2016.06.29 ススタケー4
ヨシナの時に水の話につなげて書きました。
ススタケもそれと同じです。
例えば山の中の道があって下側にススタケ林が続いていたとします。

道端では細い親竹しか無いとしても
(親が細いとタケノコも細い)
ずんずん下っていくと親も子も太いのに出会えます。

これなど、
まさに水と共に養分も下りていきその濃度に比例するがごとく
と言えるでしょう。

でも、
今年入った山などがその反例になるでしょうか?
上に行けば行くほど太い立派なものがある。
そんなポイントもあるのです。

水気の少くなる頂上付近が最も太い  
これは普通はあり得ない事です。

なぜこんな事が起こるのでしょうか?

それは
日中の街の熱気が上昇気流と共に夜、山に駆け上がり
夜中に露となって降り注ぐからだと言われています。

そんなポイントでは早朝に行くと雨も降らなかったはずなのに
服がびっしょり濡れてしまうほど水滴だらけです。
ところが9時ごろに入るともうすっかり乾いてそんな形跡など
見て取れません。

ほんの僅かな微風が吹いただけでたちまち蒸散してしまうからです。

山自体の滋味ということももちろんあるでしょう。
その形状、土質、様々な因子が絡むことはもちろんあるでしょう。

でも幾千万の命を育む根本は「水」なのです。

ある山の頂でオオバギボウシを摘んだ時の事です。
雪解けをとうに過ぎた頃なのに切り口からボタボタと水が
滴り落ちるのです。

ここのは今までどこで摘んだものより美味しいギボウシでした。

沢に流れる水
渓流を音立てて下る水
清流をゆったり流れる水
田畑を潤す用水

大地を潤す雨
真っ白に覆い尽くす雪

激しく暴れる海

そんな見る事のできる水のほかにも
静かに、しかし雄大な時間をかけてひっそりと流れ続ける
地下水があり、
ふわりと漂うがごとくに山を潤す水蒸気があるのです。

私たち人間もまたそんな大地を流れる血液のような
水で生かされているちっぽけな命のひとつに過ぎません。

素晴らしきかな大地の豊穣。
美しき水の滋味深さ

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今年はそんな熊が食べに来る所で美味しいススタケを
さんざ採ってきて今頃幸せを噛み締めています。
確かに甘いように感じます。
来年は生でかじってみようかと思います。

とりあえず、
瓶詰で保存しましたからこれは期間限定メニューに使いましょう。

こんな素敵な街に住める幸せを誇りたい気持ちです。








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2016.06.27 ススタケー3
私は能登生まれですが能登にはススタケはありません。
富山県もほぼ南限に近いそうでして、やや高い所に行かないと
出ていません。

でも先述したとおり東北や北海道では平地近くでも
道の傍でも在ると言います。

石川j県では白山にあるそうで、とんでもなく遅い時期に出るものもあるそうです。

山菜の世界は奥深いものです。

富山県に来たばかりの頃
白状するとススタケのどこが旨いのかさっぱり解りませんでした。

節が硬くて何が良くて皆がそれ程夢中になるのか理解不能でした。
でも、今はどっぷりとはまっています。

中国料理店をしているころは輸入の真空パックされた
細竹などを使う事もありました。
今はそんな忌まわしい記憶を消し去りたいほどです。

輸入物は柔らかいだけで味が無く風味も香りも無く
おまけに一番大切なあの歯切れの良いクキクキとした
食感が絶無です。

地物のススタケは歯切れの良い食感と風味が最高です。

でも、先に述べた「熊は美味しくないから食べない」所の
ススタケがどうして人間には美味しいのか?  というと
熊は生のまま皮をむいて食べます。

が、
ほとんどの人は生では食べません。
本によると採りたてを生のまま食べるのが一番美味しいと
ありますが、そんな事をやってる暇など無いのが実情です。

一度だけ試しにかじってみましたがさほどには感じませんでした。

でも子供の頃から慣れ親しんでいる人には
その微妙な味の違いが判るんでしょうね。

普通は皮付きのまま焼いて、皮をむき
1、味噌をつけて食べる
2、マヨネーズをつけて食べる

茹でて皮をむき
煮物にする

或いは生のまま皮をむき
天ぷらにする

といったところが一般的ですが、
今年はススタケの美味しい食べ方をひとつ教わりました。

生のまま皮をむき
包丁で叩いて軽く潰してぶつ切りにしたもので
味噌汁にする

というものです。
これは家内が大いに気に入りました。

家内の実家の庭には真竹のようなタケノコが出るそうで
春には生タケノコの味噌汁をいつも食べていたそうです。
馴染みがあったんでしょう。

さて、
ではタケノコの味と聞かれてどう答えますか?
孟宗竹なら
エグ味が在るか無しかで答えるのが普通じゃないでしょうか?

孟宗竹は通説では赤土に出るのがエグ味が少ない
と言われます。
実際、
黒土から出るのは大概エグ味の強いものが多いようです。

でも、ススタケも孟宗竹も土は確かに影響するでしょうが
それを育てる根本は水です。

どんな水がそこに流れ込んでいるのかが最大要因と言えます。
私は一か所だけ美味しい孟宗竹の採れるところを知っていますが
本当に美味しい孟宗竹には甘味があるのです。

私たちの目に見える水と言えば川や池、雨などしかありません。
でも目に見えない水もまた多分に「味」に影響を及ぼしているのです。

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2016.06.26 ススタケー2
ススタケと言えば全国的には煤竹(すすだけ)の事を
指すことが多いようです。

これは昔、
藁ぶき屋根の天井裏に細竹を敷きならべたのが
長年の囲炉裏の煙にいぶされて煤けた竹のことです。

まるで燻製のように黒ずんだ竹は趣味人、通人の
間では茶室などに好んで用いられました。

そういう人達のために竹材として調達する業者さんが
いるのです。

でも今はそんな古民家などほとんど存在しません。
考えてもみてください。
朝起きたら囲炉裏に火をくべる事から一日が始まりますが
その度に家の中じゅうに煙が充満する生活です。

家具も、衣類も、生活用具や持ち物全てが煤竹のように
色づき、匂いが移る生活を・・。

観光でそんな古民家で囲炉裏に掛けた鍋から
美味しいものを食べに行くのなら楽しいでしょうが
普通は耐えられないでしょうね。

もっとも、今じゃ残存している古民家であっても
囲炉裏に直接火を炊くことはしないで、
ガスで炭火を熾して囲炉裏にくべると言う位でしょうか?
でもそれじゃ天井裏の竹は煤竹にはなりませんね。

今は染色した煤竹が普通に流通しているそうです。
縄目模様のものまであります。
元々は藁ぶき屋根の天井に縄で止められていた事で
着いた模様だったものでしょう。

では
材はどこから調達してくるんでしょうか?

それについて道のある限りどこまでも奥山に入るという
Yさんが面白い話をしてくれました。

森林組合だか営林署だかの小屋があるところで見たそうです。
ドラム缶を縦割りにし溶接で繋げて長い風呂状態にして
そこで竹を茹でて曲がりを伸ばしたものを
小屋の横に沢山立てかけてあったというのです。

なるほどと思いました。
ネマガリタケという位ですからそのままでは材には
なりません。
茹でて伸ばすことで材となっている訳ですね。

でも太さや長さをそろえるのも結構大変そうですが
良い値段になるんでしょうね。

でも、
Yさんが語るには
地面ギリギリのところでスパッと切ってあるのですから
非常に危険で怖かったそうです。

このネマガリタケは雪に押し倒されるという為かどうか
地面に水平くらいで発生するんです。
それから急に立ち上がります。

孟宗竹のように素直に垂直方向に伸びるのとは全く異なる
出方をします。
ですから
その切り口たるや氷を掴む鋭いフック状の爪のような
或いは、切り出しナイフのようになっていたのでしょう。

まるで
イノシシの落とし罠の底に竹槍が待ち構えているような
図でしょうか?

近寄りたくはないですね。

ススタケと私達が呼ぶことと煤竹との因果関係は
まだ解りませんがいずれどなたかのご教示を仰げると
思います。




2016.06.24 ススタケ
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富山県ではススタケと呼びます。
北海道などではチシマザサ
全国的にはネマガリタケと呼ぶそうですが、
緯度が高くなると孟宗竹が無いそうで東北以北では
単に「タケノコ」としか呼ばないようです。

熊の大好物です。
今世情を騒がせている熊被害のほとんどがこのタケノコ採り
での遭遇事件です。

TVであの被害現場のレポートを見ていると立ち入り禁止の
柵の前に車が止まっていて奥からおばあさんが荷を背負って
歩いてきます。
レポーター 「お母さん何採ってきたの?」 と聞くと
おばあさん 「タケノコ採ってきたの」   とリュックを降ろし

中を見せてくれました
ずっしりと重そうなその中には「ススタケ」が一杯で
レポーターも思わず「わぁ沢山あるね~  ♪」  と
何故か嬉しそうな声を上げるのです。

富山にもススタケのポイントは沢山あり
それぞれ自称名人からプロまで老若男女入り乱れて
それぞれとっておきの「アド」に入ります。
注釈:アド:自分だけの秘密のポイント

聞いた話ですが
○○カンムリ山と言う山があり、そこの頂上は
緩いカーブを描いたような平坦な頂なのだそうです。
そこにススタケのポイントが広く広がっているというのです。

で、当然ですが
止せばいいのに人が入り込みます。
ススタケは出る時期には一斉に出ます。
竹藪が広いと身の回り一杯に在る訳です。

夢中になって採ります。
誰でもそうなります。
密集した竹に足を取られ、行く手を阻まれても
その先に在る美味しそうな太いタケノコに腹ばいになって
手を伸ばして採ります。

おっとその横にも出ています。
おや今通ってきたはずの所にも太いのが・・・
と夢中になっていると迷子になっているのです。

これが道路から降りた所とか道路から上に登ったところ
だったら無問題なのです。
平坦で地形に変化の乏しい所という事が大問題なのです。

私も経験があります、どんなに解っているはずの場所でも
子供の頃からさんざん通っている場所なのに
道から入ってすぐの場所なのに
キノコ採りで夢中になってグルグル回っていたら出られなく
なってしまったという経験が・・。

先の山には数日間戻ってこなくなった
と言う事件が頻発しているそうです。

でも熊に襲われたと言う話にはならないそうです。
何故でしょうか?

それについては今年面白い話が聞けたので参考になります。

KAというここも広い竹藪ポイントがあります。
うっかり詳細に場所を書き、万一事故などが起こったら
大変なのでこういう表示でしか書けないことをご容赦ください。

家内もススタケ採りが大好きなのですがここには
行きたがらないのです。
理由は
「あれだけ広くてタケノコが沢山在る所は熊が出そう」
だからです。

今年、地元の方にそこの面白い話が聞けました。
「な~ん 」      (いや) 
「あこにゃ熊出んが」(あそこには熊はいないから出てこない)

へ?!
とその理由を聞いて感心しました。
つまりそこのススタケは美味しくないから熊は食べない
だから熊に遭遇することは無い。

川向こうの山のススタケは美味しいから熊も地元の人も
そちらに採りに入る
だからしょっちゅう遭遇事案が起こっている。

というのです。
老夫婦二人で入ったところ
隣でガサゴソ音がするのでおじいちゃんかと思って
声を掛けたら熊だった、
ビックリして腰が抜けた  と言うような話がざらにある
そうです。

なぜこちらのススタケが美味しくてもう一方のは美味しくない
のかと考えると「ミズ」でも書いた「水」が関係してくるのでしょう。
山の頂付近は地下水が豊かでなく
裾の方が滋味深いとも考えられるからです。

でも今年入った山では全く異なることもありうると
またひとつ学びました。


ススタケの話はキリがないくらいありますが今回は
この位にしておきましょう。





2016.06.22 ユキザサ
ユキザサは美味しいのですが滅多に太いものに出会えません。
萌芽の時はオオナルコユリ、その他とよく似ていますが、
花芽を持つと全く違うという事がよく判ります。

ですから10cmくらいに伸びたこの手の物を採ったら
先端の葉を分けて花芽がどうついているのかを確認する
必要があります。

何度も書きますが
毒草のホウチャクソウは枝分かれしていますから
よく判ります。
絶対食べてはなりません。
_______________

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これくらいまでが食用となりますが
成長とともに特徴がよく出て判りやすくなります。
全体に色が濃く、葉が丸みを帯びてきています。

私はせいぜい1,000mクラスまでの山にしか行きませんから
この鉛筆程度の太さぐらいまでしか採れません。

でも健脚のTAさんは2,000mクラスの山がメインの人で
根元周りが一円玉ほどもある太いのを採ってこられます。

驚くとともに富山の大自然の滋味深さ、懐の大きさ
をつくづく痛感させられる思いです。

これも天ざるでお出ししました。

ちなみに、オオナルコユリやシオデ、ユキザサなどは
前回誰も知らないと書きましたがそれはあくまで
マーケットとして不成立だという意味合いで述べた事です。

知っている個人は沢山いるでしょうし、見つければ採取もするでしょう。
ある居酒屋さんの店主さんはご自分で採ってきたそれらの山菜
をお店で出しておられます。

私もそういった一人です。
でも
高級料亭が姿を消しつつある現代では

そんな高級山菜を専門に採る人がいなくなり
扱う問屋さんがいなくなり→見ても知らない価値を測れない
料理人も知らなくなり→あっても値付けが判らない
客もまた出されても価値が判らない

という全体の不成立が起こっているのです。
やたら高額な宴席が無用化してきているとも
言えるのでしょうが何だかすたれると言う事は寂しい気もします。

四季と自然を上手く取り入れるのが日本料理だからです。
でもその分希少種は生き延びるのですが・・・。

そんな忘れ去られようとしているものに「岩茸(いわたけ)」が
あります。

超高級食材で、キノコの菌類というより苔の地衣類です。
絶壁の岩に生えるそうで採るのも文字通り命がけ
山宿では「岩茸採りに宿貸すな」と言うそうです。
http://www.dailymotion.com/video/xl59qf_mnmb-%E5%90%89%E4%BD%9C%E8%90%BD%E3%81%A8%E3%81%97_creation
「吉作落とし」

何かあったら後が大変だからです。
でも、
その命がけで採ってきた岩茸を幾らで買ってくれるでしょうか?

千円で買うと言う人と1万円で買うと言う人がいたら
どちらの人に売るでしょうか?
実はこれ金額の多寡ではないのです。

それだけの苦労をしたものの評価をどれだけしてくれるのか
と言う話なのです。
では次に
1万円の岩茸は最終的に幾らの宴席で消費されるのでしょうか?

そうして考えるとかつては美食に大枚を叩く人が沢山いて
そんな高級料亭を支えていたのだなと理解ができます。

今は岩茸は外国産がほとんどだそうです。

でもまだお金を出せば入手できるだけマシな方で
能登には「コノミタケ(或いはコロミタケ)」というマツタケなど
及びもつかない正真正銘の横綱キノコがあります。

これなどはもはや大金を積んでも入手不能になりました。
偶に採ってきても売りません。
そんな希少なものは自家用で食べてしまい売るものなど
ありません。

という具合です。
道端ではただの「ホウキダケ」にその名を付けて売られているほどです。

何事も本物を食べて知っておかないとつい邪な輩に
餌食にされるの教え通りです。

高級な食材と言う物にはキリがありませんが
まだ山に在るうちは静かに楽しみたいものです。

偉大な恵みの山に深く感謝を捧げます。  








山菜で山アスパラと呼ばれるものにはもうひとつ
「オオナルコユリ」もあります。

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これも希少で高価なものですが高級料亭ぐらいしか
需要がなく富山の市場では値もつかない状態なので
案外採られずに生き残っています。 
(市場持込→業、料、客の全てが不知無需、不成立→持込終)

シオデなどは手折ってもわき目から伸長するので
収穫によるダメージは少ないようですが
(翌年も盛んに萌芽するのでそれと解る)

このオオナルコユリはダメージがきついと言われています。
また滅多に群生せず単独での萌芽が多いために
絶滅しやすいとも言われています。

でも私は山の頂上付近で群生するところを知っていますが
おそらく環境の適したところで人間が手を出さなければ
群生する性質はあるのだろうと見ています。

日当たりの良い木々の少ない山地です。
立派な根茎が肥大するのでそれ程水気を求めないようです。

これもまたお店で並ぶことはまず無いでしょう。

萌芽の時は紛らわしいので知らない人は手を出さない方が
無難と言われる理由の一つに
「ホウチャクソウ」という毒草があることが挙げられます。

オオナルコユリ、ホウチャクソウ、ユキザサ、アマドコロこれらは
萌芽の状態が非常に似ていて熟練者でも同定不能な時期があります。

でも、少し成長した状態なら簡単に同定が可能です。
オオナルコユリは花芽が一列につき
ホウチャクソウは必ず枝分かれします。

ユキザサは小花が雪のように雲のように咲き
アマドコロは前者の茎が全て丸いのに比べ「稜」がある所です。
つまり茎の断面が丸くなく縦に筋が入っているのです。

もうひとつ観賞用のナルコユリという物があって
こちらは有毒だとされていて、だからオオナルコユリにも毒性が
あると誤解をされている一面もあります。

本当は美味しいのですが絶滅しやすい種だけにそんな
誤解も保存維持を願う私にとっては歓迎すべき誤解と言えます。

山では大きいのだけを年に数本だけ頂きます。
今年はこの一本だけをもらってきました。
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初めて行ったポイントで目の前にそびえていて根元回りが
10円玉ほどもありました。
幾分固くなっていましたが皮をむくと柔らかく、
ねっとりとした粘りが美味しい山菜です。

天ざるに使いましたが、太いだけに数が取れました。
山の恵みに感謝です。




シオデという山菜があります。
タチシオデ
サルトリイバラの仲間で数10種類あるうちのひとつですが
群生することが少なく普通山に入っても大量に採れません。

なので希少、貴重種とされるのですが
環境の適したところには所には沢山あります。
また普通は細いのがあっても太いのは少ないのですが
そんな場所には大抵太いものも出ています。

陽当たりの良い開けた山地
下草の少ない斜面などです。

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ヒゲのように見える蔓が成長と共に他の木にからみつき
大きく伸長していきます。

別名山アスパラとも呼ばれます。
味や栄養的にも栽培種のアスパラより優れていると
言われます。

また
サルトリイバラの仲間と書きましたが
サルトリイバラの萌え出たばかりの若芽も同じように食べる事が出来ます。

料理でもアスパラと同じように使えます。
茹でてマヨネーズや酢の物などが一般的でしょうか。

癖が無く旨みの強い山菜として位が高く
高級山菜として知られています。
ですからお店にはまず出回りません。

好ポイントを教えてもらってからは天ぷらネタとして
重宝していまして昨年は葉物で巻いて揚げてお出ししました。

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今年のシオデの天ぷらは春巻きでした。
本当は湯葉で巻きたかったのですが残念ながら
品切れで、サヨリとその卵で揚げました。
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サヨリは昆布締めにして保存している間に
卵は塩辛にして熟成させたものです。
スティック状の春巻きは軽やかで食べやすいものです。

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そして今は排骨麺に乗せてお出ししています。
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思うところあって今年からは出来るだけ山菜を
お店で出そうと決めました。
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様々なものを色々な形でラーメンに組み合わせていきたいと
考えております。
どうぞ楽しみにお待ちください。








2016.06.16 ヨシナ
山菜採りを始めたばかりの頃
ヨシナを採りたくて切望した時期があります。
煮物に良し、漬物に良し、味噌汁サイコーと
はまり込んでしまったのです。

人に聞くと
「どこにでもある」というのですが、それが解らないから
聞いているのにと思ったものです。

ところが実際に気が付いてみればどこに行ってもあったのです。
ただ目に入っていなかっただけでした。

お店で買ったり人に頂く時には葉が除去されているので
葉の茂ったものを見過ごしていたのですね。

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それで判った気になってそこらじゅうで採りました。

ヨシナには茎の赤いものと青いものとがあり
一般に青は赤よりも味が落ちると言われますが
煮て食べると遜色ないほどに美味しく感じました。

下ごしらえで茹でるといずれも同じ色になります。

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確かに漬物では青は味が劣ると解ります。
でも処によっては青しか採らないと言います。

ところが!
赤でも場所によっては全く美味しくないのもある事に
気づきます。

気候のせいなのか地形のせいなのかと随分考えました。
その結果ほんの少しだけ理解が進みました。

根本は水でした。
解ってみれば何のこともありません。
ヨシナの別名は「ミズ」とも言います。
そのものズバリじゃありませんか。

水の多い、水気のある所に繁茂している。
と言う訳です。
ですからもう一つの有り難くない別名
「ウワバミソウ」という語源とも符丁があってくるんです。

ヨシナがウワバミ(蛇)と縁があると言う訳じゃありません。
蛇も水辺を好むからそういう別名があるというだけです。

さて、その水です。
まず上に山があって、下に道路があり更にその下に河原が
あって水の流れる川があります。
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必ずとは言い切れませんが
美味しい処は山の下の水気のある斜面です。
次に水気の無い河原。
ただし、岩だらけの河原ではいけません。

川辺がその次。
ただし、その川が長い旅をしてきた水の流れる川
と限定されます。

痩せた水の流れる川辺じゃヨシナも美味しくありません。

でも一番美味しくない処は舗装された道路の直下。
これはまぎれもありません。

山菜は山のミネラルで旨くなります。
ノブキなどを食べるとその点がよくわかります。
ミネラル分そのものといった味わいで
キャラブキにして食べて日本酒を一口含むと
甘さが口いっぱいに広がるのです。

山菜の旨みの要素はミネラル分。
そう解ってみれば場所を選定する目も出来てきます。

採り始めの頃は楽しくて萌え出たばかりの小さなものまで
採りました。
しかし、後始末の大変さが解ってからは大きいものを
選んで採るようになります。

ある日、山菜プロのOさんが
「ヨシナの一番美味しい食べ方を知ってるか?」
と尋ねました。

私はプロに押しかけ弟子を公言していましたから
折りに触れ教えてもらっていたのです。

そういう時に小賢しい知恵を振り回しては
プロの口は貝になってしまいますから謙虚に教えを乞いました。

なんと萌え出たばかりの小さな
「ヨシナの赤ちゃんをせっせと採って」
「浅漬けにするんだ」
「柔らかくて旨いぞ~」  との事。

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勉強とはこうして初めの一歩から上へと行き
さらにまた最初に戻ってと
繰り返し反復をしながら学ぶものなのですね。

今年もそれを思い出しながらヨシナを採っています。

ちなみに、野菜の中で最もグルタミン酸を多く含むのが
カブの葉だそうです。
ですからカブを浅漬けにすると無性に昆布を入れたくなり
実際に昆布を加えるととても美味しい充実した味となります。

私はこれを「カブが昆布を呼ぶ」  と表現しています。
なまじ半端なグルタミン酸があるものだからより強い味を
欲しがるとでも言い換えればご理解いただけるでしょうか?

山菜の中でも明らかにグルタミン酸系の旨みを持つものが
いくつかありますが、このヨシナもそのうちのひとつです。
やたら昆布を加えたくなります。
上質な昆布を少量刻んで加えるととても美味しい仕上がりとなります。

ヨシナは長い間収穫が出来ます。
秋にはムカゴも楽しめます。
また追記を書くこともあるでしょう。

以前に触れた「シャク」ですが
収穫期を過ぎるとあっという間にお花畑になります。
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ある人の言によると野にあるものでも
美しいと思えば花となり
美味しいと思えば野菜となる

山菜採り人はその両方を楽しめると言う訳ですね。



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2016.05.11 ぜんまい
今回はぜんまいの仕事を書いてみましょう。
ぜんまいと聞くと良く解らないとか
手間がかかりそうとか
なにかと大変な奴というイメージが付きまとうので手を出さない
人もおられます。


実際はもっと手が掛かる奴なのです。

私は山の上の一軒家で育ちましたが
両親が必死になって山菜採りをするのはぜんまい採り
だけでした。

なぜならその後は畑仕事で忙しくなるからです。
秋になるとキノコ採りを必死でやってはいましたが
子供の頃山菜はぜんまい、ワラビ、野ブキ程度しか
採った記憶がありません。

10数年前くらいから故郷にぜんまい採りに行くようになり
記憶を頼りに後始末をしていたのですが
どうやらその方法は間違いだったようだと最近解りました。

子供の頃の記憶といっても収穫した後の始末は
両親がやっているのを横目で見て
遊び呆けていただけですから理路整然としたものなんて
無いのが実情だったのです。

今回、山菜名人の仕事を紹介した本を読み
正しい方法を得ましたので今年からその方法で仕込んだ所
なるほどと得心しました。
干し上がりが今までとは全然違います。

ご存じの方からは笑われそうですが
良く解らないという方のために書き留めておきましょう。

ぜんまいは胞子嚢の硬い男ぜんまいと
栄養葉の柔らかい女ぜんまいとがあり
採っていいのは女ぜんまいのみ。

株立ちしていたら必ず2~3本は残す事。

帰宅したら必ずその日に後始末をする。
綿毛と葉をむしり取り茹でる。

(この茹で方が重要)
細いの、太いのとが混じっている中で太いものが
ぐいと曲がるくらいになったらザルに上げて干す。

(茹で方が足らないと揉み込めない)
粗熱が取れて触れるくらいになったら一回目の揉みを行う。
揉めば揉むほど美味しくなる。
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これは中心の組織内の空気を絞り出す作業です。
乾燥するまでに何度揉むことが出来るかで最終的な
美味しさが決まる。

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十分揉んだものはウーロン茶葉のように小さく丸まって
何年でも保存が出来、水にもよく戻り
最終的に美味しいダシ、味付けも良く吸い込むので
美味しくなってくれる。

というものです。

乾燥したらナイロン袋に入れて保存します。

そしてここがすごいなと毎年感心するのが
特段徹底して保存に気を付けるということをしなくても
虫もつかず、カビの発生もないのです。

今のように冷蔵庫や真空パックなどという
設備や技術も無かった昔から連綿と受け継がれてきた
伝統食のすごみですね。

おそらくぜんまいの「あく」が虫を寄せ付けないのでしょう。
山菜の王者と呼ばれるのも単に美味しいだけじゃなく
その本来の意味が
飢饉のときの救荒食であったことを考えると
持ちの良さという重みを改めて思い知らされます。



2016.05.09 ワラビ
ワラビが出始めました。
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今年もいつものポイントに収穫に行ってきました。

ところが数年前からイノシシが入り込み今年はその被害が
最悪な状況になっていました。

私達人間は地上部のワラビを折り採ります。
ワラビはそうすると子孫を残そうとして更に萌芽させるので
ウソかホントか”採れば採るほど余計に萌芽する”とまで
言われます。

ところがおバカなイノシシは根を食べるのです。
根にはワラビ餅の原料となるでんぷん質が豊富なため
イノシシにとってはご馳走なのでしょう。

根こそぎ掘り返して食べているのです。
早晩このポイントは根絶やしになってしまうのでしょうね。

残念ですが仕方ありません。
例年山菜採りの1シーズンしか人間は入りませんから
ここの主はもはやイノシシに取って代わられてしまったのです。

なにしろ笹やススキの根が密集しているところなんて
重機でもないと人力じゃ掘れっこないような硬い部分です
それを一抱えもある塊ごとひっくり返してその地下の
ワラビ根を食べているんです。

敵ながらあっぱれとしか言いようがありません。

氷見のHさんが一度、畑を荒らす憎っくきハクビシンと
農道で遭遇した時の事です。

軽トラの荷台にはクワやスコップが積んであったので
よし一丁懲らしめてやろうと
手に得物を持って向き合ったところ

つがいのハクビシンのうち一頭が立ち上がり
カマキリのように爪を掲げて迎え撃つしぐさをした
というのです。

「やめた」と引き下がったHさん
「野生むき出しでやる気満々だった」そうです。

野生獣パワーの前には生半なちょっかいなど怪我の素
と言う訳ですね。

イノシシも山の御馳走だけで満足してくれていればいいのですが
里の畑に出てこられると非常に困ります。

猟師さんの本にはこう記されています
「イノシシを狩るには好機到来とも言える
かつて、農家が作物を遺棄することなど考えられなかったが
今は値が付かないなどの理由で平気で放棄する

またかつて、里はイノシシには怖い場所であった
怖い犬が放し飼いになっていたり
鉄砲が待ち構えていたりした

ところが今は犬はいても繋がれているから怖くない
鉄砲で撃たれることも少なくなった
何より畑には苦労せずに容易に掘れる美味しい
作物が一杯ある

と言う訳でせっかく手に入れた良餌場を諦める事は無い

昔は難儀して山を歩いて追い求めたイノシシが向こうから
やって来てくれるのだ
大いに狩るべし」


じゃんじゃんやっつけちゃってください♪ 

いずれ衰退するかも知れないワラビを
山椒味噌で和えていただきました。
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山の恵みに感謝。
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2016.05.08 シシウド
シシウドが採れ始めました。
例年なら雪解けの中からいち早く萌え出るのですが
今年は雪の無い萌芽となっています。

本種のウドとシシウドの違いを述べる前に触れておかねばなりませんが、
古来、日本人は輪廻の頂点に位置するのが人間(ヒト)と
いう宗教的な観点からかどうかは知りませんが動物を
ヒトより劣るものという考え方をしたようです。

サンショウはピリリと辛く芳香をもつが同じようなカタチを
しているのに辛味も香りも無いものをイヌザンショウと名付け
カタチはウドによく似ているのに苦くて食えそうにない
ものにシシが食べるんだろうとシシウドと名前をつけたのです。

本州人とは異なる考え方を持つ(宗教観)
北海道のアイヌは人間が持たない優れた能力を神(カムイ)
ととらえ○○カムイとそれぞれの動物を敬称で呼ぶのとは
随分様子が違っておもしろいと感じます。

山菜採りなら誰でもついウドと見間違えてしまう位
よく似ているシシウドですが
こうして並べて見ると全く異なるのが判ります。

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一番の違いは産毛のある無しです。
画像上がウド、下がシシウド

ウドも地中から萌え出ますが産毛のあるおかげで
あまり泥がくっついてはいません。

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いっぽうシシウドは雪泥の中から萌え出ると
結構な泥がついています。
ですから塩漬けにするときはしっかりと
泥を洗い落とす気持ちで隅々まできれいにします。

また
萌芽の様子も随分違います。
ウドは基本、一本立ちします。
もちろん株が大きければ何本も立ち上がりますが
それぞれがそのまま一本ずつに成長するのに比べ

シシウドの場合は一枝ずつ萌芽します。
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山菜としては珍しい出方をするタイプですが
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タイミングを逃してもまた次のチャンスを得ることが出来る
という便利さもあります。
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こうして展開した葉を目印にして
近づくと根元から新芽が出ていて摘み取る事が出来ます。
伸びるとすぐに硬くなりますから出来るだけ若芽を
採るのがコツです。
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良く洗ってたっぷりの塩で漬け込みます。


今年の熊追いソングはこれに決まり
クィーンの名ギタリスト「ブライアンメイ」


山好きのYさんから「もうフキノトウが真っ盛りだよ」と
聞いてはいたものの
どういう訳か店休日の火曜日あたりになると毎週荒れ模様が
続き雪が積もります。

うっすらと積もっただけでもう見つける事が出来ず
じっと我慢の子でしたが
先日ようやく晴天に恵まれて願いがかないました。

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朝はこの時期らしいガスがかかって幻想的な景色。
電車も異世界からやってきて異世界へと消えて行きます。

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こんな日は晴天に変る事を知っているので大急ぎで用事を
済ませて山に行きました。
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フキノトウは早い所では富山であっても12月頃から採れます。
ところが積雪の少ない平地ではとても苦くて美味しくありません。
ですから出来るだけ雪の多い場所で毎年採ります。

それと農地周辺での採取も避けています。

到着してみるとYさんの言う通り
沢山、まるでお花畑のように咲いています。

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普通はつぼみ状態を喜び、花が開くと敬遠されがちですが
アクが強いのはつぼみの方で
やや開き始めたものの方が苦みは少なくて香り高いのです。
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天ぷら、フキ味噌とこれから俄然忙しくなります。

冬の間運動不足だったので小一時間もするとすっかり足腰が
疲れました。

夜はパスタで頂きました。
Farflleと貝柱、エビそれにポテト フキノトウを炒めて一品。
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翌日はFedeliniとタラコで一品。
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タラコスパといえばイタリア人のシェフが日本に来て
イタリアの国旗を掲げたレストランの多い事に感激、
しかし、その店内で供される納豆スパやタラコスパに
激怒した
という話は有名です。

日本人なら和食レストランでただの白ご飯の握りに
魚を乗せた「寿司!?」に出会うぐらいの衝撃でしょうか?

でも大丈夫。
化学調味料や防腐剤にまみれた塩タラコではなくて
生のタラコ(生子  きこ)をこうして割いて
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ガーリック、オリーブオイルでじっくり仕上げれば
イタリア人も納得の一体化した味となります。

もちろんここでもフキノトウがしっかりと風味を添えてくれています。

春は美味しいものが沢山ありますから楽しみです。

ちなみにイタリア人を怒らせるタイプのタラコスパはこうです。

ボウルに皮をむいた塩タラコを少々とオリーブオイルを入れて
軽く混ぜておき
そこに茹で上げたスパゲティを入れて熱々を混ぜるだけ
お皿に移して刻みのりをパラリと掛ければ はい完成。

ご想像の通り安直な味の仕上がりとなります。
ガーリックやオイルの加熱も不十分ながら何より
アルデンテ仕上げによる味の浸透が無いので

日本人らしいふりかけを掛けて食べるような
味を染み込ませていない表面にだけ味をまといつかせる
という理解の浅さが本場人を怒らせたのでしょう。

でも一言弁明をさせてもらえば
いかにも日本人らしい食べ方じゃないですか
いっそ日の丸を掲げていれば本場人に文句を言わせないんじゃなかろうかと  

翌日はひよこ豆と貝柱のカレーを作り
これにももちろん春の香りをたっぷりと乗せ満喫しました。

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そろそろ雪でも降るかな? という位の晩秋
この日も飽きもせずにナメコを探し求めて山中を歩いていました。
木の葉もすっかり落ち、
見通しの良くなった林内は明るくて草もなく快適です。

ただ、冬枯れの景色というのは生命感が乏しくひっそりと
静まり返った静寂が支配しているので
慣れない人は気持ち悪いかも知れません。

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でもそんな中でも菌は活発に活動しています。
ナメコ、ヒラタケなどの食菌がそれです。
立ち枯れた木や倒木を盛んに食べて分解しているんです。

森にキノコという菌類がもしいなかったら枯れ木だらけで
人間は歩くことはおろか林内に立ち入ることさえ
出来ないだろう と言われます。

ですが
枯れ木の中でも美味しい木とそうでもないのがあるようで
何種類ものキノコが同時期に発生する木もあれば
見てくれは立派でも全く出ない木もあります。

また、初めはクリタケ、次にムキタケが採れ
晩秋になってナメコ、ヒラタケとまるでコース料理のように
順を追って発生する木もあります。
キノコにとっては我勝ちに食指を伸ばしたいほどの御馳走木
なのでしょう。

さて、
この日は長い間歩いてようやくまともな一本を見つけました。

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こんなに遅い時期では落葉が枯葉となってナメコに
ぴったりと張り付いています。

遊びですからこれだけ採れれば十分ですが
帰路高い所にヒラタケを見つけました。

ついでに採って行こうと崖をよじ登ると
根元付近にナメコも出ているのが見えます。
おやおやと思って手を出すと妙に邪魔くさい低木が
あるのです。

アオキです
ご存じのとおりアオキは常緑樹なのですが
これは枯れかかっているのです。

『さては?』と思ってそっと引っ張ると
案の定 簡単に抜けてくるではありませんか。

そう、これは先に一回収穫した人が二番目に出るナメコを
見つけられないように隠そうとしたものなんですね。

こんな山の中にしかも沢山の木がある中でどこかの誰かと
同じものに手を出している自分に滑稽なものを感じて
そのまま採らずにおきました。

そして道に降りようと横に移動したらこれを見つけたのです。

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ヌタ場と呼ばれるイノシシの泥浴びをするいわばお風呂です。
ここに転がって体についた虫を落とすのです。
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最近ここ富山や北陸ではイノシシの繁殖がすさまじく
秋の収穫間近の稲田に入ってこれをやられる被害が
多発しているんです。

稲穂のチクチクした毛状の部分(芒・のぎ  といいます)が
彼奴等にとっては好都合らしいのですがこれをやられると
その田は一枚丸ごとダメになってしまうそうです。

本来はこうして山の中でやっていたものなのです。
ここの周囲は粘土質で田んぼの中のように程よくぬかるんで
います。

縄張り内に田んぼが無ければ自前の風呂を作る能力が
あるんじゃないかと・・
「雉も鳴かずば撃たれまいに」と言います。
「シシも田に行かずば撃たれまいに」と言っておきましょうか。
あ、でも聞きませんね絶対。

冬枯れの山も結構な命があふれているのでした。





山菜採り時にこれを大音量で流すと寝ぼけ顔の熊がステップを踏むかも?

蜂蜜の埜島さんのお庭にはキハダの木が植わっています。

普通奥山に行かなければお目にかかれない巨木が在ると
いうだけでも凄いのにこの木は有益な木なのですから
さらに有り難い木でもあるのです。

キハダの木には不思議な薬効があり古くから
アイヌ達はそれを有効活用してきました。
表面の樹皮を剥いだ下の二層目にある黄色い皮がこれです。
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乾して保存し、適宜むしり取って水に浸し、飲みます。
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粉末に加工したものは市販もされているはずです。

腸に良い
と言われていますが、
私たちはいわゆる「薬の効能」というものに洗脳されすぎて
しまっていて
『別に今はお腹の調子も悪くないから用は無い』 などと
思ってしまいます。

植物と薬の関係を解説した本などを沢山読んで
私なりに解釈した事を記させていただくと
どうやらそんな風に思うのは違っているようです。

西洋医学はこうだからとか
漢方がこうで  などと語る気も豊富な語彙も
ありませんから舌足らずになるかもしれませんが
どうかご容赦ください。

風邪は万病の元と言われますが風邪を防ぐには
腸の活性を上げるのが一番なのだそうです。
腸の活性化が免疫力を強化するから  というのです。

アイヌはキハダの実を風邪薬として利用していたといいいます。
キハダの実は「シケレペ」といい
みかん果の種子果実でいうなれば実山椒の親戚です。
やはり実山椒のような強い刺激的な味がします。

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いっぽう化学薬には風邪薬は無いのだそうです。
鼻水を止める薬や
関節の痛みを抑える薬
咳を止める薬
のどの痛みを和らげる薬など
いわゆる”風邪の諸症状を弱める効果”を持つ数種類の
薬品を複合させて風邪薬として私達が認識していると言う訳です。

キハダの皮を水に浸すと黄色い色が出てきます。
それはどんどん濃くなりしまいには刺激的な苦味を伴って
飲みにくくなり、まるでセンブリの煎じ薬のようになります。
その分薬効は強くなるのです。

ですから程よい所で木片を取り出して無理なく
日常的に常用するのが正しい用法です。

キハダの皮は漢方では黄柏皮といい様々なものに
加えられています。


この強い苦味はシケレペにもあります。
この苦味が腸の活性化を促して
”腸に良い”
”風邪薬として”  という利用につながるのではないかと
思い五箇山で買い求めたイノシシ肉で
シケレペ料理を試してみました。

煮物でトライです。
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最近北海道ではエゾシカの食害が深刻で積極的に
食材として活用しようという動きが盛んです。
そこでエゾシカでシケレペ使いのメニューなどもあるそうです。

イノシシの味噌煮込みで作りましたが
どうも味噌には合いません。
強い刺激と苦味がネックです。

そこでお次はカレーにトライ
カレーは元々整腸効果のあるメニューなのと
イノシシ肉との相性も良さげだったからです。

通常通りアジアンスタイルで仕込みます。
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出来ました。

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うーん
カレーそのものは旨いのですが
シケレペはやはり刺激が強いですね
実山椒のように完熟をパウダーにして使用するのが
ベターかも知れません。

大量に残った実をリカーに漬けて薬酒としておきましょう。
これで飲むのも、料理に加えるのも自在です。
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ちなみに左はウワミズザクラの果実酒。
これも埜島さんの庭にあります。

シケレペ
このアイヌが用いた民間薬を果たしてどれだけ
取り込めるのか?
その成果はゆっくりと試していきます。

ちなみに刺激的な味はアイヌの方でも好き嫌いはあったようで
母親がシケレペを嫌がる娘に小言を言う口伝が残っています。
良薬は口に苦し  というのはどこでも同じだったようです。



今年もみょうが採りの時期が来ました。
思えば子供の頃はそれ程みょうがは好きじゃなかったのですが
それでも母と一緒に採りに行った記憶があります。

その頃ももちろん今の時期ですから藪蚊がいたと思います。
でも能登では”オロロ”はいませんでしたからまだ楽でした。

ここ富山は今がオロロの真っ盛りです。
今年は少雨と高温のせいか藪蚊は少ないのですが
その代りと言うくらい
その分をおまけしてくれたようにオロロが大発生しているんです。

これは強烈です。
虫よけスプレーをたっぷり振りかけて藪に入っても
首といわず目の周り、鼻、口お構いなしに群がってきます。

このポイントに入る人は沢山いると見えて毎年みょうがの株は
踏み荒らされて酷い事になっているんですが、
誰もが同じような目に合うと見えて通った後にも
沢山残っているのが常です。

汗と泥とほこりまみれになって
オロロに追い立てられるようによろよろと道路に
よろばい出てくる頃にはもうすっかり気力も無くなり
まっすぐに帰宅します。

ところがひと汗流してみょうがの掃除をする頃には
すっかり元気を取り戻し、意外に少ないみょうがを見て
『来週にも行かねば』となるのです。

それで
「みょうがご飯」を作りました。
みょうがを千切りにします。

二つにカットしてそのままいくら薄く切っても糸切りにはなりません。
タマネギと同じように扇の要を外さなければばらけないのです。
斜めに削いでも
三角に切り込んでもどちらでもOKです。
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それから薄くスライスします。
次に青紫蘇も千切りにし、水に放します。
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ザルに空けて
大事なのがその次
ガーゼか晒し木綿にくるんでブンッと強く振ります。
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これで美味しくなるんです。
持ちもぐっと良くなります。

白ごまを混ぜて、私はここで焼き魚を加えますが
無くても十分美味しいのです。
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ここに熱々のご飯を混ぜれば完成!
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さっぱり味の夏グルメ「みょうがご飯」の出来上がりです。
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お次はみょうが蕎麦。
これはみょうがと青紫蘇に胡麻を混ぜたものを
そのままお蕎麦に乗せただけのものです。
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多めに作っておけば両方を一気に楽しめるという寸法です。
ツユをぶっかけていただきます。
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これまた涼しげで美味しく
『暑い夏ももうそろそろ終わりかな?』
という気分にさせられます。
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いえ厳しい残暑はこれからなのは判ってはいても
束の間の涼を味わえるんです。
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こうしてみょうが採りの苦労を忘れるから
また行こうかという気になるんですね。