟サイズを想像してしまうのは
私だけでしょうか?
あの大きなダム湖にどれだけの巨魚がいるのだろうかと
想うだけでもなんだかワクワクしてしまいます。


黒部ダム写真館
こちらで地図上のポイントをクリックすれば美しい
写真が閲覧できます。

エメラルドグリーンの水面下の見えない魚を想像
してしまうのが邪(よこしま)に思えるほど幻想的で
清冽な景色ばかりです。

あぁ でも邪な奴とそしられても構いません

あそこで竿を出したらどんなイワナが釣れるんだろう?
それでイワナ飯を作ったら、
しかも現地で食べたらどんなに旨いんだろう?

と想像するだけで満足している
大酒飲みの冬眠中の釣り師です。



ucc 017

ハタハタは魚へんに雷と書きます。
日本海側では今の時期と春に上がりますが脂の乗った
冬が断然美味しくなります。

富山湾では冬に雷が鳴ると「ブリ起こし」と呼び
ブリがやってくると言い伝えられていますが、ハタハタも
やってくるのです。

そう思ってよくみると体表もなんだか雷模様です。
ハタハタの語源とされる一説に
雷がゴロゴロとなる音をあてた古語だとするものがあるくらい雷と縁が深い
魚です。

魚へんに神と書いてハタハタと読む事もあります。
これもまた雷に由来しています。

アイヌの人たちは人間にはなし得ない事を行なう生物を
慈しみ「○○カムイ」と神の御業として崇めました。
その、神の最大の賜りモノが鮭でした。

そういう意味では若干ハタハタの神という当て字ははまりませんが
やはり日本人に共通する自然への畏敬の念が感じられます。

欧米人のように自然を征服するというスタンスとは違う
自然を畏れ敬いありがたく感謝して恵みとしていただく
という姿勢は熾烈な自然の脅威と引き換えに
豊かな恵みを享受しつづけた結果
おのずとこの国に生きる人の心に芽生えたものなのでしょう。

鯨を捕る人たちは鯨塚を立てて供養をします。
鶏卵販売をなりわいとする人は塚を建立し供養をします。

同じようなことを昔からあらゆる業界で為されているのを見るにつけ
収奪略奪が前提のようになっている
欧米人の心情からは到底理解も到達も叶わない境地を
すでに私達日本人ははるかな古代から持っているのだな
と思わされます。

ハタハタにも感謝をするなら美味しく食べる努力も
惜しんではなりません。
富山湾のハタハタは残念な事に脂のノリがやや少ないのが
特徴です。
東北のものほど脂が乗っていません。

それは市場原理というバケモノによって明確に示されます。
価格が安いのです。
漁師さんは悔しがりますが私たちにとってはありがたい話です。

特にこれからは抱卵しますから
秋田の人達が泣いて喜ぶ「ブリコ」がふんだんに食べられます。
ただしこれは子供の頃からの馴染みがやや薄いので
完熟のブリコでは硬すぎてアゴが疲れます。

今の時期の未成熟のブリコがちょうど食べ頃ですね。
ucc 018 ucc 019


まず、そのまま握り寿司にして見ます。

ucc 021

旨いのですがこのままでは弱いですね。

脂のノリが弱い=味が薄く感じる

ならば
味を強くさせればいいだけの話です。

昆布じめにします。

ucc 020

それを酢洗いして押し寿司にします。

下半分のシャリに煮付けたブリコを混ぜます。

ucc 029

完熟卵では歯応えがありすぎますが今ならジャマをしません。

カットしてみました。

ucc 037

握りでは単調さを感じたものの
とも寿司にすると
しっかりと昆布の旨味を感じ、魚の味を引き立たせ
淡白な分を卵が補ってくれてハタハタを堪能できます。

全体ではずしりとした旨味の強い寿司に仕上がりました。
おぼろ昆布なども相性が良さそうですね。

ucc 036

吸い物はハタハタの骨と昆布でダシを取りました。

干物、塩焼き、煮付け、鍋にと日常的に御馴染みの魚ですが
こうして刺身、寿司などと生食にするとまた違った顔を
見せてくれます。

魚は面白いですね。
食べながら次は何にしつらえようかと
想いにはキリがありません。




アユカケという魚をいただきました。
アユカケ

カジカの一種だそうです。
ハゼ、ゴリなどとも近い種ですね。

旨いのはアユカケが一番で二番がゴリだと言われます。
ただし、漁獲量は絶賛激減中で
そうなると市場価格も激高騰中真っ盛り。
もはや川魚市場の崩壊寸前という様相なんだとか。

そんな中ここ富山ではまだアユカケも多少は獲れるそうです。

海のカジカもそのご面相からは想像出来ないほど旨いのと
同様、これも大変旨い魚です。

川は上から源流渓流、そして里を流れる清流で区別され、
清流の川魚は寄生虫が心配で刺身にしにくいのですが
有名なゴリ同様アユカケも刺身に出来ます。

その他、焼き物、揚げ物、煮物など
何にしつらえても旨い魚です。
なぜこんなに美味しいのかと聞くと

「鮎を食べているからだ」と  

鮎釣り師は語りますが真偽の程はどうあれ
草食の鮎よりは肉質はアンコウなどの肉食らしい感じの
締まった食感です。

アンコウは頭上のルアー竿で釣りをして獲物を捕食しますが
アユカケは頭上両端にある角で鮎を引っ掛けて捕食すると
言われます。
どちらも獰猛なハンターですね。

肉食魚

ハンター


この勇ましい魚の一番美味しい食べ方が骨酒だそうです。

骨酒に適した魚というのは沢山ありまして
海ではアイナメやキジハタ
川ではイワナが有名ですが、それこそ”好み”の問題ですから
思い入れの強い魚であれば何でも旨く感じるわけです。

ところがアユカケが最高と言われているには理由がありまして、

イワナなどで骨酒をやると酒が甘くなってしまうが
アユカケは甘くならないというのです。

酒飲みでなければ理解できない話でしょう。
『え?甘くなる方がいいんじゃないの?』
などと思われるかも知れませんね。

そこでさっそく試してみました。
甘いのが嫌いな大酒のみの私がやれば間違いありません。
アユカケを焼きます。

焼き上がりに合わせて熱燗の酒を注ぎます。

骨酒


しばらく置き、そのまま飲む と
塩気が混じった味がしますが
まださほどに変化は起こっていません。

キノコ酒なども今年はトライしましたが
キノコの風味の方がよほど飲み味を増幅させる気がします。

野趣あふれるキノコ酒


ほぐしつつ、つまみつつ飲みます。
ゆっくりと淡白でクセの無い白身と酒が混ざり合い
口の中で溶け合います。

つまむ 端麗にして強くそれでいてジャマせず

清流の魚ではありますが、
この枯淡としか言いようの無い味わいはなんでしょうか?

幽山渓谷のイワナとはまた違う端麗な味わい。
イワナは力強い風味
ヤマメは上品な脂を感じ
アユカケはその獰猛な肉からは想像のできないほど
淡白なくせにずしりとした飲み心地を与えてくれます。

なるほど、このさっぱりとした口当たりが
「甘くならない」という所以なんですね。
骨酒の旨味を実感できました。

もし、次に機会があれば
正式に塩焼きを食べ終えた後の骨だけを
炙りなおして熱燗を注いで試してみましょう。

米、酒、海山の恵み
それらを組み合わせることによってどれだけでも
美味しくなってくれます。
ありがたきかな大地の恵み。
豊穣の水の賜物。

今夜も少し飲みすぎのようです。









2011.10.21 アオリイカ
ようやくアオリイカのシーズンに入りました。
今年は例年に無く遅いインです。
通常は9,10月がアオリイカ
10,11月がヤリイカでしたが少しづつずれてきているようですね。

温暖化の影響でしょうか。
魚屋さんに並ぶのは定置網で獲れたものですが
これは釣りで狙える獲物です。

釣り方はウキ釣り、ルアー、などがあります。

ウキ釣りでは小鯵を釣り鮎のように鼻カンを通すか
針を背がけにしてイカ針をつけてウキ仕掛けを流す方法です。
アタリは明確です。
ウキがズボッと没しますのでグイッとあわせます。

ルアーには昔ながらの桐材で作った餌木(エギ)
と呼ばれるものと最近の流行のものと混在しています。
桐材のものは白と黄色に塗り分けられていますが
最近のエギはとてもカラフルで形状も多彩です。

釣り方は遠投してアクションをつけながら巻き取るというものです。
これもアタリは明瞭に出ます。
ゴツッときてまるで鯛のようにグイグイと引くのです。

とても面白い釣りでルアーにはまった若い世代が
特に多い人気の釣りとなりました。
エギングという言葉もすっかり定着したようですね。

昔の餌木は1,000円以上してヘタをすると一回投げただけで
根がかりで失くしてしまうと大損害だったりと
いわゆる
お金持ちしかトライできないジャンルだ などと
言われたものですが今は昔の感があります。
最近はデフレエギなどという100円くらいのものから
あるそうです。(笑)

これはその頃お金が無かったので自作していた名残です。
完成品は皆配ってしまって残っていませんが
形状だけはお伝えできるでしょうか?

ubs 005
ubs 007

結構釣れたんですよ。

上の二本は市販品のエギです。
こちらはウワサのデフレエギ

ubs 006


餌木釣りというのは一定のコツというか要領があり、
それを判れば投げ釣りさえ出来るなら誰でも簡単に
出来るのですが、途中で投げ出す人の多いのも特徴です。
一般的なルアーフィッシングよりヒットの確率はかなり高いでしょう。

最近ではプロの漁師さんでもルアーを使う人が出てきていると聞きます。
手返しが早い分だけ短時間で上げれるのです。

ubm 025

店頭に並ばぬ前、一足先にお客様が持ち込まれました。
釣り立てのイカは透明です。
生きている時には模様がキラキラと動きますが〆てありますから流石にそれはありませんが

まだ身は活きていますからこうしてこするとサッと色が出て消えます。

ubm 030
ubm 032
ubm 035 ubm 036


網で上がったものはイカ墨で真っ黒になっていますが
これはキレイですね。
バケツの中で充分墨を吐かせて後急所を突いて活〆を
施したそうです。
ここの目の間が急所です。

ubm 037

これを怠ると顔や体に墨を吐きかけられるという
漫画のような事が実際に起きます。
私もモロに掛けられたことがあります。
本当に黒人になれます。

こちらは
おかげでさばいても墨がほとんど無くきれいな仕事ができました。
干物と昆布じめにしてお返しをします。
これから順次定置網にも入ってくるでしょう。
忙しい冬の大漁時期に入ります。

せっせと包丁を研いでおきましょう。
仕入れと持ち込みのWで出番があります。


知る人ぞ知る福井県特産「へしこサバ」
福井県の言葉で「へしこむ」とは強く押し込むという意味だそうです。
つまり強押ししてヌカに漬け込んだサバです。
「福井大好き」さんのブログです。
こちらでは有名な加藤水産さんが紹介されています。


私は随分昔にこれにはまりまして富山でも買えないものかと
探し回りました。
が、ありませんでした。

そこで市場の場外の塩乾屋さんにこれを常備してくれるよう
説得工作を始めたのです。

こういう専門店というのは今やすっかり堕落しており
馴染んだ品、利幅の大きいものしか扱いたがりません。
しかも、世の中不景気とくればより安い物へと
果てしなく劣化し続けているのが現状です。

だから益々客足が遠のくという(離れ)バナレスパイラル
に陥っているのです。
専門店とは名ばかりに成り果てようとしています。

ここに限らない話ですが
専門店こそ拠って立つ所をもう一度真摯に見つめなおして
頂きたいと切に願うものです。


この福井県、加藤水産のものは他県産より若干高めです。
その代わり、これを仕入れたお店は必ず固定客を得ます。
なぜならこれを喜ぶ客は必ず再訪するからです。
それほど根強いファンがいるんです。

だからそんなお店の店主が仕入れにやって来る市場にこそ
これを置いてもらいたいのです。
そこの問屋さんと、仕入れに来るお店とそして私のために。

3年かかりました。

人を説得して動かすと言う事は難しいものですね。
そしてその後も順調に商品が動いているようです。
やはり私の思ったとおりの様子で一安心です。
今では定番商品として定着した様子です。

かなり塩気のきついシロモノですが特に夏場になると
無性に食べたくなります。

もうそろそろ責任感で買う事から解放されてもいい頃だろうと
一昨冬から自作を始めてみました。

一年目はいまいちでした。
二年目には色々と工夫して
ようやく出来上がりました!

こちらです。
ubi 002 ubi 003 ubi 004

まだ水切りが充分ではありませんが、なかなかいい感じです。

米ぬかを洗い流し、薄く切り酢につけて食べます。
熱いご飯が合います。
ubi 005 ubi 006

う~んなんか一味足りないですね。

今度は焼いて見ます。

ubi 007

おぉ!これは素晴らしい!

やはり、日本近海のサバは脂が美味い!
ノルウェーのサバとは種が違います。
脂がたっぷり乗っているのに少しもしつこくありません。

ubi 008


熱いご飯に乗せてバッチリの出来でした。
日本海の寒サバのへしこサバ。

ubi 010

う~ん困った
ただでさえ忙しい冬の仕込がまたまたひとつ増えてしまいました。