作家の九十九 森氏は

「マダイは周年美味と言われ一年を通じて味が落ちないと言われている
しかし、現実には産卵期である4~6月及びその直後には身が
やせ細り味が落ちる。

この時期のマダイを俗に”ムギワラダイ”と呼んでいる。

マダイが最も旨いとされるのは冬から早春にかけてで特に
産卵期前の桜の時期は産卵に備えて脂を蓄えるために一年で
最も旨いと言われている。

この時期のマダイを”サクラダイ”と呼ぶ」

と記しておいでです。

確かに冬の間に栄養を蓄えたタイは脂が乗ってしっとりと
美味しくなり、生でもいいんですが
焼くとさらに良い香りがしジューシーな旨みが楽しめます。

今回はこれで「鯛味噌」を作りました。
巷には瓶詰で流通していますが、手作りのこれは全くの別物。

おそらく、小骨の混入を嫌う為だと思われますが
市販品は身肉を限りなく小さくカット(たぶん、すり身状)して
あるため味噌と一体化しすぎてしまい
何を食べているのか分からない!?  となっています。

それに加えてここでも毎度おなじみ砂糖の入れ過ぎで
ただただ甘ったるい砂糖味噌の味しかしないのです。

私の作る鯛味噌は焼くと一番美味しいとされる30cm前後の
サクラダイを用います。

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あまり小さいと旨みが足りないのと小骨が除去しにくいからです。

そのくらいの大きさだと美味しい頬肉も採れます。
旬のタイは身離れも良くポコッとむしることが出来、
それを粗めの大きさにほぐして味噌と混ぜ込みます。

味噌には水あめだけで甘味を付けてありますからくどくありません。

これを熱々のご飯に乗せて食べるともうそれだけで至福の
美味しさ。
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焼きたての時の美味しさがそのまま蘇ります。

これぞ鯛味噌といった風情なのですが、それだけで終わりじゃありません。
お茶碗にご飯を若干少なめに盛り、鯛味噌を乗せ
熱い煎茶を回しかけます。
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お好みでワサビを乗せて掻き込みます。
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鯛味噌茶漬けです。
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1パック 300円で販売いたします。


    
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2014.10.26 鮎雑炊
雑炊は元々少ない米を増やすため
つまり増量目的だったとも言われています。
とすれば

増量炊飯→増炊→雑炊

こんな流れでしょうか?
雑の文字が当てられるようになったのは種種雑多なもので
行われたからでしょうね。

現代はコメ余りと言う長い日本の歴史の中では想像すら叶わなかった
恐ろしい事態が当たり前になっています。

でもこんなことは絶対長続きはしません。
貧富の格差が広がるにつれ
必ず深刻な食糧危機が世界規模で起こるに違いなく

その時には産業空洞化してしまった日本でも
決して他人事では済まなくなっているでしょう。

でも語りたいことには際限がありませんが
それはさておき

どうせ作るなら豪華に作りお米のありがたさを堪能したいものです。
せっかく生産者がご苦労をして育ててくれたお米です。
目いっぱい美味しく食べることが恩返しです。

と言いつつ
炊き立ての新米を水で洗いぬめりを落とします。

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雑炊はサラリと仕上げるのが美味しい食べ方だからです。
いつまでもくつくつと煮込んではおじやのように粘りだらけのものになります
モノにもよりますが
雑炊とおじやはこういう仕上げかたの違いがあるのです。

ダシを沸かして酒、塩で味を整え
洗ったご飯を入れ、焼いた鮎を入れてさっと煮たてます。
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今の時期は卵を持っていますのでそれに味を浸透させるため
二つに割ります。

溶き卵を回しいれて半熟になった頃に火を止めて

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器に盛ります。
九条ネギを散らして完成。
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天然鮎独特の西瓜のような香りは飛んでしまいます。
でもそれを補えるほどの優しい旨みが味わえます。

なるほど
古来から食通が珍重した優しくも力強い
香ばしくも、たおやかな味わいとはこれだったのか!

という愉悦が確かに小さな丼に詰まっていました。
2013.07.03 漬物の力
何年前になるでしょうか、
超有名古都の大きな商店街に行った時の事です。
延々と続く商店街には大きな漬物屋さんがずらりと軒を連ねています。

ここでは地元の○野菜を使った美味しい漬物が名物のひとつなのです。

その何キロもある商店街の端から端まで全部のお店!
ものの見事に化学調味料、アミノ酸等 と表示されたものばかり!!

かの、ホンダが町工場の規模だった頃から創業者の
本田宗一郎氏がリンゴ箱の上に立ち朝礼の訓示で
「世界を目指そう!」と言っていたのは有名な話です。

テクノロジーなら世界共通です。
事実その後ホンダは世界を駆ける大企業に成長しました。

でも、漬物は米食の日本人にとっては欠かせないものですが
漬物の販路を限りなく拡大させて世界を制覇するつもりでもあったんでしょうか?
漬物会社は安直にアミノ酸防腐剤混入の道をたどってしまいました。

世界にはほぼ無添加のピクルスを製造販売しているところがゴマンとあります。
添加物まみれの日本産がそんな世界で通用するとはとても思えませんよね。


正しく作られた漬物には力があります。
塩分があるとはいっても良い塩で漬ければミネラルの
吸収を増幅さえしてくれるのです。

非加熱の野菜にはビタミンも壊れずに残っています。

それを防腐剤やアミノ酸をたっぷりとまぶしておきながら
「お漬物は体にいいんです」
などと言っても誰も耳を貸しません。


漬物の力を認識するのは油っこい食事の後です。
口中の油脂を洗い流してくれるのです。
ところが、ラーメン店では漬物を出す所が少ないとみえて
ご飯と一緒に漬物を出すと驚かれる事も珍しくありません。

所変わって
鹿児島県では最初からテーブルの上に大皿で漬物が山盛りに
置いてあり食前食後好きなときにつまめるようになって
いるのが定番です。
しかもたいてい自家製で無添加です。

これは実際に食べてみて驚きました。
ついでに言うと
お茶の巨大産地を抱えていますからお茶も良質なのを
出してくれます。

原価もそれなりにかかるはずですが
まず、第一にお客様をこころよく迎え
美味しく食べて喜んでもらいたいという「店」の本質を
守っているが為だと思われます。

正しく作られた食べ物には全て力がありますが、
漬物の力について語ろうとすれば高菜の例が最適でしょう。

ここ数年鹿児島の親戚から生の高菜が送られてきて私が
漬け込みます。
出来あがった高菜漬けは私は普通に美味しく食べるだけですが
こと九州人はどうも様子が違います。

家内はお母さんが生前元気だった頃漬け樽に高菜を
全身を使って『ギュッギュッ』と押し込んで作っていたと
その様、その音を食べるたびに語って聞かせるのです。

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大阪に住む義姉に送るとやはり
『お母さんがよく漬けていたよね』
と思い出して電話を掛けてきたそうです。

また長崎出身のSさんは母親の作ってくれた味を思い出して
かすかに涙ぐみました。

この誰もが子供の頃から食べなれた高菜を懐かしんだのは
当然なのですが、
では今まで一切高菜が食べられなかったと言うわけじゃ
無いんですね。

高菜が好きだから今までにも何度も市販のものを購入して
食べているんです。

でもそれには記憶は反応してこなかった
今、唐突に記憶のスイッチが入った
そして当の自分でもそれと気づかずに語りだしている
というわけです。

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当時の家庭の母親達が作ったであろう
同じ味が脳の記憶回路を瞬時に繋げたのです。
塩と唐辛子だけで美味しく漬け上がるのに
わざわざ化学調味料や防腐剤を入れる親はいません。

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今までに何度も書いていますが
何度でも書きましょう。

日本のご飯はそれだけで”甘い”のです。

甘味があって美味しいご飯を日本人は希求した結果
表現が適切かどうかはさておき
言うならば”甘すぎる”所にまで到達しているのかも
知れません。

ですから若い頃はいざ知らず中年を過ぎる頃から
山菜や、味噌汁、そして漬物がやたら美味しく感じるように
なるといった一面があるものと思われます。

グルメで知られた老俳優がTVで炊き立ての白ご飯に
生醤油をかけただけのものが一番の美味なんだよ  と
差し出し、
それを食べた若い局アナがとまどっていた事がありますが
究極に厳選されたであろうその米の甘味と上質な醤油の味が
解らなかった為でしょう。

加齢に伴って
「ご飯とお漬物があれば何も要らない」
となりがちなのを栄養不足になる良くない食事だと
非難ばかりしないでこういう側面から見ることもまた
理解をふかめることにつながります。

漬物の力はまだまだ書き続けます。
日本人はお米で生かされてきましたが
その一番の仲良しは肉でも魚でもなくそれぞれの
家庭の母親が漬け込む漬物だったのです。

昔、肉や魚がたっぷり食べられなかった奥山などの地域では
過酷な山仕事で激しく体力を消耗するため
それこそ一升飯を食べるような生活をしていて
皆胃拡張ぎみだったと当時の無医村を訪れた医師がしたためています。

今、そんな食生活をする人はいないでしょうから
当時のような塩辛い漬物は姿を消しました。

現代に求められているものは
ご飯を沢山食べるために必要だった塩辛さではなく
ご飯の甘さをさらりと洗い流してくれる自然な漬物なのです。

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決してそれは油の掛かったサラダや、うすら甘い既製品の
漬物のなりすましでは代替できません。

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2011.10.20 宗田ガツオ
富山湾には多彩な魚種が入ってきますが
本ガツオは獲れません。
代わりに小型の宗田ガツオが大量に上がります。
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これで30cmほどの成魚です。
日本海側ではこれから大量に上がり安い魚です。

昔は母がこれでカツオ節を作りました。
三枚におろして蒸し、紙にくるんでワラで吊るすのです。
中骨のついたままの乱暴な「亀節」の出来上がり。
身の付いた背骨は煮て鶏に食べさせます。

正月の雑煮はこの亀節でダシを引きました。
ですから今でも宗田ガツオを見るとつい買ってしまいます。

ところが、まれに中る(あたる)事があるのです。

これはカツオの体内で作られるヒスタミンが原因なのです
これを増やさせない為にはとにかく氷を大量に当てて
体温を上昇させない事が重要なのですが、
中には
『どうせ安値しかつかないから』と
氷代を惜しむ人がいて
そういう人の扱ったものがバッキューンと命中するのです。

それを知らない頃
一度だけ家内がやられました。
それから二度と食べてくれません。
残念な事です。

いつも言う
「正しく処理された魚」というのが
なかなか入手しにくい環境だったと言うわけですね。

病院の先生ですら
「カツオは生で食べちゃいけないんだ」
などと言うそうです。

そんな事はありませんよ!
正しく処理さえすれば今の時期トロにも負けない
美味しさを持つ素晴らしい魚です。

そんな美味しさを判ってもらいたい  
という漁師さんがいて、この人は大量に氷を積んで漁場に
出ます。
氷代だって高いのにありがたいことですよね。

今はそのカツオだけを仕入れます。

買ってきたらすぐにさばきます。

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こちらはシーチキン用に塩を当てたものですが
脂の乗りがお判り頂けると思います。

手こね寿司を作ります。
銀皮をつけたままの刺身を酒、醤油などのタレに漬け
生姜、青紫蘇、ゴマと寿司飯に混ぜ込みます。

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血合いはしっかりと除去します。

美味しい寿司になってくれました。

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この手こね寿司というのは漁師さんが船の上でやり始めた
ものだと言います。
漁船は朝に出港して夕に帰港するものとばかり考えていると理解が出来なくなります。
『なぜわざわざ不便な船の上でそんな面倒なことを?』
と思うそうですね。

遠洋漁業は船で何日も過ごします。
サケマス船ならサケやマスを、または筋子を
カツオ漁船ならそれこそおかずは毎日カツオなのです。

おかずを変えられないならせめてご飯の方に変化を求めた
とすれば
誠に切実なメニューだっだのだなと切ないくらいに理解が
できますね。

そんな漁師さんの苦労を想いつつ
もうひとつ
カツオ飯です。

こちらも同じくタレにまぶした切り身を用意し、

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鍋を火にかけます。

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沸いたらフタを取りあわただしく上に乗せます。

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これもたっぷりの生姜が決めてです。

炊き上がりがこちら。

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カツオのなまり節というのがあり
柔らかいカツオ節の事ですが、実は私は苦手なんです。
味が付いていないから逆に生臭みを感じてしまうんです。

この炊き込みご飯は全く生臭くありません。
しっかりと下味さえ決めればこんなにも旨くなります。
滋味深いどっしりとした旨味です。

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私の食べる様子をうかがっていた家内も
思わず手が伸びました。
この人が宗田ガツオを食べるのは何年ぶりでしょうか!
美味しい!と食べてくれました。

宗田カツオの旨さを届けたい  という
漁師さんの願いをしっかりと受け止め
美味しさを引き出したいと思い作りました。



「裏切りのカツ丼」とか「裏切りの親子丼」 などといった言葉を聞いた事はありませんか?

無難な存在としてうっかり注文し、酷いものを出されてしまった という時や、
また、

『よし!今日はご褒美だ!』

などと張り切って食べようとした時に出てきたものが甚だしく期待を萎えさせるようなシロモノだったときなどにうめき声とともにいつまでも語られます。

言うまでも無く丼モノの定番、王道中の王様 キングのような存在の彼らに一体何が、、?

何故にこのような事態が起こりえるのか飲食店主として推察してみましょう。

①の被告 「裏切りのカツ丼」

症状と原因の診断 対策
 A,異臭、硬い、__一番多いのがこれです。
              訴えの70%以上がこれだという説もあります。
                               (ホントかよ  がふっ
       原因としては揚げ置き
       さらにはそれを冷蔵庫または冷凍庫に戻すの繰り返しによる酸化
       冷蔵庫(冷凍)内の匂い吸着、肉の萎縮、
       再加熱時の不手際による萎縮、異臭の凝縮などが考えられます。

このような裏切りを平然と行うところでは低原価を優先しますので国産豚肉では無く米国産などを使用しているケースが多く、肉質自体も異臭の原因となります。
横着な養殖施設では飼料に抗生物質を大量に使用し、それが肉の匂いを悪くしています。

十分に火が通っているのに生ぐさい、嫌な臭いがする  のはこの肉原因です。

対策)  店主に告げる。
      行かない、あるいは頻繁に行く。
      頼む。抗議する。
   
      ある方は店主を呼びつけて「食ってみろ」と告げました。
      さすがにこれは普通の人には無理でしょうね。
回復の手段)
      これは店主にしか出来ません。
      注文が入ってから揚げたてで行う事でほぼクリアできるはずです。

B,衣ばかりだった。
  カツが少なかった

      これも古典的裏切り技ですが残念ながら救いようはありません。
      見放すしかありません。
C,匂いが悪い
      これが結構重要ポイントだったりします。
      病院食のようなものが出てくるときもありますね。

      これは卵が主原因です。
      もう少し良い卵を使うように進言しましょう。

      ただこういう所ではえてして卵の量も少ないという合わせ技を繰り出してくることも多く
      そんな了見の店主には進言は無効であるばかりか逆恨みされますから要注意です。
      
②の被告 「裏切りの親子丼」

A、異臭、硬い___ほぼこれに尽きます。
       
      原因が全てを物語ります。
      鶏肉は一日で消費しなさいというくらい足が速いのです。
      
      下処理をしない生肉のまま冷蔵庫で何日も放置した肉で調理
      冷凍、解凍の繰り返しによる劣化
      安物の、しかもブロイラー、しかも廉価輸入冷凍肉
      
      良くない卵使用

その他の症例は書く必要すら認めません。
原因なども見なくとも もうお解かりですね。

本来はご馳走だったんです。 

それが現実ではどんどん威信低下してしまっています。
ひとえに愛と感謝の少なさによるものと言えます、。

そこで、お店になんか行かなくったって家で出来るおいしい親子丼をご紹介しましょう。

乞うご期待です。
以下次号

  
     石焼ビビンバ風なチャーハンはこちらからどうぞ